Trademark Appeal Case
材料略称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2001−90274(T2001−90274/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4447004号商標(以下「本件商標」という。)は、平成12年4月28日に登録出願、「PBT」の文字(「標準文字」による)を書してなり、第17類「プラスチック基礎製品,筆又ははけ用の化学繊維,その他の化学繊維(織物用のものを除く。),筆又ははけ用の化学繊維糸,その他の化学繊維糸(織物用のものを除く。)」、第21類「おけ用ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,洋服ブラシ,靴ブラシ」を指定商品として、同13年1月19日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由1ないし4
本件商標は、ポリブチレンテレフタレート(Poly Butylene Terephthalate)の略称として一般に認識されている「PBT」の文字を普通に用いられる方法で表示するものであるから、これを本件商標の指定商品に使用しても商品の普通名称又は商品の品質・原材料を表示するに過ぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ない。また、該商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号、同第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に該当する。
3 本件商標に対する取消理由
当審において、本件商標の登録は取り消すべきものと認められるとして、通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
登録異議申立人(東レ株式会社、帝人株式会社、ユニチカ株式会社及びカネボウ株式会社・以下「申立人」という。)の提出に係る甲号各証によれば、数多くの辞典類、書籍において、「PBT」は、熱可塑性ポリエステルの一つである「ポリブチレンテレフタレート(Poly Butylene Terephthalate)」の略語を表すものであることが掲載されているばかりでなく、各社の商品カタログにおいても、「テイジンPBT樹脂」、「東レPBT樹脂」、「P.B.T.せんい」のごとく樹脂や繊維の表示として普通に使用されており、また、ブラシの材料の説明中にも「ポリブチレンテレフタレート(PBT)」の語が用いられている事実を認めることができる。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品中の「PBT樹脂を用いたプラスチック基礎製品,化学繊維,化学繊維糸,ブラシ,はけ」について使用しても、これに接する取引者・需要者をして、単に商品の原材料、品質を表したものと理解・認識させるにすぎないものであり、また、上記商品以外の指定商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
(1)本件取消理由通知書に基づき、本意見書と同日付けで指定商品を、第17類「筆又ははけ用の化学繊維,筆又ははけ用の化学繊維糸」、第21類「おけ用ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,洋服ブラシ,靴ブラシ」に一部補正する手続補正書を提出した。
しかして、申立人提出に係る甲各号証の専門的な辞典類や書籍では、本件商標を構成する「PBT」の文字を、「ポリブチレンテレフタレート(Poly Butylene Terephthalate)」の略語であると解説している。
しかしながら、広辞苑(乙第1号証)又は日本語大辞典(乙第2号証)等の通常の辞書においては、「PBT」の文字は掲載されていない。
すなわち、「PBT」の文字は、通常の需要者・取引者からみると、意味のない語であり、そのため、上記した補正後の指定商品において、通常の需要者・取引者が「PBT」の文字より直ちにその指定商品が「ポリブチレンテレフタレート製」であることを認識することはないと考える。
したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものではない。
(2)また、第17類「プラスチック棒,プラスチックブロック,プラスチック管,プラスチックフィルム,プラスチック箔,その他のプラスチック基礎製品」を指定商品とする登録第4241271号商標(乙第3号証)は、「PEEK」の文字よりなるところ、乙第4号証によれば、「PEEK」の文字は「ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketon)」の略語として掲載されている。
これは、プラスチックの略号であっても、専門家のみが知っているようなものであれば、たとえ指定商品が「プラスチック基礎製品」であっても、自他商品識別力があると判断されたものと解される。
さらに、商標審査基準の商標法第3条第1項第3号の項によれば、「指定商品の品質・効能・用途等を間接的に表示する商標は、本号の規定に該当しないものとする。」と記載されている。
してみれば、本件商標も、上記審査基準でいう「指定商品の品質等を間接的に表示する商標」に該当するものと確信する。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当しないものである。
5 当審の判断
本件商標は、「PBT」の文字を標準文字で書してなるものである。
しかして、申立人の提出に係る甲各号証によれば、「PBT」の語は、熱可塑性ポリエステルの一つである「ポリブチレンテレフタレート(Poly Butylene Terephthalate)」の略語を表すものとして普通に使用されている事実を認め得るものである。
商標権者は、意見書提出と同時に指定商品の一部を補正する手続補正書を提出したが、該手続補正書は平成14年1月29日付けで却下された。
また、商標権者は、意見書において「本件商標は補正後の指定商品との関係において自他商品識別力を有する。」旨主張しているが、指定商品の一部を補正する手続補正書が却下されたこと上記のとおりであるから、この手続補正書を根拠とする商標権者の主張は理由がないものといわざるを得ない。
さらに、商標権者は、「本件商標は、商標審査基準の商標法第3条第1項第3号の項にいうところの、『指定商品の品質等を間接的に表示する商標は、本号の規定に該当しないものとする。』に該当する商標である。」旨主張しているが、申立人の提出に係る甲各号証を詳細に検討すれば、本件商標は「指定商品の品質等を間接的に表示する商標」とは到底いえないものであるから、この点に関する商標権者の主張は採用できない。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品中の「PBT樹脂を用いたプラスチック基礎製品,化学繊維,化学繊維糸,ブラシ,はけ」について使用しても、これに接する取引者・需要者をして、単に商品の原材料、品質を表したものと理解・認識させるにすぎないものであり、また、上記商品以外の指定商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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