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Trademark Appeal Case

商標の称呼・外観類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35039(T2001−35039/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4052043号商標(以下、「本件商標」という。)は、「SILHOUETTY」の欧文字と「シルエッティ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成5年5月11日に登録出願、第3類「化粧品,石けん類」を指定商品として、同9年9月5日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第576009号商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和35年3月30日に登録出願、第5類「歯磨及び他類に属しない洗料」を指定商品として、同36年7月1日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第1778223号商標(以下、これらを一括して「引用商標」という。)は、「SILHOUETTE」の欧文字と「シルエット」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、昭和56年5月13日に登録出願、第4類「せつけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同60年6月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張

請求人は「本件商標の登録を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

(1)本件商標は、欧文字「SILHOUETTY」と片仮名文字「シルエッティ」を上下二段に構成してなり、引用商標は、欧文字「SILHOUETTE」と片仮名文字「シルエット」を上下二段に構成してなる。

このように本件商標と引用商標は、4音から構成されており、そのうち称呼の類否において比重の重い語頭音は、「シ」と共通する音からなる。また、第2音は「ル」、第3音は「エッ」と共通する。異なるところは末尾における「ティ」と「ト」のみであるが、この差異音も調音の位置(上歯のつけ根の歯茎)を同じくするものである。そして、差異音が通常明確に聴き分け難い語尾に位置することとも相俟って本件・引用商標を全体として称呼するときは、その語感、語調が近似し、彼此相紛れるおそれがある(甲第4号証ないし甲第7号証)。

したがって、本件商標と引用商標は、称呼において類似する商標であり、かつ、本件商標と引用商標の指定商品が互いに抵触することは明らかである。

(2)また、外観の点においても本件商標と引用商標とは類似する。

本件商標と引用商標のそれぞれに含まれる指定商品「化粧品,石けん類」については、欧文字の醸し出す高級な雰囲気を重視して商品の表側に商標の構成要素の欧文字部分のみが使用されるのが一般に認められる(甲第8号証)。したがって、本件商標と引用商標の外観類似の判断においては、このような現実の使用態様も基準として判断されるべきである。

しかして、本件商標と引用商標のそれぞれの欧文字部分は、10文字から構成されており、そのうちの語頭文字「S」から第9文字「T」迄が「SILHOUETT」の通り完全に一致しており、相違するのは僅かに視覚の上において極めて比重の軽い語尾の1文字にしか過ぎない。

このように本件商標と引用商標とは、10文字中9文字が同一の文字によって構成されている。

ところで、簡易迅速を旨とする取引の実情のもとでは、それぞれの商標を常に冷静かつ厳密に分析し、その商標を構成する図形や綴り字、あるいはその商標の有する観念等を正確に把握して取引に当たるとは限らない。

したがって、本件商標と引用商標のように10文字中9文字を同一にしている場合には、視覚上同一又は近似するものと判断し出所の混同を生じるものといわなければならない。よって、本件商標と引用商標とは外観の上においても類似する商標である。

本件商標は、原審において請求人所有の前記引用商標を以て拒絶査定を受けており(甲第9号証ないし甲第10号証)、その際『「テ」・「ティ」は「ト」と50音中タ行同行に属する歯茎、破裂音の音質が近似したものである』とされ、又甲第7号証の審決例においても『この差異音「ト」と「ティ」はいずれも無声音「t」を要素とする50音図中の「タ」行に属する近似音である』と明確に判断されている。前者は平成7年6月、後者は平成2年3月と時の隔たりに関係なく同様に結論付けられており、申すまでもなく語尾の一音相違に関する類否判断は時と共に変化するものではなく、又語尾音が同行音の場合類似とする原則の例外であり得ない。

(3)以上の次第であるので本件商標の登録は引用商標との関係において商標法第4条第1項第11号に該当する瑕疵ある登録である。したがって、本件商標の登録は、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として乙第1号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)外観上

本件商標は、上段に、欧文字ゴチック書体で、「SILH0UETTY」と書してなり、下段は、「シルエッティ」とカタカナのゴチツク文字で一連に書してなるものであり、上下の左端を揃え、等間隔に文字を配してなるものであり、必然的に右端が不揃いとなる構成である。

これに対し、引用商標は、共に上段に、欧文字書体で、「SILHOUETTE」と書してなり、下段は、「シルエット」とカタカナ文字で一連に書してなるものである。

しかしながら、甲第2号証商標はデザイン化された筆文字風書体で表されており、甲第3号証は上下の文字を左右両端を揃えて均等に文字を配してなるものである。

したがって、本件商標と引用商標は、外観上相紛れるおそれはなく、類似するものではない。

(2)称呼上

両商標は、前述の外観上の項で記載のとおりの構成であるので、本件商標からは「シルエッティ」の称呼のみが生じるものである。これに対し、引用商標からは共に「シルエット」の称呼が生ずるものである。

そこで、「シルエッティ」と「シルエット」の称呼につき比較検討する。両称呼は語尾の「ティ」と「ト」が相違するが、「テイ」音は舌尖と上前歯との間で形成される無声破擦音と母音〔i〕との結合した音節である。

一方、「ト」音は、舌尖を上前歯のもとに密着して破裂させる無声子音と母音〔o〕との結合した音である。

ところで、前者の有する母音〔i〕は、母音中最も狭母音に属する音であり、比較的口の開きの小さい、口篭もり勝ちな、弱い音であるのに対し、後者の有する母音〔o〕は「ウ」と「ア」の中間母音であって、唇をまるめて比較的明瞭に発音されるものである。

したがって、母音〔i〕と母音〔o〕は、母音三角図によるまでもなく、近似していないことは明白である。

してみれば、本件商標より生じる「シルエッティ」の称呼は全体に流れるような語感(語韻・語調)を与えるものである。これに対し、引用商標より生じる「シルエット」の称呼は、全体に「シ」・「ル」・「エツ」・「ト」と、区切りよく、強く響く音となって称呼されるものである。

以上のことは、平成3年審判第23417号、昭和56年審判第5393号、昭和59年審判第19336号、昭和60年審判第4235号、平成2年審判第11035号の審決においても、同様の構成に関わる商標の語尾音が、「ティ」と「ト」の差異音を有する場合に、非類似と判断された例からも明らかである。

したがって、両商標は、十分に区別し得るものであるので、称呼上も、相紛れるおそれはなく、類似するものではない。

(3)観念上

本件商標は、特定の観念を有さない造語であるので、相紛れるおそれはなく、類似するものではない。

(4)以上述べたごとく、本件商標と引用商標は、外観・称呼・観念のいずれの観点からも、相紛れるおそれはなく、類似するものではないので、各々別個に登録されるべきものである。

ついては、本件商標につき商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものではないので、同法第46条第1項第1号により無効とすることはできない。

第5 当審の判断

本件商標は、「SILHOUETTY」と「シルエッティ」の各文字よりなるところ、その構成文字に相応して「シルエッティ」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を生ずることのない一種の造語を表したものというのが相当である。

他方、引用商標は、書体に多少の相違はあるものの、いずれも「SILHOUETTE」と「シルエット」の各文字を表したものと容易に理解されるから、その構成文字に相応して「シルエット」(シルエット、影絵)の称呼、観念を生ずるものというべきである。

そこで、本件商標より生ずる「シルエッティ」の称呼と引用商標より生ずる「シルエット」の称呼を比較するに、両称呼は、「シルエッ」の音を共通にするとしても、これに続く語尾音において、母音を異にする「ティ」と「ト」の音の差異を有するものであり、この差異音は、ともに前音が促音(ッ)を伴っていることと相まって、比較的強く発音され明瞭に聴取されるといえるものである。加えて、引用商標が「シルエット、影絵」の観念を有する語として一般に親しまれているといえるから、この差異が両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものとはいえず、両称呼を一連に称呼した場合においても、互いに聴き誤るおそれはないものといわなければならない。

また、請求人が外観上類似すると主張する欧文字部分についても、両商標は、その構成中の語尾の文字において字形を全く異にする「Y」と「E」の差異を有するものであるから、通常の注意力をもってすれば、この差異は明らかに認識し得るもので見誤るおそれはなく、加えて、両商標とも併記されている片仮名文字部分の「ティ」と「ト」の差異をも考慮すれば、本件商標と引用商標とは、外観において互いに区別し得るものである。

さらに、本件商標は、特定の観念を生ずるものとは認められないこと前記のとおりであるから、「シルエット、影絵」の観念を生ずる引用商標とは、観念上比較することができない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても非類似の商標といわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできないから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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