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Trademark Appeal Case

社団名称の保護範囲

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2002−35219(T2002−35219/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4431751号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4431751号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年10月29日に登録出願され、「廃ガラスリサイクル舗装推進協議会」の文字を標準文字により書してなり、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事,土木機械器具の貸与」を指定役務として、同12年11月10日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第19号証(枝番号を含む。)を提出した。

請求人である「廃ガラスリサイクル舗装推進協議会」は、平成6年1月10日「廃ガラスのリサイクル舗装の推進を目的として」設立された社団であり(甲第2号証)、規約を定め(甲第2号証)、代表者として理事長を置き(甲第3号証)、会員名簿を作成し(甲第4号証)、地方環境基金助成金の交付を要望し(甲第5号証)、収支決算書を作成し(甲第6号証)、廃ガラスリサイクル装置と廃ガラスリサイクル舗装の見学会を行ってきたものである(甲第7号証)。

請求人の舗装に関する事業は、各種新聞、雑誌等で広く報道され、舗装事業の分野では、広く認識されるに至っていたものである(甲第8号証ないし甲第18号証)。

ところで、被請求人会社は、請求人に設立当初に入会し、被請求人会社の代表者である兵藤勲は請求人の副理事長となる等、請求人の発起人として活動の中心的役割の一端を担っていたものであるが(甲第3号証)、平成11年頃、請求人から退会した。そして、自ら請求人と全く同一名称の団体を設立し、その名称を商標登録したのが本件商標登録である。

請求人は、権利能力なき社団であるが、その名称「廃ガラスリサイクル舗装推進協議会」はフルネームであり、平成8年(行ケ)第225号の判決公報(甲第19号証)に記載のように、その名称は、商標法第4条第1項第8号の適用を受けるものであって、本件商標は、他人の氏名をその承諾なく商標登録したものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁していない。

4 当審の判断

本件商標は、前記のとおり、「廃ガラスリサイクル舗装推進協議会」の文字よりなるところ、請求人は、本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当するものである旨主張している。

ところで、請求人の表示からみれば、請求人には法人格があるものとは認められないが、法人格のない社団であっても、個々の構成員とは別個に独立して存在し、社会において一定の地位を占めるような社団にあっては、その実質的な社会的地位に伴う名誉、信用等の人格権的利益を享有しうるものであることは、社団法人の場合と変わりがなく、そのような利益のうちには、自己の名称等が他人によってみだりに使用されない利益をも含むものと解されている(東京高裁平成8年(行ケ)225判決 参照)。

そこで、請求人の提出に係る甲号各証をみるに、甲第2号証(「廃ガラスリサイクル舗装推進協議会規約」)によれば、請求人は、名称を「廃ガラスリサイクル舗装推進協議会」と称する団体であり、廃ガラスのリサイクル舗装の推進を目的とし、この趣旨に賛同する事業者に供すべく、用途開発及び広報活動をおこない美しい環境づくりと地球にやさしい社会づくりをめざすことを目的として設立され、事務所を東京都中央区日本橋箱崎町1−1株式会社トウヤマ内に置き(第1条、第2条)、廃ガラスリサイクル舗装の普及推進、廃ガラスの流通の確立、廃ガラスのリサイクル舗装事業に賛同する事業者の情報交換、交流、研修会などの開催等を事業とし(第3条)、特別会員、地区ブロックA会員、地区ブロックB会員、地区ブロックC会員、ゼネコン会員、協賛会員を会員とし(第4条)、会を代表し会務を統括する理事長をはじめ、副理事長、理事、監事、事務局、顧問等の組織を定め(第6条)、理事会は、随時開催し全体を審議する外、全国会議はA会員をもって必要に応じ随時開催し、地区会議はA会員を中心にB、C会員合同で必要に応じ随時開催することとされており(第8条)、会の経費は会費、協賛金、寄付金等の収入、その他をもって充てる(第9条)ことが定められており、この規約は、平成6年1月10日から施行することが記されている。そして、甲第4号証の1及び2(会員名簿)によれば、1996年(平成8年)10月9日現在の会員数は25社、1999年(平成11年)6月3日現在の会員数は17社となっていることを認めることができる。

また、提出された業界紙誌をみるに、甲第8号証の1(平成6年4月27日付環境新聞)には「遊歩道に廃ガラスを利用/カレットリサイクルに新用途/実績1号で全国普及に弾み」、甲第8号証の2(平成7年9月6日付環境新聞)には「東北に広がりはじめた廃ガラスリサイクル舗装」、甲第9号証の1(平成6年1月28日付産廃タイムス)には「廃ガラスリサイクル舗装推進協議会/舗装材利用をPR」、甲第9号証の4(平成7年3月31日付産廃タイムス)には「カレット需要が伸び悩んでいるなかで、舗装材として利用することにより、大量のカレットのリサイクルを可能にするという試みが現在、脚光をあびている。廃ガラスリサイクル舗装推進協議会が全国展開を図っている新工法がそれ」の如く、請求人の舗装に関する事業は、請求人である「廃ガラスリサイクル舗装推進協議会」の名称とともに各種業界新聞、雑誌等で広く報道されており、同様の記事は、甲第9号証の2及び3(平成6年5月13日、同年12月2日付産廃タイムス)、甲第11号証(平成7年4月20日、同年9月27日付朝日新聞)、甲第14号証(平成9年4月2日付日刊工業新聞)、甲第16号証の1及び2(月刊廃棄物1994−5、月刊廃棄物1996−5)、甲第17号証(平成8年9月23日付週刊廃棄物新聞)及び甲第18号証(通産情報1996・11)にも掲載されていることを認めることができる。

そして又、甲第7号証(平成7年9月22日付「廃ガラスリサイクル装置と廃ガラスリサイクル舗装の見学会の御案内」)によれば、請求人は自ら、廃ガラスリサイクル舗装の見学会を旭川市で開催しており、このことは、甲第12号証(平成7年10月14日付毎日新聞)及び甲第15号証(平成7年10月10日付北海タイムス)において紹介されており、又、甲第10号証(平成7年9月26日付有明新報)には「廃ガラスのリサイクルPR/佐賀で展示会(廃ガラスリサイクル舗装推進協議会主催)」の記事も認められ、甲第16号証の2(月刊廃棄物1996−5)には「協議会もちょうど2年になるが、試験舗装も含め約70カ所、12000平方メートル施工された」との記載を認めることができる(なお、上記各紙誌に記載されている廃ガラスリサイクル舗装推進協議会の住所、電話番号の中には設立当初の新聞記事に記載されていた住所、電話番号と異なっているものが見受けれられるが、甲第16号証の1には、該協議会の住所が東京都目黒区下目黒1の3の22の405に、電話番号が03−3491−3588に変わった旨のメモ書きがあり、このメモ書きの記載と符合していることから、該協議会の住所、電話番号は、上記住所、電話番号に変更されたものと推認し得る。)。

上記した各事実を総合してみれば、請求人は、法人格のない社団ではあるが、規約を定め、理事長をはじめとする役員を置き、全体を審議する理事会等の審議機関を設ける等、個々の構成員とは別個に独立した社団としての社会的実体を備え、会員は日本全国に広く在籍し、全国的規模にわたって廃ガラスリサイクル舗装の推進に関する活動を継続して行う等、社団として独自の社会活動を営んできたものであることが認められ、「廃ガラスリサイクル舗装推進協議会」の名称は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、舗装事業の分野では広く認識されていたものであることを認めることができる。

しかして、本件商標は、前記したとおり、「廃ガラスリサイクル舗装推進協議会」の文字からなるものであり、請求人の名称と同一の文字構成からなるものである。

ところで、甲第3号証(廃ガラスリサイクル舗装推進協議会役職員名簿)によれば、被請求人(三野道路株式会社)の代表取締役である兵藤勲は、廃ガラスリサイクル舗装推進協議会の理事の職にあったことが認められ、甲第4号証の1(会員名簿)によれば、三野道路株式会社は三社ある特別会員の中の一社であり、甲第8号証の1(平成6年4月27日付環境新聞)によれば、「廃ガラスリサイクル舗装推進協議会は、ウィズウェイストジャパン、環境保全サービス、三野道路などで設立された。三野道路がすでにこの工法に実績を持っていたことから、この工法を全国普及させ・・・この仕組みを簡単にいえば、協議会のあっせんで、ウィズウェイストジャパンなどカレット業者から環境保全サービスがカレットを購入し、施工業者に販売、パテント料は協議会を通して三野道路に支払われる仕組み。」との記載が認められる。これら甲号証によれば、被請求人である三野道路株式会社は、該協議会の中では、単なる一会員としての地位を越えた立場にあったものと推認することができる。

しかしながら、前記のとおり、廃ガラスリサイクル舗装推進協議会は、個々の構成員とは別個独立した社団としての社会的実体を備え、社団として独自の社会活動を営んできたものであることが認められるばかりでなく、廃ガラスリサイクル舗装推進協議会規約によれば、該協議会を代表し会務を統括するのは理事長であり、少なくとも、理事である兵藤勲(あるいは、兵藤勲が代表取締役である会員としての三野道路株式会社)が該協議会のために「廃ガラスリサイクル舗装推進協議会」の名称について商標登録出願をし、商標登録を受けておく正当な地位にあったものとは認められない。又、請求人の主張によれば、被請求人会社は、平成11年頃、請求人である廃ガラスリサイクル舗装推進協議会から退会した旨述べられており、本件商標の出願が退会後になされたものであるなら、なお一層、被請求人が本件商標の出願をし、商標登録を受ける合理的な理由は見当たらない。

そして、被請求人は、本件審判の請求に対して、何ら答弁していない。

してみれば、本件商標は、他人の名称からなるものであり、かつ、被請求人は、本件商標の登録を受けることについて、請求人の承諾を得ているものとは認められない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号に違反してされたと認められるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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