Trademark Appeal Case
称呼類似性「チ」音の差異
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2002−90368(T2002−90368/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4548583号商標(以下「本件商標」という。)は、平成13年3月22日に登録出願され、「エスプリッチ」の片仮名文字と「ESPRICH」の欧文字を二段に横書きしてなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布」を指定商品として、平成14年3月1日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の使用に係る商標の著名性にフリーライドするものであり、また、この著名な「ESPRIT」商標に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがあるから、公正な競業秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであり、商標制度の趣旨に則しないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反してなされたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
(2)本件商標は、昭和30年2月5日に登録出願され、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第3類「香料及び他類に属しない化粧品」を指定商品として、昭和30年11月30日に設定登録された登録第473625号商標及び平成5年6月30日に登録出願され、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成9年4月25日に設定登録された登録第3298421号商標(以下、まとめて「引用商標」という。)と外観、称呼において類似する商標であり、また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
(3)上記の引用商標のほか昭和38年3月27日に登録出願され、「エスプリ」の片仮名文字を横書きしてなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和39年9月21日に設定登録された登録第653754号商標、昭和53年12月11日に登録出願され、「ESPRIT」の欧文字を横書きしてなり、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、昭和57年12月24日に設定登録された登録第1558196号商標及び昭和61年8月8日に登録出願され、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、昭和63年11月30日に設定登録された登録第2097119号商標(以下、引用商標と上記各商標を一括して「引用各商標」という。)は、申立人の業務に係る主力商品である「被服」に使用する商標として著名な商標であるところ、本件商標は、これら著名な引用各商標と類似する商標であって、申立人の業務に係る商品「被服」と密接な関連性を持つ指定商品「せっけん類、香料類、化粧品」について使用するものであるから、本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反してなされたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)本件商標は、前記したとおりであるところ、その構成に係る上段の「エスプリッチ」の片仮名文字及び下段の「ESPRICH」の欧文字の各文字は同書、同大、等間隔に一連に表示されているものであり、その称呼も長くなく一気によどみなく称呼し得るものであって、これを分離しなければならない格別の理由は認められないものであるから、このまとまりよく一連に表された本件商標は、不可分一体のものであり、その構成文字に相応して「エスプリッチ」の称呼のみを生ずる造語よりなるものと認識、把握されるというのが相当である。
これに対し、引用商標は、前記したとおりであるから、それぞれの構成文字に相応して「エスプリ」の称呼を生じ、「精神、機知、才気」等の意味合いをもって看取される。
しかして、本件商標より生ずる「エスプリッチ」の称呼と引用商標より生ずる「エスプリ」の両称呼は、音構成、構成音数が相違し、本件商標の語尾には促音の後で明確に発音され、聴取されるといえる「チ」音を有するという顕著な差異が認められるから、この差異が両称呼を比較する上で及ぼす影響は大きく、それぞれを一連に称呼した場合には、語感語調が明らかに異なり、称呼上、相紛れるおそれのないものである。
また、両商標は、それぞれ前記のとおりの構成からなり、本件商標の後部には引用商標にはない「ッチ」又は「CH」の文字が余分に存するものであるから、外観においては十分に区別し得る差異を有するものと認められる。 さらに、観念においては本件商標は造語と認められるから、両者は比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても非類似の商標といわなければならない。
(2)申立人より提出された甲第7号証ないし同第52号証によれば、申立人の使用する別掲(2)に示す特徴のある「ESPRIT」の欧文字をデザイン化した商標は、申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして、取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることができるとしても、本件商標は、上記認定のとおりであって、引用各商標とは、外観、称呼、観念のいずれよりみても類似しない別異の商標といえるものであるから、本件商標より申立人の引用各商標を想起させることはなく、その他、両商標間に誤認混同を生ずる事由は見出せない。
してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、その商品が申立人の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
(3)本件商標は、前記のとおりであって、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な文字又は図形からなるものでなく、また、本件商標を指定商品について使用することが、社会公共の利益・一般道徳観念に反するものでもないし、かつ、国際信義に反するものともいえない。
(4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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