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Trademark Appeal Case

使用許諾契約の証拠能力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2002−30377(T2002−30377/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2722860号商標(以下「本件商標」という。)は、「REX」の文字を書してなり、平2年1月30日に登録出願、第11類「電子計算機、中央演算処理装置、パーソナルコンピュータ用拡張ボード、その他本類に属する商品」を指定商品として、同9年8月29日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「電気機械器具」の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を次のように述べた。

(1)本件商標の指定商品中「電気機械器具」は、商標権者により継続して3年以上、日本国内において使用されていない。

また、本件商標の商標権には専用使用権が設定されておらず、加えて、通常使用権も登録されていないことから、本件商標権の通常使用権者も存在しないことが推認し得る。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消しを免れない。

(2)被請求人の答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標を本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品中「電気磁気測定器」について使用しているものであり、本件商標は、何ら取り消されるべき理由がない旨主張し、乙第1号証及び乙第2号証を提出している。

しかしながら、被請求人がその使用の事実を証明する資料として提出した前記証拠は、証拠能力に欠けるものである。

すなわち、被請求人は、本件商標が通常使用権者によって、本件審判請求に係る指定商品について使用されており、その事実を説明する資料として通常使用権者の製品カタログ(乙第1号証)及び被請求人と通常使用権者とが交わした本件商標の通常使用権許諾契約書(乙第2号証)を提出しているが当該乙第2号証には、2000年6月8日付で通常使用権が許諾されていることが明記されているものの、この通常使用権許諾契約書は、審判請求後に作成可能である。

仮に、2000年6月8日付で通常使用権が許諾されたのであれば、被請求人に対価が支払われているはずであり、その対価が2000年6月8日から30日以内に支払われたとの証拠が存在するはずである。

そして、この契約は第11条に規定されているように、対価が支払われることによって有効な契約であるにも拘わらず、その対価が支払われた証拠の提出がされていない以上、この契約自体が有効であったとは認められず、本件審判請求後に通常使用権許諾契約書が作成された疑いがある。

さらに、以下のことからも、通常使用権許諾契約書は、本件審判請求後に作成された疑いがある。

前記通常使用権許諾契約書(乙第2号証)の第3条及び第4条によれば、契約期間は1年であり、1年ずつ更新することが可能となっており、更新する場合、使用許諾対価の支払予定日を通知することになっている。

2000年6月8日付で通常使用権が許諾されているのであれば、その1年後すなわち2001年の支払い予定日を通知する書面及び対価が支払われた証拠が存在するはずである。

しかしながら、乙第2号証に添付された商標「REX」の使用許諾対価の振込み予定日に係るFAX送信日は、2002年5月20日であり、この書類は、本件審判請求後に作成されたものである。

そして、対価が振り込まれた事実を示す証拠の提出がないから、前記書類は、審判請求後に作成されたものであり、2000年6月8日に通常使用権許諾契約書が作成されたものとは認められない。

したがって、被請求人提出の使用事実を示す資料は、証拠能力に欠けるものであり、しかも、2000年6月8日付で通常使用権が許諾されているとの被請求人の主張も疑わしい。

(3)以上述べたように、被請求人が本件商標の使用事実を示すために提出した資料は証拠能力に欠けるので、本件商標は、商標法第50条の規定により登録の取り消しを免れない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、以下のように答弁し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第2号証を提出した。

(1)請求人は、本件審判請求書において、本件商標がその指定商品中「電気機械器具」について継続して3年以上使用された事実がないから、本件商標の指定商品中、前記商品の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消されるべき旨主張している。

しかしながら、被請求人は、本件商標を本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、その取消の請求に係る指定商品中の「電気磁気測定器」について現に使用しているので、請求人の主張は全く理由がない。

(2)請求人は、本件商標がその指定商品中の「電気機械器具」について、被請求人である商標権者又は専用使用権者あるいは通常使用権者のいずれもが使用していない旨述べているが、かかる主張は事実に反する。

被請求人は、本件商標の使用を複数の通常使用権者に許諾しており、そのうち「電気機械器具」については、通常使用権者が本件商標を表示した商品を製造し、販売している。

(ア)本件商標の使用事実を説明する資料として、通常使用権者の製品カタログ(乙第1号証)を提出する。

本件商標の通常使用権者である「株式会社エヌエフ回路設計ブロック」の製品カタログ(乙第1号証)中の「保護リレー試験システム(2001年版)」の5頁及び6頁,11頁及び12頁並びに裏表紙には、明確に本件商標が使用されている。

当該製品カタログには、「自動リレー試験システム」として「REX8436」,「REX8437」,「REX8438」,「REX8439」,「REX8440F」、「電圧単相電流単相保護リレー試験器」である「REX4707A」,「REX4709A」、「電圧三相保護リレー試験器」の「REX4708A」,「REX4710A」、「電流二相保護リレー試験器」の「REX4722」、「電流三相保護リレー試験器」である「REX4723」、「電流出力増幅器」の「REX4731」、「保護リレー試験コントローラ」として「REX4741」、「電圧三相電流三相保護リレー試験システム」である「REX8440」の各製品が掲載されている。

なお、乙第1号証の製品カタログ「保護リレー試験システム(2001年版)」の裏表紙の右下に記載内容が2001年5月10現在のものであると明記されていることから明らかなように、本件商標が本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品中の「電気磁気測定器」について使用されていたことは明白である。

(イ)次に、被請求人と「株式会社エヌエフ回路設計ブロック」とが交わした本件商標の通常使用権許諾契約書の写を提出する(乙第2号証)。

被請求人と通常使用権者である「株式会社エヌエフ回路設計ブロック」との使用許諾契約書の写(乙第2号証)には、被請求人から通常使用権者「株式会社エヌエフ回路設計ブロック」に対して、本件商標の指定商品中「電気磁気測定器及びその付属のソフトウェア」について、2000年6月8日付で通常使用権が許諾されていることが明記されている。

乙第2号証中、第4条の対価の額を記した箇所については、被請求人の営業上の秘密があり、公表は支障をきたすため、塗りつぶした。以上、乙第1号証ないし乙第2号証から明らかなように、本件商標は、通常使用権者によって、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、その取消請求に係る指定商品中の「電気磁気測定器」について使用されていたことが明らかである。

4 当審の判断

被請求人提出の乙第1号証は、「株式会社エヌエフ回路設計ブロック」の2001(平成13)年5月10日現在のカタログであり、これには「自動リレー試験システム」として「REX8436」(2頁、5頁、6頁、22頁及び末尾頁),「REX8437」(2頁、5頁、6頁、22頁及び末尾頁),「REX8438」(2頁、6頁、22頁及び末尾頁),「REX8439」(2頁、6頁、22頁及び末尾頁),「REX8440F」(2頁、3頁、21頁及び末尾頁)、「電圧単相電流単相保護リレー試験器」である「REX4707A」(2頁、11頁、13頁、20頁、24頁及び末尾頁),「REX4709A」(2頁、11頁、13頁、20頁、24頁及び末尾頁)、「電圧三相保護リレー試験器」の「REX4708A」(2頁、11頁、14頁、20頁、24頁及び末尾頁),「REX4710A」(2頁、11頁、14頁、20頁、24頁及び末尾頁)、「電流二相保護リレー試験器」の「REX4722」(2頁、11頁、15頁、20頁、24頁)、「電流三相保護リレー試験器」である「REX4723」(2頁、4頁、20頁、21頁及び末尾頁)、「電流出力増幅器」の「REX4731」(15頁、25頁及び末尾頁)、「保護リレー試験コントローラ」として「REX4741」(9頁、23頁及び末尾頁)、「電圧三相電流三相保護リレー試験システム」である「REX8440」(2頁、3頁及び末尾頁)が商品として掲載されていることが認められる。

また、乙第2号証は、被請求人と通常使用権者である「株式会社エヌエフ回路設計ブロック」(以下「通常使用権者」という。)とが2000年6月8日付けで交わした本件商標に関する使用許諾の契約書であり、同契約書には、本件商標の指定商品中「電気磁気測定器及びその付属のソフトウェア」について、2000年6月8日付けで通常使用権を許諾する旨の記載が認められる。

そして、乙第1号証のカタログ中の「電圧三相保護リレー試験器」等は、「電気磁気測定器」の範疇に含まれる商品と認められ、これら商品に使用する「REX4708A」等の標章(以下「使用標章」という。)は、「REX」の文字部分が自他商品識別標識としての機能を発揮する主要部といえるものであって、本件商標と「REX」の文字を共通にしているから、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。

ところで、請求人は、乙第2号証の契約書について疑義を述べているが、同契約書には、特段不信とみるべきところはなく、通常使用権者の2001(平成13)年5月10日現在の上記カタログに本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていることを併せ考えると、通常使用権者は、本件商標が商標登録されていることを知って、その商標権侵害とならないように、被請求人と乙第2号証の契約書に示される契約をして、本件審判請求の登録(平成14年5月8日予告登録)前3年以内に我が国において、本件商標を使用したと推認できるものであり、これに反する証左もないことから、請求人の主張は採用することができない。

そうとすれば、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件商標をその指定商品中「電気機械器具」中に属する商品「電気磁気測定器」に包含される「電圧三相保護リレー試験器」等について使用した事実が認められる。

したがって、本件商標の指定商品中、取消請求に係る商品についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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