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Trademark Appeal Case

Hマークの類似性・混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2002−90309(T2002−90309/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4543266号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4543266号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成13年4月12日登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同14年2月8日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)

(1)商標法第4条第1項第10号について

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、フランス国在住のファッション総合メーカーで、同時に世界的ブランドといって過言でない「エルメス/HERMES」の所有者である。

そして、申立人はその製造するスニーカーに「Hを基調とする図形商標」を使用し、この商標は、甲各号証により明らかなように、既にわが国の当業者・需要者の間に十二分に周知されているものである。

本件商標は、この申立人の「Hを基調とする図形商標」に酷似するものであるから、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人の使用する「Hを基調とする図形商標」の当業界及び「靴」を中心とするファッション関係商品の需要者層における周知・著名性の度合いに鑑みれば、これと酷似した態様よりなる本件商標がその指定商品に使用された場合には、その出所について重大な誤認・混同を惹起する蓋然性が高いと考えられる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断

(1)申立人の使用に係る商標について

登録異議の申立ての理由及び甲第2号証ないし甲第47号証(枝番を含む。)を総合すると、申立人は、フランス国のファッション総合メーカーとして世界的に著名な企業であり、また、別掲(2)の商標及び「HERMES」(「S」の前の「E」にはアクサンテ-ギューが付されている。以下同じ。)は、「エルメス」と称呼され、申立人の取扱いに係る時計、アクセサリー、バッグ、靴、被服、ネクタイ、ベルト、香水等ファッション関連の商品について使用される商標として、本件商標の登録出願前より我が国においても広く知られていること、申立人は、1998年に革製のスニーカーを製造、販売し、これら革製のスニーカーのうち、「クイック(Quick)」と称される商品には、別掲(3)のように、靴の左右側面に、縫い目状の輪郭で表したローマ文字の「H」が使用されたこと、該「H」は、仮想垂直線に対し、つま先方向に約20°傾け、つま先方向に位置する「H」の縦軸は、他方の縦軸より短くし、靴の縫い目と縫い目の間に収まるように配置されている(以下「申立人商標」という。)こと、また、申立人商標を使用した革製のスニーカーは、1999年2月ころより、我が国のファッション関連雑誌に宣伝広告したことが認められ、さらに、申立人商標を使用した革製のスニーカーの価格は、「¥84000」、「¥88000」のものが多く、中には「750000円」のものも存在することが認められる。

(2)本件商標について

平成15年1月6日付け意見書及び乙第1号証ないし乙第6号証を総合すると、商標権者は、1986年(昭和61年)に、英国のHawkins(ホーキンズ)社の取扱いに係る商品の我が国における独占販売権を取得し、1995年(平成7年)に上記Hawkings社から「Hawkins」及び「G.T.HAWKINS」の商標を買い取ったこと、1994年(平成6年)以降、「Hawkins」ブランドのうち、アウトドア用シューズ、ウォーキング用シューズ等の靴の左右側面に、ローマ文字の「H」を使用してきたことが認められる。1994年当時の使用態様は、別掲(4)のとおりであり、また、本件商標と同一の「H」のマーク(色彩を施したものがあるが、色彩を除けば本件商標と同一であると認められる。)の使用態様は、別掲(5)のとおりであって、その構成は、仮想垂直に対し、つま先方向に約50°傾け、靴の縫い目の中央に配置されていること、さらに、商標権者の取扱いに係るスニーカーの価格は、「¥8800」若しくは「¥9800」であることが認められる。

(3)取引の実情について

乙第7号証ないし乙第22号証によれば、スニーカーを取り扱う業界においては、スニーカーに商標を表示する場合、舌革、中敷き、靴底あるいは踵部の表面に、取扱いに係る事業者の代表的な商標若しくは事業者の商号の略称などを表示し、靴の左右側面には取扱いに係る事業者の名称をアルファベット表記した場合の頭文字、あるいは事業者の代表的な商標の頭文字、事業者のロゴマークなどを表示する場合が多いとことが認められる。加えて、靴の左右側面に「H」のマークを表示したスニーカー等を取り扱う業者は、申立人及び商標権者以外にも存在することが認められる。

(4)出所の混同について

前記(1)ないし(3)で認定した事実をもとに、本件商標をその指定商品について使用した場合、申立人の取扱いに係る商品との間に、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるか否かについて検討する。

前記(1)で認定したとおり、申立人は、その取扱いに係るファッション関連の商品について、別掲(2)の商標及び「HERMES」の商標を使用し、これら商標は、本件商標の登録出願前より、我が国のファッション分野において著名性を獲得していたと認められるところであるが、一方で、申立人が申立人商標を使用したスニーカーの製造、販売を開始したのは1998年であり、我が国において宣伝広告をしたのは1999年2月ころからであること、「H」のように、アルファベット1字よりなる表示そのものは、格別顕著な独創性を有するものではなく、強い識別機能を発揮するものとは認められないこと、「H」を頭文字とする企業の名称等は、スニーカー等靴を取り扱う事業者だけをみても決して少なくないことなどを総合すると、申立人商標に接する取引者、需要者は、これより直ちに申立人の取扱に係る商品であると認識するものとは認めることはできない。

確かに、申立人は、本件商標の登録出願前より、その取扱いに係る時計、バッグ、靴、ベルト等について、アルファベットの「H」をデザインした留め金等を使用していたと認め得るところであるが、上記商品に使用される「H」マークは、スニーカーに使用される申立人商標とその構成において著しく異なるものであること、及び時計、バッグ、靴、ベルト等について使用される「H」マークとスニーカーについて使用される申立人商標とはその使用期間が大きく相違することを考えると、時計、バッグ、靴、ベルト等について使用される「H」マークからは、その取引者、需要者が申立人の取扱いに係る商品であると認識することはあり得るとしても、前記したように、スニーカーに使用される申立人商標から、直ちに申立人の取扱いに係る商品であると理解することは少ないというのが相当であって、むしろ、靴の踵部表面に表示された「HERMES」の文字より、申立人商標は、「HERMES」の頭文字を表したと認識するにとどまるものと認められるから、申立人商標のみをもって、直ちに申立人に係る商品であると認識するとまで著名性を獲得していたものとみることはできない。

また、前記認定のとおり、申立人商標を使用したスニーカーの価格は、極めて高額で、およそスポーツ向きの運動靴といった概念を払拭させる商品であるのに対し、本件商標が使用されるスニーカーは、いわゆるスニーカーとしての一般的な価格であり、一般の消費者が買い求める商品であるということができるから、自ずとその需要者層が異なるものといえる。加えて、本件商標と申立人商標の実際の使用態様においても「H」マークの配置等が異なり、その需要者に異なった印象を与えるものといえる。

したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、申立人の取扱いに係る商品との間に、商品の出所について混同を生じさせるおそれは極めて低いものといわざるを得ない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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