Trademark Appeal Case
電子ブックの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年審判第21127号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「電子ブック」の文字を横書きしてなり、第9類「電子計算機用プログラムを記憶させた光ディスク,録音済み光ディスク,録画済み光ディスク」を指定商品として、平成8年3月12日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『電子ブック』の文字を書してなるところ、指定商品との関係において、該文字は『CD-ROMやフロッピー・ディスクなどを利用した電子化した出版物』として採択使用されていることから、該文字を本願指定商品に使用したときは、単に商品の品質(機能・用途)表示にすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨、認定判断して本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標を構成する「電子ブック」の文字について、当審において職権により証拠調べを行ったところ、以下のように各種辞典・事典等に成語として記述されていることが判明した。
(1) 「広辞苑第5版」(1998年11月11日株式会社岩波書店発行)
【電子ブック】1)CD-ROMやフロッピーディスクを利用した出版物。2)直径8センチメートルのCD-ROMを対象とした電子出版の規格の一種。検索用ソフトはロム化し、ディスクを保護するためのプラスチック製の容器を具備する。
(2) 「コンパクト版情報処理用語大事典」(平成5年10月25日株式会社オーム社発行)
電子ブック(でんしブック)electronic book
8cmのコンパクトディスクに文字、画像情報(ものによっては音声情報も)を収録した電子媒体、容量は180Mバイト、ソニー製の「データディスクマン」などポータブルな専用の再生装置で再生する。
(3) 「2001-'02年版 最新パソコン用語事典」(平成13年2月25日株式会社技術評論社発行)
電子ブックelectronic book
8cmのCD-ROMに記録した電子出版物。挿絵や音声データの再生機能などもあり、専用の電子ブック・プレイヤーにかけて使う。容量は12cmのCD-ROMに比べて、200Mバイトと少ないが、テキストなどは大した容量を必要としないので十分とされている。プレイヤーはソニー、松下電器産業から出ており、パソコンにつないで使う電子ブック・ドライブもある。
(4) 「マルチメディア事典」(1994年8月20日朝日新聞社発行)
電子ブック electronic book
文字情報、白黒のグラフィックス、音声などを8cmCD-ROMに収録したもので、ソニーが開発した。ことばの検索に威力を発揮する。電子ブック専用のプレイヤによって、ワンタッチ操作で読む・見る・聞くができる。電子ブックには、文字なら辞書十数冊分、音なら5時間以上を入れることができる。電子ブックには、英和辞典や人名辞典などの辞典類やジャンルごとに音楽CDのデータをまとめたものなどがあり、国内でも150種類、世界中では300種類がある。同じような「本」としてデジタル・ブックがあるが、これはフロッピー・ディスクを媒体として使用している。
(5) 「マルチメディア事典」(1996年1月10日株式会社産業調査会発行)
電子ブック/デジタルブック
電子出版物の専用プラットフォーム(ビュア)を電子ブックプレーヤと呼び、デジタルブックプレーヤやデータディスクマン等が商品化されている。
データディスクマンは1990年ソニーが製品化した電子ブックプレーヤの商品名で8cmのCD-ROMを出版媒体として使用し辞書や百科事典をターゲットとした。現在はソフトのタイトル数も200を越え、三洋電機と松下電器も参入し、文字だけでなく音声や画像も取入れマルチメディアに対応してきている。
(6) 「情報・通信新語辞典2001年版」(2000年10月16日日経BP社発行)
電子ブック[electronic book]
CD-ROM電子出版の規格の1つ。1990年7月1日にソニーが発売した8cmのCD-ROM専用プレーヤ、「データディスクマン」シリーズで展開しているハードとソフトの仕様を指す。ハードウエアを電子ブック・プレーヤ、ソフトウエアを電子ブックと区別する場合もある。
(7) 「デジタル用語辞典2001-2002年版」(2001年2月5日日経BP社発行)
電子ブック【Electronic Book】
広い意味では、文章を中心とした電子出版物のこと。狭い意味では、音楽CDのシングル・サイズ(直径8cm)と同じ大きさのCD-ROMに文字や音声、画像などを入れた電子出版物の規格を指す。
ソニーが中心となって企画化した。主に専用のプレーヤで内容を読むが、電子ブック検索ソフトを使えば、WindowsやMacintoshからでも読むことが可能。
(8) 「日経BPデジタル大事典200-2001年版」(日経BP社発行)
電子ブック Electonic Book
広い意味では、文章を中心とした電子出版物のことを指すが、狭い意味では、音楽CDのシングル・サイズ(直径8cm)と同じ大きさのCD-ROMに文字や音声、画像などを入れた電子出版物の規格のことをいう。ソニーが中心となって企画化した。
主に専用のプレーヤで内容を読むが、電子ブック検索ソフトを使えば、WindowsやMacintoshからでも読むことが可能になる。専用のプレーヤーは省スペースで、携帯性が高いため、辞書や辞典類を中心とした利用が盛ん。電子ブック対応のタイトルは、約230ほど発売されている。
(9) 「現代用語の基礎知識」(1999年1月1日自由国民社発行)
電子ブック/EPWING [electronic book/EPWING]
ともに日本の電子出版で多く使われている統一データ規約。検索機能が特色。電子ブックは8センチのCD-ROMでソニーなどが発売している電子ブックプレイヤーと呼ばれる携帯型のビューアーでみることができる点が特色で、文字・音声・モノクロ画像が扱える。
(10) 「知恵蔵1999」(1999年1月1日朝日新聞社発行)
電子ジャーナリズム electronic journalism
・・・・電子ブックは、現在はCD-ROM版の辞書や公報などが出回っているが、ネットワークを介した電子図書(電子ブック)までをも含めて、新しい出版形態の可能性を持つ。
(11) 公開特許公報
特開平05-265961、特開平06-295315、特開平07-020770、特開平09-134370、特開2000-284883、特開2001-101202において、発明の名称に「電子ブック」の語が使用されている。
以上の事実によれば、「電子ブック」は、元来請求人が開発したものであるとしても、現在では、8cmのCD-ROMに文字や音声、画像情報を収録した電子媒体(電子出版物)を意味する語として一般に認識され、使用されているものといえる。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、該商品がCD-ROMによる電子出版物(電子ブック)であること、ないしはCD-ROMによる電子出版物(電子ブック)用の商品であること、すなわち、単に商品の品質(機能)、用途を表示したにすぎないものと認識せしめるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。
次に、請求人(出願人)は、本願商標は商標法第3条第2項に該当し、登録を認められるべきものであるとして、原審及び当審において証拠を提出しているので、提出された各証拠を検討する。
原審において提出された甲第1ないし第7号証は、いずれも雑誌に掲載された記事であるところ、いずれの記事においても「電子ブック」の語は上記の意味合いを有するものとして記述的に記載されており、請求人の商標として認識されるとはいい難いものである。また、当審において提出された甲第8号証は、請求人の「データディスクマン」についてのカタログであって、該カタログ中には該「データディスクマン」に使用される電子媒体としての「電子ブック」が記述的に用いられているにすぎない。その他、「電子ブック」の語が請求人の商品に係る商標として積極的に使用されている事実を示すものはない。
そうすると、「電子ブック」の語は、それが使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品を表すものであると認識できるまでに至っているものとは認められない。
なお、当審における上記証拠調べについて請求人に通知して意見を求めたところ、請求人は、応答期限について猶予を求める旨述べるのみで、相当の期間が経過するも、何らの意見もない。また、請求人は商標法第3条第2項に係る資料を入手すべく手配中である旨述べているが、相当の期間が経過するも、何ら資料の提出もない。
したがって、本願商標については、上記のとおり判断するのが相当であるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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