Trademark Appeal Case
図形商標の類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2002−90282(T2002−90282/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4540193号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成12年10月11日に登録出願、第3類、第14類、第16類、第18類、第24類、第25類、第26類、第29類、第30類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成14年2月1日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、その指定商品中第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品については、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用に係る、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、平成7年6月30日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年8月15日に設定登録された登録第4043513号商標(以下「引用商標」という。)と「マーメード(人魚)」の観念において同一であり、引用商標の指定商品を含むものである。また、引用商標は、1920年より米国で使用されてきた商標であり、米国での有名商標の一つとなっているものであるから、本件商標は、取引者、需要者が商品の出所について誤認、混同するおそれがあり、引用商標の信用をフリーライドしようとするものにほかならず、不正の目的によって登録出願されたものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)本件商標は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなるものであって、左右に2本の横線を有する横長の楕円形様図形内に、全体が正面を向き、髪の毛を垂れ流し風にし、顔をごく自然な表情に描き、鏡を持った右手をやや上に挙げ、櫛を持った左手を下げており、腰の部分に飾りをまとった女性の上半身部(頭部の一部が楕円形様図形からはみ出ている。)、及び、尾の部分にかけて一回転させ上を向いた黒色の尾の先端部分を略3つに分けられたものとなっており、その尾の部分以外を白色で描いた魚の下半身部よりなるマーメード(人魚)をモチーフとした図形(以下、本件商標のマーメード(人魚)をモチーフとした図形部分を「本件マーメード図形」という。)よりなるものであって、その構成よりすると、「本件マーメード図形」の部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認められるものである。
これに対し、引用商標は、身体全体をやや右方向に向き、顔を独特の個性的な表情に描き、髪型を比較的大きく丸形に結い、右手にステッキを持ち、その右手及び左手を前上方にやや挙げた女性の上半身部、及び、尾の先端部分が二つに分かれ白色となっており、胴から尾の部分にかけて白抜きの斑点を有する黒色の魚の下半身部よりなるマーメード(人魚)をモチーフとした図形よりなるものである。
本件マーメード図形及び引用商標の図形における上記特徴よりすると、両図形は、マーメード(人魚)をモチーフとしたものであるとしても、その頭部、手、胴部等の上半身部及び尾部の下半身部に明らかな差異を有していることから、その差異による印象が全く異なり、これらの商標を時と所を異にして離隔的に観察したとしても、両者を彼此見誤るおそれはないものとみるのが相当であって、本件商標は、引用商標と外観において類似するものということはできない。
次に、称呼、観念についてみると、両図形は、マーメード(人魚)をモチーフとするものであるとしても、それぞれ極めて個性的な特徴をもって描かれていることから、取引者・需要者をして、これらにおけるその個性化された特徴ある具体的な構成からなる点に強い印象を受けるものといえる。しかも、マーメード(人魚)が想像上のものであり、自然界に存在する動物のように見る者に特定の姿態で認識されるものでない点を勘案すると、上記構成上の特徴はさらに鮮明に印象付けられるといえるから、本件マーメード図形及び引用商標は、それぞれ前記した個性的な個別具体的な特徴を有するマーメード(人魚)の図形よりなるものと認識されるものであって、単なる「マーメード(人魚)」という抽象的、概念的な観念をもって認識されるものではないとみるのが相当である。
そうとすれば、本件商標及び引用商標は、「マーメード(人魚)」の称呼、観念等特定の称呼、観念は生じないものと認められる。
したがって、本件商標は、引用商標と外観、称呼、観念のいずれにおいても類似する商標ということはできない。
(2)申立人は、例えば、全米において、最も有名な水産加工物の会社として知られており、また、その製品に使用された引用商標は米国で最も有名な商標としてロースクールの教材ともなっている(甲第4号証)、甲第7号証(2002年8月1日付デトロイトニューズ)の記事には、申立人が毎年3億ドル以上の売上があり、マグロの缶詰については全米市場の17.5パーセントのシェアを持っていると記載されている旨述べる。
しかしながら、登録異議申立書の証拠方法欄の記載によれば、甲第4号証は「異議申立人の沿革を説明した文献の抽出物」であるが、これがいかなる文献であるのか何ら示されていない。また、マグロの缶詰についての全米市場におけるシェアに関しては、甲第7号証の「デトロイトニューズ」の発行年の前年である2001年の事情を記述したものであると推測し得るとしても、申立人の提出に係る証拠には、本件商標の登録出願の時におけるマグロの缶詰等の商品におけるシェア、米国における商品の取引の実情、広告宣伝の実情を示すものはなく、また、わが国における取引の実績、広告宣伝の実情を示すものもない。
したがって、引用商標は、わが国においてはもとより、米国を含むいずれの国においても、本件商標の登録出願の時に、申立人の加工水産物等を表す商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
しかも、前記認定のとおり、本件商標は、引用商標と類似するものとはいえないものであり、その他商品の出所について混同を生じさせるおそれのある理由も見出し得ない別異の商標と認めざるを得ないことから、本件商標をその指定商品中、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品に使用した場合であっても、これに接した取引者、需要者がこれから直ちに引用商標を連想、想起するものと判断することができない。
してみれば、本件商標は、申立人又は申立人と何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものということはできない。
(3)また、上記事情にあっては、本件商標は、不正の目的をもって使用するものということもできない。
(4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものと認めることはできないので、本件商標を同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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