Trademark Appeal Case
助字「之」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第11845号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「毛髪之力」の文字を標準文字としてなり、第3類「頭髪用せっけん類,頭髪用化粧品」及び第5類「毛髪用剤」を指定商品として、平成10年2月4日に登録出願されたものである。
2 原査定の引用商標
原査定において、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとして、その出願の拒絶に引用した登録第3369172号商標(以下、「引用商標」という。)は、「毛髪力」の文字を横書きしてなり、平成5年3月31日登録出願、第3類「シャンプー,頭髪用化粧品」を指定商品として、同10年3月6日設定登録されたものである。
3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標における類似性について
本願商標「毛髪之力」と引用商標「毛髪力」とは、使用されている文字が「毛髪」と「力」において一致し、「之」の文字の有無において異なるものにすぎないこと、本願商標と引用商標は、成語として知られ「人体の毛。特に髪の毛」を意味する「毛髪」と「自らの体や他の物を動かし得る、筋肉の働き。気力。精神力。精根」を意味する「力」(本願商標には、「の」に当たる助字を意味する「之」がある。)を組み合わせたものと看取されるものであるが、いずれも全体をして一般の国語辞典等には掲載されておらず既成語とはいい難いものである。しかしながら、本願商標と引用商標は、上記語の組み合わせによって、いずれも「毛髪の力」すなわち、「髪の毛自体が持っている発毛、育毛的力」の意を連想、想起させるものであることからすると、全体的に観察し対比してみて、両者は少なくとも外観、観念において紛らわしく、取引の状況によっては、需要者が両者を見誤る可能性は否定できず、類似関係にあるというべきである。
ところで、商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、しかも(その商品の取引の実情を明らかにしうる限り、)その具体的な取引状況に基づいて判断すべきであって、綿密に観察する限りでは外観、観念、称呼において個別的には異なるところがある商標であっても、具体的な取引状況如何によっては類似する場合があり、外観、観念、称呼についての総合的な類似性の有無も、具体的な取引状況によって異なってくる場合もあることは経験則の教えるところでもある。
そして、引用商標が付されて販売されている頭髪用化粧品(育毛・発毛)、シャンプーと本願商標の指定商品「頭髪用せっけん類、頭髪用化粧品」の商品分野における需要者は、老人から若者までを含む一般的な消費者であり、これらの商品分野においては、自己の求める商品を識別して購入する際に、テレビ、ラジオ等のコマーシャルにおける商品の宣伝を記憶して、これを頼りに取引に当たる場合も多く、特に、本願商標及び引用商標のように、記憶にとどめやすい商標である場合には、必ずしも注意深く商品を選択するとは断定できないものというべきである。
これらの取引の実情によれば、本願商標と引用商標は、その主たる需要者である一般的な消費者の間において、互いに混同されるおそれが高いものと認められる。
してみれば、、本願商標と引用商標は、指定商品における取引の実情を考慮した場合、前記のとおり観念を同一にするために、その主たる需要者の間で、観念上の錯誤が生じやすいものであり、両商標は、観念上も相紛れるおそれを否定することはできないものである。
また、本願商標は、「毛髪之力」であるのに対し、引用商標は「毛髪力」であるから、両商標を対比して観察した場合には、本願商標中の「之」の文字は、中間部に位置し、「毛髪」の文字と、「力」の文字との間に、該両文字とまとまりよく書されていることから、それ自体としてみれば、格別に記憶に残るような、鮮明で、特徴のあるデザインを採用したものとは認めることができないものである。したがって、本願商標の「之」の文字は、その指定商品の取引者、需要者に対して、本願商標の文字部分から際だった印象を与え、記憶にとどめさせるに足りるものであるとは認め難いから、外観上の近似性も否定することができない。
そして、両商標から生ずる称呼がそれぞれ「モウハツノチカラ」「モウハツリョク」であり、相違するとしても、その指定商品における主たる需要者である一般の消費者が取引するに当たり、時と所を異にしてそれぞれの商標に接した場合、両商標の称呼上の上記相違点は、両商標の観念及び外観が相紛らわしいものであることを凌駕して、これらを明らかに識別することができるものであると評することはできない。
したがって、本願商標と引用商標の称呼上の相違点が両商標の類否を検討するうえで大きな影響を及ぼすものとみることはできず、この相違点をもって、両商標の観念及び外観によって生ずる混同のおそれを否定する要素として重視することはできない。
(2) 両商標の類否の総合判断
以上によれば、本願商標及び引用商標につき、両商標の指定商品における取引の実情を考慮して、その称呼、観念及び外観を総合して考察すれば、両商標の観念は同一であり、外観上も相紛れるおそれを否定することができず、また、称呼上の相違点も微弱であると認められるから、本願商標を指定商品について使用した場合、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認めることができる。
なお、原告が主張する他の登録例や審決例は、いずれも本願商標及び本件の引用商標とは構成を異にするものであって、上記判断を左右するものではない。したがって、本願商標と引用商標とは、類似する商標であり、かつ、その指定商品も同一又は類似のものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し登録することができないとした原査定は妥当であり、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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