結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−30473(T2001−30473/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3122432号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、平成4年9月3日に登録出願、 第42類「宿泊施設の提供、宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ、飲食物の提供、入浴施設の提供、写真の撮影、婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供、墓地又は納骨堂の提供、庭園又は花壇の手入れ、建築物の設計、測量、デザインの考案、電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、施設の警備、身辺の警備、老人の養護、衣服の貸与、植木の貸与、祭壇の貸与、展示施設の貸与」を指定役務として、同8年2月29日に設定登録、その後、指定商品一部取消審判があった結果、その指定役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」については、その登録を取り消す旨の審決がなされ、その登録が、同13年11月21日付けでなされているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申立て、その理由を要旨以下のように述べている。
(1)請求の理由
請求人は、本件商標が指定役務中の「デザインの考案」に使用された事実を知らない。したがって、本件商標中上記役務については、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
本来、デザインの考案とはデザインに関する専門的なサービスを行うことがその意味するところであって、デザインの考案そのもので商取引が成立するものでなくてはならない。しかし、被請求人は本業であるビル賃貸業務及びマンション分譲業務の為にデザインすることを「デザインの考案」としているものであって、適法な使用ではない。このことは、例えば、自動車メーカーが、自社が製造する自動車をデザインするからといって「デザインの考案」について商標を使用したことにならないのと同じである。
被請求人が「ビル賃貸料あるいは分譲マンションの販売価格には当然のことながらそのデザイン料が含まれています。」とされるのは、正にデザインの考案が独立した事業となっていない証左である。
したがって、乙第1号証及び乙第2号証によっては、本件商標を「デザインの考案」について使用していることにはならない。また、乙第3号証もテナント募集が唯一の目的で作られた資料であって、これもデザインの考案が独立した役務となっていないばかりか、本件商標が付されてもいない。
(1)答弁の趣旨
被請求人は、「審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
(2)答弁の理由
本件商標の商標権者である「株式会社荒井商店」は、乙第1号証(株式会社荒井商店の会社案内)に示すように昭和45年5月に設立されて以来継続して現在に至るまで自社所有のビルを賃貸するビル賃貸業務及び自社所有のマンションを分譲するマンション分譲業務を行っているものである。このような業務の一環として当該ビル及びマンションに関する建築物本体あるいはその建築物を取り巻く環境さらにはエントランス、間取り、室内インテリア等のデザインの考案役務も当然のことながら行ってきており、ビル賃貸料あるいは分譲マンションの販売価格には当然のことながらそのデザイン料が含まれている。
乙第2号証として、平成13年1月16日より商標権者「株式会社荒井商店」が設計、デザインし分譲している「マートルコート町田森野」の内容を示すパンフレットを提出する。さらに商標権者「株式会社荒井商店」は自社所有の賃貸ビルをリニューアルしテナントを募集する業務を行っている。
乙第3号証は、平成3年3月5日より商標権者の営業社員が携行し不動産業者等に説明資料として持参あるいは配布してなるテナント募集用のパンフレットである。同パンフレットには、商標権者がリニューアルのため設計デザインしたビルの外観、エントランス等の外観図及びリニューアルのためのデザイン料を考慮しこれを含んでなる月額賃料、保証料等の賃貸条件が明示されている。
しかして、商標権者は乙第1号証ないし乙第3号証に示すように指定役務「デザインの考案」について本件商標登録取消審判請求前より継続して本件商標を使用しているものであり、商標法第50条第1項の指定には該当しない。
(3)弁駁に対する答弁
乙第1号証に示すように、商標権者は高品質のシティマンションを堤供すべくアメニティスベースの開発に工夫をこらし、また21世紀にふさわしいオフィスを堤供すべくインテリジェント機能を充分に備えたオフィス空間づくりに力を入れ、さらには高齢化社会に対応するヘルスケアマンションを提供すべく敷地内には住居スペースに加えホスピタル機能やグリーンゾーンを備える等各種設計・建築デザイン役務につき本件商標を使用しているものである。さらに乙第2号証のように、マンションの美的外観は勿論のこと、駐車スペース、ガーデン等にも独特の工夫をこらし、また居室効率のアップ、採光性・通風性の向上、トランクルームの設置、家事効率のアップを図るべく独自のルーム構成とする等各種設備・仕様にも独特の創造・工夫がこらされ、これ等のデザイン役務が本件商標の使用といえるものである。
以上、乙第1号証ないし乙第3号証に示すように商標権者は「デザインの考案」の役務を行っていることは、明らかである。
(1)商標法第50条の商標登録の取消審判にあっては、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由がある場合を除いて、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者いずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
(2)そこで、本件審判において、被請求人より提出された乙第1号証ないし乙第3証について検討する。
まず、乙第1号証および乙第2号証について検討するに、両証拠は、被請求人の作成に係る製品カタログと認められ、乙第1号証の表表紙、裏表紙及び乙第2号証の裏表紙に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の表示を見いだすことができる。
しかしながら、乙第1号証および乙第2号証に係るカタログが、どのような時期に、誰に対して、どのような方法で、どれだけ配布されたかなど、具体的な取扱いについて何ら証拠の提出がない。
ところで、商標法にいう「役務」とは、他人のためにする労務または便益であって、付随的でなく独立して市場において取引の対象となり得るものをいうと解される。
これを本件についてみるに、被請求人が、自らが分譲又は賃貸しているビル及びマンションの間取り、室内インテリア、駐車スペース、ガーデン、トランクルーム、グリーンゾーンの設置等に関して行う種々のデザインの考案・設計は、それ自体顧客に対する便益の提供という側面を有しているために、他人のためにする労役または便益にあたる一面を有しているといえないことはない。
しかしながら、被請求人が行っているとする上記各種デザインの考案・設計は、あくまでも自己のビル及びマンションの付加価値を高めることを目的としており、該商品の販売を促進するための手段の一つとみるのが相当である。
この点につき、商標権者は、「ビル賃貸料あるいは分譲マンションの販売価格には当然のことながらそのデザイン料が含まれている。」旨主張しているが、ビル賃貸料あるいは分譲マンションの販売価格に、仮にそのような料金が含まれているとしても、ビル及びマンション本体の価格とは別個にデザインの考案・設計に対する料金が支払われている事実が認められない以上、該デザインの考案、設計自体が独立して取引の対象となっているものとは認め難い。
したがって、上記各種デザインの考案、設計は、それ自体独立して商取引の対象となるものではないから、第42類に属する「デザインの考案」を行っているものということができない。
次に、乙第3号について検討するに、本号証は、被請求人の作成に係る製品カタログと認められるところ、本号証中のいずれにも、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標の表示を見いだすことができない。
加えて、本号証が、どのような時期に、誰に対して、どのような方法で、どれだけ配布されたかなど、具体的な取扱いについて、主張がなされているのみで、何ら証拠の提出がない。
(3)そうとすると、被請求人提出の乙各号証をもってしては、被請求人が、本件審判請求の登録前3年以内に本件審判請求に係る指定役務について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることができないものであり、また、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないものである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定役務中
の「デザインの考案」についての登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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