結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−30816(T2000−30816/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第3041780号商標(以下、「本件商標」という。)は、「テクノゲル」の文字を横書きしてなり、平成5年1月12日に登録出願、第1類「原料プラスチック」を指定商品として、同7年4月28日に設定登録されたものである。そして、当該商標権は、現に有効に存続するものである。
請求人は、「本件商標の登録について取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証を提出した。
1.請求の理由
本件商標について調べてみると、本件商標は過去3年間商標権者によって使用された形跡がない。また、専用使用権者及び通常使用権者の登録もないため、この点からも、本件商標は不使用の商標である。
したがって、本件商標の登録は取り消されるべきものである。
2.答弁に対する弁駁
(1)被請求人が答弁書に添付した各資料は、以下に述べる理由により、本件商標が審判請求登録前3年間に使用されていることを証明するものではない。
(2)まず、「原料プラスチック」なる商品はどのようなものかを検討すると、この概念は「成形等の加工を何ら施さない原料としてのプラスチックが含まれ、これらに何らかの加工を加えたものは属さない」と説明されている(甲第2号証)。すなわち、プラスチック自体に何らの加工を加えないプラスチックそのものを意味している。プラスチックとはもともと電気を通さない物質であり、また、通常は粉末状或いは固形状で販売されるものである。
したがって、被請求人が提出した証拠によりこのような商品であることが想起でき、且つ取引されている事実があるかを検討していく必要がある。なお、ここに、「加工」とは「人口を加えること、原材料に手を加えること」を意味する(甲第3号証)。
(ア)乙第1号証及び乙第2号証に関して、被請求人は「パック剤などの原材料として用いられる樹脂の拡販を目的として頒布されている商品カタログである」と述べている。
しかしながら、乙第1号証に示されているのは被請求人が開発したゲル体の性能などを記述しているのであり、そこに示されている写真からすれば、それは「原料プラスチック」ではなく、成形などの加工を施したものがあり、これよりこのカタログを見た需要者はプラスチック基礎製品あるいは、それ以外の用途を持った製品であると考えるのが自然である。カタログには「『テクノゲル』は、蓄積されたハイドロゲル技術をもとに開発された、粘着力に優れ、皮膚刺激性の小さいゲル体の総称です。」と記述されている。ここに示されている「ハイドロゲル」を調べてみると、「水を分散媒としているゲル。例えば珪酸ナトリウムに硫酸を作用させ、加熱乾燥して得られるコロイドシリカ」と説明されている(甲第4号証)。この説明からハイドロゲル技術をもとに開発されたテクノゲル商品は水を分散媒として加工を施したものであり、そうとすれば、甲第2号証に示す意味での「原料プラスチック」に該当しないことは明らかである。したがって、乙第2号証も証拠として採用され得ないことは、もとよりである。
(イ)次に、乙第6号証についてみてみると、確かに本件商標と社会通念上の商標が示された商品カタログである。しかし、被請求人が述べているように、医療用生体電極用素材などの「原材料」として用いられる樹脂の拡販を目的とした商品カタログであるとは想起し難い。
また、被請求人は「このカタログの記載によれば、上記『テクノゲル』商標を付して販売する商品が、医療用生体電極用素材、ディスポーザブル工業計測用素材、ディスポーザブルセンサー用素材を製造する際の原材料として用いられるゲル状樹脂であることが認められる」と述べている。しかし、「原材料」として認識できる記述はどこにもなく、むしろ、乙第6号証に見られる記述「導電性高分子ゲル」、「ハイドロゲル技術をもとに」や「こんな技術が誕生しました」以下に示されている説明及び、掲載されている写真からすれば、これは原材料としてのプラスチックではなく、プラスチックに何らかの加工を施して特徴をもたせた商品であると認識するのが自然である。
ここで、「導電性高分子ゲル」の意味に言及すると、甲第5号証によると、「ポリアセチレンにヨウ素をドーピングすることにより、金属的な導電性を示すことが、見いだされてから、新素材として注目され、...」と紹介され、さらに、「材料」については「これまで合成されている代表的な導電性高分子の構図を...」として紹介されている。すなわち、「導電性高分子」とは何らかの材料を原料プラスチックに合成させて生成されるものである。したがって、被請求人が自ら「テクノゲル」は「導電性高分子ゲル」であると称している以上、原料プラスチックではないことは明白な事実である。
したがって、乙第6号証は本件商標を「原料プラスチック」に使用しているの使用を示した証拠とはいえず、したがって、乙第7号証も証拠として採用されないものである。
(ウ)乙第8号証ないし乙第10号証について被請求人は「その第7頁においては、乙第6号証と同様の記載が認められる」と記述している。そこで、かかるカタログをみると、被請求人の商品の特徴が端的に示されている。すなわち、「導電性高分子ゲル」というタイトルの下、「微弱電流を検知する高い通電安定性を持った低抵抗導電性高分子ゲル」として本件商標が紹介されている。しかし、これらの記述は「テクノゲル」商標下の商品が「原料プラスチック」ではないことは上記の通りであり、したがって、本件商標を「原料プラスチック」に使用していないものである。
(エ)乙第11号証について被請求人は、「テクノピア2000」なる商品展示会に出展した際の写真であるとして、「緩衝材、経皮吸収用パッド、低周波治療機器用パッド、電気メス用アース電極、その他種々の製品の原材料となるゲル状樹脂の拡販を図るための宣伝活動を行っている」と述べている。しかし、その右下の写真には「アクリル酸誘導体からなる3次元のポリマーネットワークと溶媒からなり、」と紹介されている。これはテクノゲルが原料としてのプラスチックではなく、何らかの加工が施されているものであることを謳っている。したがって、やはり示している内容が原料プラスチックではない以上、本件商標の「原料プラスチック」への使用を示す証拠とはなり得ない。
(オ)最後に、乙第3号証及び乙第4号証についてであるが、被請求人は「乙第3号証の1ないし3は、被請求人より出荷されている『テクノゲルPAL35(アクリル酸とメタクリル酸とを共重合させてなるアクリル樹脂を主材料とする原料用の液状の樹脂製品)』とその梱包状態を撮影した写真(写)」と説明している。しかし、「主材料とする」との記載は原料プラスチックに何らかの材料を加えた商品であることを被請求人自ら認識していることを示している。
したがって、乙第4号証に示された製品仕様書で地理引きの事実があったとしても取引対象物は原料プラスチックではなく、プラスチック基礎製品であり、その形態が「液状(ゲル状)」なのである。
(カ)以上により、被請求人が示した乙第1号証ないし第11号証の証拠は、いずれも、指定商品である「原料プラスチック」ではなく、これに何らかの材料を添付して加工したものであり、したがって、使用を示す証拠としては採用されないものであることは明らかである。
(3)以上述べたとおり、本件商標が審判請求登録前3年間に「原料プラスチック」について(名目的使用ではなく)使用されていることは何ら証明されておらず、本件商標の登録は取り消されるべきである。
3.答弁書2に対する弁駁
(1)乙第4号証に示す製品が「毛穴クリアパック」なる最終製品に変化するまでは理解できる。しかしながら、「液状樹脂」自体が既に「原料プラスチック」の域を越えているのであれば、その後にゲル化・シート状への成形・最終製品とのステップを踏んでいるとしても、このことはなんら考慮するに値しない。
乙第4号証2/6には「樹脂」の構成量が34.80%以上と記述されている。「アクリル酸/メタクリル酸共重合体」がプラスチック樹脂であるとしてもその構成量は半分以下である。これを「原料プラスチック」であるということは、常識的に考えても困難であるし、何らかの加工が施されているからこそ、このような構成比率となるのである。
「原料プラスチック」がどのようなものを指すのかについては、甲第2号証に添付した資料を基準として考えるべきである。即ち、「成形等の加工を何ら施さない原料としてのプラスチック...」との記述がある。この「成形」は「形を作ること。また、ある形に作ること」等がある(甲第6号証)。
これは何も固形状にすることばかりではなく、液状にすることも、また「成形」にあたると考えるべきである。
この基準に鑑みると、「原料プラスチック」というのは、プラスチック自体が備えている機能・用途が、何ら減殺していない状態のものを言うべきである。これを加工(液状化・ゲル化)して、用途を多少なりとも限定させたものは、もはや「原料プラスチック」の域を越えているというのが、特許庁の考え方であるといえる。
そうとすれば、乙第3号証の2及び3に見られる状態の物質は、本件商標の指定商品ということはできない。
(2)被請求人は、過去の登録例を示して、乙各号証に示す商品が「原料プラスチック」であると主張している。しかし、議論すべきは、本件商品が「原料プラスチック」に該当するか否かであって、過去にどのような商品表示が採用されているかではない。
(3)乙第1号証に添付されたカタログを見るに、「『テクノゲル』は、蓄積されたハイドロゲル技術をもとに開発された、粘着力に優れ、皮膚刺激性の小さいゲル体の総称です」と記述されている。これは、プラスチックに加工を加えたからこそ、刺激性を抑え、安全性・粘着力を強化することができたのである。乙第6号証及び同第8号証をみても同様のことが記述されている。
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第19号証(枝番を含む。)を提出した。
1.答弁の理由
(1)本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者によって、指定商品「原料プラスチック」につき使用されている。よって、本件商標登録は、商標法第50条第1項に該当せず、本件審判請求は認められるべきでない。
(2)以下、本件商標の使用事実を立証する。
(ア)乙第1号証は、パック剤などの原材料として用いられる樹脂の拡販を目的として頒布されている商品カタログである。
この商品カタログの表紙と折り返しページには、本件商標と社会通念上同一の商標「テクノゲル」が表されている。
また、この表紙と折り返しページの記載によれば、上記「テクノゲル」商標を付して販売する商品が、パック剤、整髪料、ローション、創傷保護材、各種緩衝材などを製造する際の原材料として用いられるゲル状または液状の樹脂であることが認められる。このゲル状樹脂・液状樹脂は、2種以上のモノマーを重合した有機高分子からなる合成樹脂であって、上記パック剤等のベース材として用いられるものであり、その物性、商品の性格からして、本件商標の指定商品「原料プラスチック」に該当する商品である。
乙第2号証は、乙第1号証の商品カタログを印刷した会社「静和堂竹内印刷株式会社」が、この商品カタログを被請求人に納入したことを記録しておくための受領書で、被請求人の受領担当者のサインが右下方になされている。これによれば、乙第1号証の商品カタログ(「化粧品素材パンフ 日本語版」と記されている)3000部が、平成9年12月12日に上記印刷会社により納品されたことが認められる。なお、乙第1号証の裏面右下には、「9712SE1−03」という記号が記載されていて、この頭の数字4桁は印刷年月を示すためのものであるが、この年月は上記の納品年月と一致している。
(イ)乙第3号証の1ないし3は、被請求人より出荷されている「テクノゲル PAL35(アクリル酸とメタクリル酸とを共重合させてなるアクリル樹脂を主材とする原料用の液状の樹脂製品)」とその梱包状態を撮影した写真の写しである。
乙第3号証の1および2によれば、段ボール包装の側面に、本件商標と社会通念上同一の商標「テクノゲル」の印刷されたラベルが貼付されていることが分かる。なお、ラベル上に同じく印刷されている「PAL35」は、商品の品番である。
また、乙第3号証の3によれば、撮影された商品が、液状の透明体であることが認められる。この透明体がどのようなものであるかを証するため、乙第4号証として、「テクノゲル PAL35」の平成9年4月25日付の製品仕様書抜粋写しを提出する。この製品仕様書は、商品の取引にあたりその納入仕様や規格等を報告するために、被請求人が顧客である「鐘紡株式会社」へ提出し、その内容につき承認を受けたものである。その記載によれば、「テクノゲル PAL35」が、アクリル酸とメタクリル酸とを共重合させてなるアクリル樹脂を主材とする液状の樹脂製品であることが認められる。なお、この製品仕様書5/6頁には、製品の容器および梱包に関する記載があるが、これは、乙第3号証の1ないし3において撮影された製品の態様と一致するものである。
この「テクノゲル PAL35」は、鐘紡株式会社が指定する会社が製造し、かつ、鐘紡株式会社の関連会社「カネボウホームプロダクツ販売株式会社(東京都港区海岸3−20−2 0)」が販売する「毛穴クリアパック」の原料として使用されている。被請求人から鐘紡株式会社が指定する会社に納入された後、「テクノゲル PAL35」には他の原料が混合され、その混合品を不織布に塗布乾燥してシートが作られ、それを打ち抜くことにより 「毛穴クリアパック」が製造される。
この「テクノゲル PAL35」は、その物性、商品の性格から見て、本件商標の指定商品「原料プラスチック」に該当する商品である。
乙第5号証は、乙第3号証の1ないし3において撮影されたものと同様の商品が、実際に販売されたことを示す売上伝票の写しである。この伝票の発行日は1999年11月28日であり、その売上伝票の内容から、「テクノゲル」ブランドの「PAL35」という品番の製品1020セットが、売上先を「鐘紡株式会社」として、鐘紡株式会社が指定する会社に1999年11月26日に納入されたことが分かる。
(ウ)乙第6号証は、医療用生体電極用素材などの原材料として用いられる樹脂の拡販を目的として頒布されている商品カタログである。
この商品カタログには、本件商標と社会通念上同一の商標「テクノゲル」が表されている。また、この商品カタログの記載によれば、上記「テクノゲル」商標を付して販売する商品が、医療用生体電極用素材、ディスポーザブル工業計測用素材、ディスポーザブルセンサ−用素材を製造する際の原材料として用いられるゲル状樹脂であることが認められる。このゲル状樹脂は導電性や粘着性を有するもので、これらの電極等において、人体等に直接密着して電流を伝える部分の主材として用いられる。
この「ゲル状樹脂」は、上記(イ)において述べた「液状樹脂(テクノゲル PAL35)」と同じく「アクリル樹脂を主材とする樹脂製品」であって、その物性や商品の性格からして、本件商標の指定商品「原料プラスチック」に該当する商品である。
乙第7号証は、乙第6号証の商品カタログを印刷した会社「株式会社サン・コミュニケーションズ」が、当該カタログを被請求人に納入した際の納品書控写しである。これによれば、同商品カタログ(「テクノゲル リーフ」として記されている)2000部が、平成9年5月6日に上記印刷会社により納品されたことが認められる。なお、乙第6号証の右最下部には、「9705SC−5−02」という記号が記載されていて、この頭の数字4桁は印刷年月を示すためのものであるが、この年月は上記の納品年月と一致している。
(エ)乙第8号証は、被請求人の会社案内であるが、その第7頁においては、乙第6号証と同様の記載が認められる。
乙第9号証は、乙第8号証の会社案内を印刷した会社「株式会社ブレーンセンター」が、この会社案内を被請求人に納入した際の納品書控写しである。これによれば、当該会社案内1万部が、平成11年7月30日に上記印刷会社により納品されたことが認められる。なお、乙第8号証の裏表紙右下には「199 9.11.BC.10,000」という記号が記載されていて、この頭の数字6桁は印刷年月を示すためのものであるが、このうち月を表す「11」の数字は、「07」のミスプリントである(乙第10号証:株式会社ブレーンセンター発行のミスプリントを証する書面参照)。
(オ)乙第11号証は、2000年5月24日から27日まで大阪市のインテックス大阪にて開催された「テクノピア2000」という商品展示会における被請求人の出展ブースを撮影した写真の写しである。これらの写真によれば、被請求人が本件商標と社会通念上同一の商標「テクノゲル」を付して、緩衝材、経皮吸収用パッド、低周波治療器用パッド、電気メス用アース電極、その他種々の製品の原材料となるゲル状樹脂の拡販を図るための宣伝活動を行っていることが認められるものである。
この「ゲル状樹脂」も、上記(イ)において述べた「液状樹脂(テクノゲル PAL35)」と同じく「アクリル樹脂を主材とする樹脂製品」であって、その物性や商品の性格からして、本件商標の指定商品「原料プラスチック」に該当する商品である。
(3)以上のとおり、本件商標は、商標権者によって、指定商品「原料プラスチック」につきその商品の出所を識別するために商品の包装に付され、その付された商品が譲渡され、あるいは商品に関する広告に標章が付されている。これらの行為は、商標法第2条第3項に規定する商標の使用行為に該当する。
2.弁駁に対する答弁
(1)請求人は、弁駁書において、乙第3号証および乙第4号証に表れた商品「テクノゲル PAL35(以下「本件商品」という)」が、「原料プラスチック」ではなく「プラスチック基礎製品」である等と述べているが、以下に詳述するようにその主張は失当である。
(ア)乙第4号証の製品仕様書2/6頁によれば、本件商品は、「アクリル酸/メタクリル酸共重合体と防腐剤とを含む液状樹脂」であることが認められる。
この液状樹脂の用途・使用方法の一例は、すでに述べたところであるが、さらに詳しく説明すると、この液状樹脂には、顧客への引き渡し後、以下のような 「加工」が施される。
顧客は、この液状樹脂に、架橋剤、顔料、香料等を混合し、それを架橋反応によりゲル化させ、不織布に塗布してシート状に成形する。このような「加工」を経て、シート状の半製品が作られ、その半製品を打ち抜いて、最終製品である「毛穴クリアパック」が製造されるものである。
上記のような成形に至るまでの「加工」は、ポリプロピレン等の固形状の原料プラスチックに、種々の配合剤を添加し、その配合材料を押出成型機等を用いて加熱、溶融させ成形する加工と同次元のものであり、本件商品は、この場合、押出・成形におけるポリプロピレンと同様、原料としての役割を果たしている。
よって、本件商品は、ある製品(半製品)を製造するための「原料プラスチック」であって、本件商品を半製品たる「プラスチック基礎製品」であると主張する請求人の主張は理由がない。
(イ)なお、本件商品には、防腐剤が含まれているが、これは商品が変質して原料として用いるのに不具合が生じるのを防ぐため、言い換えれば、原料としての品質を維持するために添加されているものであり、その量も微量にすぎないから、これをもって、半製品といえるほどの加工がされているとは到底認められないところである。
(ウ)また、請求人は、「原料プラスチック」であるためには、商品が粉末状あるいは固形状でなければならないかのように述べている。
しかしながら、乙第12号証に示すように、「塩素化ポリプロピレン」や「ビニルエステル樹脂」など、一般に原料プラスチックとして取引されている商品には液状のものが多くある。さらに、既登録の商標の指定商品を調べても、たとえば、「医薬品用及び化粧品用の粉状・液状及びペースト状の原料プラスチック」(乙第13号証)、「製薬用及び化粧品用の粉状・液状及びペースト状の原料プラスチック」(乙第14号証)、「粉状・粒状・チップ状・分散体状・液状又はペースト状の原料プラスチック,その他の原料プラスチック」(乙第15号証)、「メタロセンを含有してなる粉状・液状・粒状又はペースト状の原料プラスチック,その他の粉状・液状・粒状又はペースト状の原料プラスチック,その他の原料プラスチック」(乙第16号証)、「分散体状又は溶液状の原料プラスチック」(乙第17号証)のような例があるのが見受けられ、特許庁も液状の原料プラスチックが存在することを認め、それが第1類の「原料プラスチック」の概念に含まれるとの取り扱いをしていることが明白である。
(エ)以上述べたように、被請求人が顧客へ販売する液状樹脂「テクノゲルPAL35」は、その物性・用途等から「原料プラスチック」であると認められるものである。
被請求人は、本商品を顧客に譲渡するにあたって、それが自己の業務に係る商品であることを示すために、商品の包装(乙第3号証の段ボールに付されたラベル)や取引書類(乙第4号証の製品仕様書、乙第5号証の売上伝票)に本件商標と社会通念上同一の商標「テクノゲル」を使用している。一方、顧客は、本件商標「テクノゲル」に化体した被請求人の業務上の信用を信じ、その商標のもとに販売される商品が一定の品質を備えていると理解し商品を購入するものであり、「テクノゲル」は被請求人と顧客との間で、出所を表示し品質を保証する標識すなわち商標として機能している。
そして、乙第1号証や乙第6号証の商品カタログ、乙第8号証の会社案内、乙第11号証の商品展示会の写真に見られるように、この液状の樹脂製品を拡販するため、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標「テクノゲル」を用いて宣伝活動をしているところである。なお、乙第1号証の折り返しページの左下方には、「...水溶性樹脂や液状樹脂としての利用分野」として、整髪料やローションといった用途も明記されている。
(2)上述のように、平成13年5月16日付の弁駁書における請求人の主張はいずれも失当であり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内こ、日本国内において指定商品「原料プラスチック」につき、商標権者によって、その顧客との間で自他商品識別標識として使用されていると認められる。
1.被請求人の提出した乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証は被請求人の商品カタログの写しであるが、この表紙下段及び折り返し頁に「テクノゲル(高分子ゲル)」の表示が認められる。そして、折り返し頁左側には、用途例として「各種粘着テープやパック剤」「各種緩衝材や創傷保護材」が記載され、「上記の用途例以外のゲル技術を応用した水溶性樹脂や液状樹脂としての利用分野 ・整髪料・ローション・etc」の記述が認められる。当該カタログ写しの裏面右下に印刷年月を表したと認められる「9712SE1−03」の表記があり、乙第2号証(商品カタログ受領書写し)の年月と符合しているといえるものである。
(2)乙4号証は、平成9年4月25日を作成日とし、鐘紡株式会社を提出先とする請求人の「製品仕様書(第1版)」抜粋の写しであるところ、その1/6頁には、商品名として「テクノゲル PAL35」の記載があり、2/6頁には、「3.組成」として「樹脂 アクリル酸/メタクリル酸共重合体 34.80%以上」及び「防腐剤 パラオキイ安息酸メチル 12ppm 他」の記載がなされており、「4.製品規格 表2」に「性状 粘調液体状」との記載がなされている。また、 5/6頁には、梱包容器と梱包の仕方が詳細に図解されている。
そして、乙第3号証の1ないし同3(商品写真写し)をみると、前記梱包の仕方に相応した荷姿を呈した物品に「テクノゲル」の文字と「PAL35」の文字が二段に横書きされた表示が添付されていることを認めることができる。
(3)さらに、乙第5号証は鐘紡株式会社カネボウ化粧品本部(荷受人ダイヤ製薬株式会社)を売上先とする被請求人の売上伝票写しであるが、これには、出荷年月日の欄に平成11年11月26日を表したと認められる「991126」の表示を、品名の欄に「テクノゲル PAL−35」の記載を、出荷数量「1020」の記載をそれぞれ確認し得るところである。しかして、取引者及び品名からして、これは前記乙第4号証の製品と相応するものの出荷に係るものと認められる。
以上によれば、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が液状樹脂(アクリル酸とメタクリル酸の共重合体)に使用さていることが確認でき、当該使用に係る商品(以下「本件使用商品」という。)が前記年月日に取引されたものと推認されるところである。
2.つぎに、本件使用商品が、本件商標の指定商品である「原料プラスチック」の範疇に属するものであるか否かについて判断する。
(1)プラスチック製の最終製品やその材料となるプラスチック基礎製品(プラスチック半加工品)と、原料プラスチックとは別種の商品であり、商品及び役務区分の第1類に属すべき商品「原料プラスチック」とは、成形等の加工を何ら施さない原料として取引されるところのプラスチックをいうものと解される(甲第2号証)。そして、その性状として粉状や粒状等のほかに液状の形態をとるものが認められるところである(乙第12号証、乙第13号証ないし同第15号証)。
(2)しかして、本件使用商品についてみるに、本件使用商品は、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体の樹脂であって、粘調液体の性状を有し(乙第4号証)、被請求人の主張及び乙第1号証によれば、毛穴クリアパックに打ち抜くシート状のプラスチック等の半加工品に加工するための材料として取引されるものと認められるものである。
そして、確かに語義的にみれば「加工」は「人工を加えること、原材料に手を加えること」ではあるが、本件使用商品がその製法(重合法)ゆえの構成量(34.80%以上)であること、その形態を液状としていること、あるいは、その品質保持のためこれに防腐剤が添加されていることによって原料としての機能・用途を損なうものでなく、これを成形等と同程度に加工を施したものであるとみるのは妥当でなく、本件使用商品は、成形等の加工を施した製品(半加工品)をつくるための材料(原料)として取引される商品、すなわち、「原料プラスチック」の範疇にあるものというべきである。
3.してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国において、商標権者によってその指定商品である「原料プラスチック」に使用されたと認め得るところである。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、その指定商品について使用されなかったものということはできないから、商標法第50条の規定により、その登録を取消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。