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Trademark Appeal Case

不正目的の商標登録

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2001−90684(T2001−90684/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4483736号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4483736号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のおりの構成よりなり、平成12年6月26日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同13年6月22日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立て理由

本件商標は、商標法第4条第1項第19号、同7号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由の要点

本件商標権者は、申立人の使用する別掲(2)に示す商標(以下「引用商標」という。)と同一又は類似の商標を、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の承諾を得ずに無断で登録出願し登録を得たものといわなければならないから、本件商標に係る商標権者の上記行為は、公正な競業秩序を阻害するおそれがあるばかりでなく、国際信義に反するおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると認められるから、その登録は商標法第4条第1項第7号の規定に違反してされたものである。

4 商標権者の意見要旨

本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではないから、その登録は取り消されるべきではない。

(1)化粧品産業の場合は海外に売るための海外marketingの一番の基本は、商標の登録である。

(2)当社の社名は韓国化粧品であるように、主な業務は、韓国の化粧品の並行輸入業であり、韓団の大手化粧品会社の中で一つの韓国化粧品という会社の日本販売代理店でもある。

(4)並行輸入というのは、申立人の商品を輸入すると意味であり、商品の出所は申立人と同じであるので、そのような異議は間違いである。

(5)当社が出願したのは、第3者による使用を防ぐためであり、当社の並行輸入の商売のために商標を守ろうとしただけである。不正の目的ではない。

(6)MAKERに事前に商標登録の連絡をしてないのは、MAKERから直轄輸入しても市場もない、売れる予測がないので接触する必要がなかった。有名だからでなく、少量で並行輸入し売る、BRAND価値が低い商標である。

(7)韓国から卸業者が小売業者から少量で並行輸入をするのにMAKERに報告することはなく、当社にそんな義務はない。商標登録の権利を振る舞って韓国のNADORIという会社の日本進出に妨害するつもりもない。

(8)当社は、商標の権利者になってから申立人に日本での販売権をくれとも言ってないし、申立人が当社にあげると提案をしても別に欲しくないのである。

(9)申立人が日本で商標を登録しなかった間違いは認めなく、当社が不正の面があるよう主張しながら、当社の権利を取り消されるべきであるという主張は間違いである。

(10)化粧品の産業は、会社が小さくても化粧品を売るため、商品の宣伝の事で会社の名前が、違う産業に比べて認識されているように見える特性がある業種である。会社の歴史が長いという事で認識されているとは証明できない。

(11)甲第27号証ないし甲第39号証は、NADRI商標の広告ではない。NADRIという社名は1994年から使用してから、そんなに時間が経っていない。広告は商標としてではなく社名で広告に載せているだけである。

(12)INTERNETの検索結果による韓国人気と韓国旅行、韓国コスメは、NADRIという名とは全く無関係で、特に女性を中心に韓国の化粧品やタレントが人気を博していることから、申立人の化粧品が日本で周知著名となっていたとの主張は大袈裟な話である。ほかの国では、商標の登録を早くしたのに日本ではしていなかったもので、この点から日本での商標登録は諦めていたに違いない。

(13)申立人の化粧品は日本では使用禁止になっている成分が、限界容量を越えている商品が多数あると聞いてあるので、日本での正式な販売は不可能である。日本の薬事法違反をしながら販売したことと同じである。当社は、日本に合う品目だけ少量に並行輸入している。甲第42号証の化粧品輸入届け許可は、申立人からもらった英文の成分書がないので認められない。そして、同成分表を見れば上記した内容及び日本試験機関に検査すれば内容が確認できる。当社が本格的に輸入をしない訳はここにある。

5 当審の判断

多年に亘って企業が努力を積み重ね、多大な宣伝広告費をかけることにより、需要者間において広く知られ、高い名声、信用、評判を獲得するに至った周知、著名商標は、十分に顧客吸引力を具備し、それ自体が重要な財産的価値を有するものといえる。

これらの周知、著名商標については、第三者の使用により出所の混同のおそれまでなくても、出所表示機能を希釈化させたり、その周知、著名商標の持つ名声を毀損させることが可能であり、このような目的をもった不正な使用から十分保護する必要がある。

また、わが国で他人が外国の周知、著名商標を権利者の了承を得ることなく無断で出願・登録したことを巡り、外国との間で国際摩擦に発展した事例も少なくなく、商品又は役務の国際取引の活性化に伴い、外国で周知、著名な商標の保護の重要性もますます高まっている。

ところで、わが国の商標法は、先願登録主義を原則として採用するところであるが、公正な競争を図り、取引秩序を維持することを目的とする競業秩序を維持する面をもっているものである。そして、商標法第4条第1項第7号は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標は、商標登録を受けることができない」旨を規定しており、その趣旨は商標の構成自体が公序良俗に反する場合だけでなく、当該商標を指定商品あるいは指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、あるいは社会の一般道徳観念に反する商標、また、公正な競争を損ない、取引秩序の商道徳・国際信義則に反する場合も含まれるものと解される。

そこで、かかる観点から、本件商標をみるに、申立人の提出の証拠によれば、韓国の化粧品会社である申立人は、美容関連商品の総売上高において世界の化粧品会社の中で第60位にランクされている会社であって(甲第1号証)、申立人の業務に係る化粧品は、韓国内のみならず、オーストラリア、カナダ、中国、英国、米国など多くの国々で販売され(甲第26号証)、わが国には、平成12年3月に輸入されている(甲第42号証)。申立人は、化粧品について、平成6年以降、韓国内の日刊紙に数多くの広告を掲載し(甲第27号証ないし同第39号証)、また、米国、ベトナムにおいても広告を行っていることが認められる(甲第40号証及び同第41号証)。

申立人の化粧品には引用商標が使用されており、その構成をみると、構成中の「Nadri」の文字は既成語とは認められないものであり、また、同文字の「I」の文字に一部分覆われた右傾斜の楕円形様図形と「Nadri」の文字の組み合わせは、類例のない独創的なものと認めることができる。

これに対し、本件商標は、文字と図形の組み合わせ部分は上記引用商標と同一であり、また、その下段に示されたハングル文字は、申立人が同化粧品について引用商標と併せて、或いは、独立して使用しているハングル文字(甲各号証参照)と同一の文字構成よりなるものである。

そうすると、商標権者は、申立人と何らの関係のない並行輸入業者であるところ、明らかに、申立人の使用する商標を知り得て、これと同一又は類似の本件商標を、申立人の承諾を得ずに無断で登録出願し登録を得たものと言うことができる。

そうすると、例え、商標権者は、本件商標を出願したのは、第3者による使用を防ぐためであり、一刻も早くし当社の並行輸入の商売のために商標を守ろうとしただけで、不正の目的ではない、さらに、被請求人が商標登録の権利を振る舞って韓国のNADORIという会社の日本進出に妨害するつもりもない、申立人に日本での販売権をくれとも言ってない等々述べているとしても、商標権者の本件商標に係る前記行為は、公正な競業秩序を阻害し、また、国際信義に反するおそれがあるものと認められる。

そして、商標権者のその他の主張も並行輸入に関する独自の見解であって、信義、誠実に反し、採用できない。

してみれば、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると認められるから、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反してされて登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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