Trademark Appeal Case
i-接頭辞の造語性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2001−90825(T2001−90825/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4495401号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第9類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品又は役務を指定商品又は指定役務として、平成12年4月8日に登録出願、同13年8月3日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立て理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立て理由の要旨を次のとおり主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
本件商標は、登録第3129398号商標と類似し、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号により、その指定商品中第9類「電池、写真機械器具、映画機械器具、光学機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品、電気アイロン、電気式ヘアカ―ラ―、電気掃除機、電気ブザ―」についの登録を取り消すべきものである。
3 取消理由の通知
当審は、商標権者に対し、平成14年5月30日付けで商標登録の取消しの理由を通知した(通知書発送日同年6月11日)。
当審が取消理由として引用した登録第3129398号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第9類「電池、写真機械器具、映画機械器具、光学機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品、電気アイロン、電気式ヘアカ―ラ―、電気掃除機、電気ブザ―」を指定商品として、平成5年2月17日に登録出願、同8年3月29日に設定登録されたものである。
4 商標権者の意見
商標権者は、前記取消理由に対し、意見の要旨を次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本登録商標は、「i‐Concierge/アイコンシェルジェ」と英文字とカナ文字とを、2段書きしてなる態様である。
英文字は、「iと「Concierge」とをハイフンで結んだ態様である。元来ハイフンは、前後の文字を結合する為に使用する文字であり、『大辞林』(三省堂発行)「英文字などで、2語を連結して一語相当の語としたり、一語が二行にまたがって書かれたりするときに用いる符号」(初版。1918頁)とあるので、結合して一文字の意味を成す語である。ハイフンで結ばれた語は結合が強いので、分離する必然がなければ、当然に一連で認識されるものである。カナ文字は同じ書体・同じ大きさ・同じ間隔で、一連で表記されているので、これを「アイ」と「コンシェルジェ」とに分ける必然性もない。
また、本登録商標は、文頭に「アイコン」の語を含んでいる。
「アイコン(コンピュータの持つ機能を分かり易くシンボル化した図形)」の語は、第9類に関連するコンピュータの分野では、極めて著名な単語であり、「アイコンシェルジェ」の「アイ」と「コン」は極めて強く結びついて認識される。従って、「アイ」と「コンシェルジェ」を分離して認識する必然は、全くない。
申立人は、「Concierge(コンシェルジェ)」が、管理人の意味から転じてホテルのサービス係・案内係を指称する語として、一般化していると主張しているが、ホテル業界で一般的になっている語であっても、第9類に属する業界で、一般的になっている事実はない。
たとえ、第9類に属する業界で、「Concierge(コンシェルジェ)」が、管理人として、一般的になっているとしても、第9類に属する業界で、「i」は、「internet(インターネット)」「intelligence(知識・情報)」「information(情報)」などの略語として用いられる場合があるので、「i‐Concierge」は、一般的な意味ではなく、インターネットの案内人、情報の案内人、知識の案内人等の意味合いを表し、「Concierge(コンシェルジェ)」一般とは別異の観念を生じる。上記の「i−○○○」やサッカーのJリーグが登場以降、英文字1文字と結合して、別異の新たな造語を生み出す手法は、多々見られ、 新たな造語として登録になった例が多数存在する(乙第1号証〜乙第11号証)。
したがって、本件登録商標からは、「アイコンシェルジェ」の称呼のみ生ずるものである。
(2)一方、引用商標は、「コンシェルジェ/CONCIERGE」の態様であり、「コンシェルジェ」の称呼のみ生ずるものである。
(3)また、本件登録商標は造語であり、引用商標とは、互いに観念が相違することは明らかである。さらに、本件登録商標 「i‐Concierge/アイコンシェルジェ」と引用商標「コンシェルジェ/CONCIERGE」とは、明らかに外観が異なり、互いに非類似である。
(4)よって、本件登録商標と引用商標とは、外観・称呼・観念のいずれをとっても、全体として非類似の商標と判断する。
3 当審の判断
本件商標は、別掲(1)のとおり「i−Concierge」の綴りを認識させる欧文字と「アイコンシェルジェ」の片仮名文字を二段に横書きしてなるところ、欧文字部分が全体として特定の語義を有する語ではなく、「i」と「Concierge」との間にハイフンを介在させ、「Concierge」の冒頭の文字「C」のみが大文字で表され、その他の文字が小文字で表されているため、外観上「i」と「Concierge」とに分離して認識される構成であることに加え、構成中の「Concierge」「コンシェルジェ」の文字部分が、「門番、管理人」などの意味を有するフランス語とその読みを表すものであるが、近時、我が国においては前記意味のほか「ホテルなどに配置されるサービス係、案内係」の意味を有する外来語「コンシェルジェ」としても一般に使用され、理解されてきていること(申立人提出の甲第5号証)、欧文字部分が片仮名文字部分に対して大きな文字で顕著に表されていること、及び片仮名文字部分が、欧文字部分の自然な称呼と一致するので、欧文字部分の読みを表すものであることが認められる。そして、結論掲記の商品を取り扱う業界においては任意の欧文字一文字を商品の記号、符合などとして一般に使用されているところであるから、本件商標構成中の「i」の文字部分は商品の記号、符合の一類型を表すと理解されるものである。
以上のことからすれば、本件商標は、構成中の「Concierge」「コンシェルジェ」の文字部分が、他の構成部分より独立して商品の出所識別機能を果たす場合も決して少なくないと解され、「コンシェルジェ」の称呼、観念を生ずるというのが相当である。
商標権者は、「i−Concierge」の文字部分が「インターネットの案内人、情報の案内人、知識の案内人」などの意味合いを表す旨主張するが、その主張事実については全く証拠がない。
引用商標は、「コンシェルジェ」の称呼、観念を生ずるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、いずれも特異性が認められない文字商標からなるものであって、その外観上の差異が類否判断の結論に影響を及ぼすほどのものではなく、「コンシェルジェ」の称呼、観念を共通にするものであるから、類似の商標といわざるを得ない。また、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品とは同一又は類似するものである。
なお、商標権者は、「i−○○○」と「○○○」とが非類似の商標とされて登録されている例がある(乙第1号証ないし乙第11号証(枝番号を含む。))旨主張するが、請求人の引用する各登録例は本件と事案を異にするものであり、本件商標と引用商標とが類似することは上述したとおりであるから、この点に関する請求人の主張は採用の限りでない。
したがって、本件商標の登録は、指定商品中「結論掲記の商品」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたと認められるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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