結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35128(T2002−35128/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4022200号商標(以下「本件商標」という。)は、「Lolita」と「Valentino」の欧文字を二段に併記してなり、平成7年6月15日に登録出願、第27類「洗い場用マット、壁紙」を指定商品として、同9年7月4日に設定登録されたものである。
請求人が引用する商標は、以下のとおりである。
(1)登録第1304792号商標(以下「引用A商標」という。)は、「VALENTINO」の欧文字と「ヴァレンティノ」の片仮名文字を二段に併記してなり、昭和49年8月20日に登録出願、第19類「台所用品(電気機械器具、手動利器及び手動工具に属するものを除く)日用品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同52年10月12日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第1276291号商標(以下「引用B商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を書してなり、同49年10月1日に登録出願、第19類「台所用品(電気機械器具、手動利器及び手動工具に属するものを除く)日用品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同52年6月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(3)登録第1315877号商標(以下「引用C商標」という。)は、「VALENTINO」の欧文字と「ヴァレンティノ」の片仮名文字を二段に併記してなり、昭和49年8月20日に登録出願、第25類「紙類、文房具類」を指定商品として、同52年12月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(4)登録第2128580号商標(以下「引用D商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を書してなり、昭和58年12月8日に登録出願、第25類「紙類、文房具類」を指定商品として、平成1年4月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(5)登録第852071号商標(以下「引用E商標」という。)は、「VALENTINO」の欧文字をやや図案化して書してなり、昭和43年6月5日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同45年4月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(6)登録第1415314号商標(以下「引用F商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を書してなり、昭和49年10月1日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同55年4月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第62号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号について
(ア)請求人は、イタリアの服飾デザイナーとして全世界に著名な「VALENTINO GARAVAN1(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」の同意を得て、同氏のデザインに係る各種の商品を製作、販売し、これらの商品に「VALENTINO GARAVANI」、あるいは「VALENTINO」の欧文字からなる商標を使用している者である。
(イ)上記「VALENTINO GARAVANI」の氏名は単に「VALENTINO(ヴァレンティノ)」と略称され、本件商標の登録出願の日前より著名なものとなっている。
この略称が著名であることについては、甲第7号証ないし同第10号証(新聞・雑誌の記事切り抜き、登録異議の申立てについての決定謄本、審決謄本)をはじめとして、甲第13号証の2、同第15号証の2、同第15号証の3、同第16号証の2,同第22号証の2、同第25号証の3、同第30号証の2(以上、雑誌記事)、同第48号証(報知新聞記事)によっても明らかである。
(ウ)本件商標の構成は前記したとおりであり、大きく二段に横書きされた「Lolita」「Valentino」の文字中の下段部分である「Valentino」の文字が「ヴァレンティノ」と称呼されることは明らかであるから、本件商標は、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)の著名な略称を含む商標であり、その他人の承諾を得ずに登録出願されたことは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項11号について
(ア)本件商標は、構成文字全体を称呼するときは「ロリタヴァレンティノ」の8音にも及ぶ冗長なものとなるばかりでなく、外観構成上「Lolita」の文字と「Valentino」の文字が上下二段に表示されていることもあって、「ロリタ」と「ヴァレンティノ」とがそれぞれ段落をもって称呼されるものであり、しかも、上記のデザイナー「VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)氏の氏名が「VALENTINO」(ヴァレンティノ)と略称されて著名なものとなっていることとも相挨って、これに接する取引者、需要者に親しまれている「VALENTINO」の文字に相応する「ヴァレンティノ」の称呼をもって、取引に資する場合が決して少なくない。
したがって、本件商標は、「ヴァレンティノ」の称呼をも生ずるものである。
(イ)引用A商標ないし引用D商標がいずれもその指定商品に使用された結果、全世界に著名なものとなっていることは甲第9号証及び同第10号証をはじめとして、同第62号証までの書証によっても明らかなところであって、引用A商標及び引用C商標は、いずれも「VALENTINO」「ヴァレンティノ」の文字よりなるものであり、その構成上「ヴァレンティノ」の称呼を生ずることは明らかである。
また、引用B商標及び引用D商標は「VALENTINO GARAVANI」の文字よりなるものであるから、その構成文字全体から生ずる「ヴァレンティノガラヴァーニ」の称呼のほか、構成文字前半の「VALENTINO」の文字に相応する「ヴァレンティノ」の称呼をも生ずるものである。
(ウ)したがって、本件商標と引用A商標ないし引用D商標は、「ヴァレンテイノ」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、本件商標の指定商品は各引用商標のそれと抵触するものであること明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、引用A商標ないし引用D商標以外の商品についても、多数の登録商標を使用している。これらのうち、引用E商標及び引用F商標を引用する。
しかして、請求人提出の甲第9号証及び同第10号証ないし同第62号証によれば、引用E商標は、婦人服、紳士服、ネクタイなどの被服等について使用されていること、各引用商標も本件商標の登録出願の日前より全世界に著名なものとなっていることは、明らかである。
そして、本件商標と引用A商標ないし引用D商標が称呼上類似する商標であることは上述のとおりであるから、同様の理由により、本件商標と引用E商標及び引用F商標とは、類似する商標である。また、本件商標の指定商品と各引用商標が使用されている商品はいずれも日用品や服飾品の範疇に属する密接な関係にある商品である。
したがって、本件商標は、これを被請求人がその指定商品に使用した場合、その商品があたかも請求人の製造、販売等の業務に係る商品であるか又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係にある者、すなわち姉妹会社等の関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ぜしめるおそれがあるものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
被請求人は、何ら答弁していない。
(1)請求人商標の著名性について
請求人は、自己の商標の周知・著名性を理由に、本件商標の商標法第4条第1項第15号該当違反を述べているので、先ず、この点について判断する。
本件審判請求の理由及び甲第7号証、同第13号証ないし同62号証(枝番を含む。)を総合してみるに、以下の事実が認められる。
(ア)「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)は1932(昭和7)年イタリア国ボグヘラで誕生、17才の時パリに行き、パリ洋裁学院でデザインの勉強を開始し、その後、フランスの有名なデザイナー「ジーン・デシス、ギ・ラ・ロシュ」の助手として働き、1959(昭和34)年ローマで自分のファッションハウスを開設した。1967(昭和42)年にはデザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー(Fashion Oscar)」を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウィーク誌など著名な新聞、雑誌に同氏の作品が掲載された。これ以来、同氏は、イタリア・ファッションの第一人者としての地位を確立し、フランスのサンローランなどと並んで、国際的なトップデザイナーとして知られるに至っていること。
(イ)我が国において、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の名前は、前記「ファッションオスカー」受賞以来知られるようになり、その作品は「Vogue(ヴォーグ)」誌などにより継続的に日本国内にも紹介されていたこと。昭和49年には三井物産株式会社の出資により同氏の日本及び極東地区総代理店として「株式会社ヴァレンティノ ヴティック ジャパン」が設立され、ヴァレンティノ製品を輸入、販売するに至り、同氏の作品は我が国のファッション雑誌や業界紙、一般新聞にも数多く掲載されるに至り、同氏は我が国において著名なデザイナーとして一層注目されるに至ったこと。また、請求人主張の全趣旨よりして、請求人会社は前記デザイナーのデザインに係る各種製品の製作・販売に携わる者であること。
(ウ)同氏の名前は、「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」とフルネームで表示される一方、同時に雑誌の記事や見出し中には、単に「VALENTINO」「ヴァレンティノ」と略称されてとりあげられており、この点は、例えば、甲第7号証(「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」に関するいずれも昭和51年発行の各種ファッション関連雑誌・同新聞広告のスクラップ記事)、甲第13号証(「世界の一流品大図鑑」1981年版)、甲第15号証(「世界の一流品大図鑑」1985年版)、甲第16号証(「男の一流品大図鑑」1985年版)、甲第22号証(「25ans,ヴァンサンカン」1987年10月号)、甲第30号証(「ミス家庭画報」1990年5月号)、甲第33号証(「ミス家庭画報」1994年6月号)、甲第48号証(平成3年7月29日付「報知新聞」の取材記事)等の記載に照らし、その状況を十分窺うことができる。そして、ファッションに関して、「VALENTINO」「ヴァレンティノ」といえば、容易に前記デザイナーを指し又はそのデザイナーブランドないしはその作品群を想起し得る状況が窺われること。
(エ)そして、我が国において、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」「VALENTINO GARAVANI」は、「ヴァレンチノ」、「ヴァレンティーノ」あるいは「VALENTINO」とも略されて表示されている(以下「略記商標」という。)状況は、田中千代著同文書院1981年発行「服飾辞典」及び山田政美著株式会社研究社1990年発行「英和商品辞典」の当該記載箇所、或いは、雑誌等において、例えば、株式会社集英社1989年12月5日発行「non―no」の当該記事(173頁)等からみて、すでに顕著であったといい得るところ、この略記商標について、前記時日以降も引き続き各種ファッション関連雑誌等において屡々見受けられるものであり、かつ、現在も特にその状況に変化がないであろうことは、例えば、甲第55号証(「エル・ジャポン」1997年8月号)、甲第56号証(「ドンナジャポーネ」1998年4月号)ほか請求人提出の各証拠に照らし十分推認し得ること。
以上の各点よりすると、「VALENTINO GARAVANI」「valentino garavani」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)の文字よりなる標章又は「VALENTINO」「Valentino」(ヴァレンチノ又はヴァレンティーノ)の略記標章(以下、これら標章又は前記2において引用した登録商標を一括して、「請求人商標」ともいう。)は、VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)がデザインした婦人服、アクセサリー、バッグ、靴等のファッション関連商品におけるデザイナーブランドとして、少なくとも本件商標の登録出願時である1995年(平成7年)6月15日前においてすでに我が国の取引者、需要者間に広く認識せられていたものであり、また、その状況は本件商標の登録査定時である平成9年7月4日を含む現在に至るまでの間も引き続き同様とみて差し支えないものである。
(2)本件商標の構成並びに指定商品について
本件商標は、その構成前記したとおり、「Lolita」と「Valentino」の欧文字を二段に併記してなるものであって、視覚上、自ずと上下に分離して看取し得るものであり、かつ、全体をもって特定の意味合いの熟語的文字として把握し得るような事情はなく、また、証拠も見出せないので、視覚上又は意味上においてこれらを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特段の理由は存しないから、該構成は、「Lolita」と「Valentino」の文字(語)を結合してなるものと容易に認識し把握されるものとみるのが相当である。
そして、本件商標に係る指定商品は、第27類「洗い場用マット、壁紙」とするものであって、前記請求人の取扱いに係る商品「婦人服、アクセサリー、バッグ、靴」等と同様、素材や色柄、デザインが重視される商品であって、デザイナーの関与が十分予想されるものである。
(3)出所混同のおそれについて
以上の(1)(2)を総合すれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、前記各事情よりして、その構成下段にあって、請求人商標又は略記商標と綴り字を同じくする「Valentino」の文字部分に着目し、容易に請求人商標又は略記商標を連想、想起するとともに、これをデザイナー「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)又は請求人会社に係る一連のデザイナーブランド又はその兄弟ブランドないしはファミリーブランドであるかの如く誤認し、或いはこれら者と事業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。
してみれば、本件商標は、他人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるものというべきであるから、その登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ない。
(4)結語
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、請求人のその余の無効事由について論及するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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