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Trademark Appeal Case

D-フラクションの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第8811号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「D−フラクション」の文字(標準文字)を書してなり、第32類「清涼飲料」を指定商品として、平成9年6月26日に登録出願されたものである。

第2 原審の拒絶の理由

原審において、「この商標登録出願に係る商標は、神戸薬科大学の難波宏彰が研究の結果発見したマイタケ独自に含まれている高純度な多糖体であり、この教授が命名し、各種学会、出版物等でもとりあげられたことで広く知られている『D−フラクション』の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これを本願指定商品中、例えば『D−フラクションを含んでなる清涼飲料』等、D−フラクションを成分とする商品に使用するときは単に商品の品質、原材料を表示するにすぎないものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品(役務)以外の商品(役務)に使用するときは商品の品質(質)の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1.本願商標は、前記した構成よりなるものであるところ、当審において、「D−フラクション」(Dフラクション)、「D−fraction」の語について行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。

(1)「マジックマッシュルーム/舞茸の世界」(神戸薬科大学教授 難波宏彰著、株式会社菜根出版、1995年6月10日発行)41頁には、「マイタケ抽出物(Dフラクション)」として「マイタケの熱水抽出物で得られた酸不溶性、アルカリ溶性の分枝鎖をもっている多糖体のこと。」なる記載が認められ、また、「マイタケ抽出物(Dフラクション)は直接ガン細胞を殺すものではありません。しかし人体の自然治癒力である免疫システムを強化します。」の記載がある。

(2)「舞茸の代替療法域」(難波広彰著、株式会社菜根出版、平成7年11月13日発行)は、「マイタケの免疫増強作用及び臓器疾患改善に関する研究」との副題のもと、同論文中には「マイタケの子実体から酸不溶性、アルカリ溶性、熱水抽出性の多糖体タンパク体“D−fraction”を得た。」、「腫瘍を抑制するのは担ガン状況に起因する免疫応答作用が“D−fraction”によって活性化されることによることがわかった。」(61頁)、「マイタケのD−fractionとは/マイタケのD−fractionが強い免疫系の活性化をおこない経口投与法でも抗腫瘍性を示し得る。このマイタケD−fractionは酸不溶、アルカリ可溶性の熱水可溶物でβ−1,6、glucanに1.3の分枝鎖をもつ構造である。」(89頁)なる記載がある。

(3)「月刊フードケミカル」(1996−6)の「きのこと成人病」(難波宏彰;51頁)には、「近年,キノコが有する成分やその薬効が科学的に証明され抗がん効果,コレステロールの低下効果,あるいは骨粗鬆症の予防効果などが明らかにされている。」としたうえで、マイタケ多糖体の腫瘍増殖抑制効果を示した。同論文では、「マイタケ多糖体(D−Fraction)」との記載がある。

(4)平成6年(1994年)4月21日付け東京スポーツには、「夢のエイズ抑制薬/日本で開発された!!」の表題のもと、「・・エイズウイルスの活動を強力に抑える『Dフラクション物質』の開発に成功、・・」、「Dフラクションはキノコの一種、マイタケから抽出したもので、・・」の記事が掲載された。

(5)1996年(平成8年)4月22日付け読売新聞(夕刊東京版)には、「・・マイタケ中の『D−フラクション』という多糖体の一種に、免疫力を活性化する働きがあり、この成分が抗エイズ効果をもたらすようだ。」の記事が掲載された。

(6)平成8年10月1日付け夕刊フジには、「マイタケから抽出された成分(D−フラクション)には、抗腫瘍効果があることが認められ、・・」の記事が掲載された。

(7)1997年(平成9年)1月16日付け日本農業新聞には、「森の妙薬/きのこ」の表題のもと、「マイタケ/抜群の制がん効果/エイズ、肥満、血圧降下など/抽出物が成果挙げる」の見出しがあり、「Dフラクションと名付けられた抽出物に、高い生理活性が見られることが分かった。米国のがん治療専門病院では、このDフラクションと、抗がん剤を併用した臨床試験が行われている。」の記事が掲載された。

(8)1997年(平成9年)4月16日付け日本経済新聞には、「雪国まいたけは免疫力を高める成分であるDフラクションを、マイタケから安定的に抽出することに成功した。今月からその成分を含有した錠剤の販売を始め、」、「Dフラクションはキノコ類に含まれる成分で、免疫力を高める性質を持っている。」の記事が掲載された。

また、同趣旨の記事が1997年(平成9年)4月17日付け日経産業新聞にも掲載された。

(9)1997年(平成9年)5月22日付け日本流通産業新聞には、「雪国まいたけは、独自の製法で抽出したまいたけエキスの健康食品『MDフラクション』を四月に発売、・・・『MDフラクション』の主成分である『Dフラクション』は、同社が開発した熱水抽出法により取り出したまいたけのエキスで、これを飲みやすいように加工してカプセル化した。・・一カプセル中に五十ミリグラムのDフラクションを配合。」の記事が掲載された。

(10)1997年(平成9年)6月5日付け日本農業新聞には、「難波教授は、・・・マイタケの主成分である多糖体の中にあるβ(ベータ)グルカンに、薬効の秘密があることを突き止めた。・・『βグルカンの成分の一つ、D−フラクションが、腫瘍(しゅよう)に対し最も作用が強い。』と同教授。・・・がん細胞を抑制しているのは体に備わっている免疫機構で、D−フラクションは免疫機構を活性化させる。」の記事が掲載された。

(11)平成9年6月26日付け健康産業流通新聞には、「マイタケのβグルカンは、熱水で抽出し、精製するわけですが、四番目に精製された物質が腫瘍に対して最も強いことから、Dフラクションと名付け、・・」との難波宏彰教授の談話が掲載された。

(12)1997年(平成9年)7月23日付け東奥日報には、「マイタケを食卓に」の見出しのもとに、マイタケから抽出される制がん性物質を「Dフラクション」と名付けたとの難波宏彰教授の談話とともに、マイタケの料理法を紹介した記事が掲載された。

(13)平成9年(1997年)8月5日付け山形新聞には、「マイタケ/優れた薬効効果を解明」、「がんの発生、増殖、転移を抑制」の見出しのもと、「マイタケの『βグルカン』は熱水で抽出し、精製していくと、酸不溶性、アルカリ溶性のいくつかの物質に分かれる。そして、四番目に精製された物質が腫瘍(しゅよう)に対して最も強い効果があり、『Dフラクション』と名づけられた。」との難波宏彰教授の談話が掲載された。

(14)1997年(平成9年)8月11日付け桐生タイムスには、「マイタケに薬効効果」、「がんの発生、増殖を抑制」の見出しのもと、マイタケから抽出される制がん性物質を「Dフラクション」と名付けたことに関する記事が掲載された。

(15)1997年(平成9年)9月17日付け大阪新聞には、「マイタケ/乳がんなど抜群の腫瘍抑制率」の見出しのもと、マイタケから抽出された「D−フラクション」に抗腫瘍率が高いことを紹介する記事とともに、マイタケの料理法を紹介した記事が掲載された。

(16)1997年(平成9年)10月3日付け毎日新聞には、「がん治療『免疫療法』に注目」との見出しのもと、「キノコの一種である『マイタケ』からはがんの発生や増殖、転移を阻止する物質『D−フラクション』が抽出され、動物実験で効果が確認されている。」、「難波教授はマイタケから抽出した『D−フラクション』と呼ばれ、抗がん効果があるとみられる物質の研究成果などについて報告した。」、「D−フラクションとは/D−フラクションとは、東北地方で採れるサルノコシカケ科のキノコの一種『マイタケ』から熱水抽出された物質。・・・マイタケのβグルカンをさらに精製した結果、さまざまな物質が得られた。中でも四番目に精製されたものが抗腫瘍性に優れており、これをアルファベットの4番目の『D』をとって『D−フラクション』と名付けた。」の記事が掲載された。

(17)1997年(平成9年)10月3日付け日本農業新聞には、「欧米でマイタケに注目」、「がん免疫療法に期待」の見出しのもと、マイタケから抽出された「D−フラクション」に抗腫瘍率が高いことを紹介する記事が掲載された。

(18)1997年(平成9年)12月7日付け日刊スポーツには、「ファンケルのフード事業部は中高年の健康維持にお勧めのサプリメント『マイタケエキスDフラクション』を発売。」の記事が掲載された。

(19)平成10年4月7日付け日刊ゲンダイには、「がんの代替治療にまいたけ有効」の見出しのもと、「『D−フラクション』が免疫活性効果/βグルカンは120度の熱水で抽出し精製。4番目に精製された物質が腫瘍(しゅよう)に最も作用が強いことから、アルファベットの4番目のDをとって『D−フラクション』と難波教授が名付けた。」の記事が掲載された。

(20)「週刊実話」1995年11月9日号の「ガン治療に使われている日本原産『マイタケ』は」の表題が付された記事中には、「米国では医療用に使われているのはマイタケから抽出した多糖体の成分で“D−フラクション”と呼ばれ、そのエキスが病院向けに売られています。」、「現在、日本ではマイタケの乾燥粉末や錠剤が今年になって数社から発売されている。マイタケのユニークな商品開発をしているクイーン・マイタケカンパニーではマイタケを特殊な方法で加工、料理に使える粉末や、ビールのつまみや子供のおやつになるマイタケチップを開発した。」の記事が掲載された。

(21)「週刊現代」1997年3月15日号の「日本人が開発して世界が認めた『がんに効くクスリ』3」の表題が付された記事中には、がんの代替療法として使用されている「Dフラクション」が紹介されている。

(22)「安心」1997年7月号の「免疫力を強化してガンを抑制するキノコ《マイタケ》は日米のガン治療に大活躍/ガンが改善と日米の医師から報告続々/糖尿病、高血圧にも有効と話題集中の《マイタケ》」の表題が付された記事中で、「マイタケの免疫増強作用と抗腫瘍作用の中心になっているのが、D−フラクションと呼ばれる物質である」とした難波教授の談話を紹介した。

(23)「わかさ」1998年3月号の「キノコはガンを防ぐ効力が抜群に強いが中でもマイタケは特に効果大」の表題が付された記事中で、「マイタケの多糖体(私たちはこれをD−フラクションと名づけました)には、乳ガンや子宮がんを抑える効果がある」旨の難波教授の談話を紹介した。

2.前記1.で認定した事実よりすると、「D−フラクション」(Dフラクション)の語は、「マイタケから熱水抽出され、免疫活性化機能を有する物質の名称」を表すものとして、いわゆる健康食品の分野ないし医療関連の分野において、普通に使用されていたと認め得るところであり、また、本願商標の登録出願以前より、請求人以外に、熱水抽出法により取り出したまいたけのエキスである「D−フラクション」を加工して販売している事例等も認められる。

してみると、健康志向が高まり、いわゆる健康食品といわれる商品への関心が極めて強いわが国の風潮にあって、本件審決時はいうまでもなく、本願商標の登録出願日である平成9年6月26日には既に、その需要者の間では、「マイタケから熱水抽出され、免疫活性化機能を有する物質の名称」を表すものとして認識されていたとみるのが相当である。

そうとすれば、「D−フラクション」の文字よりなる本願商標を指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該商品が「マイタケから熱水抽出され、免疫活性化機能を有する物質であるD−フラクションを含有した商品」なる意味合いをもって、商品の品質、原材料を表したと認識するにとどまるものと認められ、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというのが相当である。また、本願商標は、これを上記「D−フラクションを含有した商品」以外の商品について使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。

3.したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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