sokuhyo

Trademark Appeal Case

商標の称呼と外観の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2002−60106(T2002−60106/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「防火引戸用自動開閉装置」に使用するイ号標章は、登録第1031799号商標の商標権の効力の範囲に属しない。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1031799号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和45年1月31日に登録出願、第7類「金属製建築または構築専用材料」を指定商品として、同48年9月10日に設定登録され、その後、同58年8月29日及び平成5年8月30日の2回に亘り存続期間の更新登録がなされているものである。

2. イ号標章

被請求人が商品「防火引戸用自動開閉装置」に使用する標章として、請求人が示すイ号標章は、別掲(2)のとおりの構成よりなるものである。

3. 請求人の主張の要約

請求人は、「商品『防火引戸用自動開閉装置』について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する。」との判定を求め、その理由の要旨を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第21号証を提出している。

(1)判定請求の必要性

請求人(本件商標の商標権者)は、被請求人が、イ号標章を商品「防火引戸用自動開閉装置」に使用していることに対し、平成14年7月15日付けで、被請求人に、本件商標の商標権を侵害するものである旨の警告を発した。

その後、被請求人の代理人から、「仮に『ホウワ』の称呼が生じるとしても、イ号標章の外観は、本件商標の外観と異なるから、イ号標章の使用は、本件商標の商標権を侵害するものではない。」旨主張する、平成14年10月31日付けの回答書(甲第10号証)が届いた。

請求人は、イ号標章の称呼が、本件商標と同じ「ホーワ」であり、また、イ号標章の外観も本件商標に類似である(何れか1つで良いが)から、被請求人が商品「防火引戸用自動開閉装置」について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力範囲に属するものであることはきわめて明白であると考える。

そこで、請求人は、本件商標の商標権の効力範囲について専門的知識をもって中立的立場から判断される判定を特許庁に求め、その判定に基づいてこの問題を解決することにした。

よって、本件判定を求める次第である。

(2)「イ号標章」の説明

請求人による最近の調査によれば、被請求人は、自ら製造している商品「防火引戸用自動開閉装置」の販売のために、平成3、4年頃から、イ号標章を付した商品「防火引戸用自動開閉装置」のカタログ(甲第3号証)等を作成し、このカタログを使用して、被請求人の支店や営業所及び三和シャッター工業(株)、文化シャッター(株)(甲第11号証)等を通じて販売している。

また、被請求人は、自ら製造している他の商品、「換気排煙窓開閉装置」や「ハイブリッドドアーシステム」等の販売のために、「換気排煙窓開閉装置」カタログ(甲第3号証)等を作成し、これらのカタログ使用して、被請求人の支店や営業所を通じて販売している。

被請求人が、商品「防火引戸用自動開閉装置」の販売や展示に使用しているイ号標章は、「HOWA」の文字の「O」の内部を塗りつぶして「●」とすると共に、●の上側に長音を示す横長線を付したもので、その表示から「ホーワ」の称呼が生じることは明らかである。

また、当該文字を横長丸で囲んだ外観であっても、横長丸の内部が「HOWA」の文字の外観であり、筆記体で記載した「Howa」の文字からなる本件商標と外観が類似していることも明らかである。 また、被請求人が製造、販売している商品「防火引戸用自動開閉装置」は、商品「防火引戸用自動開閉装置」カタログ(甲第3号証)の記載から明らかなように本件商標の指定商品である「第7類 金属製建築または構築専用材料」に該当するものである。

商標法施行規則別表には、指定商品「第7類 金属製建築または構築専用材料」の商品名として、「金属製防火とびら」や「とびらの金属へいそく装置」が記載されている。

本件イ号標章は、被請求人が、会社のハウスマークとして使用しており、総合力タログ(甲第3号証)や郵便封筒(甲第12号証)等において金属製建築や構築専用材料の商品と共に使用している。

被請求人は、インターネットのホームページにおいても使用していたが、警告後の平成14年10月中旬に理由は分からないが、使用を中止している。

(3)本件商標の使用の説明

請求人は、甲第13号証に記載されているように、明治40年(1907年)に豊田式織機の製造、販売を目的として設立され、昭和33年(1958年)から金属製建具の製造販売を開始し、昭和35年(1960年)からアルミサッシやドアの製造販売を開始し、昭和40年(1965年)からアルミ防音サッシの製造を開始し、昭和46年(1971年)からカーテンウォールの製造販売を開始し、昭和58年(1983年)からシャッターブラインドの販売を開始し、平成5年(1993年)から甲種防火戸の製造販売を開始しており、金属製建築または構築専用材料の種々の製品を長期間に亘って製造、販売している。

請求人は、昭和33年10月18日付で指定商品を「第7類 他類に属しない金属製品」とする漢字からなる標章「豊和」の商標出願を行い、商標登録第551823号として登録(甲第14号証)され、また、昭和36年10月24日付で指定商品を「第7類 金属製建築または構築専用材料」とするアルファベットからなる標章「HOWA」の商標出願を行い、商標登録第605998号として登録(甲第15号証)され、その後、昭和45年1月31日付で指定商品を「第7類 金属製建築または構築専用材料」とするアルファベットの筆記体からなる標章「Howa」(「本件商標」)の商標出願を行い、商標登録第1031799号として登録(甲第2号証)されている。

請求人は、本件商標を、請求人が製造、販売している金属製建具、アルミサッシ、ドア、防音サッシ、カーテンウォール、ブラインド、甲種防火戸等の金属製建築や構築専用材料の商品の販売に幅広く使用すると共にこれらの商品にも直接使用し(甲第16号証)、その後も継続して使用して現在に至っている。

請求人が、本件商標を使用している商品の販売金額は、1970年頃で約50億円、1980年頃で約100億円(甲第17号証)、1990年頃で約100億円(甲第18号証)、2000年頃で約65億円(甲第19号証)であり、本件商標は、建築材料分野において請求人が永年使用してきた結果、遅くとも被請求人に対し前記警告を発した平成14年7月15日頃までには、日本国内において、請求人の業務にかかる商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至ったものである。

(4)被請求人に対する過去の警告と被請求人からの回答について

被請求人は、昭和52、53年頃、建物窓用の商品「排煙用オペレーター」や「サッシ金物」の販売にアルファベットからなる標章「HOWA」を使用していた(甲第20号証)ので、昭和53年2月22日に先ず電話によって警告を行うと共に、同年9月8日に被請求人の代表者に面談して警告を行っている。

その結果、被請求人から、請求人の「HOWA」を使用したことを謝罪すると共に、今後は、請求人の登録商標「HOWA」を登録の範囲内で一切用いないことを確約する旨の回答書(甲第21号証)が届いている。

そこで、請求人としては、被請求人が今後商標「HOWA」を一切用いないことを信頼し、被請求人による過去の登録商標「HOWA」の使用についてそれ以上追求することを停止したのである。

また、当然のことながら、請求人は、被請求人が標章「HOWA」を引続き使用していないものと信頼してきており、被請求人が菱形の中にHを記載した標章をハウスマークとして使用していると考えていたのである。

後日の調査によれば、被請求人は、平成2年ころまでは標章「HOWA」に類似する標章を使用していなかったと考えられる。

(5)イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明

本件商標は、アルファベットの筆記体で「Howa」の文字を書してなる

ものであるから、これより「ホーワ」の称呼を生じ、また、「Howa」の文字の外観を生ずるものである。本件商標の「Howa」が「ホーワ」の称呼を生じることは、特許庁電子図書館(IPDL)の「本件商標」の登録データである登録情報検索結果(甲第2号証)の記載からみても明白である。

他方、イ号標章は、「HOWA」の文字の「O」の内部を塗りつぶして「●」とすると共に●の上側に長音を示す横長線を付したもので、その表示から「ホーワ」の称呼が生じることは明らかであるし、「HOWA」の文字の外観を生ずるものである。

したがって、本件商標とイ号標章とは、「ホーワ」の称呼を共通にし、また、アルファベット文字の外観が、「Howa」と「HOWA」で類似しており、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、類似の標章というべきである。

そして、本件商標にかかる指定商品の第7類「金属製建築または構築専用材料」と、イ号標章の使用商品「防火引戸用自動開閉装置」とは、使用商品「防火引戸用自動開閉装置」が第7類「金属製建築または構築専用材料」における「金属製防火とびら」や「とびらの金属閉塞装置」に該当する商品であるから、類似の商品である。

以上のとおり、イ号標章は本件商標と類似する標章であり、その使用商品と指定商品も類似する商品であるから、被請求人が商品「防火引戸用自動開

閉装置」に使用するイ号標章は、登録第1031799号商標の商標権の効

力の範囲に属するものである。

(6)結び

よって、請求の趣旨のとおりの判定を求める。

4 被請求人の答弁

被請求人は、請求に対し、何ら答弁していない。

5 当審の判断

(1)標章の類否について

本件商標は、別掲(1)のとおり、やや図案化された「Howa」の欧文字よりなるところ、その構成文字に相応して「ホーワ」の称呼が生ずるものであり、特定の観念を生じない造語であると認められる。

一方、イ号標章は、別掲(2)のとおり、横長楕円の輪郭内に、「H」の文字、直線の下に黒塗りの円を描いた図形、「W」の文字及び「A」の文字を一連に横書してなるものであるところ、直線の下に黒塗りの円を描いた図形は、アルファベットの一文字「O」を図案化したものであると容易に看取し得るものであるから、当該輪郭内の表示は、図案化された「HOWA」の文字を表してなるものであるとするのが相当である。

また、イ号標章構成中の輪郭部分は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章と認められることから、イ号標章中の自他商品識別標識としての機能を有するのは、「HOWA」の文字にあると認められる。

そうとすれば、イ号標章は、「HOWA」の文字より、その構成文字に相応して「ホーワ」の称呼が生ずるものであり、特定の観念を生じない造語であると認められる。

したがって、本件商標とイ号標章とは、ともに図案化されているため、外観においては区別することができ、ともに観念を有さないため、観念においては比較することができないとしても、「ホーワ」の称呼を共通にする類似の商標である。

(2)商品の類否について

本件商標の指定商品である「金属製建築または構築専用材料」は、「材料」であることから、自動(自分の中に動力を持っていて、自ら動く)の商品を含まないと解されるところ、イ号標章の使用商品である「防火引戸用自動開閉装置」は、甲第4号証によれば、「自動閉鎖の駆動部」を有することが認められるから、モーターなどの駆動装置を利用して引戸の開閉を行うのものと認められる。

したがって、両商品は機能が全く異なっているものであるから、「防火引戸用自動開閉装置」は、「金属製建築または構築専用材料」に属する商品ではなく「機械器具」に属する商品であると解するのが相当である。

また、両商品は、原材料及び品質が一致しているとはいい難いばかりでなく、必ずしも、生産部門及び販売部門を共通にしているとも認め難い。

そうとすれば、本件商標の指定商品である「金属製建築または構築専用材料」とイ号標章の使用商品である「防火引戸用自動開閉装置」とは、類似の商品であるということはできない。

(3)結び

したがって、本件商標とイ号標章とは、その標章において類似するとしても、イ号商標の使用に係る「防火引戸用自動開閉装置」は、「機械器具」に属する商品であって、本件商標の指定商品「金属製建築または構築専用材料」とは、非類似の商品と認められること前記(2)で述べたとおりであるから、被請求人が、商品「防火引戸用自動開閉装置」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないと判断すべきである。

よって、結論のとおり判定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。