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Trademark Appeal Case

著名商標の称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2002−90322(T2002−90322/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4544861号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4544861号商標(以下「本件商標」という。)は、「アルテイシン」の片仮名文字を標準文字で横書きしてなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成13年3月29日に登録出願、同14年2月22日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)

(1)引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第909289号商標(以下「引用A商標」という。)は、「ALDECIN」の欧文字を横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和44年2月25日に登録出願、同46年7月15日に設定登録、その後、昭和57年9月22日、平成3年11月28日及び同13年1月23日の3回に亘り存続期間の更新登録がなされ、また、指定商品については、平成14年6月12日に指定商品の書換登録があった結果、第5類「薬剤」となされているものである。同じく、登録第1346923号商標(以下「引用B商標」という。)は、「アルデシン」の片仮名文字を横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品として、昭和49年3月7日に登録出願、同53年9月29日に設定登録され、その後、昭和63年8月24日及び平成10年6月9日の2回に亘り存続期間の更新登録がなされ、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。

(2)引用商標の著名性

申立人は、我が国における子会社であるシェリング・プラウ株式会社(旧名称:エッセクス日本株式会社)を通じて、1978年以来二十有余年の永きにわたり、引用A、B商標を付したアレルギー用薬剤を国内で販売してきた(甲第3号証)。これらの販売額を立証する証拠として、シェリング・プラウ株式会社提供の引用商標を付した商品(吸入式端息・鼻過敏症治療剤)の販売額・販売量集計リスト、パンフレット類、ウェブサイト「日経テレコン21」のインターネット新聞・雑誌検索アウトプット資料一式を甲第4号証の1ないし甲第4号証の25として提出する。

当該商品の1978年から2000年迄の販売額は甲第4号証の2とおりであり、その売上総額は多額に上っている。なお、甲第4号証の3ないし甲第4号証の24のパンフレット類は約3万部発行されており、そのうち最新のものを添付した。

なお、引用各商標を付した商品は医師の処方箋を要する要指示薬であり、要指示薬を含む医療用医薬品は広告規制により一般大衆向けの広告が出来ないため、専ら所謂MR(医療情報担当者)が医師と直接面談して営業活動を行っている。

したがって、大衆薬のような新聞、雑誌等への広告はしていない。

しかしながら、甲第4号証の2の通り、引用商標を付した商品は、本件商標出願前約20年にわたり、数十億円或いは百億円単位の多額の売上を上げてきている。甲第5号証ないし甲第15号証は、引用商標を付した商品に言及するウェブぺージのうち、本件商標出願以前にアクセス可能であったことが明らかなハードコピーの一部である。

提出した証拠により、本件商標出願以前に、引用商標を付した商品は、我が国において著名となっていたことは明らかである。

(3)商標法第4条第1項第11号について

ア)称呼

本件商標より生ずる「アルテイシン」の第3音及び第4音「テイ」は、「テー」と同様に発音されるため、本件商標からは「アルテーシン」と同様の称呼が生ずるのに対して、引用A、B商標は、「アルデシン」の称呼を生ずるものである。

そして、両称呼の相違音「テイ(テー)」と「デ」は、実質上、長音を伴う清音と濁音の微差に過ぎなため、上記相違音が称呼に与える影響は無視し得る程に小さい。また、引用各商標と本件商標とは、共に何等の意味合いを有しない造語であり、引用各商標の著名性という取引実情を考慮したとき、本件商標の引用各商標との類似性は一層高まる。よって、本件商標は引用各商標と称呼において類似する。

イ)外観について

本件商標の片仮名文字部分は、引用B商標と相当程度の構成文字を共通にするから、本件商標は外観においても引用B商標と類似するものである。近年、特に薬剤につき、誤投与事故に係る医療過誤が多発して社会問題となっているのは周知の通りである。

甲第17号証は、誤投与について報じる新聞記事写しである。本件商標と引用B商標程度の微差であれば、類似する旨の判断がなされて然るべきである。

(4)商標法第4条第1項第15号について

引用各商標を付した薬剤は、20年以上の長期にわたる販売の結果、本件商標出願以前に需要者、取引者間に周知著名となっていたものである。そして、本件商標は、引用各商標と類似するから、これを付した抗アレルギー剤との関係で商品の出所の混同を生ずるおそれがある。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「アルテイシン」の片仮名文字を同書、同大、同間隔で一連に書してなるものであるから、これよりは「アルテイシン」の称呼を生ずるものといえる。

他方、引用A商標は「ALDECIN」の欧文字を、また、引用B商標は「アルデシン」の片仮名文字をそれぞれ横書きしてなるものであるから、これら引用A、B商標よりは、いずれも「アルデシン」の称呼を生ずるものというのが相当である。

そこで、本件商標より生ずる「アルテイシン」の称呼と引用各商標より生ずる「アルデシン」の称呼とを比較するに、両称呼は、「アル」「シン」の音を同じくするものの、本件商標の称呼は6音、引用各商標の称呼は5音と、その構成音数が異なるものである。

そして、本件商標の称呼「アルテイシン」の「テイ」の音は、「テー」の如く発音されるものではなく、「テ」「イ」と一音一音が明確に発音される清音であるのに対して、引用各商標の称呼「アルデシン」の「デ」は強く響く濁音であるから、両称呼は、音質を異にするばかりでなく、これら異なる差異音にアクセントがかかり明確に発音されることもあって、両称呼を一連に称呼した場合には、全体の語調、語感が異なり、これらを互いに聴き誤るおそれはないものといわなければならない。

次に、外観についてみるに、片仮名文字よりなる本件商標と欧文字よりなる引用A商標とは明らかに相違し、また、本件商標と引用B商標とは、文字数及び構成中の3番目と4番目の文字が「テイ」と「デ」と相違するものであるから、通常の注意力をもってすれば、両商標を互いに見誤るおそれはないものと認められる。

さらに、本件商標と引用各商標とはいずれも特定の観念を生じさせない造語よりなるものと認められるものであるから、この点について、両者は比較すべくもないところである。

してみれば、本件商標と引用各商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

請求人の提出にかかる各甲号証を総合勘案するに、本件商標の登録出願時、申立人の引用各商標を付した「吸入式喘息・鼻過敏症治療剤」の売上げが相当量に達し、ある程度の周知性を得ていることが認められるとしても、該薬剤は医師の指示に従って特定分野(内科、呼吸器関係)でしか使用されないため、他の分野の医療関係者、薬剤名を記載したカルテを見ることの少ない患者及び一般需要者まで、引用各商標が申立人の業務にかかるものとして広く認識されていたとまでは認め難い。

加えて、本件商標と引用各商標とは、上記のとおり、互いに区別し得る差異を有する商標と認められるものであるから、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者間に商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものと認められる。

(3)結び

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び第15号の規定に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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