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Trademark Appeal Case

公共財の商標登録の是非

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2000−16529(T2000−16529/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「リナックス」の片仮名文字及び「Linux」(片仮名文字に比して小さく書されている。)の欧文字を二段に横書きしてなり、第9類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成10年6月4日に登録出願されたものである。その後、指定商品については、平成11年10月19日付手続補正書により「電子応用機械器具及びその部品」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

「本願商標は、当時フィンランドのヘルシンキ大学の学生であったトルヴアルドズ リヌス(リーナス・トーバルズ、Linus Torvalds)氏が1991年に開発し、インターネット上にソースコードもすべて無償公開したユニックス(Unix)系のネットワーク基本ソフトウェア(OS)の名称である「Linux(リナックス)」の文字を書してなるところ、当該OSはその公開後、世界中の優秀なプログラマーがボランティアで改良作業に参加、より使いやすいソフトに成長し、利用者も世界で一千万人、日本国内で五十万人(1999年2月22日付、共同通信)といわれており、当該OS対応のソフトウェア・ハードウェアを開発表明する企業も多数おり、いまや当該OSは公共財として世界の共通財産となっているものといい得るものであり、また、わが国においても「Linux文化の普及、啓蒙活動を推進し、Linux環境の公益のための活動を行い、中立性の維持と開かれた運営と活動により、Linux環境の健全な発展に寄与することを目的」とする任意団体である日本Linux協会(東京都新宿区在)が設立されていることをも鑑みれば、これを一私人たる出願人が自己の商標として、その指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に採択・使用することは商取引の秩序を害するおそれがあり、穏当でないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、前記に示すとおり「リナックス」及び「Linux」の文字を二段に書してなるものであるところ、「Linux」の文字は、出願人である「トルヴァルドス リヌス」(査定の理由では、「リーナス・トーバルズ」と記載されている。)によって開発され、無償公開されたコンピュータオペレーションシステム(以下「本願OS」という。)として広く知られ、わが国のコンピュータ業界関係者及びパーソナルコンピュータの需要者の関心を集めており、Linuxを解説した記事等も多く存在し、Linuxを搭載した機器やLinux関連のパッケージソフト等が有償・無償で頒布され流通する状況にあることが認められる。

ところで、わが国においては、「日本Linux協会」(以下「JLA」という。)がLinuxの健全な発展に寄与し、Linux文化の普及・啓蒙活動を行うためのわが国を代表する任意団体として1999年4月1日に設立され、その環境の発展に寄与することをその理念とし、出願人の「トルヴァルドス リヌス」が、カーネルと呼ばれる本願OSの基本機能の上位バージョンを開発した際には、JLAが日本のユーザーへの普及、啓蒙、教育を行い運用管理している。そして、Linuxの本願OSの有償又は無償の頒布は、一定の条件のもとでなされている。このことは、JLAのインターネットのホームページにおいても窺えるものである(http://www.linux.or.jp/JLA/about.html)。また、Linuxの普及を目指す「日本エンデベッド リナックス コンソーシアム」などの団体の設立も、その目的がLinuxの本願OSを普及させるためであるならば任意であるとされている。

そして、出願人は、平成12年1月26日付上申書に添付された甲第3号証によれば、JLAの表明書を提出し、「Linuxと無関係の本願OSに第三者がLinux商標を付すことは需要者、取引者の誤認、混同を招来するものであり、出願人の名前で商標登録されるべきである。」旨述べている。

これらの事実からすると、本願商標は、商取引の秩序を害するおそれがあり、かつ、社会公共の利益に反するものとはいえないものと判断するのが相当である。

さらに、本願商標は前記の構成よりなるものであって、それ自体何ら矯激、卑猥もしくは差別的な印象を与えるものでなく、また、本願商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益または一般道徳観念に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するものとすべき事由はなく、また、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められない。

したがって、本願商標を商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく取消を免れない。

その他、本願について拒絶をすべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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