Trademark Appeal Case
活性化リンパ球の記述的表示
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−5585(T2001−5585/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「活性化リンパ球」の文字(標準文字)を書してなり、第42類「医業,健康診断,歯科医業,調剤,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,治療法の研究又は試験,細胞の増殖および活性化,細胞の増殖および活性化の受託,リンパ球培養,リンパ球培養の受託,細胞およびリンパ球の加工,細胞およびリンパ球の加工の受託,癌およびウイルス感染症その他難治性免疫疾患の治療,癌およびウイルス感染症その他難治性免疫疾患の治療用薬品類の研究・開発およびそれらの受託,細胞保存液および細胞培養用研究試薬の研究・開発およびその受託,治療に必要な情報又は資料の提供,医療コンサルタント,特定契約者に対する治療法の指示又は助言」を指定役務として、平成11年12月20日に登録出願されたものである。
2 原査定における拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『活性化リンパ球』の文字を普通に書してなるものであるが、『リンパ球』の文字部分は、『白血球の一種で、免疫機能に重要な働きをするもので、B細胞、T細胞などに分けられ、骨髄で作られ胸腺・リンパ節・脾臓で分化・増殖する。さらに、近年、大型リンパ球の一部が非特異的に腫瘍細胞や微生物に感染した細胞を破壊する性質を持つことが知られてきて、ナチュラルキラー細胞とよばれている』の意であることから、全体として『活性化させたリンパ球』であることを認識させるにすぎないものであるから、これを本願指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に役務の質(内容)等を表示したものと把握するに止まり、自他役務識別標識としては認識しないとみるのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「活性化リンパ球」の文字を書してなるところ、「活性化」は、「沈滞していた機能が活発に働くようになること。」を意味する語であり、また、「リンパ球」は、「白血球の一種。骨髄で作られ、胸腺・リンパ節・脾臓で分化・増殖する。運動性や食作用は弱いが、大食細胞と協同して抗体を産生し(Bリンパ球)、また細胞性免疫および免疫機能調節にあたる(Тリンパ球)。大きさは5から15ミクロンで円形の核を持つ。」を意味する語(広辞苑第5版)であって、いずれも良く知られている語といえる。また、「活性化リンパ球」(activated lymphocyte)について「分化を開始して活性状態にあるリンパ球(lymphocyte)。初めて抗原に出会って増殖しつつあるリンパ球、あるいは細胞媒介免疫反応に関係したり、マイトジェン(mitogen)に反応したり、または抗体産成細胞へと発達しつつある免疫委任リンパ球(committed lymphocyte)のいずれかのことをいう。」を意味する語として収録している辞典「英和免疫学辞典(第3版)」(株式会社廣川書店 平成3年9月5日発行 第5頁)も認められる。
さらに、最近のガン治療及びガン治療に関する研究分野においては、従来の治療法(手術療法、化学療法、放射線療法)に加えて、第4の治療法として、活性化リンパ球療法が注目されており、免疫療法の一つとして治療及び研究が行われている実情にあり、これらについては、例えば、医療関係のインターネットホームページ情報によれば、
(1)免疫細胞療法(活性化自己リンパ球療法)「LAK, CTL, TIL、Dendritic Cell (DC) 療法等」がんを抑える免疫反応の中心となるTリンパ球を体外で培養しながら活性化し、数も大巾に増やし、その上で元の患者さんの体内に戻すということを主眼とした治療法です。試験管内ではTリンパ球を極めて強く活性化することが出来、かつ活性化剤の副作用を蒙ることなく行うことが出来ます。これについてもいろいろな変法が考案され、実施されています。(http://www.j-immunother.com/immunity/immu03.html)
(2)活性化自己リンパ球療法(CAT療法)この治療法は、身体の中のTリンパ球を取り出して活性化させてから再び体内へ戻し癌を攻撃させる、というものです。本来、身体にあるTリンパ球は、そのままでは癌を攻撃しません。しかし、ある特殊な処置を加えると、Tリンパ球は活性化されます。これを身体の中に戻すと、血管内や組織にて出会った癌細胞を攻撃できる状態になります。この活性化はCD3というTリンパ球の表面の特殊な部位の刺激によってなされるためCAT細胞(CD3Activated T Lymphocytes)とよばれます。(http://www.jb-t.co.jp/btc/rinpa.html)
(3)最新医療情報 「リンパ球でガン治療 免疫で生活の質改善 肝ガンでは再発防止も」がん患者のリンパ球を特殊な方法で活性化して増やし、体内に戻す「活性化自己リンパ球療法」。がん性腹膜炎の治療などで7つの大学病院が高度先進医療の承認を得ているが、ほかにもこの免疫療法に取り組む医療機関が増えている。(http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/430rinpa.html)との記載があること。
同じく、一般大衆向け雑誌においても、「自己リンパ球療法の実力 外科手術、抗ガン薬、放射線に次ぐ第4の選択肢『オーダーメードガン治療』、がんといえば、外科手術、抗ガン薬、放射線が3大治療法。だが、ここに第4の治療法がある。自然治癒力を活用したオーダーメードの活性化自己リンパ球療法である。普及には高度の施設と複雑な技術が壁になっていたが、基礎医学の研究者が東京大学退官後にこの治療を専門に行うために開設したクリニックが盛況だ。」(株式会社朝日新聞社発行「週刊朝日2001年11月30日号」)との記載からも裏付けられるものである。
そうとすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、前記事情よりすれば、本願商標が「活性化させたリンパ球」であることを直ちに認識し、理解するものといえるものであり、「『活性化リンパ球』全体で格別の観念を有しない一個の造語というべきである」との請求人の主張を採用することはできない。
してみれば、本願商標を指定役務中「活性化させたリンパ球を使用してなる医業、リンパ球培養,リンパ球培養の受託,細胞およびリンパ球の加工,細胞およびリンパ球の加工の受託」に使用した場合、該役務が「活性化させたリンパ球」を使用して行われる役務であること、すなわち、その役務の質、内容を表示するにすぎないものというべきであり、該文字に照応する役務以外の役務に使用するときは役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定の拒絶の理由は妥当であり、原査定を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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