Trademark Appeal Case
著名商標との混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第5973号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「valentinoelegance」の欧文字よりなり、第20類「家具,クッション,座布団,まくら,マットレス,愛玩動物用ベッド,アドバルーン,犬小屋,うちわ,買物かご,額縁,家庭用水槽(金属製又は石製のものを除く。),きゃたつ及びはしご(金属製のものを除く。),工具箱(金属製のものを除く。),小鳥用巣箱,ししゅう用枠,植物の茎支持具,食品見本模型,人工池,すだれ,ストロー,スリーピングバッグ,せんす,装飾用ビーズカーテン,タオル用ディスペンサー(金属製のものを除く。),つい立て,ネームプレート及び標札(金属製のものを除く。),旗ざお,ハンガーボード,美容院用いす,びょうぶ,ベンチ,帽子掛けかぎ(金属製のものを除く。),盆(金属製のものを除く。),マネキン人形,麦わらさなだ,木製又はプラスチック製の立て看板,郵便受け(金属製又は石製のものを除く。),揺りかご,幼児用歩行器,洋服飾り型類,理髪用いす」、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,シャワーカーテン,テーブル掛け,どん帳,織物製トイレットシートカバー,布製ラベル,ビリヤードクロス」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成9年12月1日に登録出願されたものである。
2 当審における拒絶の理由の要点
本願商標は、その構成中に、イタリア国在住の「Valentino Garabani」(オランダ国在の関連企業「バレンチノ グローブ ベスローテン フェンノートシャップ社」)が「紳士・婦人服」等に使用している著名な商標である「valentino」及び「VALENTINO」の商標と綴りを同じくする「valentino」の文字を有してなるから、これをその指定商品に使用するときには、上記者又はその者と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 当審の判断
(1)「Valentino Garabani」及び「VALENTINO」などの商標の著名性について
(ア)「Valentino Garabani」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)に関しては、職権による証拠調べを行ったところ、次の事実が認められる。
1)「世界の一流品大図鑑ライフカタログVOL.1」(昭和51年6月5日株式会社講談社発行)において、「ヴァレンティノ・ガラバーニ」が、「イタリアファッション界の旗手と呼ばれ、女性を最高に美しく見せるデザイナーとして高く評価されている。」こと、及びその経歴等を紹介する内容とともに「ブラウス、セーター、ネクタイ」の商品の写真が掲載されていること。
2)「EUROPE一流ブランドの本(講談社MOOK第2巻)」(昭和52年12月1日株式会社講談社発行)において、「ヴァレンティノ ガラバーニ」の所有する店舗の紹介と簡単な経歴が「婦人服」の商品と共に掲載されていること。
3)「服飾辞典」(昭和54年3月5日第1刷文化出版局発行)の、ヴァレンチィーノ ガラヴァーニ[Valentino Garabani、1932〜]の項に、「イタリア北部の都市(ヴォゲラ)に生まれる。17才でリセオ(中学)を中退、パリに行く。スチリストになるため、パリのサンジカ(パリ高級衣装店組合の学校)で技術を身につける。1951年、ジャン・デッセ(オート・クチュール)のもとで5年間アシスタントとして仕事をする。その後2年間、ギ・ラローシュのアシスタントをし、1958年独立、ヴァレンティーノ・クチュールの名でローマに店を開いた。このころ、イタリアのモードは世界的に有名になりつつあった。彼の最初の仕事は、フィレンツェのピッティ宮殿でのコレクションである。このコレクションは、〈白だけの服〉という珍しい演出であったが、その美しさはジャーナリストの間で評判となり、「ニューズ・ウィーク」「ライフ」「タイム」「ウィメンズ・ウェア・デイリー」各誌紙で取材、モードのオスカー賞を獲得した。
1967年、ヴァレンティーノの名は世界に知れわたった。1972年には紳士物も始め、その他アクセサリー、バッグ、宝石類、香水、化粧品、家具、布地、インテリアと、その仕事の幅はたいへん広いが、すべてヴァレンティーノ独特のセンスを保っているのはみごとである。ヴァレンティーノの洋服に対する考えは、まず個性が第一で、彼のコレクションからは、デテールでなくそのエスプリをくみ取ってもらうことに重きをおく。ローマの高級住宅地、アッピア・アンティカに母親とたくさんの犬と暮らしている。仕事でパリとローマを行き来するが、世界中を旅行するなど忙しい日々である。物をつくる人は誰でも波があって、いつも傑作が続くとはかぎらないが、ヴァレンティーノは現在、ローマのオート・クチュール界で最も好調なデザイナーといえる。以前から東洋風なエキゾティシズムが好きで、時によってトルコ風、アラブ風の特色がみられるが、最近はキモノのセクシーさを1950年代のハリウッドの雰囲気に表現、あやしく美しいヴァレンティーノの世界をつくり出している。」との紹介記事が掲載されていること。
4)「朝日新聞」(昭和57年11月20日夕刊第3頁)において、世界の服をリードする3人のうちの1人として「バレンチノ」の紹介記事が掲載されていること。
5)「男の一流品大図鑑’85年版」(昭和59年12月1日株式会社講談社発行)において、「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」の文字と共に、「スーツ、ブルゾン、シャツ、ネクタイ、ベルト及びバッグ」の商品が掲載されていること。
6)雑誌「nonーno」1989年 No23号(平成元年12月5日株式会社集英社発行)及び「marie claire」(1996年2月1日中央公論社発行)において、「ヴァレンティノ ガラバーニ」が単に「ヴァレンティノ」と略称され、商品「婦人服」等と共に掲載されていること。
7)「英和商品名辞典」(1990年株式会社研究社発行)[Valentino Garavani]の項において、「イタリア Romaのデザイナー Valentino Garavani(1932ー)のデザインした婦人・紳士物の衣料品・毛皮・革製バッグ・革小物・ベルト・ネクタイ・アクセサリー・婦人靴・香水・ライター・インテリア用品など。Roma,Firenze,Milanoなどにあるその店の名称はValentino(vは小文字でかくこともある)。・・・」との記事及びデザイナーとしての紹介記事が掲載されていること。
8)「世界の一流品大図鑑’93年版」(平成5年5月20日株式会社講談社発行)において、「VALENTINO」ブランドの香水が掲載されていること。
9)「岩波=ケンブリッジ 世界人名辞典」(1997年11月21日株式会社岩波書店発行)の[ガラヴァーニ]の項において「ヴァレンティノ Garavani,Valentino 通称ヴァレンティノ Valentino(伊 1933ー)服飾デザイナー・・・」との紹介記事が掲載されていること。
同じく、[ヴァレンティノ Valentino]の項において、「ガラヴァーニ、ヴァレンティノ」を見よとの表示があること。
(イ)以上の事実によれば、ヴァレンティノ・ガラヴァーニは、世界のトップデザイナーとして本願商標の登録出願時、既に我が国において著名であったものと認められる。
また、同氏の名前は「Valentino Garavani」「ヴァレンティノ・ガラバーニ」とフルネームで表示され、このフルネームをもって紹介されることが多いが、同時に新聞、雑誌の記事や見出し中には、単に「Valentino」「ヴァレンティノ」と略して採り上げられており、ファッションに関して「Valentino」「ヴァレンティノ」といえば同氏を指すものと広く認識されるに至っているというべきである。そして、同氏がデザインした婦人服、紳士服、アクセサリー、バッグ、インテリア用品等のファッション関連の商品は、「VALENTINO GARAVANI」「valentino garavani」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)「VALENTINO」「valentino」(ヴァレンティノ)の商標(以下、これらの商標を合わせて「引用商標」という。)をもって我が国の取引者、需要者の間に広く知られていたというべきであり、このことは本願商標の登録出願時のみならず、現在においても同様であるといい得るところである。
(2)商品の出所の混同について
本願商標は、「valentino」の文字を有するが、前記認定のとおり、「valentino」は「Valentino Garavani(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)」氏に係る商品を表示するものとして周知、著名なものとなっており、しかも、本願商標の構成中の「valentino」の文字に続く「elegance」の文字が「優雅、上品」等の意味を有する成語として親しまれたものであり、その意味合いの下では「valentino」の文字ほど強力に自他商品の識別力を発揮するとは考え難いものであることをも勘案するならば、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「valentino」の文字部分に自ずと注意を惹かれ強く印象づけられるものと認められる。しかも、本願商標の指定商品と、引用商標が使用されている商品とは、ともにファッション関連の商品というべきであって、需要者を共通にする場合が多いものといえる。
そうすると、本願商標を、請求人(出願人、以下同じ)がその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、周知商標である引用商標を連想させ、本願商標が付された商品が引用商標の一種ないし兄弟ブランド、ファミリーブランドであるなどと誤解し、その商品があたかも上記デザイナーである「Valentino Garavani(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」又は、同人と組織的・経済的に何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
(3)請求人の主張について
請求人は、「ヴァレンティノ・・・」又は「・・・ヴァレンティノ」とする商標は、市場で多数のものが使用されている。また、「ヴァレンティノ」というのは、イタリア人の名前としてありふれているものである。そのため、単に「VALENTINO」といっただけでは、どの業者の商標をあらわしているのかが需要者や取引者にはわからない。「ヴァレンチィノ・ガラヴァーニ」商標も、全体として一連に称呼することによって、初めて自他商品の識別力を生ずるものであって、これを「ヴァレンチィノ」と略称した場合は自他商品識別力は生じない。つまり、「ヴァレンティノ」は、周知、著名商標ではないので、これを構成中の一部に有する本願商標を使用しても、需要者、取引者は商品の出所を混同することはない旨主張する。
しかし、「ヴァレンティノ」を含む商標が市場において多数使用されているからといって、それが常に出所について混同を生ずるおそれもなく取引に資されていることを意味するわけではないし、混同を惹起させるかどうかは対象とする商標ごとに個別具体的に判断すべきことであって、本件事案とは直接関係するものではない。また、「ヴァレンティノ」がイタリアでありふれた名前であっても、我が国においてありふれた名前であるとは認められないし、「VALENTINO」「valentino」(ヴァレンティノ)を含む商標は、それがイタリアでの一般的なありふれた名前であるかどうかに関係なく、上記認定のとおり、我が国においてファッション関連商品に使用された結果、取引者、需要者に広く認識されている商標といえるものである。したがって、請求人の主張は根拠のないものであって、いずれも採用できない。
(4)結語
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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