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Trademark Appeal Case

称呼の類否と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35244(T2001−35244/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4441614号商標(以下「本件商標」という。)は、「遠隔見聞録」の文字を標準文字とし、平成11年7月22日に登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,録画済みCDーROM」を指定商品として、及び第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,一般廃棄物の収集及び分別,産業廃棄物の収集及び分別,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験・検査又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,通訳,翻訳,個人の身元又は行動に関する調査,医療情報の提供,保育所における乳幼児の保育に関する情報の提供,老人の養護に関する情報の提供,身体障害者の擁護に関する情報の提供,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,計測器の貸与,自動販売機の貸与,火災報知機の貸与,消火器の貸与,暖冷房装置の貸与,超音波診断装置の貸与,加熱器の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,理化学機械器具の貸与,ルームクーラーの貸与,コンピュータデータベースへのアクセスタイムの賃貸,オンラインによる情報処理,科学技術に関する情報の提供,知的財産権に関する情報の提供,新聞・雑誌に記載された記事に関する情報の提供,電子計算機及び電子計算機用プログラムの遠隔監視」を指定役務として、同12年12月22日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標

請求人が本件商標の無効の理由について商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第1420135号商標(以下「引用商標1」という。)は、「見聞録」の文字を横書きしてなり、昭和52年1月24日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同55年6月27日に設定登録されたものである。

同じく登録第1521762号の商標(以下「引用商標2」という。)は、「マルコポーロ見聞録」の文字を横書きしてなり、昭和54年5月7日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同57年6月29日に設定登録されたものである。

同じく登録第2394951号の商標(以下「引用商標3」という。)は、「けんぶんろく」の平仮名文字と「見聞録」の漢字を上下二段に横書きしてなり、平成1年4月5日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同4年3月31日に設定登録されたものである。

同じく登録第3124095 号の商標(以下「引用商標4」という。)は、「ケンブンロク」の片仮名文字と「見聞録」の漢字を上下二段に横書きしてなり、平成5年3月17日登録出願、第7類「金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,化学機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,包装用機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のもの及び「水車,風車」を除く。),水車,風車,風水力機械器具,耕うん機械器具(手持ち工具に当たるものを除く。),栽培機械器具,収穫機械器具,植物粗製繊維加工機械器具,飼料圧搾機,飼料裁断機,飼料配合機,飼料粉砕機,牛乳ろ過器,搾乳機,育雛器,ふ卵器,蚕種製造用又は養蚕用の機械器具,苗床幕,漁業用機械器具,ミシン,ガラス器製造機械,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,機械式の接着テ―プディスペンサ―,自動スタンプ打ち器,起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用のものを除く。),交流発電機,直流発電機,芝刈機,修繕用機械器具,業務用電気洗濯機,家庭用電気洗濯機,電気ミキサ―,電機ブラシ,電動式カ―テン引き装置,陶工用ろくろ,塗装機械器具,軸,軸受け,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,バルブ」を指定商品として、同8年2月29日に設定登録されたものである。

同じく登録第3142009号の商標(以下「引用商標5」という。)は、「ケンブンロク」の片仮名文字と「見聞録」の漢字を上下二段に左横書きしてなり、平成5年3月17日登録出願、第11類「電球類及び照明用器具,あんどん,ちょうちん,ガスランプ,石油ランプ,ほや,工業用炉,原子炉,火鉢類,ボイラ―,ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台,冷凍機械器具,アイスボックス,氷冷蔵庫,飼料乾燥装置,牛乳殺菌機,乾燥装置,換熱機,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,暖冷房装置,家庭用電熱用品類,浴槽類,家庭用浄水器,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャ―,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,汚水浄化槽,し尿処理槽,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,業務用ごみ焼却炉,家庭用ごみ焼却炉,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサ―,便器,和式便器用椅子,あんか,かいろ,かいろ灰,湯たんぽ,化学物質を充てんした保温保冷具」を指定商品として、同8年4月30日に設定登録されたものである。

同じく登録第3181381号の商標(以下「引用商標6」という。)は、「ケンブンロク」の片仮名文字と「見聞録」の漢字を上下二段に横書きしてなり、平成5年3月17日登録出願、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケ―ブル,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,電気アイロン,電気式ヘアカ―ラ―,電気式ワックス磨き機,電気掃除機,電気ブザ―,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,盗難警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホ―ス用ノズル,消防艇,消防車,自動車用シガ―ライタ―,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテ―プ,ガソリンステ―ション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲ―ト,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコ―ダ―,電気計算機,パンチカ―ドシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,潜水用機械器具,ア―ク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,犬笛,検卵器,電動式扉自動開閉装置」を指定商品として、同8年7月31日に設定登録されたものである。

同じく登録第3225373号の商標(以下「引用商標7」という。)は、「うちの見聞録」の文字を横書きしてなり、平成5年8月4日登録出願、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気式ワックス磨き機,電気掃除機,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,盗難警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,犬笛,検卵器,電動式扉自動開閉装置配電用」を指定商品として、同8年11月29日に設定登録されたものである。(これらをまとめて、以下「引用商標」という。)

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第11号証を提出した。

(1)本件商標は、以下に述べる理由により、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきものである。

(ア)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、前記構成のとおり「遠隔」と「見聞録」の二つの部分よりなることは明らかであるばかりでなく、「遠隔」の文字と「見聞録」の文字とが一体となって既成の意味やその他特定の意味合いを形成する関係にはなく、一見したときに、単に二つの部分よりなるものとして認識されるものである。すなわち、「遠隔」の文字は、「遠く隔たっていること、かけはなれていること」の意味を表す抽象的な語であり、「見聞録」の文字は、「見聞きしたことを書きしるしたもの」の意味を表すものであるから、語義的に直接結合する要素はみられない。

そして、構成中の「遠隔」の文字は、指定商品、指定役務との関係においては、「遠隔制御」、「遠隔監視」、「遠隔操作」、「遠隔診断」等の用例が多数存在することから、商品が空間を遠く隔てた場面で機能や作用をし、また、同様の場面で役務が提供されることを表したものと認識される程度であって、識別力がないか極めて低いというのが相当である。すなわち、該文字は、これらの技術用語(他に「遠隔操作」、「遠隔医療」、「遠隔会議」、「遠隔手術」)等のように行為の一態様を表わすものとして普通に使用されていることは周知の事実であり、また、測定や制御に関連する商品・役務の品質・質表示としても広く一般的に使用されているものである。このことは、商品としての「制御装置」、「監視装置」、「診断装置」、「ロボット」等及び役務としての「医療」、「教育」、「講義」等のうち隔たりの不都合を解消しまたは隔たりを利用するものに「遠隔」の文字が、まさに品質又は質表示として使用されている事実からも明らかである。

このような状況のもとで、本件商標を使用した場合に、指定商品・指定役務の取引者、需要者は、「遠隔」の文字が商品・役務の品質・質を表示したものと理解するものというのが相当である。ようするに、商標を構成する語が、たとえ一般的な用語としても理解され得る側面をもっているとしても、それを商標として取引の場においたときに、それが商品や役務との関係で取引者、需要者にどのように認識されるかという観点から、当該用語を評価すべきである。このようにみてくると、本件商標構成中の「遠隔」の文字部分は、指定商品・指定役務との関係からみたときには識別機能を果たさない部分であるから、本件商標構成中自他識別力を有する部分は、「見聞録」の文字部分にあるものということができる。そのうえ、本件商標を全体として称呼するときには、冗長にわたるから、要部である「見聞録」の文字から生ずる「ケンブンロク」の称呼を、かつ、「見聞きしたことを書きしるしたもの」の観念をもって取引に資される場合も多いものといえる。

他方、引用商標1、及び3ないし6は、「けんぶんろく」又は「ケンブンロク」及び「見聞録」の文字よりなるものであり、引用商標2及び7商標は「見聞録」を要部とするから、引用商標はいずれも「ケンブンロク」の称呼及び「見聞きしたことを書きしるしたもの」の観念を生ずるものである。

してみると、本件商標は、引用商標と「ケンブンロク」の称呼及び「見聞きしたことを書きしるしたもの」の観念を共通にする類似の商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用するものである。

(イ)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、一連の構成からなるものとしても、その構成要素により二つの部分からなるものと容易に看取されるものであって、指定商品・指定役務との関係において両部分のあいだに軽重の差を有することは明らかである。そして、本件商標の識別標識としての機能を強く果たす部分に請求人の商標と同一の文字を含むものである。

ところで、請求人は、「見聞録」及び「けんぶんろく」の文字よりなる商標を「ビデオ内蔵型テレビ」に永年使用してきた(甲第9号証ないし同第11号証)。この商品は、ビデオを内蔵しかつコンパクトなことのほか、録画や画面表示方式等の機能面、さらには優れた画質、音質により人気を博し、’94年以降、登録時までの時期に限ってみても、その販売実績は、192,265台(約60億円)にのぼっていた。そして、請求人の旺盛な宣伝広告活動ともあいまって、請求人の使用に係る商標は、本件商標の登録時までには、「見聞録」といえば請求人の業務に係る商品を表示するものとして、この種商品分野の取引者、需要者の間に広く知られるようになっていたものである。

本件商標は、請求人の使用に係る商品と同一若しくは類似又は関連の深い商品・役務を含むものであるから、これをその指定商品・指定役務に使用するときには、あたかも請求人の業務にかかる商品・役務かのごとく、その商品・役務の出所について混同を生じさせるおそれがある。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)を提出した。

本件商標登録無効審判請求に対し、被請求人としては到底納得することができない。

(1)商標法第4条第1項第11号について

(ア)本件商標は、「遠隔見聞録」の漢字を同一の書体、同一の大きさの文字を同間隔に書してなるもので、これを「遠隔」と「見聞録」とに分離考察し、しかも、わざわざ後半の「見聞録」の文字のみが抽出され、これによって称呼、観念されることなどあり得ないことである。

すなわち、本件商標は、「遠くへだたっていること。かけはなれていること。」を意味する「遠隔」の文字と「見たり聞いたりしたことを書き記すこと。」を意味する「見聞録」の文字からなるものであるが、この2語は判然一体に融合し、そのいずれか一方に軽重の差が認められるような印象はなく、全体として「かけ離れたことを見たり聞いたりしたことを書き記したもの」としての一体的な意味合いが生ずるものである。

上記事実を立証するものとして、請求人が引用した引用商標1「見聞録」と引用商標2「マルコポーロ見聞録」とは、連合で結ばれていないことからも明らかに非類似の商標と判断されているものであり、被請求人の答弁とも一致するものである。

そして、本件商標より生ずる称呼は「エンカクケンブンロク」である。

これに対して引用商標1、及び3ないし6より生ずる称呼は「ケンブンロク」であり、引用商標2より生ずる称呼は「マルコポーロケンブンロク」であり、引用商標7より生ずる称呼は「ウチノケンブンロク」である。

してみれば、本件商標の称呼の「エンカクケンブンロク」と引用商標1、及び3ないし6の称呼の「ケンブンロク」、引用商標2の称呼の「マルコポーロケンブンロク」、引用商標7の称呼の「ウチノケンブンロク」とは、語調、語感を相違し、称呼上明確な差異を有するものである。

また、外観上は判然とした差異を有することは明らかであり、更に、観念については.本件商標は「かけはなれたことを見たり聞いたりしたことを書き記したもの」の意味を生じ、引用商標1、及び3ないし6は「見たり聞いたりしたことの文書」、引用商標2は「マルコポーロの見聞録」、引用商標7は「うちのなかで見たり聞いたりしたことを書き記したもの」の意味を生ずるものであるから、観念上も明らかに相違するものである。

(イ)請求人は、「本件商標は、『遠隔』と『見聞録』の文字よりなることを認識させることは明らかであり、・・・・・」旨を述べているが、そのような先入観、恣意的判断に基づいてた主張は、本件商標を機械的に分離考察するものであって、到底容認し得ない。しかるに、請求人は、本件商標中の「遠隔」の文字は、「操作」、「医療」、「会議」、「手術」、「制御装置」、「監視装置」、「診断装置」、「ロボット」の言葉を含まないのに、これらの言葉と結び付け、商品(役務)の品質(質)を表示する旨を述べるものである。

したがって、本件商標と引用各商標とは、称呼、外観及び観念において相違する非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

請求人は、本件商標が「見聞録」の文字を含むから、商標法第4条第1項第15号に該当する旨を述べている。

しかしながら、請求人は、商品「テレビ」について’94年以降使用されたとして、甲第9号証ないし甲第11号証「請求人力ラーテレビ総合カタログ」を提出したのみであり、その販売実績も‘94以降引用商標の登録時までとして、総計販売台数及び総計売上高概算を文中に述べるだけで、この程度の証拠によって、その著名性の事実を容認することはできない。

ちなみに、請求人が周知著名であると主張する「見聞録」の文字は、乙第3号証によれば、第三者によって登録第2490080号商標「見聞録」が昭和34年法、商品の区分第10類「理化学機械器具、光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具、医療機械器具、これらの部品および附属品、写真材料」を指定商品として登録され、さらに、登録第4309457号商標「見聞録」が国際分類第7版、商品の区分第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,運動用具,釣り具」を指定商品として登録されている事実がある。

してみれば、この程度の証拠によって、「見聞録」の文字を請求人以外の第三者が商標として使用することは、取引者、需要者が商品の出所について誤認混同を生じさせるとする主張は容認できない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するとの請求人の主張は理由がない。

5 当審の判断

(1)本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するかについて

本件商標は、上記のとおり「遠隔見聞録」の文字を標準文字にて、同じ書体、同じ大きさ、等間隔に外観上一体に表してなるものであり、また、これより生ずる「エンカクケンブンロク」の称呼も格別冗長でもなく、語呂よく一連に称呼し得るものである。

ところで、本件商標の前半部の「遠隔」の文字は、「遠く隔たっていること、掛け離れていること」の意味を有する語であるが、該語は、各技術分野の用語等と結合して、離れた場所での機能、作用を表すために、例えば「遠隔作用」、「遠隔操作」、「遠隔制御」、「遠隔監視」、「遠隔医療」、「遠隔診断」、「遠隔会議」等のごとくの技術用語をつくることとしても知られているものである。

そして、本件商標の後半部の「見聞録」の文字は、「見聞きしたことを書きしるしたもの」の意味であり、その使用例は「〜見聞録」(広辞苑第4版第5刷)と他の文字に後続した形態であって、その代表的なものとしてマルコポーロの「東方見聞録」の語が余りにも一般的に親しまれ、知られていると、わが国の教育水準からみていうことができる。

以上を総合すると、本件商標の「遠隔見聞録」の文字に接する取引者、需要者は、これが「遠隔」及び「見聞録」の文字よりなるものと理解、認識するとしても、その外観が一体的に表されており、また、「遠隔」の文字は、最近では技術の用語であるが熟語を作る傾向に加え、これに後続する語が「〜見聞録」の使用例が多い「見聞録」の文字であること、しかもその用例中極めてよく知られる「東方見聞録」と5文字の文字数を同じくし、かつ、これより生ずる「エンカクケンブンロク」の称呼も語呂がよく、更に、両文字の結合により生ずるとみられる「遠くに隔て、見聞きしたことの記録」ごときの意味合いも取り立てて不自然さを感じさせなく、看取し得るものであるから、全体として、あたかも、「東方見聞録」の語にあやかったかのような一連の造語を形成してなるものと理解し、「遠隔」と「見聞録」の文字間には一体性が印象付けられ、「見聞録」の文字のみが際だって、連想、想記されることはないものとみるのが相当である。

してみると、請求人がいう「商標を構成する語が、たとえ一般的な用語としても理解され得る側面をもっているとしても、それを商標として取引の場においたときに、商品や役務との関係で取引者、需要者にどのように認識されるかという観点から、当該用語を評価すべきである」ことを考察するとしても、「遠隔」の文字は、後続の用語との関係において、「商品及び役務の提供において空間を遠く隔てた場面で機能や作用をし、行為の一態様を表す」ことの一体の意味の技術用語を造っているものであるばかりでなく、本件商標についての前記認定からすれば、係る構成の本件商標においては識別力を有しない部分とも認識し難いから、「見聞録」の文字部分に識別力があるとして、この文字から生ずる「ケンブンロク」の称呼をもって取引に資される場合も多いとの請求人の主張は採用できない。

以上のようにみてくると、本件商標の「遠隔見聞録」の文字は、「遠隔」と「見聞録」の文字に分離されることのない、「エンカクケンブンロク」の称呼のみが生じる、一体の造語を表示したものというのが相当である。

他方、引用商標は、「見聞録」、「マルコポーロ見聞録」、「けんぶんろく」、「ケンブンロク」、「うちの見聞録」の文字及びその組み合わせた構成よりなるものであるから、該文字に相応し、それぞれ「ケンブンロク」、「マルコポーロケンブンロク」、「ウチノケンブンロク」の各称呼が生ずるものである。

そこで、本件商標より生ずる称呼の「エンカクケンブンロク」と、引用商標より生ずる称呼の「ケンブンロク」、「マルコポーロケンブンロク」、「ウチノケンブンロク」の各称呼とを比較するに、両称呼は「ケンブンロク」の音は共通にするとしても、構成音数、構成音の「エンカク」、「マルコポーロ」、「ウチノ」の音の有無の顕著な違いにより、区別されるものである。

そして、本件商標は、造語であって、引用商標とは観念上、比較し得ないものであり、外観においてもその構成からして十分区別できる。

そうすると、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観において非類似の商標であると認められる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(2)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するかについて

甲第9号証ないし同第11号証によれば、請求人が「見聞録」及び「けんぶんろく」の文字よりなる商標を「ビデオ内蔵型テレビ」に使用されてきたことは認められるとしても、該証拠は、「カラーテレビ総合カタログ」の、’94年7、9月、及び’98年3月発行にかかる3点のみに止まるものであって、著名性を認定するものとして十分なものとはいえず、この商品カタログのみをもってしては、引用商標が本件商標の出願から登録時まで引き続き著名なものであるとは認められないといわざるを得ない。他に、これを認めるに足る証拠はない。

そして、本件商標は、これを「遠隔」と「見聞録」とに何等分離してみる必然性もない、上記のとおり引用商標とは非類似のものであって、商標において別異なものであるから、被請求人が本件商標をその指定商品に使用しても引用商標の「見聞録」を連想、想記させるものでなく、請求または請求人と何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのように出所の混同を生ずるおそれはないものと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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