Trademark Appeal Case
地名と商品名の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−10970(T2000−10970/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「播州毛鉤」の文字を標準文字により表してなり、第28類「毛針」を指定商品とし、平成11年4月9日に団体商標として登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、兵庫県の南西部の旧国名播磨の別称として親しまれている『播州』の文字と『毛鉤』の文字を結合して『播州毛鉤』と普通に用いられる方法をもって書してなるものであるから、これより全体として『播州地方において作られた毛鉤』の意味合いを認識させるにすぎないので、これを本願指定商品について使用するときは、単に商品の品質(産地)を表示したに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり「播州毛鉤」の文字よりなるところ、岩波書店発行「広辞苑第5版」を徴するに、その構成中の「播州」の文字は、「播磨(はりま)国の別称。」と説明され、「はりま【播磨】」の項をみると「旧国名。今の兵庫県の南西部。播州(ばんしゅう)。」として、「毛鉤」の文字は「け‐ばり【毛鉤】」の項をみるに「擬餌鉤(ぎじばり)の一。羽毛などを巻きつけた釣針。蚊鉤(かばり)。」を意味する語として、それぞれ知られているものと認められる。
そして、これらを連結した「播州毛鉤」の文字(語)は、請求人(出願人)が、伝統工芸品の名称であると述べるように、播州地域が京都の近くに位置することから、擬餌針の技法が京都から伝わり、江戸末期には農家の副業として生産され始め、明治中頃には水産博等で数々の賞を受賞し、現在にわたって生産されている毛針の名称であって、旧国名播磨の別称で、播州平野等の地域名としても親しまれている「播州」に位置する現在の兵庫県西脇市、同多可郡黒田庄町、同氷上郡山南町等の地域で主に生産されていることでも知られているものである。
そうとすれば、本願商標「播州毛鉤」の文字(語)を、その指定商品「毛針」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「現在の兵庫県西脇市、同多可郡黒田庄町、同氷上郡山南町等の地域で古くから生産されている擬餌針の一種」として容易に理解するというのが相当であって、商品の産地、内容、品質を表示したものとして理解するにとどまり、自他商品を識別する標識とは認識しないというべきである。
なお、請求人は、本願商標を伝統的工芸品の指定を受けた工芸品の名称であり、指定を受けた団体である請求人(出願人)がその構成組合員に使用させることによって、識別機能を有する旨述べているが、伝統的工芸品産業の振興に関する法律は、一定地域で生産される伝統的工芸品及び該工芸品生産の中核をなす事業協同組合等を指定し、国、地方自治体から助成を行い、産地全体で振興を図ろうというものであり、伝統的工芸品として指定を受けたからといって、その名称が自他商品の識別機能を有するものであることを無条件に意味するものではない。
また、本願が団体商標として出願されたものであっても、登録商標として求められる自他商品の識別機能の必要性は、通常の商標登録出願と変わるところはなく、本願商標については、前記認定のとおりであるから、請求人の主張は認めることができない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当なものであって、取り消す限りではない。
よって、結論のとおり決定する。
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