結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35180(T2002−35180/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4524087商標(以下「本件商標」という。)は、「まいしんぐ」の文字を標準文字とし、平成13年1月12日登録出願、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」を指定商品として、平成13年11月22日に設定登録されたものである。
請求人が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第4405159号商標(以下「引用商標」という。)は、「MUNSING」の欧文字と「マンシング」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、平成11年9月10日登録出願、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳,シャワーカーテン,織物製トイレットシートカバー,布製ラベル,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成12年8月4日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第70号証を提出した。
1.商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その構成文字より「マイシング」の称呼を生じる。
一方、引用商標は、その構成文字に相応して「マンシング」の称呼が生じる。
そこで、本件商標の称呼「マイシング」と引用商標の称呼「マンシング」を比較すると、両者はともに同数の5音により構成され、第2音において「イ」の音と「ン」の音の差異を有する他は全ての構成音を同じくするものである。しかも、この「イ」と「ン」の音はともに弱音であり、両商標を一連に称呼した場合、両称呼の全体の印象に強い影響を与えるものではない。 また、本件商標及び引用商標はともに特定の観念を有さない造語商標であるため、特定の位置で一呼吸おいて称呼されたり、特定の観念を意識して特殊なイントネーションで発音されることもない。
したがって、両商標を全体として一連に称呼するときは、その語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに相紛れるおそれがある。
なお、過去の審決においても、本件と同じく、「イ」の音と「ン」の音の相違のみからなる商標が類似するとの判断がなされている(甲第3号証ないし甲第5号証)。
2.商標法第4条第1項第15号について
(1)商標「マンシングウェア」、「Munsingwear」は、米国ミネソタ州の衣料品メーカーであるマンシングウェアーインコーポレイテッド(以下「マンシングウェア社」という。)及び請求人により、わが国においても長年にわたり使用されてきた著名商標である。マンシングウェア社は、下着・スポーツウェアを中心に製造、販売する会社として、1886年にアメリカで創業された老舗の総合衣料メーカーである。1955年からはゴルフウェア、ポロシャツ等を手がけ、世界的にその市場を拡大させている(甲第6号証)。商標「マンシングウェア」、「Munsingwear」及びペンギンの図形商標が付された商品は、わが国では1965年に販売が開始され、現在に至るまでの約37年にわたり多くの需要者に愛好されている(甲第7号証)。
(2)商標「マンシングウェア」、「Munsingwear」及びペンギンの図形商標が付された商品は、ゴルフ関連衣料及びゴルフ用品等のスポーツ用品を中心に、紳士服、婦人服、子供服、靴下等の衣類、婦人用装飾品、帽子、履物、皮革製バッグ、手袋など、広範にわたっており、その需要者は成人に限られず子供用にも展開されている(甲第8号証ないし甲第29号証)。
これらの商品中、繊維関連商品については、請求人である東洋紡績株式会社が独占的に製造を担い、伊藤忠商事株式会社へ販売委託し、株式会社デサント(以下「デサント」という。また、上記3社をまとめていうときは「請求人ら」という。)が一括して広告、販売を行っている。それ以外の商品は、デサントから使用許諾を受けた各メーカーによって製造され、最終的にデサントのもとでメイン商品の繊維製品とあわせて販売されている。これらの商品の中でも特にゴルフ関連衣料の市場占有率は高く、商標「マンシングウェア」、「Munsingwear」は、請求人の業務に係る商標であると取引者、需要者に直ちに認識される程、広く認識されるに至っている。
商標「マンシングウェア」、「Munsingwear」が付された商品「ゴルフウェア」の売り上げは年間200億円に及び、わが国において長年にわたり業界トップを維持している。また、その業界シェアは20%弱にも及んでいる(甲第30号証ないし甲第34号証)。
(3)マンシングウェア関連の商品の広告活動は、全国的に幅広く展開されている。製品総合カタログ及びリーフレット(甲第8号証ないし甲第29号証)は、全国各地に所在する百貨店、量販店、専門店等に広く配布されている。
また、請求人は、「パーゴルフ」、「Golf Today」、「ゴルフダイジェスト」、「週刊アサヒゴルフ」、「アルバ」、「月刊ゴルフメイト」、「Waggle」等のゴルフ専門誌のほか、「CLASSY」、「Grazia」、「MISS」、「ミセス」等の一般のファッション雑誌においても、マンシングブランドの宣伝、広告を掲載している(甲第35号証ないし甲第62号証)。
さらに、請求人は、「デサントクラシックマンシングウェアカップ」や「マンシングウェアオープンKSBカップ」等のゴルフトーナメントを主催し、大々的にテレビ中継、新聞への告知広告、雑誌への特集記事の掲載等をしている(甲第63号証ないし甲第68号証)。
(4)以上の事実から、商標「マンシングウェア」、「Munsingwear」がゴルフウェア等の取引者・需要者の間で広く知られるに至っている著名商標であることは明らかである。
また、商標「マンシングウェア」、「Munsingwear」は特定の観念を有さない造語商標であり、請求人のハウスマークに係る商標であるため、請求人と何ら関係を有さない第三者が当該商標に類似する商標を使用した場合、出所の混同を引き起こすおそれが極めて高いといえる。
さらに、本件商標の指定商品である「布製身の回り品」等の商品は、マンシングブランドのメインアイテムであるゴルフウエアと比較的近似する商品であり、請求人が市場において商品展開をしても何ら不思議ではない商品である。現に、請求人はマンシングブランドのタオル等を製造、販売している。
したがって、本件商標がその指定商品について使用された場合、請求人の著名商標「マンシングウェア」、「Munsingwear」との間で出所の混同が生じる可能性が極めて高い。
3.答弁に対する弁駁
(1)商標法第4条第1項第11号について
被請求人は、両商標が称呼上類似しないことの根拠を一切示していない。本件商標の称呼「マイシング」と引用商標の称呼「マンシング」は、全体としての語調、語感が極めて近似し、取引の場において互いに相紛れるおそれがある類似の称呼である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
被請求人は、両商標が需要者をして明確に区別されること及び両商標の間で出所の混同が生じないことの根拠を一切示していない。商標「マンシングウェア」、「Munsingwear」は、「マンシング」の略称で親しまれている全国的に極めて著名な商標である。商標「マンシングウェア」、「Munsingwear」の構成中の「ウェア」、「wear」の部分は識別力が弱いため、当該商標の要部は「マンシング」、「Munsing」の部分となる。加えて、本件商標の称呼「マイシング」と請求人商標の前半部分の称呼である「マンシング」とは、その語調、語感が極めて近似し、取引の場において互いに相紛れるおそれがある。
したがって、本件商標が使用された場合、商標「マンシングウェア」、「Munsingwear」を使用する者との間に、何らかの業務上の関係があると需要者に認識させるおそれが極めて大きいといえる。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。
1.商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標と称呼及び観念並びに外観のいずれにおいても、明瞭かつ顕著な相違があり、一般需要者をして両者が彼此相紛らわしいとする要素は全くなく、両者は互いに非類似の商標である。
2.商標法第4条第1項第15号について
本件商標と、商標「マンシングウェア」、「Munsingwear」とは、称呼及び観念並びに外観のいずれにおいても、明瞭かつ顕著な相違があり、一般需要者をして両者は明確に区別されるものである。
したがって、本件商標の付された商品が、引用商標を使用する者との間に、何らかの業務上の関係があると需要者に認識されることはない。
1.商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は、「まいしんぐ」の文字に相応して「マイシング」の称呼を生ずるものである。これに対し、引用商標は、「MUNSING」、「マンシング」の文字に相応して「マンシング」の称呼を生ずるものである。
そこで、本件商標より生ずる「マイシング」の称呼と引用商標より生ずる「マンシング」の称呼とを比較すると、両称呼は、第2音目において「イ」と「ン」の差異を有するものであるところ、該差異音である「イ」と「ン」は、前者がくちびるを平たく開き、舌の先を下方に向け、前舌面を高めて硬口蓋に接近させ、声帯を振動させて発する音であるのに対し、後者は、前舌面を軟口蓋前部に押しあて、又は、後舌面を軟口蓋後部に押しあてて、有声の気息を鼻から洩らして発する鼻音であるから、調音の位置、方法において異なり、音質が相違したものとして聴取されるばかりでなく、「イ」の音は、中間部に位置するとしても、比較的明瞭に発音され、聴取されるのに対し、「ン」の音は、中間部に位置する場合、明瞭には発音され難い音であるといえるから、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、称呼上相紛れるおそれはないというのが相当である。
してみれば、本件商標は、引用商標と称呼において類似するものではない。
(2)本件商標と引用商標は、前記したそれぞれの構成よりみて、外観上明らかに区別し得るものである。
(3)両商標は、いずれも造語よりなるものと認められるから、観念においては比較することができない。
(4)したがって、本件商標と引用商標は、その称呼、外観及び観念のいずれの点においても非類似の商標といわなければならない。
なお、請求人は、審決例を挙げ、本件商標と引用商標とは、称呼上類似する商標である旨主張するが、請求人の挙げた審決例は、音構成等において必ずしも本件と事案を同じくするものではないから、該審決例が本件における類否判断を左右するものではない。
2.商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標の登録出願前に発行されたと認められる甲第6号証ないし甲第26号証、甲第30号証ないし甲第33号証、甲第35号証ないし甲第45号証、甲第53号証、甲第58号証ないし甲第60号証、甲第63号証ないし甲第66号証によれば、マンシングウェア社は、米国の衣料品メーカーであり、1955年ころからゴルフウェアの製造、販売を開始し、自己の取扱いに係る衣料品、特にゴルフウェアについて、別掲(1)、(2)のように、「MUNSINGWEAR」の文字とペンギンの図形を結合した商標を使用した。(使用に係る商標についての文字等の態様は、時代の移り変わりとともに多少の変化はあるが、「MUNSINGWEAR」の文字及びペンギンの図形とを結合したものが主である。)
マンシングウェア社のゴルフウェアは、わが国においては、1965年ころに導入され、ペンギンマークが人気を博し、一気に知れわたった。以来、請求人らの宣伝広告活動により、「MUNSINGWEAR」の文字とペンギンの図形を結合した商標は、マンシングウェア社及び請求人らの取扱いに係る商品「ゴルフウェア」等を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、わが国のゴルフプレーヤーやゴルフ愛好家をはじめ、被服等の分野における需要者の間で広く認識されていたと認め得るところである。
(2)前記2.(1)で認定したように、マンシングウェア社及び請求人らの使用に係る商標は、「MUNSINGWEAR」の文字とペンギンの図形を結合した商標であり、仮に「MUNSINGWEAR」の文字のみが使用され、「マンシングウェア」と称呼されてその需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、これら使用に係る商標が、単に「MUNSING」の文字のみをもって使用され、著名性を獲得していたという証拠は見当たらないし、単に「マンシング」と略称され、著名であったという事実も見出せない。
してみると、マンシングウェア社及び請求人らの使用に係る「MUNSINGWEAR」の文字とペンギンの図形を結合した商標が、本件商標の登録出願前よりわが国において著名性を獲得していたとしても、本件商標は、「まいしんぐ」の文字よりなるものであり、マンシングウェア社及び請求人らの使用に係る商標とは商標において別異のものということができるから、本件商標をその指定商品について使用した場合、マンシングウェア社及び請求人らの使用に係る「MUNSINGWEAR」の文字とペンギンの図形を結合した商標を連想、想起することは極めて低いというのが相当である。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、マンシングウェア社、あるいは請求人らと経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について誤認、混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
3.むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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