sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼類似性:語頭音の差異

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2002−35247(T2002−35247/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4547240号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年8月11日に登録出願され、「bluebell」の文字を標準文字により書してなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品」及び第9類「眼鏡」を指定商品として、同14年3月1日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する登録商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由として引用する登録第1353436号商標(以下「引用商標」という。)は、昭和49年8月1日に登録出願され、「フルーベル」の文字を横書きしてなり、第4類「せっけん、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同53年10月31日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中第3類「せっけん類,香料類,化粧品」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。

本件商標は、「bluebell」の欧文字を横書してなるものであり、これより「ブルーベル」の称呼を生ずるものである。これに対し、引用商標は「フル−ベル」の仮名文字よりなるものであるから、「フルーベル」の称呼を生ずること明らかである。

そこで、本件商標より生ずる「ブルーベル」の称呼と引用商標より生ずる「フルーベル」の称呼とを比較してみるに、両称呼は共に長音を伴う5音構成よりなり、語頭を除く「ル」「一」「べ」「ル」の各音を共通にし、その異なる音は語頭の「ブ」と「フ」の音のみであるが、その差異音とても母音(u)を共通にする濁音と清音との近似音にすぎないものである。

しかも、その他の配列構成音を共通にすることから、「ブルーベル」と「フル−ベル」の両称呼を全体として一連に称呼する場合には、その語調、語感が極めて近似し聴者をして互いに相紛れるおそれがあるから、両者は称呼上において類似する商標というべきである。

本件商標と引用商標とが称呼上類似することを立証するものとして、次の各審決例を挙げる。「ブロック」と「フロック」(昭和50年審判第9102号、甲第4号証)、「ハイブレックス」と「ハイフレックス」(昭和57年審判第8965号、甲第5号証)、「フロン」と「ブロン」(昭和59年審判第14877号、甲第6号証)、「ラフティー」と「ラブティー」(昭和62年審判第11136号、甲第7号証)及び「ブレツシ−」と「フレツシー」(昭和62年審判第21072号、甲第8号証)等がある。

また、本件商標の指定商品中、第3類「せっけん類、香料類、化粧品」と引用商標の指定商品「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」とは同一又は類似する商品である。

したがって、本件商標と引用商標とは称呼上互いに類似する商標であり、その指定商品も同一又は類似する商品であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものであって、商標法第46条第1項の規定より、その指定商品中、第3類「せっけん類、香料類、化粧品」についての登録を無効とすべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証の1ないし乙第9号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)本件商標は、ローマ字の小文字で「bluebell」と横書きした商標である。「bluebell」は、英語の「blue」と「bell」を結合させた語であって、何れの語も日本語の日常語としても用いられていて「青い色をした釣り鐘」が即座に観念される。又、その花の形が釣り鐘に似ていてその色が青色である草花を総称して「bluebell」と呼んでいる(乙第1号証、乙第2号証)。

したがって、本件商標は、「ブルーベル」と称呼され、「青色の釣り鐘」又は「青色の釣り鐘形の花をつける草花」が容易に観念される。

一方、引用商標は、片仮名で「フルーベル」と横書きした商標であるから「フルーベル」と称呼される。しかし「フルーベル」は何ら特有の観念、意味合いを持たない語であって造語された無意味商標である。

(2)本件商標の称呼「ブルーベル」の語頭音「ブ」は、両唇部を合わせて破裂させる有声の濁音であって比較的強い音であるから、聴者はこれを明瞭に聴取することができる。

これに対し、引用商標「フルーベル」の語頭音「フ」は両唇を接近させた状態で吹き出す無声の摩擦音であるから比較的弱い音であって、聴取されがたい音である。

そこで、両者の称呼を対比するに、本件商標は、前述のとおり特有の意味、観念を有する語であって、その意味において称呼されることと、語頭の「ブ」音は強い有声の破裂音であることとが相俟って、語頭音「ブ」と中間音「ベ」にアクセントをおいて「ブルーベル」と二音節に分かれて明瞭に称呼され、聴取される。

これに対し、引用商標「フルーベル」の語頭音「フ」は弱い無声音であるから、全体としての称呼において「フ」音は弱く、「ルーベル」の如く称呼され聴取される。

したがって両者の全体としての称呼を対比した場合、音調を著しく異にし、互いに混同されることは全くあり得ない。

また、上記したとおり、本件商標は、ローマ字で「bluebell」と書され、「青色をした釣り鐘」又は「青色の釣り鐘状の花をつける草花」を観念するのに対し、引用商標は、片仮名で「フルーベル」と書されており何ら特有の観念を有しない商標であるから、本件商標は、引用商標と観念上、外観上明らかに識別される。

(3)商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合、商品の出所について誤認、混同を生じるおそれがあるか否かによって決すべきところ、商標の称呼、外観、観念は出所の混同のおそれを推測させる一応の基準に過ぎないというべきであるから、この三点のうち、その一において類似するものであっても、他の二点において著しく相異していて、出所に誤認、混同を来すおそれを認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきでないことは最高裁判所の教えるところであり(最高裁判所昭和43年2月27日判決 乙第5号証)、平成13年(行ケ)第363号東京高裁判決(鳳凰事件 乙第6号証)、平成13年(行ケ)第144号東京高裁判決(痛快!事件 乙第7号証)、平成11年(行ケ)第78号東京高裁判決(TAIGA事件 乙第8号証)、平成11年(行ケ)第24号東京高裁判決(ガス燈事件 乙第9号証)等の判決がある。

(4)これらの判決に照らしてみれば、本件商標と引用商標とを全体として対比した場合、両者が現実に市場におかれた場合を想定しても、取引者、需要者間に混同を生じさせるおそれは全くないものというべきであるから、本件商標が引用商標に類似すると主張する請求人の主張には理由がない。

5 当審の判断

本件商標は、前記したとおりの構成からなるものであるところ、その構成中の「blue」の語は「青い」等の意味を表す英語として、又、「bell」の語は「釣り鐘、ベル」等の意味を表す英語として知られており、いずれも、日常一般において極めて親しまれている語であって、これを結合させた「bluebell」からは、「青い色をした釣り鐘」の意味合いを容易に理解させるものであり、あるいは、その花の形が釣り鐘に似ていてその色が青色である草花を総称して「bluebell(ブルーベル)」と呼ばれていることから(乙第1号証 小学館ランダムハウス英和大辞典、乙第2号証 丸善エンサイクロペディア大百科)、草花に関心を持つ者にあっては、「青色の釣り鐘形の花をつける草花(ブルーベル)」を認識させるものということができる。

したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「ブルーベル」の称呼を生じ、「青色の釣り鐘」あるいは「青色の釣り鐘形の花をつける草花(ブルーベル)」の観念を生ずるものということができる。

他方、引用商標は、前記したとおりの構成からなるものであるから、その構成文字に相応して「フルーベル」の称呼を生じ、特定の意味合いを認識させることのない造語商標と認められるものである。

そこで、この両称呼を比較するに、本件商標から生ずる「ブルーベル」の称呼は、語頭音の「ブ」の音が両唇部を合わせて破裂させる有声の濁音であって比較的響きの強い音であるばかりでなく、本件商標が前述のとおり、良く知られている「blue」と「bell」の語からなり、前述の観念を有することから、語頭音「ブ」と中間音「ベ」にアクセントをおいて「ブルー/ベル」と二音節に分かれて明瞭に称呼され、明瞭に聴取されるものということができる。

これに対して、引用商標から生ずる「フルーベル」の称呼は、語頭音の「フ」の音が両唇を接近させた状態で発する無声の摩擦音であって、比較的響きの弱い音であるばかりでなく、引用商標が前述のとおり、観念を有しない造語商標と認められるものであることから、特定の音にアクセントをおいて発音するというよりは、むしろ全体をもって平坦に称呼されるものということができる。

そうとすれば、この両称呼は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音において、音質を異にする「ブ」と「フ」の音の差異を有するばかりでなく、全体を称呼した場合の音調においても明らかな差異を有するものであるから、これらの差異が両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者は、これをそれぞれ一連に称呼するも、互いに聞き誤るおそれはないものといわなければならない。

また、本件商標は欧文字で表されているのに対して、引用商標は片仮名文字をもって表されているものであるから、両商標は、外観においても顕著な差異を有するものであり、更に、前記したとおり、本件商標は、親しまれた観念を有するものであるのに対して、引用商標は特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、両者は、観念において比較することができない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼及び外観において、上記した差異があり、観念において比較することができないものであるから、これらの点を総合勘案すれば、両商標は、取引者・需要者をして彼此混同を生じさせるおそれはないものというべきである。

なお、被請求人は、本件商標と引用商標とが類似することを立証するものとして審決例を挙げているが、これら審決例の商標は、いずれも、本件商標とは商標を異にしているばかりでなく、商標の類否の判断は、各商標につき個別具体的に判断されるべき性質のものであるから、被請求人が主張するような事例があるというだけでは、本件商標と引用商標との類否の判断を左右することにはならない。

したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標の指定商品中、第3類「せっけん類、香料類、化粧品」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたと認められないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。