結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−31028(T2001−31028/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件第608619号商標(以下「本件商標」という。)は「ペタリンコ」の片仮名文字を書してなり、第1類「のり及び接着剤、その他本類に属する商品」を指定商品として昭和38年4月9日に登録されたものであり、その後、昭和49年7月25日、同58年5月20日、平成5年10月28日の3回に亘り更新登録がなされたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を概要次のように述べ、甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)本件商標は、日本国内において継続して3年以上、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれもが、その指定商品「のり及び接着剤」について使用をしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づいて、その登録は取り消されるべきものである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
請求の趣旨を「登録第0608619号商標の指定商品のうち『のり及び接着剤』についての登録を取り消す。」と訂正する。
被請求人は、答弁書で請求人適格について反論しているが、現行法では利害関係を要件としていないうえ、上記「のり及び接着剤」については、本件商標が請求人の商標出願(2000−109971号)の引用例として拒絶査定理由となったものであるから、これだけで十分な利害関係を有しているといい得る。
また、本件商標を使用していることについて 被請求人は商標を指定商品について使用している根拠として、先ず昭和38年4月9日の登録以来、2回にわたって更新登録されており、使用していない商標を長期間登録を維持することは考えられない、と主張し、乙第5号証として平成5年4月2日に提出した更新登録出願に添付した使用説明書の写しを提出している。しかしこの乙第5号証の写真が不鮮明であるうえ、更新出願時に添付したものかどうか解らずその関連性が不明であり、よってその成立は認められない。仮に、これが使用説明書の写しであったとしても、既にそれから9年近く経過しており、不使用取消し要件である「継続して3年以上」からは遥か以前のものである。また、更新登録の有無と使用の事実の立証とは全く関係のない事項である。乙第1号証は、マンホール首部接着剤”ペタリンコ”の使用方法のパンフレットらしきものである。しかし、いつ作られたものか不明であり、このような説明書はいつでも容易にパソコンでも印書できるので、使用しているとする事実の証明とはなり得ず、証拠能力が全くない。
よって、これも使用の事実つを証明する証拠と認められない。
乙第2号証は、大小二つの缶の表面に、商標「ペタリンコ」と権利者の名前が印刷されているラベルを貼り付け、スポンジとともに写した写真であるが、このような簡単なラベルはやはり何時でもパソコンで簡単に印刷できるものであり、使用している事実を立証出来る証拠とはなり得ないものである。
よって、これも証拠とは認められない。
乙第3号証、第4号証についても同様であり、ラベルを作って缶に貼付け、これを写真に撮るぐらいは、何時でもできる。
よって、これも証拠として認められず、しかも証拠能力が全くない。
このように、乙第1号証ないし第5号証は何れも本件審判請求の登録前3年以内に継続して商標を「のり及び接着剤」に継続して使用していたとすることの証拠になるものではなく、全ての証拠は何時でも誰でも簡単に作成できるものに過ぎず、これらの証拠をみれば、逆に取消審判が提起されてから慌てて捏造されたものであることがより明らかとなっているとも言える。
仮に被請求人が本当に本件商標を継続して使用しているのであれば、当然、原料の成分表、それら原料を仕入れした書類、少なくとも出荷した伝票、納品書、請求書等の取引書類の原本が提出され、しかも会社の取扱っている商品の総合カタログの中にも掲載されている筈であるが、これらは一切証拠として提出されていない。
(3)以上説明したように、被請求人が提出した各証拠は全て成立は認められず、しかも本件商標を「のり及び接着剤」に継続して3年以上日本国内において使用していたとする事実を証明するには程遠い証拠である。
(4)したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と主張し、乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。
(1)利害関係の有無について
現行商標法においては、旧商標法のような「利害関係のアルコトヲ要ス」旨の明文はないが、これは、利害関係を必要としないからという理由に基づいたものでなく、「訴えの利益がなければ訴権なし」との民事訴訟法の原則を適用すれば充分であり、あらためて、利害関係を必要とする旨の規定を置かなくても国民に容易に理解され、したがって、法の運用に支障を来さないという立案の趣旨によったものである。
昭和50年改正商標法の立案者の言明及び通説によれば、第50条の審判請求のための利害関係人とは、既登録商標が存在するために、自己の使用とする登録商標及び指定商品が、先登録商標の指定商品に抵触するために、審査官より、その登録商標を引用されて拒絶理由通知を受けた者を指すのであって、このことは、出願人の出願商標の登録の妨げとなるものを排除しようとする制度であることは間違いないものである。してみれば、本件審判請求人は、自己の出願に係る商標の指定商品「のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)」が登録になればよいことであって、それ以外の指定商品まで取消審判を請求しなければならない理由は全くないものであり、かつ、取消審判を請求する利害関係もないものである。
しかるに、本件審判請求人は、先登録商標そのもの(指定商品全部)を取り消すものと審判請求をしているのであるから、結局、本件審判を請求することについての利害関係を有しないというべきである。
したがって、本件審判請求は不適法である。
(2)本件商標の使用について
上述のように、審判請求人は、審判請求(指定商品「全部」)についての利害関係を有しないが、仮に、利害関係が存在するとしても、本件商標は、本審判請求の提出日前3年以内に商品「接着剤」について使用している。本件商標は、昭和38年4月9日に登録されて後、2回にわたって更新登録がなされているのであり、使用していない商標を長期間登録維持することは考えられない。
請求人は、本件商標の使用の有無を被請求人に問い合わせたとしているが、仮に使用の有無を問い合わせたとしても、回答者が何者かもわからず、登録商標の制度そのものも理解できない者も存在するので、その不特定の者の回答は全く信用できないことは、自明のことである。
そして、被請求人が、本件商標を指定商品「接着剤」について使用している事実を立証するため、乙第1号証ないし乙第5号証を添付する。
乙第1号証は「マンホール首部接着剤」”ペタリンコ”の使用方法について、「1.接着面の清掃、2.接着剤の混合、3.接着剤の攪拌、4.ウレタンスポンジの含侵、5.接着準備、6.接着、7.養生、8.保管上の注意」等を順を追って説明したものである。
乙第2号証は、商標「ペタリンコ」を付した、株式会社ハッコーの販売にかかる接着剤(缶入り)の現物、接着剤含浸用のウレタンスポンジ及び使用説明書の写真である。
乙第3号証は、商標「ペタリンコ」を付した接着剤(缶入り)と接着剤含浸用のウレタンスポンジを同封した写真である。
乙第4号証は、商標「ペタリンコ」を付した接着剤(缶入り)のみの写真である。
乙第5号証は、本件商標の平成5年4月2日に提出した「商標権存続期間更新登録願」の使用説明書に添付した商標「ペタリンコ」を付した接着剤(チューブ入り)の写真の写しでありますが、この商品も現在使用されている。
(3)請求人平成14年1月24日付けで提出した弁駁書に対する答弁
被請求人は、乙第5号証は写真が不鮮明であるうえ、更新出願時に添付のものか不明であり、その成立は認められない、また、これが使用説明書の写しであったとしても更新出願から9年以上経過しており、「継続して3年以上」からは遙か以前のものであり、更新登録の有無と使用事実との立証は関係がない旨主張するが、写真の原本は特許庁に提出したものであり控えしか提出することができないことは当然であり、商標権者は、商標権存続期間更新登録願時に添付した説明書をもとにして更新登録後を含め今日まで連綿として使用しているものであるから不使用の対象とはならない。
(1)利害関係について
現行商標法第50条第1項において、商標登録の取消し審判は、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求できる旨規定されていることから、被請求人のこの点についての主張は採用できない。
請求人は、弁駁書において「請求の趣旨を『登録第608619号商標の指定商品のうち「のり及び接着剤」についての登録を取り消す。」と訂正する旨述べるが、「請求の趣旨」の訂正は、本件審判の取消し請求に係る商品の内容を実質的に変更するものであるから、これを採用することはできない。したがって、本件審判は該訂正前の請求の趣旨に基づき審理した。
(2)本件商標の使用について
被請求人が本件商標を本件取り消しに係る指定商品に使用していることを証明するために提出している乙各号証より以下のことが認められる。
「マンホール首部接着剤 ”ペタリンコ”の使用方法」と標題のある該接着剤の使用方法についての説明書には、「1.接着面の清掃、2.接着剤の混合、3.接着剤の攪拌、4.ウレタンスポンジの含侵、5.接着準備、6.接着、7.養生、8.保管上の注意」等の記載がなされている(乙第1号証)。
商標「ペタリンコ」を付した接着剤(缶入り)の現物、接着剤含浸用のウレタンスポンジ及び前記使用説明書の写真(3葉)中の接着剤の缶に貼付されたラベルには、「HRT−133 冬用・A剤 大型 使用温度範囲 0〜14度°C(株)ハッコー」の表示がある(乙第2号証ないし乙第4号証)。
以上を総合勘案すれば、本件商標は、商標権者により「マンホール首部接着剤」について使用されていることが認められるものの、前記各書証の作成日及び写真の撮影日時等についての記載がなく、本件商標の使用時期が特定できず、他に具体的かつ客観的に商品の取引の事実を証明する証拠の提出もなされていないから、提出された証拠方法のみでは、本件商標が、商標権者により、本件取消審判の請求前3年以内に、本件取消しに係る指定商品の何れの商品についても使用されていたと認めることはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
なお、被請求人は、「本件商標は、昭和38年4月9日に登録されて後、2回にわたって更新登録がなされているのであり、使用していない商標を長期間登録維持することは考えられない。」と主張し、平成5年4月2日に提出した「商標権存続期間更新登録願」の使用説明書に使用した証拠写真の写しを添付しているが、該更新登録は本件取消審判の請求前3年以内に行われたものではなく、現在も継続して本件商標を使用していることを述べるのみあり、継続使用について何ら証拠の提出もないから、この点に関する被請求人の主張及び証拠は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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