Trademark Appeal Case
顔図形商標の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2001−90900(T2001−90900/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4507557号商標(以下「本件商標」という。)は、商標の構成を後掲(1)に示すとおりの図形とし、平成12年6月29日に登録出願され、指定商品を第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」として、平成13年9月21日に商標権の設定の登録がされたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
<申立理由>
本件商標は、申立人が引用する登録商標、すなわち、平成9年8月5日に登録出願され、商標の構成を後掲(2)に示すとおりの図形とし、指定商品を第25類「フラール,その他の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」として、平成12年7月7日に商標権の設定の登録がされた登録第4398507号商標(以下「引用商標」という。)と外観及び観念において類似する商標であって、両者の指定商品は同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、商標権者に対して通知した取消理由は要旨次のとおりである。
<取消理由>
後掲(1)及び(2)に示すとおりの構成よりなる本件商標と引用商標とは、細部において異なるところがあるにしても、いずれも目と口のみで人の顔と思しき表情を表したものであり、その描写方法、基本的発想を同じくするものであって、外観において極めて紛らわしい類似の商標であり、かつ、指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。
4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由通知に対して、次のように意見を述べ甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。
<意見内容>
本件商標である「SMILEY FACE」は、1963年末に米国人「ハーベイ・ボール」氏によって創作・著作されている。
本件商標はそのマークの顔の部分を取り出したものである。
「ハーベイ・ボール」氏が本件「SMILEY FACE」を創作・著作したことは、別紙の資料で説明されている(甲第1号証 参照)。
本件商標と引用商標を比較すると、絵の大きさ、口の形等が異なっており、同一の商標とは言えない。
最近の判例では、平成13年10月25日の大阪地裁の判決で「『スマイルマーク』の称呼及び観念に属する標章すべてに及ぶとすることは、前記のとおり商標登録出願時には出所識別力・独占適応性を欠く表示であった可能性が高く、かつ微妙にデザインの異なる多くの標章を含むスマイルマーク全体について商標権者以外の者の使用が禁止される結果、特定の者がこれを独占することになり相当でない。以上によれば、本件商標権の禁止権の効力が及ぶ範囲は、本件商標に示された具体的外観(顔、目及び口の位置、描線等)を備えるスマイルマークに限定されると解するのが相当である。」との見解が出ている。
最近の法的判断は「『SMILEY FACE』は30年前から日本で使用されており、権利主張されたことがなかった」となっている状況がある。
然れば、その創作権・著作権はアメリカ政府、州政府、市等の「公的機関」で公認されている「ハーベイ・ボール」氏のものであるとすべきである(甲第2号証 参照)。
2002年6月17日、この「SMILEY FACE」はカナダ国によって「著作権登録」も認められている(甲第3号証 参照)。
商標権者は、故「ハーベイ・ボール」氏及びそれを引き継ぐ「ハ一ベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」の国内代理人であり、同氏との契約に基づき、「SMILEY FACE」の全世界での権利を継承している(甲第4号証 参照)。
以上の理由により、速やかに異議を退けるべきである。
5 当審の判断
(1)商標権者は、本件商標と引用商標を比較すると、絵の大きさ、口の形等が異なっており、同一の商標とはいえないと述べているが、本件商標についてした先の取消理由(上記3)は、本件商標と引用商標とは、外観において極めて紛らわしい類似の商標であると認定したものであって、他人の先願に係る登録商標に類似する商標であり、指定商品も同一又は類似のものである場合、商標法第4条第1項第11号に該当すること明らかである。
そうとすると、本件商標と引用商標とは、細部において異なるところがあるにしても、いずれも目と口のみで人の顔と思しき表情を表したものであり、その描写方法、基本的発想を同じくするものであって、外観において、互いに相紛らわしい類似の商標であり、かつ、両者の指定商品は同一又は類似のものであると認定した先の取消理由は妥当なものであるから、本件商標の登録は、上記法条項に違反してされたものといわざるを得ない。
(2)商標権者は、a)「SMILEY FACE」は、1963年末に米国人「ハーベイ・ボール」氏によって創作・著作されているものであって、本件商標はそのマークの顔の部分を取り出したものである。b)その創作権・著作権はアメリカ政府、州政府、市等の「公的機関」で公認されている「ハーベイ・ボール」氏のものであるとすべきであって、また、この「SMILEY FACE」はカナダ国によって「著作権登録」も認められている。c)商標権者は、故「ハーベイ・ボール」氏及びそれを引き継ぐ「ハ一ベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」の国内代理人であり、同氏との契約に基づき、「SMILEY FACE」の全世界での権利を継承している。d)大阪地裁の判決で「・・・スマイルマーク全体について商標権者以外の者の使用が禁止される結果、特定の者がこれを独占することになり相当でない。以上によれば、本件商標権の禁止権の効力が及ぶ範囲は、本件商標に示された具体的外観(顔、目及び口の位置、描線等)を備えるスマイルマークに限定されると解するのが相当である。」との見解が出ている。旨述べ、異議を退けるべきであるとしている。
(ア)しかしながら、商標権者は、故「ハーベイ・ボール」氏によって創作・著作された「SMILEY FACE」マークの権利を継承している者であって、たといこれに著作権があり、かつ、本件商標が該マークの顔の部分を取り出したものであるとしても、前記認定のとおりの当該他人の先願に係る登録商標の商標権が存続している以上、これら事情をもって、商標権者による登録商標の取得が正当化され、或いは、本件商標の登録が維持される理由になるものでないから、引用商標に係る商標権の存在を無視し、本件商標を商標法第4条第1項第11号に該当しないとすることはできない。
(イ)また、いわゆる「スマイルマーク」商標に関して、その商標権の禁止権の効力が及ぶ範囲は、当該商標に示された具体的外観(顔、目及び口の位置、描線等)を備えるスマイルマークに限定されると解するのが相当である旨の判断が示されたことは、商標権者の提出に係る大阪地裁での資料とする甲第2号証(平成3年10月25日判決言渡 平成12年(ワ)第5986号 損害賠償等請求事件)において認め得るが、これは登録商標の効力制限を判断したものであって、本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるかの適否を判断する本件にあっては、標章及び使用商品の相違等、別異の事案というべきであり、これをもって本件商標と引用商標とが類似しないとなるものでもない。
(3)結局、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものといわざるを得ないから、商標第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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