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Trademark Appeal Case

更新登録の虚偽証明

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35219(T2000−35219/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第740871号商標権の平成9年4月25日に登録された存続期間の更新登録を無効とする。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第740871号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和40年2月1日に登録出願され、「ボウグ」の文字を横書きしてなり、第23類「時計、眼鏡、これらの部品及び附属品」を指定商品として、同42年4月28日に設定登録されたものである。

その後、指定商品については、商標登録の取消の審判により、その指定商品中「時計、その部品及び附属品」について取り消すべき旨の審決がされ、その確定審決の登録が昭和62年7月23日になされている。

そして、本件商標に係る商標権存続期間の1回目の更新登録が昭和52年11月8日に、同2回目の更新登録が同62年5月20日にされ、そして、同3回目の更新登録(以下「本件更新登録」という。)が平成8年12月6日にされた商標権存続期間更新登録出願(平成8年商標権存続期間更新登録願第737561号、以下「本件更新登録出願」という。)に基づき、同9年4月25日になされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第4号証(枝番を含む。)及び証人尋問申出書(1)及び同(2)を提出した。

(1)本件商標は、平成8年12月6日付けの3回目の商標権存続期間更新登録出願に基づき、同9年2月5日付更新登録査定を経て、同年4月25日に更新登録されたものである。

しかるに、本件更新登録は、平成8年法律第68号による改正前の商標法(以下「旧商標法」という。)第19条第2項ただし書の規定に違反して登録されたものである。

本件更新登録出願の願書(甲第2号証の1)に添付されている「登録商標の使用説明書」によると、使用しているとされる「眼鏡枠」の「撮影年月日」は、平成8年11月25日であり、「撮影者」は、更新登録出願人会社内の「田辺信二」となっている。

ところが、これより約10年前の昭和61年11月13日付けで本件商標権者により提出された商標権存続期間更新登録願(甲第4号証の1)に添付されていた「登録商標の使用説明書」によると、使用しているとされる「眼鏡枠」の撮影年月日は、昭和61年11月8日、撮影者は、同会社内の「秋澤央二」となっている。

請求人が本件更新登録の無効を主張する理由は、本件更新登録出願に貼着された「眼鏡枠」の写真が、これより約10年前の商標権存続期間更新登録願に添付されていた登録商標の使用説明書に貼着されていた「眼鏡枠」の写真と完全に同一であり、10年前の写真そのものであるという事実である。

ということは、少なくとも、この3回目の更新登録出願については、その「登録商標の使用説明書」によって、登録商標の真正なる使用をしていなかった事実を出願人自らの手で明らかにしたこととなる。

したがって、このような登録商標を使用していないにも拘らず、あたかも使用していたかのような不実の或いは虚偽の写真に基づき更新登録を受けたことは客観的に見て明らかであり、商標法第79条〔詐欺の行為の罪〕にも該当するものであって、本件更新登録は、旧商標法第19条第2項ただし書に違反するものであるから、無効とされるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

請求人が指摘したのは、10年前の同一ネガフィルムを用いて行った更新登録出願は、登録商標の真正な使用行為ではない以上、虚偽の証明であり、「使用証明」にはならず、したがって、使用行為が行われていなかった以上更新は無効とされるべきである、と主張しているのである。

問題となっている甲第2号証の2の「眼鏡枠」の写真と、甲第4号証の2の「眼鏡枠」の写真とが完全同一であることをより正確に立証するため、請求人は、特許庁に保管されている「商標権存続期間更新登録願」に添付した「登録商標の使用説明書」に貼着されている「写真」を専門家に撮影してもらい、上記「登録商標の使用説明書」と同一大の写真をそれぞれ「甲第2号証の3」及び「甲第4号証の3」として提出すると共に、更にこれらを「甲第2号証の2」及び「甲第4号証の2」と略同じ寸法に拡大したものを、それぞれ「甲第2号証の4」及び「甲第4号証の4」として提出する。これによって、請求人主張の真実がより明らかにされるものと信じる。

商標法で定めるいわゆる「使用証明」とは、仮に、甲第4号証の2(或いは甲第4号証の4)の「眼鏡枠」と同一のものが、3回目の更新時において真実に使用されていたのならば、その真実に使用されていた「眼鏡枠」を撮影して提出すべき性質のものである。そうであるならば、寸分も違わない「眼鏡枠」を撮影することは、物理的に不可能であることは、誰にも解ることである。被請求人は、その点についての真実の明言は全く避けているばかりか、それ以外に実際の使用に供された証拠についても何も提出していないのである。

なお、これらの写真撮影者2名「田辺信二、秋澤央二」に対し、それぞれ別紙内容の「証人尋問申出書」を提出する。これらによって、10年前のネガフィルムを使用したか否かの事実につき真実が明らかにされるものと確信する。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べている。

請求人は、本件商標が使用されていたにもかかわらず、使用されていなかったと主張し、その証拠資料を何ら提出することなく、平成8年12月6日付けの商標権存続期間更新登録出願についてなされた更新登録は本件商標が使用されていないにもかかわらず行われたものであると詭弁を弄しているに過ぎない。

昭和61年11月13日付けの商標権存続期間更新登録願に添付された資料における「眼鏡枠」と平成8年12月6日付けの商標権存続期間更新登録願に添付された資料における「眼鏡枠」とが同じであるから、本件商標が使用されていなかったとの請求人の強弁、即ち、「同一形態で長く使用されている資料は、使用されていないことを証明している」といった論理は、到底受け入れられない。

本件商標は、使用されていたが故に、平成8年12月6日付けの商標権存続期間更新登録出願においても、更新登録されたものである。

4 当審の判断

本件更新登録は、平成8年12月6日にされた商標権存続期間更新登録出願に基づき、同9年2月5日付更新登録査定を経て、同年4月25日になさたものである。したがって、平成8年法律第68号抄 附則第7条及び第9条の規定に基づき、本件更新登録については、旧商標法(平成8年法律第68号による改正以前の商標法)第48条及び第49条の規定がなおその効力を有しているものである。

そこで、本件更新登録が旧商標法第48条第1項第1号に該当するか否かについて判断する。

ところで、更新登録における登録商標の使用についての無効審判が請求された場合、旧商標法第48条第1項(第1号)によると、当該登録商標の使用を更新登録の出願前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがいずれの指定商品についてもされていないとき(ただし、その登録商標の使用をしないことについて正当な理由があるときは適用されない。)は、その更新登録を無効にしなければならないとされており(旧商標法第19条第2項ただし書第2号)、また、その登録商標の使用に関する判断は、当該更新登録出願と同時に提出された登録商標の使用事実を示す書類(登録商標の使用説明書)によるものと解される(同第21条第1項第2号)。

しかして、本件更新登録出願における商標権存続期間更新登録願に添付されている登録商標の使用説明書(甲第2号証の1)によれば、商標の使用に係る商品名は「眼鏡枠」であり、商標の使用の事実を示す書類として提出されたのは「写真」である。そして、眼鏡枠の写真の撮影年月日は、平成8年11月25日であり、その撮影者は、更新登録出願人会社内の「田辺信二」となっている。

本件更新登録出願は、これをそれ自体、単独でみれば、登録商標の使用説明書には、本件商標の指定商品に含まれている「眼鏡枠」に本件商標が使用されている状態の「写真」が貼付されており、商標の使用場所は「更新登録出願人会社の住所地」、使用時期は「現在使用中」と記載され、写真の撮影年月日も平成8年11月25日となっていることから、本件更新登録出願について拒絶をすべき理由はないものと判断され、更新登録すべき旨の査定がされ更新登録されたものということができる。

他方、これより約10年前の2回目の商標権の存続期間の更新登録の際に提出された商標権存続期間更新登録願に添付されている登録商標の使用説明書(甲第4号証の1)によれば、商標の使用に係る商品名は「眼鏡枠」であり、商標の使用の事実を示す書類として提出されたのは、同じく「写真」である。そして、その写真の撮影年月日は昭和61年11月8日、撮影者は同会社内の「秋澤央二」となっている

そこで、本件更新登録出願と2回目の更新登録出願において、商標の使用の事実を示す書類として提出された「眼鏡枠」の写真を比較してみるに、請求人の提出に係る甲第2号証の2と甲第4号証の2(いずれも眼鏡枠の拡大コピー)及びこれらをより明瞭にするために、弁駁書において提出された甲第2号証の3、4と甲第4号証の3、4(いずれも眼鏡枠の写真の複製写真及びその拡大写真)によれば、眼鏡枠を折り畳んだ状態、「ボウグ アイリス」と表示されている名札の置かれた位置及びブリッジに結びつけられた糸の状態、照射されている光による眼鏡枠各部の光った部分及び眼鏡枠等の陰の部分の形状、そして、眼鏡枠が置かれている線模様の敷物の線と眼鏡枠の位置関係のいずれもが、ネガフィルムの焼付けによる若干の濃淡の差があることを別にすれば、それぞれ完全に一致していることを認めることができる。

しかして、2回目の更新登録における写真の撮影年月日は昭和61年11月8日であり、その撮影者は「秋澤央二」であるのに対して、本件更新登録における写真の撮影年月日は平成8年11月25日であり、その撮影者は「田辺信二」となっているところ、時と撮影者を異にして、微細な点に至るまで完全に一致させて対象物を撮影するということは、通常、物理的に困難なことというべきである。

そうとすれば、本件更新登録出願における使用説明書に貼付されている写真は、2回目の更新登録出願における使用説明書に貼付されていた写真のネガフィルムを使用して作成されたものと推認され、商標の使用の事実を示す写真は平成8年11月25日に同説明書に記載されている者によって撮影されたものということはできない。

そして、被請求人は、この点を主張する請求人の弁駁に対して何ら答弁していない。また、請求人は、本件更新登録出願の際に、真実、当該眼鏡枠と同一のものに使用されていたならば、それについての真実についての明言がないばかりか、写真以外の証拠の提出もない旨の主張に対し、被請求人は取引書類等使用の事実があったことを補強する何ら具体的な主張も証拠の提出もしていない。

上記において認定された事実からすれば、本件更新登録出願は、その更新登録出願と同時に提出された商標の使用の事実を示す書類(写真)によっては、指定商品中「眼鏡枠」について本件商標の使用がされていたということはできない。

してみれば、当該商標の使用を更新登録の出願前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがいずれの指定商品についても本件商標の使用がされていなかったにもかかわらず、本件更新登録がされたものといわなければならない。

なお、請求人は、証人尋問申出書を提出しているが、その尋問事項について証人尋問を行うまでもなく、上記のとおり判断し得るところであるから、証人尋問は行わないこととした。

したがって、本件更新登録は、旧商標法第19条第2項ただし書第2号の要件に違反してされたものであるから、同法第48条第1項の規定により、無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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