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Trademark Appeal Case

まる釜の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第18116号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第11類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成7年11月14日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、平成10年1月6日付の手続補正書により「家庭用電気炊飯器,家庭用電気おかゆ鍋,家庭用電磁調理器付鍋,家庭用電気グリル鍋,家庭用電気鍋」と減縮補正されたものである。

2 原査定の拒絶理由

原査定は、「本願商標は、『丸型の釜』であることを表す『まる釜』の文字を普通に用いられる方法で表したものと、『丸型の釜』と認識させるにすぎない図形とを結合したものであるから、これをその指定商品中『電気炊飯器』に使用するときは単に商品の品質を表したものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨、認定、判断して本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、別掲のとおり、黒塗りの図形中に「まる釜」の文字を白抜きで表してなるものと認識されるものである。

請求人は、上記「まる釜」の文字は普通に用いられる書体ではなく図形化されたものである旨主張しているが、この程度の書体では、普通に用いられる方法で表示した標章の範囲を出ないものというべきである。

しかして、まず、本願商標を構成する文字部分についてみるに、「まる」の文字は、「まるい形、球形」を意味する語として、また、「釜」の文字は「飯を炊いたり湯を沸かしたりする金属製の器」を意味する語として、それぞれ親しまれたものであって(岩波書店発行「広辞苑第5版」参照)、両者を結合した「まる釜」の語は、まるい形状(球面状)ないしは丸みを帯びた釜の意味合いを容易に理解し得るものといえる。

そして、本願商標の指定商品に含まれる家庭用電気炊飯器については、この種業界において、各社が炊きムラを少なくするために釜の改良を行っており、特に内釜の底を丸みを帯びた形状(球面)にし、加熱面積を広げたものが開発され、これを「丸釜」ないしは「まる釜」、あるいは「丸○○釜」等と称している事実もある。

たとえば、「象印総合カタログ2001秋号NO.67」(象印マホービン株式会社発行)中の「圧力IH炊飯ジャー」の頁において、「黒まる厚釜」の項目の下で「お米が対流しやすい丸釜で、釜全体に熱を伝えます。」と記述され、「SANYO調理器具総合カタログ2001−秋」(三洋電機株式会社発行)中の「ジャー炊飯器」の頁において、「ひろまる厚釜」の項目の下で「釜を広く、浅く、釜底を球面にすることで対流をよくし、炊きムラを抑えます。」と記述されているほか、「日立調理器具総合カタログ、2001−6」(株式会社日立製作所家電グループ発行)中の「ジャー炊飯器」の頁に「鐵丸羽釜」、「黒丸羽釜」「取っ手つき丸釜」等の記載が見られる。

さらに、インターネットのホームページにも次のような記載がされている。

例えば、株式会社日立製作所のホームページ(http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/9507/0725.html)の「IHジャー炊飯器『IH匠御膳』9機種発売」における「ツインIH加熱及びまる釜採用」との記載、株式会社サタケのホームページ(http://www.satake-japan.co.jp)の「マジックIH炊飯ジャー」における「うまさを引き出すIH&対流式まる釜」との記載、株式会社ファミネットのホームページ(http://www.faminet.co.jp/tsuhan/denka/kitchen.html)の「キッチン用品●SANYOジャー炊飯器」における「小容量でも加熱ムラなく炊けるIH遠赤丸釜」との記載。

次に、本願商標を構成する図形部分についてみるに、該黒塗りの図形は、蓋付き丸底の炊飯用釜の形状を模して図案化したものであって、家庭用電気炊飯器の機能等を説明するために度々採用される類型の一つを表したものと容易に理解し認識されるものであり、同様の図形はこの種業界の各社の製品カタログにも見出される。たとえば、前出の「日立調理器具総合カタログ」中の「ジャー炊飯器仕様・特徴比較表」の頁における鍔付き丸底の釜を表した黒塗り図形、「National炊飯器・電化調理器具総合カタログ、2001/秋」(松下電器産業株式会社発行)中の「IHジャー炊飯器」の頁における鍔付き丸底の釜を表した黒塗り図形(中に「釜厚2.3mm」の文字が白抜きで表されている。)が挙げられる。

これらの事実からすると、上記構成からなる本願商標からは、全体として、看者は丸みを帯びた形状(球状)の内釜であることを表したものと容易に理解し認識するというのが相当である。

してみれば、本願商標は、これをその指定商品中「家庭用電気炊飯器」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は該商品の品質(機能、構造、形状)を表示したにすぎないものと認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ず、また、これを上記機能、構造、形状を有しない商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものというべきである。

なお、請求人(出願人)は、業界に先駆けてまる釜を開発し、本願商標を新聞、カタログ等で幅広く使用し、業界及びユーザーに広く「まる釜のタイガー」を認識させるに至り、同業他社との混同もない旨主張し、証拠を提出している。

しかしながら、提出された請求人自身の製品カタログにおいても、例えば、商品の説明文中に「Wまる釜の対流効果でお湯がムラなく対流し、さらに炊きムラを少なくします」と記述され、「IHマイコン炊飯ジャーの仕様・機能一覧表」中で「内なべ」として「厚釜」、「黒釜」、「遠赤」と共に「まる釜」及び「対流式Wまる釜」が同列に表示されていることや、「まる釜」及び「対流式Wまる釜」について模式図を用いて説明していることからしても、また、上記のとおり、同業他社においても「まる釜」、「丸釜」の文字や図形が使用されていることからすれば、本願商標に接する取引者・需要者は商品の品質を端的に表示したものとしてしか認識し得ないというのが自然であるから、請求人の主張は採用することができない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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