Trademark Appeal Case
著名商標「CITI」の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2001−90882(T2001−90882/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4499628号商標(以下「本件商標」という。)は、「e−CITI」の文字を標準文字により書してなり、第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成・試験若しくは動作検証・性能評価・診断(電子計算機を用いて遠隔にて行う診断を含む。)及び診断結果に基づく改善・保守又はこれらに関する支援その他の助言若しくは指導,電子計算機を用いた情報通信システムの設計・作成・試験・若しくは動作検証・性能評価・診断(電子計算機を用いて遠隔にて行う診断を含む。)及び診断結果に基づく改善・保守又はこれらに関する支援その他の助言若しくは指導」を指定役務として、平成11年10月1日に登録出願、同13年8月17日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する多数の商標は「CITIBANK」をはじめとして共通に「CITI」の語を語頭に有して成り、これらは100か国を超える国々で使用され、また非常によく知られている世界的に周知・著名の商標である。日本でも「CITI」を共通に語幹とする引用商標がCITIGROUP企業のみによって多数登録され、使用されている。コンピュータ及びこれによるネットワークシステムは、他分野の産業においては勿論のこと、金融・保険、その他経済の分野において不可欠であり、これらを含め、広範なサービスや商品について、現在も継続的に使用されているため、「CITIBANK」 、「CITICORP」 、「CITIMONEY」 、「CitiDirect」 、「 CitiShopping」 、「 CitiTravel desk 」 、「 CitiSpeciaI Loan 」 、「CITIPORTFOLIOS」等等多くの商標は、日本を含め広く世界の国々において需要者・取引者の間で広く知られるに至っており、すでに国際的に周知・著名の域に達している。
更に、シティコープを親会社とする「シティバンク/CITIBANK」が単に「シティ/CITI」と略称されて通用していることも新聞、雑誌等の記事・見出しでの使用例から明らかである。
そうしてみれば、「CITIBANK」または「CITIGROUP」企業の商号並びに接頭語として有名な「CITI」の語を配する本件商標は、商標法第4条1項第8号に該当にするのみならず、「CITI」を語幹とする引用の一連の商標群と極めて紛らわしい商標であると考えなければならず、また、本件登録商標がその役務に使用された場合には、相互の商品・役務の出所について混同を生ずるおそれがあるので、商標法第4条第1項第15号にも該当するものである。
本件商標は、申立人の「CITI」を要部とする著名な引用商標に類似し、申立人と何等の関係もない第三者の本件商標の使用がその名声の毀損等を招くことは必定であるから、客観的には信義則に反する目的で出願したといわざるを得ず、商標法第4条第1項第19号にも該当する。
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、第15号、及び第19号に違反してなされたものであるから取り消されるべきである。
申立人は、証拠方法として、甲第2号証乃至甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
3 取消理由の通知
当審は、平成14年8月27日付けで(発送日同年9月6日)、商標権者に対し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与え、本件商標の登録は商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものと認める旨通知した。取消理由の要旨は次のとおりである。
申立人の提出した甲各号証によれば、次の事実が認められる。
申立人は、「シティバンク」などの企業を保有する米国の持ち株会社である。
シティバンクは、1812年ニューヨークに設立され、個人金融事業及び法人金融事業を行っており、株式時価総額及び純利益が米国銀行中第1位であり、世界で最大規模のカード事業を行っており、世界的に広く知られた米国の銀行である。同銀行は、我が国においては1902年に横浜支店を開設し、その後1997年には19支店を有するに至り、個人金融事業及び法人金融事業を行っており、最近では他行に先駆けてATM24時間サービス、海外口座、外貨預金、自由返済型住宅ローン及びリテールサービスなどのサービスを提供しており、これらのことが新聞や雑誌などで報道されているので、我が国においても「シティバンク」の名称をもって広く知られている。ちなみに、シティバンクは、我が国における外資系金融機関の知名度及び外国銀行人気度が第1位である。
同行は、「CITIBANK」「Citicard」など「CITI」の文字を含む商標を自己の業務に長年使用している。また、上述したとおりシティバンクに関して新聞や雑誌などで多数報道されているが、この場合シティグループ又は同行を指称するものとして「シティ」の略称が相当数使用されている
これらの事実からすれば、「CITI」の語は、シティグループ又はシティバンクの略称若しくは同銀行の使用する商標として本件商標の出願時及び登録査定時はもとより、その後においても取引者・需要者間に広く認識されていると認められる。
上記事実に加えて、1998年12月8日付け日経金融新聞には「今後CATVのデジタル化が進む見通しで、金融サービスに対する需要も高まると判断、シティは他の金融機関に先行してシステム構築を急ぐ。米国にはCATVを接続した家庭が6900万世帯あるとされる。インターネット・バンキングを担当する『e−シティ』部門では、パソコンの普及率やネットに接続する家庭の増加を待つより、既存のCATV網を活用する方が利用者拡大に有効だと判断した。」との掲載が、1999年2月23日付け日本経済新聞には「大手シティバンクを傘下に持つシティグループ内で『eシティ(電子シティ)』と呼ぶ会長直属のネット戦略が着々と進んでいる。責任者はエドワード・ホロウィッツ氏。」「ホロウィッツ氏率いるeシティ部隊は1200人。シティの従来型オンラインシステムを捨て、新しいシステムを一から構築する任務を負っている。」との掲載が、同年5月1日付け日本経済新聞には「シティグループでは電子商取引を担当する『eシティ』の赤字幅が二割も拡大。」との掲載が、同年5月12日付け日経金融新聞には「シティグループは2012年に顧客を10億人とする計画を掲げている。従来の手法で達成できる数ではない。そのために、約二年前に娯楽大手バイアコムからMTVからエドワード・ホロウィッツ氏を引き抜いた。インターネット専門部隊eシティのトップに据え、顧客吸引力のあるインターネット利用法を探っている。シティのインターネットバンキングは一定の効果を収めつつある。米国から始まった個人向けインターネットバンキングは米欧アジアの12カ国に拡大。7カ国語で営業を始めている。シンガポールから始めた企業向けインターネットは、いずれは日米欧にも適用範囲を広げる計画。」との掲載が、同年6月24日付け日本金融新聞には「シティグループでは、ネット子会社のeシティが公共料金の払い込みをオンラインに切り替えることを促すキャンペーンを展開している。」との掲載が、同年7月20日付け日本経済新聞には「米最大の金融機関シティグループが19日発表した99年4−6月決算は純利益が24億4800万ドルと前年同期に比べて9.3%増えた。米景気の好調を反映し、グループ全般で収入、利益が伸びた。・・・ただ、インターネット金融部門のeシティはシステム開発費用負担などで4400万ドルの赤字と赤字幅が拡大している。」との掲載がされ、その後も2000年2月18日付け日本経済新聞並びに同年6月29日付け及び同年8月2日付け日経金融新聞にはeシティ関連の記事が掲載されていること、そして、申立人は「E−CITI」の文字からなる商標を第36類に属する役務を指定役務として、平成11年10月7日に商標登録出願し、同商標は同13年4月20日に商標登録第4468317号として設定登録されたことが認められる。
これらの事実よりすれば、申立人は遅くとも平成12年末ごろよりシティグループにおけるインターネット部門を「eシティ」と称してその金融事業を行っており、この「eシティ」については新聞などで報道されてきたことが認められ、「eシティ」の表示は「イーシティ」と称呼され、「CITI」及び「シティ」の著名性を考慮すると「e−CITI」の表記を連想、想起させるものである。
以上のことよりすれば、本件商標は、構成中にシティグループ又はシティバンクの略称若しくは同銀行の使用する商標としてその出願時及び登録査定時はもとより、その後においても著名な「CITI」の文字を有するのみならず、シティグループにおけるインターネット部門の名称を連想、想起させる構成よりなるものであるから、その指定役務に使用するときは、取引者・需要者がその役務がシティバンク若しくはシティグループ又はこれらと経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのようにその役務の出所について混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
4 商標権者の意見
上述した取消理由の通知に対し、商標権者は意見書を提出していない。
5 当審の判断
本件商標の登録は、上述した取消理由により、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してされたと認められるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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