結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35149(T2002−35149/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3284368号商標(以下「本件商標」という。)は、「LANGLITZ」の欧文字と「ラングリッツ」の片仮名文字を2段に横書きしてなり、平成7年1月17日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,毛皮製ストール,ショール,ネクタイ,マフラー,ナイトキャップ,帽子,バンド,ベルト,靴類,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,乗馬靴」を指定商品として、平成9年4月18日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標中の「Langlitz」の部分は、請求人が保有する世界的著名商標と同一であり、その余りの部分「ラングリッツ」はその片仮名表記である。また、請求人は、平成13年3月30日に商願2001−29506号として、商標「Langlitz Leathers(標準文字商標)」を第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ、足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,頭巾,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として登録出願を行ったところ、本件商標を引例とする拒絶理由通知を受領した。
したがって、請求人は、本件商標の登録を無効とするにつき、法律上直接の利害関係がある。
(1)請求人は、1947年以降アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドにおいて、主にオートバイ乗りのための革製被服等を製造販売してきた老舗である。同人は、1980年代後半には、「世界一のモーターサイクルジャケットメーカー」として世界的な名声を勝ち得るにいたった。請求人の広告、商品、包装、定価表、取引書類等には、本件商標と同様の文字からなる商標又は著名な商号の略称たる「LANGRITZ」が表示され、現在にいたっている。同人の製品は全くの手作りであり、その品質維持のため、現在も一日僅か6着、年間1500着程度の生産量を堅持している。このこと故に同人の製品は世界中のオートバイ乗りの垂涎の的となっている。
(2)請求人の商標「LANGRITZ」は、少なくとも本件商標の登録の基となった登録出願の日ないしその登録出願の登録査定の時点において、アメリカはもとより、世界的に知られた著名商標になっており、このことはわが国においても同様である。
したがって、商標法第4条第1項第8号、同第10号及び同第15号に照らし、本件商標は被請求人の名義においては登録されるべきものでない。
(3)被請求人は、かねてより請求人の製品を、年数着のオーダーで輸入し、国内で販売していたが、1999年ごろから請求人の商品の需要に目をつけ、わが国における請求人の総代理店になることを希望し、その旨の打診をするなど、請求人に急速に接近してきた。
ところが、両者の会話の中で、被請求人が、既にその名義において本件商標を取得していることが判明し、請求人がその不実を指摘すると「それは第三者の違法な登録から請求人(の地位)を守るためであり、いうまでもなく、今日まで一度として請求人に迷惑になる使用は一切したことはなく...」、「皆様がいうとおり本来は請求人が保有してしかるべきものです。」、「無論、約束したとおり譲渡する所存である。」と弁解してきた。そのため、請求人はその言を信じ、本件商標の登録に対して直ちに法的手続をとることを留保してきた。
しかるに、代理店交渉が思うように進まない中で、翌2000年には「譲渡はするが条件がある。」とし、さらには「2000万円」という驚くべき額を本件商標の譲渡の対価として請求するに及んで、被請求人自身がまさに「第三者の違法な登録」であったことがここに判明するにいたった。そこで請求人は上記商願2001−29506号を登録出願し、再度本件商標の譲渡を促し、しかる後、本件審判請求を提起した次第である。
請求人は1999年まで本件商標の登録の存在を知らず、それを知った後も本件商標の登録にかかる被請求人の行為を承諾、追認したことはない。他方、被請求人は、登録出願の当時から、本件商標の登録が違法なものであることを熟知していたにも拘らず、本件商標の登録の放棄に代えてその譲渡を行う旨を回答しながら、その後も言を左右にして当該譲渡手続を行わず、その間、名義が自己にあることを奇貨として、交渉を有利に運ぶことを画策し、自ら不正の利益を図ろうとし、挙句の果て、交渉が決裂するにいたると、にわかに2000万円の譲渡対価を提示する等、請求人に言われなき損害を与えようとしている。
そして、上述のとおり、被請求人は従来より自らが請求人の商標を用いた商品を輸入しており、さらには、請求人の総代理店になることを目論んでいた等の事実から、本件商標がその登録出願の時点で、既に、請求人の商標として国内外において著名なものになっていることを熟知していたといえる。このことから、被請求人の不正の目的が本件商標の登録出願の当時から存在したことは明らかである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号(被請求人の記載する商標法第3条第1項第19号は誤記と認める。)にも反した登録である。
以上の理由により、請求人は請求の趣旨記載のとおりの審決を求める。
被請求人は、何ら答弁していない。
本件商標は、前記したとおり「LANGLITZ」の欧文字と「ラングリッツ」の片仮名文字を併記した構成よりなるところ、請求人「ラングリッツ レザーズ インコーポレイテッド」より提出された甲第3号証の1ないし9及び同第4号証によれば、この「LANGLITZ」の文字は、請求人がアメリカ合衆国オレゴン州ポートランドにおいて1947年以来、今日にいたるまで半世紀以上にわたって製造、販売してきた「オートバイ乗りの革製被服(オートバイ用のレザージャケット)」を表示するものとして、本件商標の登録出願時には、既に、米国のオートバイの愛好者はもとより、その取引者、需要者の間において広く認識されていたことが認められる。
そして、この「LANGLITZ」(ラングリッツ)の語は、特定の意味を有しない請求人(会社)の創立者(ロス・ラングリッツ)の名前に由来する造語といえるもので、本件商標は、その欧文字の綴り及びその片仮名表記を全く同一にするものである。また、本件商標の指定商品は、前記したとおりであって、請求人の製造、販売に係る商品「オートバイ乗りの革製被服」をその指定商品中に含むことは明らかである。
さらに、甲第5号証の1ないし4によれば、被請求人(本件商標の商標権者)は、1991年頃から請求人の製品(オートバイ乗りの革製被服)を年数着輸入し、日本国内で販売していたこと、その後輸入数量を増やし、該製品の日本総代理店になることを希望し請求人と折衝していたこと、そしてこの間に被請求人が本件商標を登録出願し取得した経緯があることが認められる。
以上のことを総合勘案すると、外国における需要者の間に広く認識されている請求人の商標「LANGLITZ」、「ラングリッツ」と同一の文字よりなる本件商標を、請求人が日本において登録していないことを奇貨として、被請求人がこれを登録出願し、権利を取得しようとする行為は、請求人の商標の出所表示機能を希釈化させたり、その名声を毀損させる行為というべきであり、かつ、その行為には不正の利益を得る目的があるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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