結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−31296(T2001−31296/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1781830号商標(以下「本件商標」という。)は、「ベアー」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和58年1月13日に登録出願、第21類「装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉およびその模造品、造花、化粧用具」を指定商品として、同60年6月25日に設定登録され、平成7年5月30日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1.本件商標は、本件審判の請求日前3年以内に日本国内において、その指定商品のいずれにも使用されていない。
2.答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、「本件商標は、片仮名の『ベアー』であって、実際に使用している商標は『BEAR』であるが、この点については、商標法第50条第1項によって物理的に同一でなくとも社会通念上同一と認められる商標も登録商標の使用として認定しており、本件登録商標が継続的に使用されていたことに何等問題はない。」と主張する。
確かに、商標法第50条の文言を表面的にのみ徴するならば、その第1項において「登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。)」とあるため、一見、被請求人の「BEAR」の使用が本件商標「ベアー」の使用と認められるかのような印象をうける。
しかしながら、前記文言中「平仮名、片仮名及びローマ字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じるもの」とは、「あるローマ字を片仮名で標記した場合、別異の観念が生じる余地が発生するときは『社会通念上同一』とは認めならない」ということである。
ここで、本件商標を日常よく耳にするローマ字に置き換えるとすれば、「bear」の他に、「bare arm(ベアー・アーム;袖無しの服)」、「bare top(ベアー・トップ;肩や背の部分が露出した服)」及び「bare neck(ベアー・ネック;襟なしの首のあらわに出ているデザイン)」等として服飾業界で用いられる「bare(ベアー)」に置き換えられる(甲第1号証)。
したがって、「ベアー」の文字は一義的に「bear」の文字に結びつかず、「bare」とも表記し得る以上、被請求人が主張する「BEAR」の使用は、本件商標の使用とはいえないことは、商標法第50条の文言からも明らかである。
(2)乙第5号証(カタログの写し)は、その表紙に「BEAR WATCH BAND CATALOGUE」と大きく書してあることからも明白なように、「時計バンド」及びその調整用具のカタログである。
「時計バンド」は、類似群コード23A01に属するものであり、本件商標の指定商品「装身具、ボタン類、宝石およびその模造品、造花」(旧21類)のいずれの指定商品とも同一又は類似の関係にないものである。したがって、このようなカタログは、本件商標の使用の証明にはなり得るものではない。
にもかかわらず、被請求人がこのようなカタログを提出したのは、推察するに乙第5号証の81頁において「パワーブレス」と銘打つ時計バンドが、一見ブレスレット状の形状をしているため、これがブレスレット(装身具)として認定されることに期待をされたものと思われる。
しかしながら、このカタログは「時計バンド」のカタログであり、「ブレスレット状の時計バンド」はきわめて一般的に製造・販売されている事実が存在する以上、これらの商品は、あくまで「時計バンド」以外のなにものでもない。
(3)以上のように、被請求人が主張する「BEAR」の文字は、本件商標「ベアー」と社会通念上同一といえるものではなく、そうである以上、本件商標の使用とはいえないものであり、また、この「BEAR」の文字自体も、本件商標の指定商品「装身具、ボタン類、宝石およびその模造品、造花」のいずれの指定商品とも同一又は類似の関係にない商品である「時計バンド」について使用されているものである。
よって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品のいずれにも使用されていなかったことは明白な事実である。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番を含む。)を提出した。
1.本件商標の所有者である被請求人(株式会社ベアー)は、平成13年8月9日午後2時、東京地方裁判所民事第20部において、破産決定を受け(乙第2号証)、本件商標は、破産財団に属し、その管理処分権は、破産管財人に帰属しているものである。
2.被請求人は、「ジュエリーアクセサリーと時計バンドの企画デザインから製造、販売、輸出入(宝石、パール、金及びプラチナを素材とするジュエリーアクセサリー全般と時計バンドに関する生活文化を提案する総合ファッション事業)」を事業内容としていたものであるが、平成9年のベアーグループ合併後は、被請求人の100%子会社である株式会社ザノン(乙第7号証の1ないし4、以下「ザノン」という。)が時計バンド、アクセサリーの販売事業を担当し(乙第3号証)、本件商標について、被請求人の使用許諾(通常使用権)により、時計バンド、アクセサリーに使用していた。
なお、ザノンも平成13年8月9日午後2時、東京地方裁判所民事第20部において破産宣告を受けている(乙第4号証)。
3.被請求人及びザノンの破産宣告により、本件商標も破産財団に組込まれ、現在第三者の希望により、本件商標権の売却交渉が進行中である。
4.被請求人の子会社であるザノンは、主に商品「ブレスレット」について、本件商標を継続的に使用しており、具体的には、カタログ、タグ等に「BEAR」の商標を付し(乙第5号証)、商品を提供していたものである(乙第6号証の1ないし11)。
本件商標は、片仮名の「ベアー」であって、実際に使用している商標は前記のように「BEAR」であるが、この点については、商標法第50条第1項によって物理的に同一でなくとも社会通念上同一と認められる商標も登録商標の使用として認定しており、本件商標が継続的に使用されていたことに何等問題はない。
5.以上のとおり、被請求人は、その100%子会社であるところのザノンに使用許諾を与え、ザノンが破産宣告に至るまで継続的に商品「ブレスレット」に使用していた事実は明らかである(乙第6号証の1ないし11及び乙第7号証の1ないし4)。
1.本件について、本件商標の使用者が通常使用権者であること、通常使用権者による使用の時期が本件審判の請求の登録前3年以内であり、日本国内での使用であることについては、当事者間に争いがない。
2.使用に係る商標(以下「使用商標」という。)が本件商標と社会通念上同一といえるか否かについて
(1)本件商標は、前記したとおり、「ベアー」の片仮名文字よりなるものである。
これに対して使用商標は、やや図案化した「BEAR」の欧文字よりなるものである。
(2)甲第1号証によれば、「ベア-アーム」の項には[bare(むきだしの)arm]の、「ベア-トップ」の項には[bare(むきだしの)top(上部)]の記載などが認められるが、該「bare」の片仮名表記は「ベア」であって「ベアー」でないのみならず、いずれの「bare」にも「(むきだしの)」の訳が付されているところからすると、「bare」は、わが国において一般に親しまれていない英単語であると窺われるものであり、むしろ「ベアー」の片仮名表記、あるいはこれより生ずる「ベアー」の称呼に接するわが国のアクセサリー等ファッション関連の需要者は、これより一般に親しまれている「熊」、ないしその英単語である「bear」を直ちに想起する場合が多いというのが相当である。このことは、広辞苑(第5版)の「ベアー」の項に「bear」と表記されていることからも首肯し得るところである。
(3)してみると、使用商標は、本件商標と称呼及び観念において同一のものと認められるから、本件商標と社会通念上同一の範囲内の商標といわなければならない。
3.使用に係る商品について
(1)乙第6号証の2及び同号証の8ないし11において、本件審判の請求の登録前3年以内に取引があったと認められる、乙第5号証に示された商品「パワーバングル」(以下「使用商品」という。)が本件商標の指定商品中に含まれるものであるか否かについて検討する。
なお、請求人は、乙第5号証に示された商品「パワーブレス」について、該商品が本件商標の指定商品中の含まれない商品であると主張するが、該商品は、乙第6号証のいずれからも、本件審判の請求の登録前3年以内に取引があったと確認することはできない。
(2)乙第5号証(商品カタログ抜粋)によれば、以下の事実が認められる。
ア.表紙には、やや図案化した「BEAR」の文字及び「WATCH BAND CATALOGUE」の文字が表示されている。
イ.79頁及び80頁には、「ブレスレット(RXタイプ)」16本の写真が掲載されている。そして、該「ブレスレット(RXタイプ)」の形状は、いずれも一本の細長い金属性の帯状の形状をしており、その両端には該「ブレスレット」を輪状にする留め具がついている。したがって、該形状は、腕時計のバンドとして一般的である2本のバンドより構成されるものではなく、腕時計の時計部を結合する部分が存在しない。また、該「ブレスレット(RXタイプ)」には、「Pt」、「K18」、「K18/Pt」などを頭文字とする記号が付されている。
ウ.81頁には、「パワーブレス」5本の写真及び「パワーバングル」(本件商品)4本の写真が掲載されている。そして、「パワーブレス」の形状は、上記イ.の「ブレスレット(RXタイプ)」の形状と同様、いずれも一本の細長い金属性の帯状の形状をし、その両端には該「パワーブレス」を輪状にする留め具がついており、腕時計の時計部を結合する部分が存在しない。この「パワーブレス」には、1本につきマグネットが6個ないし12個組み込まれており、「K18」を頭文字とする記号が付されている。
また、「パワーバングル」の形状は、いずれも斜めから写した写真であるところ、輪の一部が欠けた、いわゆる輪の形状を呈しており、欧文字の「C」を想起させるものであって、腕時計の時計部を結合する部分が存在しない。
さらに、上記「パワーバングル」の写真の左3枚の下部には、「K18」、「K18/Pt」などを頭文字とする記号が付されており、右端の「パワーバングル」の写真の下部には、「マグネットの数...各2ケ」、「マグネットの磁力...1ケ当り 1200〜1300ガウス」(マグネットは、「パワーバングル」の輪の欠けた部分の両端に組み込まれていることが示されている。)の各文字が記載されている。
エ.裏表紙には、「ZANON CO.,LTD.」、「株式会社ザノン」、「本社・第一営業所・物流センター/〒272−0001 千葉県市川市二俣1−10−17 ザノンビル3F」などの文字が記載されている。
(3)乙第3号証(破産管財人弁護士佐鳥和郎の報告書)によれば、ザノンは、平成9年ころより時計バンドのほかにアクセサリーの販売を行っていることが認められる。
(4)上記(2)及び(3)で認定した事実よりすると、乙第5号証に掲載された「ブレスレット(RXタイプ)」は、「Pt」、「K18」、「K18/Pt」などの記号が付されているところから、その材質を「プラチナ」や「十八金」などとするものであることが認められ、その材質及び腕時計の時計部を結合する部分が存在しない形状からみれば、装身具としての「ブレスレット」であることが容易に認められる。
また、本件商品(パワーバングル)は、前記認定のとおり、磁石が組み込まれているところからすれば、一般的には磁石が腕時計に対し悪影響を及ぼすことが考えられ、かつ、腕時計の時計部を結合する部分が存在しない形状からみれば、腕時計のバンドであるとは認めることはできない。
そして、本件商品は、商品中にマグネットが組み込まれているものであるとしても、アクセサリーとしての「ブレスレット」とともにカタログに掲載され、その下部に記載された「K18」、「K18/Pt」の文字よりその材質を「十八金」や「プラチナ」とするものでることが認められ、その材質及びその形状からみても装飾を目的とした商品であることが容易に推認されるものである。
したがって、本件商品は、本件商標の指定商品中の「装身具」の範疇に属する商品とみるのが相当である。
なお、付言すれば、「パワーブレス」は、腕時計の時計部を結合する部分が存在しないのみならず、腕時計に対し悪影響を及ぼすと考えられるマグネットが組み込まれているものであるから、腕時計のバンドであるとは認めることはできない。むしろ、これに付された「K18」の記号から、その材質を「十八金」とするものと認められ、装飾を目的とした商品であることが容易に推認されるものである。
4.以上によれば、本件商標の通常使用権者であるザノンは、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の指定商品中の「装身具」について使用していたことが認められる。
したがって、本件商標についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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