結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35041(T2002−35041/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4457803号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示したとおりの構成よりなり、平成10年12月16日に登録出願、第37類「建築一式工事」を指定役務として、平成13年3月9日に商標権の設定登録されたものである。
請求人は、本件商標を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、「英国住宅」という意味合いを表す英語の「ENGLAND HOUSE」とその称呼「イングランドハウス」を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これを建築一式工事の役務に使用するときは、あたかも英国様の住宅を建築する役務が提供されるかのように誤認を生ぜしめるものであって、役務の質について誤認を生じさせるおそれがある。
すなわち、本件商標の構成要素中、「ENGLAND」、「イングランド」の部分が国名としての「英国」、「イギリス」を意味することは顕著な事実である。また、「HOUSE」、「ハウス」の部分が建物、住宅を意味するものとして普通に用いられていることも顕著な事実である。
そうすると、本件商標は「英国住宅」の意味を有することになり、英国様の住宅、英国風の住宅を想起させる。一方、本件商標の指定役務は、「建築一式工事」であり、この指定役務は、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事であるから、本件商標は、恰も役務の提供者が英国様の住宅の建築物を建築する役務を提供するものであると認識されると認められる。
したがって、本件商標は、英国様の住宅以外の建築物を建築する役務の提供に用いられる場合には、役務の質(内容)について誤認を生ぜしめるものである。
以上の次第で、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当し、同法第46条第1項第1号によって、その登録を無効とされるべきである。
(2)弁駁の理由
(ア)被請求人は、本件審判請求が本件商標の登録手続における不服審判で審理済みの内容を蒸し返すものにすぎないと主張する。
しかしながら、本件商標と同一の称呼を生じる商標「ENGLAND HOUSE/イングランドハウス」について、本件商標出願前の平成10年商標登録願第41807号について、「『英国様式(又は英国風)の家(住宅)』といった意味合い把握するに止まり、自他役務識別標識としての機能を有するものとは認識しないものと見るのが相当である。」として拒絶査定がされている(甲第1号証及び甲第2号証)。
さらに、本件商標が審決で登録された後の出願である2001年商標登録願第37372号についても、「英国(風)のデザインあるいは英国(風)の住宅を造る(輸入)材料を使って造られた住宅を認識させるにとどまるものであるから、自他役務識別標識としての機能を有するものとは認識しないものと認められる。」旨の拒絶理由通知がなされている(甲第3号証及び甲第4号証)。
もとより、これらの各出願は第36類を指定役務とするものであるが、商標を構成する文字は本件商標と同じである。
そうすると、本件商標は「英国様の住宅」或いは上記拒絶理由通知書でいう「英国(風)のデザインあるいは英国(風)の住宅を造る(輸入)材料を使って造られた住宅」を認識させるにとどまるものであるから、自他役務識別標識としての機能を有するものとはいえないとする本件審判請求は何ら既に決着が付いたことを蒸し返すものでもない。
(イ)被請求人は、公告例、登録例を挙げて本件商標は「英国様の住宅」を想起させるものではないと主張している。
しかしながら、被請求人が挙げている例の多くは、いずれも、被請求人が特定の地名と結び付けて主張しているにすぎないものであり、そのような地名から「英国様の住宅」と同様な観念が想起されるようなものではない。このことは、例えば「長野ニューホーム」から「長野様の住宅」というような観念を生じないことからも、被請求人の主張は失当である。ただし、「Sweden House/スウェーデンハウス」が、上記の拒絶理由通知書(甲第4号証)で「スウェーデン風の住宅」として引用されているものであることについては認める。
なお、被請求人は取引実態から誤認することはあり得ないと主張するが、商標が登録要件を充足するか否かは客観的に判断されるべきであって、取引実態は判断の基準とするのは相当でない。
(ウ)被請求人は、「ENGLAND」が「英国」、「イギリス」を意味すると認識することは誤っていると主張している。
しかしながら、本件商標を構成する「ENGLAND」が「英国」を想起させるものであることは、金沢地方裁判所において認定されているところである(甲第5号証)。
(エ)被請求人は、「英国様の住宅」を想起させることがあるとしても、「英国様の住宅」なるものの具体的内容が明らかではなく、「英国様の住宅」の建築物を建築する役務の内容がいかなる質(内容)のものであるかが明らかでない以上、本件商標は、役務の内容の特質を表すものと認識されるものではない、と主張している。
しかしながら、「英国様の住宅」という観念を生じることを認めるのであれば、まさに本件指定役務の質(内容)は英国様の住宅を建築する工事一式であるということになり、役務の質(内容)は明らかであり、取引社会においては、当該商標を付した業者は「英国様の住宅」を建築する役務を提供するものと認識するのであるから、例えば、アメリカ風の住宅が建築されるのであれば、役務の質(内容)について誤認することになる。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)請求人の主張は、本件商標が「英国様の住宅」、「英国風の住宅」を想起させることをいうだけであって、本件商標を一瞥した印象のみに基づいて「英国様の住宅」などを想起したり、そのような住宅を建築する役務の提供を期待したりして役務の質を誤認する需要者は、現実に存在しないというべきである。
なお、本件商標と同様に、地名又は地域名と、住宅、家、建物等を意味する「ハウス」、「ホーム」、「家」などの語とを組み合わせてなり、本件商標と同一の「建築一式工事」を指定役務として含む商標は、多数の公告例、登録例が存在する。
(2)請求人は、本件商標の「ENGLAND」、「イングランド」の部分が国名としての「英国」、「イギリス」を意味することは顕著な事実であるというが、そもそも、英単語「England」は、地域としてのイングランド、すなわち、Great Britain島からScotland、Walesを除いた地域名を表す(乙第6号証及び乙第7号証)。なお、「イングランド」の語は、日本語としても、前記のとおりの地域名として十分一般に定着している(乙第8号証ないし乙第10号証)。
よって、本件商標の「ENGLAND」、「イングランド」は、国名としての「英国」、「イギリス」を意味するものとはいい得ない。したがって、本件商標は、「英国住宅」の意味を有するものではなく、「英国様の住宅」、「英国風の住宅」を想起させるものでもない。
(3)仮に、請求人が主張するように、本件商標が「英国様の住宅」を想起させることがあるとしても、「英国様の住宅」なるものの具体的な内容が一向に明らかではない。すなわち、「英国様の住宅」の建築物を建築する役務の内容がいかなる質(内容)のものであるかが明らかでない以上、本件商標は、役務の内容の特質を表すものと認識されるものでなく、役務の質(内容)について誤認を生じさせるものでないことが明らかである(乙第12号証の1及び2)。
(4)以上ように、本件商標は、その指定役務「建築一式工事」との関係上、役務の特質を表すものと認識されるものでなく、役務の質(内容)について誤認を生ぜしめるものでないことが明らかであり、かかる本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
本件商標は、別掲に示すとおり「ENGLAND HOUSE」と「イングランドハウス」の両文字よりなるものであるところ、「ENGLAND」及び「イングランド」の語は、地域としてのイングランド、すなわちGreat Britain島からScotland、Walesを除いた地域名を表す(乙第6号証ないし乙第10号証)とともに、わが国においては、英国を表すものとしても一般に理解されているといえる語である(乙第7号証ないし乙第10号証)。また、「HOUSE」及び「ハウス」の語は、「建物、家」を意味する語として日常一般に使用されていることからすると、本件商標に接した取引者、需要者は、これより「英国の建物」程度の意味合いを感取するといえる。
しかしながら、たとい、本件商標より「英国の建物」或いは「英国様の建物、英国風の建物」などの抽象的な意味合いを感取する場合があるとしても、本件商標のかかる一連の構成各文字及びこれらの意味合いをもっては、直ちに、如何なる特徴の建物(家)であるか、すなわち、特定の構造、様式又は資材などによる固有の建物(家)を想起し認識し得るとはいい難いものであり、請求人の提出にかかる証拠においても具体的な建物の構造、様式などを把握させるに足りる証拠は見出せない。また、請求人の提出に係る証拠からは、「ENGLAND HOUSE」又は「イングランドハウス」の各文字が「建築一式工事」の役務の質(内容)を表すものとして使用されているという事実も認められない。
そうとすれば、本件商標の係る一連の構成各文字及びかかる意味合いからは、特定の様式などの建物(家)を認識し得ないものである以上、これもまた如何なる住宅を建築する工事一式であるということもできず、提供する役務の質(内容)は不明というほかないから、本件商標をその指定役務「建築一式工事」について使用しても、その質(内容)について誤認を生ずるおそれがあるものと判断することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。