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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の証拠評価

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−31217(T2000−31217/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1485734号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1485734号商標(以下「本件商標」という。)は、「ARMANI」の欧文字と「アルマーニ」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、昭和52年4月22日登録出願、第16類「織物、その他本類に属する商品」を指定商品として、同56年10月30日に設定登録され、その後、平成4年1月29日、同13年12月25日の2回にわたり商標権の存続期間の更新の登録がなされているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。

1 本件商標は、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品についての登録商標の使用をしていないものであるから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、「被請求人は本件審判請求登録前3年以内に本件商標をその指定商品について使用している」と主張しているが、被請求人本人による使用の事実を証明する証拠を全く提出していない。

また、被請求人は、本件審判請求登録前3年以前に本件商標についてライセンスを許諾していた(ただし、当該ライセンス契約は終了している)旨、述べているが、その証拠も何ら提出していない。

被請求人は、平成12年(2000年)7月31日に、被請求人と株式会社オフィスイウォーク(京都市下京区四条通西洞院西入傘鉾町54 光月堂ビル603号に所在)(以下「使用権者」という。)との間で、本件商標についてライセンス(通常使用権)契約を締結したと述べ、乙第1号証として「商標ライセンス契約書」(写)を提出している。

ところで、当該ライセンス契約によれば、前記「使用権者」は、本件商品を製造・販売する(同契約書第2条)ために、当該ライセンス契約を締結したものと解されるが、請求人が調査したところによれば、前記「使用権者」の事業目的は、「装身具の製造および販売ならびに輸出入」等であって、本件商品「織物、編物、フェルト、その他の布地」の製造・販売は、その事業目的に見当たらない(甲第1号証)。

さらに、前記「使用権者」は、平成11年12月1日迄は、その本店所在地を、被請求人と同一の住所としていた事実があることのみならず、被請求人の代表取締役である「横川正文」は、前記「使用権者」の取締役である(甲第1号証)。

以上のことから、ライセンス契約が真正に締結されたものであるか否か疑義がある。前記ライセンス契約が真正に締結されたとするならば、当該契約書の締結は、商法第265条による取締役会の承認を要するものと思われるところ、被請求人は、取締役会議事録等によって証明されたい。

なお、仮に前記ライセンス契約が真正に締結されたものであるとしても、ライセンス契約の締結をもって本件商標の使用が証明されるものでない。

(2)被請求人は、「ライセンシーが販売している生地スワッチ」(写)として乙第2号証を提出し、前記「使用権者」が「2ポケットリュック」等の生地の販売を行っていると述べているが、この乙第2号証の「素材計画表」には、日付が見当たらない。また、この「素材計画表」が市場に頒布された事実の証明もない。したがって、乙第2号証は、むしろ自社内の「計画表」に止まるものという他ない。

被請求人は、乙第2号証を「生地スワッチ(見本)」としたうえで、「本件商標」が明記されていると述べている。しかし、本件商標は「ARMANI」の欧文字と「アルマーニ」の片仮名文字を上下二段に併記してなる商標であるのに対して、乙第2号証に表示されているのは「FABRIC by ARMANI」の文字である。ここで、「ARMANI」は、通常、「Giorgio Armani」の著名な略称と認識されるから、前記表示は「ジョルジョアルマーニによって(デザインされた)織物」と認識されるとするのが自然である。したがって、前記表示をもって、「本件商標」が使用されているということはできない。

(3)乙第3号証は、「平成12年(2000年)10月2日付け有限会社ムームから使用権者宛の発注書の写し」とのことであるが、当「発注書」に記載されている品番「D−6266」又は「D−6265」との商品は、いかなる商品なのか不明である。前記乙第2号証には、当該「品番」に対応する商品はない。なお、当「発注書」には、品名として「『ARMANI』オリジナル生地」との記載があるが、当該発注書は「使用権者」が標章を付して頒布する取引書類でないことはいうまでもない。さらに、当該発注書に記載されている「納品日」は、「2001年4月30日」又は「2001年5月31日」であるから、当該「発注書」をもって、本件審判の請求の登録日たる平成12年(2000年)11月15日(平成12年(2000年)11月6日とあるが、誤り)前に本件商標が使用された事実が証明されるものではない。

(4)以上に述べたとおりであって、被請求人は、「審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていること」を証明しているということはできない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)を提出している。

(1)被請求人は、本件審判請求登録前3年以内に本件商標をその指定商品について使用しているものである。(ア)使用に係る商標「本件商標」(イ)使用に係る商品「織物」(ウ)使用者「使用権者(株式会社オフィスイウォーク)」(エ)使用時期「本件審判請求登録前3年以内から現在に至るまで。」(オ)使用場所「京都市下京区四条通西洞院西入傘鉾町54光月堂ビル603」

(2)被請求人である株式会社テクニカル・インターナショナルは、「ビル管制事業、ソフトウェア一業、デザイン事業、電気工事業、保健代理業」等を行なっている会社であり、被請求人の代表取締役社長である「横川正文」は、「PERSON’S/パーソンズ」ブランドとしてわが国はもとより世界各国で既に著名となっている「株式会社パーソンズ」の代表取締役社長でもある。

本件商標は、かって件外「アルファキュービック株式会社」の所有に係るものであったが、同社は和議の甲立を行なった後に、その当時同社が所有していた約330件の商標の買い取りの提案が被請求人に対しなされ、買い取りを行なうに際しては被請求人名義とするか、又は株式会社パーソンズ名義とするかについて検討した結果、前述のとおり株式会社パーソンズは「PERSONS/パーソンズ」ブランドとして既に著名となっていたため、「PERSONS/パーソンズ」ブランドと他人から譲り受けた商標は区別すべきとの理由により、被請求人が平成9年に1億3000万円で同社の所有する商標の譲り受けを行なったという経緯がある。

これらの商標を譲り受けた以後、被請求人は、商標のライセンス業にも進出し、被請求人の所有している商標について現在に至るまで数多くのライセンスを許諾している。そして、ライセンスを許諾する際にはライセンシーに対して商品のデザインなどについてもアドバイスも行なっており、被請求人の事業目的の中に「デザイン事業」も含まれていることからも容易に首肯できるところである。

(3)次に、本件商標の使用状況について説明する。

被請求人は、本件審判請求登録前3年以前にも本件商標についてライセンスを許諾していたが、当該ライセンス契約の終了に伴ないライセンス期間経過後による本件商標を付したライセンシーの在庫商品の販売期間が経過した平成12年(2000年)7月31日に、京都市下京区四条通西洞院西入傘鉾町54 光月堂ビル603」に住所を有する使用権者との間で新たに本件商標についてライセンス(通常使用権)契約を締結した(乙第1号証)、当該契約書には本件商標の登録番号、商標、許諾商品が明記されている。

このライセンス契約に基づき使用権者は、主として商品「2ポケットリュック」、「レディースバッグ」、「トートバック」、「ディバツグ」の生地として数種類の生地の販売を行なっている(乙第2号証)が、販売するに当たっては「生地スワッチ(見本)」を作成し、当該生地スワッチには、本件商標、アイテムNO.、デザインNO.が明記されている(乙第2号証)。

既にこの生地の購入申込みは数社から届いており、その一部として平成12年(2000年)10月2日付け有限会社ムームから使用権者宛の発注書の写しを提出する(乙第3号証)。もちろん、この発注書にも本件商標、品番、内容(生地の色彩、購入希望数量)等が明記されている。

(4)以上のように、被請求人は本件審判請求の登録前3年以内に本件商標に含まれている指定商品について本件商標を使用していること明らかである。

第4 当審の判断

1 被請求人は、本件商標についてライセンス(通常使用権)契約した使用権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を本件審判の請求に係る指定商品中の「2ポケットリュック」、「レディースバック」、「トートバック」及び「デイバック」の生地について使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第3号証を提出しているので、以下検討する。

(1)「商標ライセンス契約書」(乙第1号証)によれば、被請求人は、使用権者と本件審判の請求の登録(平成12年11月15日)前の2000年(平成12年)7月31日に、契約期間3年(ライセンス契約書の第22条)で、本件商標について、商標ライセンス契約を締結したことが認められる。

しかしながら、この商標ライセンス契約に添付の「(別紙B)商品等表示目録」には、具体的商品表示等の記載はなく、単に「ARMANI」と表示されているのみであるし、また、「(別紙)商品目録」には、「織物、編物、フェルト、その他の布地」と記載されており、ライセンス契約書の第1条6.に、「本件商品 別紙商品目録記載の商品/本商標権の指定商品であって、本件商標等を付したもの」とあるにもかかわらず、本件商標の指定商品「織物、その他本類に属する商品」とは商品の表示が異なるものである。

(2)「素材計画表」(乙第2号証)は、「FABRIC by ARMANI」の表示の下に、左の欄より、上から「アイテムNO.」、「生地スワッチ」、「デザインNO.」、「用途」、「販売価格」の各項目欄が設けられ、「アイテムNO.」の項左から、「TC‐FA‐168」、「TC‐FA‐352」、「TC‐FA‐118」及び「TC‐FA‐725」の表示、「生地スワッチ」の項に、それぞれ異なる生地4見本が貼付され、「デザインNO.」の項左から、「021‐000235」、「021‐000386」、「021‐000337」及び「021‐000186」の表示、「用途」の項左から、「2Pリュック」、「レディースバッグ」、「トートバッグ」及び「デイパック」の表示、「販売価格」の項左から、「m/¥850」、「m/¥1.200」、「m/¥1.400」及び「m/¥800」の表示が認められる。

しかしながら、この乙第2号証の「素材計画表」には、どこにも作成日の表示が見当たらないものである。

(3)「発注書」(乙第3号証の1、2)は、「有限会社 ムーム」から使用権者宛のもの二通であって、その右上部に、それぞれ「2000・10・2」の発注日とおぼしき日付、左上部の発注書の表題の下から、納品日として、「2001・4・30」と「2001・5・31」の日付、納品場所として、それぞれ「後日連絡」の記載、その下に左の欄より「品番」、「品名」、「内容」及び「金額」の各項目欄が設けられ、「品番」の項に「D‐6266」と「D‐6265」の表示、「品名」の項にそれぞれ「『ARMANI』 オリジナル生地」の記載、「内容」の項上から「グレーンチェック/赤;1反/グリーン;1反/青;1反/イエロー;1反/合計4反」と「幾何学模様/赤;1反/グリーン;1反/青;1反/イエロー;1反/合計4反」の記載及び「金額」の項にそれぞれ「240.000」と「260.000」の数字の記載が認められ、さらに、各「発注書」の左隅上部に、文書としての発注書の蓄積整理日とおぼしき「2000年12月22日(金)」の日付及び文書番号「4804426411」の表示が認められる。

しかしながら、上記(2)の「素材計画表」にある「アイテムNO.」及び「デザインNO.」の項にある各表示と、上記(3)の「発注書」の品番の項の「D‐6266」及び「D‐6265」の各表示とは、上記のとおり一致する表示はなく、また、何らの関連性も見出すことができない。

2 以上を総合すると、以下の点において、被請求人が本件審判請求の登録前3年以内に本件商標をその指定商品について使用していたと認めることができない。

(1)被請求人が、使用権者とライセンス契約を締結したとする乙第1号証の商標ライセンス契約書には、上記1(1)の「(別紙B)商品等表示目録」に、具体的商品表示等の記載はなく、単に「ARMANI」と表示されているのみであること、さらに、該商標ライセンス契約書中の商品目録の商品表示(ライセンス契約書の第1条6.では、「本件商品 別紙商品目録記載の商品/本商標権の指定商品であって」と規定されている。)と本件商標の指定商品「織物、その他本類に属する商品」との商品の表示が異なることからすると、被請求人の主張する通常使用権の契約であるとする乙第1号証の商標ライセンス契約書は、内容的に信憑性を疑われる事項を含んでいるものである。

(2)「素材計画表」(乙第2号証)及び「発注書」(乙第3号証の1、2)によれば、本件商標と社会通念上同一と認められる「ARMANI」の表示は認められる。

しかしながら、上記の1(3)のとおり、本件商標の指定商品に含まれている商品について使用しているとする発注書にある品番「D‐6266」及び「D‐6265」の各表示と、「素材計画表」にある「アイテムNO.」及び「デザインNO.」の項にある各表示とは一致する表示はなく、また、何らの関連性も見出すことができない。また、他に、被請求人又は使用権者が第三者との間で、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標の指定商品に含まれている商品について取引が具体的にあったと認めるに足りる取引書類、例えば納品書、領収書等の提出はない。

3 以上、被請求人の提出した各書証は、これを総合して勘案すると、被請求人と使用権者との間の使用許諾契約(商標ライセンス契約書)の信憑性はともかく、本件商標の指定商品に含まれている商品について使用しているとする2000年10月2日付けの「発注書」と日付けのない「素材計画表」との関連性を何ら見出すことはできないものであって、また、これらの「発注書」及び「素材計画表」では、本件商標がその指定商品に含まれている商品に本件審判請求の登録前3年以内に実際に使用されたことを証明するには不十分と認める。

したがって、被請求人の提出した各書証は、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に使用されていたという事実を証明する書証としては、不十分であるといわざるを得ない。

4 以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品中のいずれの商品についても使用していたことを証明したということはできない。また、被請求人は、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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