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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の「使用」の定義

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−30008(T2001−30008/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2206192号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2206192号商標(以下「本件商標」という。)は、「アスペクト」の片仮名文字と「ASPECT」の欧文字を二段に書してなり、昭和60年11月22日に登録出願、第11類「コンピュータ用プログラムが記録された磁気デイスク、コンピュータ用プログラムが記録されたフロッピーデイスク、コンピュータ用プログラムが記録された磁気テープ、その他の電子応用機械器具(但し、電子管、半導体素子、電子回路を除く)」を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録がなされ、その後、平成12年8月15日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

請求人は、結論同旨の審決を求めると申立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。

2 請求の理由

本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存在しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。

3 答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、答弁書の7(1)の第4段落及び第5段落において、「ただ、本件審判請求前3年以内における販売実績は、示すことができない。しかし、現在も販売を継続すべく各種の形態で広告をしているものであって、商標を使用していることは疑いないところである。」と述べている。

即ち、被請求人は、商品についての商標の使用の態様を規定した商標法第2条第3項第1号及び第2号に該当する使用をしていないことを自認する一方、同項第7号に該当する広告的使用はしていると主張し、そのような使用を示す証拠として、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。

しかし、乙第1号証ないし乙第8号証は、前記第7号に該当する使用を証明するものではない。

(2)まず、乙第1号証の第6、15及び16頁においては、「ASPECT」の文字の表示はあるものの、その表示はシステム開発方法論又は設計技法との関係で使用されているに止まり、指定商品についての使用を示すものではない。そして、乙第1号証のその他の頁には、「ASPECT」の文字の表示は全くなく、また、本件商標の使用を類推させる記述も全くない。

(3)乙第2号証ないし乙第11号証においても、「ASPECT」の文字は、単にシステム開発方法論又は設計技法を指称するものとして使用されているに止まる。即ち、指定商品、例えば「コンピュータプログラムを記憶させた磁気ディスク」等についての本件商標の使用を示すものとは言えない。

(4)以上のとおり、被請求人は本件商標を使用していることについて証明をしたとは言えない。

第3 被請求人の答弁

1 答弁の趣旨

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。

2 理由

(1)本件商標は、平成2年1月30日に登録され、その後、平成12年8月15日に更新登録を受けているものであるところ、被請求人である商標権者は、本件商標を自社の開発に係る電子計算機用ソフトウエアについて使用しているものである。

本件商標「ASPECT」は、被請求人(本件商標権者)が1985年に開発した統合ソフトウエア開発システムの名称として、Advanced Software Prodactivity Enhancement Concept」にちなんで命名したもので、開発当初は、このソフトをドキュメントとして提供していたが、すぐにコンピューターで効果的に使えるようにツール化して販売できるようにした。

その後、以下に示すように、顧客に対し、いろいろなかたちで広告、宣伝しているものである。ただ、本件審判請求前3年以内における販売実績は、示すことができない。しかし、現在も販売を継続すべく各種の形態で広告をしているものであって、商標を使用していることは疑いのないところである。現在も、注文を受ければ、納品できる態勢にあることは勿論である。なお、この種商品についての広告宣伝とか商品形態等は、当然ながら、通常の家電製品のようなものとは異なり、一般的に地味でパンフレット等も短期間で作り替えるようなことはしないのが普通であり、商品も在庫があるような性質のものでもない。その辺の事情は、本件も同じである。

以下の資料において、「住商コンピューターサービス株式会社」とあるのは、被請求人(本件商標権者)の旧商号であり、本件商標は、それぞれ原簿上の住所地において使用しているものである。

(2)使用の状況は、以下に示すとおりである。

(ア)1992年(平成4年)における本件商品のツール化当初の事情等は、これを報道する新聞(乙第1号証)のとおりである。

(イ)1992年(平成4年)以降、顧客への販促用のパンフレットの頒布等により広告を繰り返している(乙第2号証ないし乙第6号証)。

(ウ)1998年(平成10年)以降、商品パンフレットも頒布している(乙第7号証)。

(エ)会社の事業紹介には、2000年(平成12年)6月21日以降のものを含め、常に本件商品及び関連技術を掲載して広くPRしている(乙第8号証)。

(オ)1998年(平成10年)7月頃に作成された営業提案資料において、本件商品を紹介しているものである(乙第9号証)。

(カ)1995年(平成7年)11月以降の会社案内(乙第10号証)あるいは1998年(平成10年)3月以降の英文会社案内(乙第11号証)においても前記と同様に本件商品を掲載し、PRしているものである。

3 弁駁に対する答弁

請求人は、被請求人の提出に係る乙各号証においては「ASPECT」の表示はあるものの、その表示は、システム開発方法論又は設計技法を指称するに止まり、指定商品、例えば「コンピュータプログラムを記憶させた磁気ディスク」等についての本件商標の使用を示すものではない、と主張する。

しかし、その主張は、この種商品の取引の実情を前提としたものとは思われない。「電子計算機用ソフトウエア」の取引にあっては、「手順書」「ガイド」「マニュアル」又は「ハンドブック」等を紙で提供し、データやプログラムをCD−ROM又はFD等磁気ディスクの形式で提供される形式が極めて一般的なやり方である。

また、データやプログラムをCD−ROM又はFD等磁気ディスクの形式では提供しないという例はない。

そうして、この通常の方式によるときは、広告等において、「データやプログラムをCD−ROM又はFD等磁気ディスクの形式で提供」するというようなことは、いちいち謳わないのが普通である。

たとえば、ワードとかエクセル等のパッケージ・プログラムを電子媒体で提供するということを、敢えていうことはないということと同じであり、この種商品の取引者又は需要者であれば、誰もが知っていることである。

CD−ROM又はFD等磁気ディスクの内容は、必要に応じて需要者が紙に出力することになる。

本件において被請求人が提出した資料(乙第2号証)に示す「ASPECT」シリーズなる表示は、請求人指摘のように、システム開発方法論・設計技法をいうものでもある。

そして、乙第2号証のパンフレット中で見られるように、被請求人がSPINDLE製品群と称して扱っている「開発方法論分野」「開発支援ツール分野」「CASEプラットホーム分野」のうちの「開発方法論分野」に属するシステム開発方法論・設計技法に関する製品として、「ASPECT」の商標の下に各種の「手順書」「ガイド」「マニュアル」又は「ハンドブック」等を提供しており、パンフレット中に特には謳っていないがデータやプログラムをCD−ROM又はFD等磁気ディスクの形式で併せて提供しているものである。

このような広告により、「ASPECT」の名(商標)で「手順書」「ガイド」「マニュアル」又は「ハンドブック」のほか、データやプログラムを記録したCD−ROM又はFD等の宣伝をしているものとして把握、認識されている。

以上のようなことは、他の乙各号証として提出している資料によっても、明らかなところである。

すなわち、乙第1号証として提出する各種の新聞記事のうちの第15頁とした日経産業新聞の記事においても、「ASPECT」を提供する製品群としているように、「ASPECT」が単なるシステム開発方法論・設計技法をいうものでないことが一般に理解されていることが判る。

乙第1号証の第4、19、23及び24頁とした新聞等の記事においても同様な事実が窺えるところである。

また、乙第2号証では、前述するように、被請求人がSPINDLE製品群と称して扱っている「開発方法論分野」「開発支援ツール分野」「CASEプラットホーム分野」のうちの「開発方法論分野」に属するシステム開発方法論・設計技法に関する製品として、「ASPECT」の商標の下に各種の「手順書」「ガイド」「マニュアル」又は「ハンドブック」等を提供しており、パンフレット中に特には謳っていないがデータやプログラムをCD−ROM又はFD等磁気ディスクの形式で併せて提供しているものである。

ただ、いずれの場合も、CD−ROMやFDで提供することは謳われていない。それが常識であることは前述するとおりであり、いわば、被請求人が通常の方法で広告しているということであり、「ASPECT」なる商標は明確に現れているのであるから、電子計算機用のソフトウエアを記録したCD−ROM又はFD等の磁気ディスクに使用されているものというべきである。

第4 当審の判断

(1)商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人は、審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品のいずれかについて当該商標を使用していたことを証明し、または使用していないことについての正当な理由を明らかにしない限り、その登録の取消は免れないところである。

(2)そこで、被請求人が本件商標を使用している証拠として提出した乙第1号証ないし同第11号証をみるに、乙第1号証の各新聞記事は被請求人(商標権者の前身「住商コンピューターサービス株式会社」)の業務内容等を紹介したものであるが、その中の平成4年4月2日付日経産業新聞(同号証15頁)及び同5年1月1日付「Data Communication」(24頁)等の記事では、「ASPECT」が「システム開発方法論・設計技法」と記載されている。また、被請求人の「販促用のパンフレット」(乙第2号証ないし同第7号証)、「会社の事業案内、会社案内」(乙第8号証、乙第10号証、乙第11号証)、「営業提案資料」(乙第9号証)においても新聞記事同様、「ASPECT」は「CASE環境基盤(SPINDLE)」の製品群である「システム開発方法論・設計技法」である旨の記載がなされ、乙第2号証の3頁中の「製品概要」の項に「ASPECTSeries(システム開発方法論・設計技法)」の見出の下「システム化計画から運用保守までソフトウェア開発サイクル(SDLC)の全工程にわたるシステム開発方法論。開発手順、設計技法および設計ドキュメント様式から構成されます。」と記載されており、その下段に説明の図表として「ASPECT」の下「開発手順書」として「アプリケーションシステム・開発手順書」、「データベース・システム開発手順書」等、「設計ガイド」として「基本設計ガイド」、「詳細設計ガイド」等、「開発管理技法」として「プロジェクト管理マニュアル」、「同ハンドブック」が表示されている。

上記事実からすれば、被請求人が上記各証拠中で使用する「ASPECT」の文字は、コンピューターのシステム開発環境における、開発手順、設計技法及び設計上使用される文書様式からなるもので、それらは「開発手順書」、「設計ガイド」、「開発管理技法としてのプロジェクト管理マニュアル及びハンドブック」からなる「システム開発方法論・設計技法」を内容とするものを総称するものとして使用されていると認められる。

してみると、システム開発方法論・設計技法について実践的かつ具体的に解説、作成要領、全体について「ASPECT」と称しているものと認められ、それらは「開発手順書」、「設計ガイド」、「開発管理マニュアル・ハンドブック」(文書)として顧客へ提供(販売)されるものと推定される。

しかしながら、上記文書がコンピュータ用プログラム又はそれと同様な機能をもつものとは認められず、また、顧客への提供(販売)における具体的内容、形態及びフロッピーデイスク、磁気ディスク等に記録され独立した商品として市場で取引されると認め得る証拠はない。

(2)さらに、被請求人は、「『ASPECT』はすぐにコンピュータで効果的に使えるようにツール化して販売できるようにした。」と述べているが、前記認定のとおり、それが磁気ディスク等に記録され独立した商品として市場で取引に資されることを確認し得る証拠を示していない。また、「広告宣伝もしており、現在も販売を継続すべく各種の形態で広告をしている。」と述べているが、被請求人の提出に係る乙各号証では、いずれもシステム開発における電子計算機のプログラムの設計・作成に関する手順書、ガイド、マニュアル、ハンドブックと認められ、本件指定商品について、広告をしているものと認めることもできない。

(3)以上の如く、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが本件商標をその指定商品について使用していることを証明していない。

また、被請求人は、本件商標を使用していないことについての正当な理由を何ら明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取消を免れない。

よって、結論のとおり審決する。

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