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Trademark Appeal Case

不使用取消と通常使用権者の使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−31367(T2001−31367/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3186656号商標の指定商品中、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第3186656号商標(以下「本件商標」という。)は、「スマート」の片仮名文字により構成されてなり、平成4年9月25日に登録出願され、第42類「宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,写真の撮影,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,通訳,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」を指定役務として、平成8年8月30日に商標権の設定登録がされたものである。

2.請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。

請求人の調査によれば、本件商標は、その指定役務中、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」について継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

なお、本件商標には、他人に専用使用権若しくは通常使用権を許諾した形跡はなく、また登録されていない通常使用権者が本件審判請求の日前3年以内に、日本国内で上記役務について本件商標を使用しているとの事実も見出せない。

3.被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)答弁の理由

本件商標は、次に述べるように、被請求人から通常使用権を許諾された株式会社ホリデイツアーズ(以下「ホリデイツアーズ」という。)が「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について、本審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において使用している。

(ア)ホリデイツアーズは、被請求人の100%子会社であり、「ホリデイ商品」について被請求人との間に次の契約関係にある。

1999年3月31日まで

旅行業法上の主催旅行業務、オペレーション業務、予約管理業務その他一切の業務を担当していた。

同年4月1日以降現在に至るまで

オペレーション業務、予約管理業務その他被請求人が指定しホリデイツアーズが同意する業務をホリデイツアーズが受託し、旅行業法上の主催旅行業務の責任は被請求人が担当する(乙第1号証ないし乙第3号証及び乙第6号証)。

(イ)上記業務関係に基づく業務の執行に伴ない、被請求人からホリデイツアーズに通常使用権が当然許諾された。この許諾契約は親子会社であるため書面の形ではないが、これに変わるものとして「パンフレット制作および販促物・広告等の表現基準ガイド」(乙第4号証の1)を提出する。これは、被請求人より通常使用権が許諾されたグループ会社が遵守すべき事項が規定されたもの(乙第4号証の2)で、乙第1号証ないし乙第3号証のような関係を有する会社には当該使用商標について通常使用権が当然許諾され、その際の使用基準となる。

(ウ)「ホリデイ商品」中には、本件商標「スマート」を付して使用している旅行商品が含まれる(ホリデイツアーズのパンフレット「Holiday」:乙第5号証)。

(エ)乙第5号証に記載された商標は、「スマート」のゴチック体文字を、左右を半円形にした長方形状の通常用いられる枠で囲んだものであるから、本件商標と「社会通念上同一と認められる商標」である。

(オ)ホリデイツアーズのパンフレット(乙第6号証)に「ホリデイツアーズでは、全世界をネットする近畿日本ツーリストの海外旅行オンラインシステムによって、世界を結ぶ情報ネットワークで旅をバックアップ。国内海外の支店、代理店を網羅するコンピュータネットワークによって、皆様の旅をサポートしてまいります」と記載され、また、同号証第4丁目の図の記載よりみて、旅行商品「スマート」(本件商標「スマート」を付して使用している旅行商品)についてのホリデイツアーズの役割は、旅行商品「スマート」に関するオペレーション業務又は予約管理業務としての「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」である。

(カ)これらの業務における本件商標「スマート」の使用は、途中業務分担や移管があったものの、少なくとも、本審判請求の予告登録である平成14年1月9日前3年以内の1999年3月まで使用している(乙第5号証)。

(キ)このように、本件商標「スマート」は通常使用権者たるホリデイツアーズが「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について商標法第50条第2項の「使用」をしている。

4.当審の判断

本件審判の請求は、本件商標の指定役務中、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」について、商標法第50条による商標登録の取消審判の請求であるところ、該取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、本件審判の請求の登録前3年以内に、我が国において、請求に係る指定役務のいずれかについて登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。

そこで、被請求人が本件商標を本件審判の取消対象役務中、「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について使用していた事実を証明するものとして提出した乙各号証を検討する。

(1)登録商標の使用役務

商標法上の役務(サービス)は、業として提供されるものでなければならず、そして、それは同種の役務を提供する競業者の存在を前提として、同一内容のものが経済取引として反復継続して不特定多数の需要者に対し提供されるものでなければならないものと解されるものであるから、この点を踏まえて、被請求人の提出に係る乙各号証によって、本件商標を指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について使用していた事実を証明し得たものかについて判断する。

(ア)被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第3号証は、被請求人とホリデイツアーズとの契約書と認められるところ、これらは、被請求人とホリデイツアーズとの間における「ホリデイ商品」とする旅行業法上の主催旅行業務、オペレーション業務、予約管理業務に関する契約内容を証明するに止まるものである。そして、この契約関係から「ホリデイツアーズ」が通常使用権の許諾を受ける立場にあることを認め得るとしても、これ以上に、ホリデイツアーズが本件商標を指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について使用していた事実を証明し得たものといえない。

(イ)同じく、乙第4号証の1及び2は、表題を「パンフレット制作および販促物・広告等の表現基準ガイド」とする冊子とその送付書の写しと認められるところ、これらは、被請求人のグループ会社が遵守すべきパンフレット制作および販促物・広告等の事項を証明するに止まるものである。

(ウ)同じく、乙第5号証は、被請求人のグループ会社ないしはホリデイツアーズの主催にかかる海外旅行に関するパンフレットであって、これに、旅行プランのグレードを示すものとして「スマート」の文字が使用されているにすぎず、これをもって指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」についての使用とすることはできない。

(エ)同じく、乙第6号証は、ホリデイツアーズの会社案内といえるものであって、これによれば、「ホリデイツアーズでは、全世界をネットする近畿日本ツーリストの海外旅行オンラインシステムによって、世界を結ぶ情報ネットワークで旅をバックアップ。国内海外の支店、代理店を網羅するコンピュータネットワークによって、皆様の旅をサポートしてまいります」との記載がされていること、及び、ホリデイツアーズの役割が、被請求人のグループ会社の旅行商品に関するオペレーション業務又は予約管理業務をしていることは認め得るとしても、これ以上に、ホリデイツアーズが「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を業として不特定多数の需要者に対し提供しているものとは到底認め難いものである。

(2)まとめ

以上の(ア)ないし(エ)及び被請求人の主張の全趣旨を総合して判断しても、被請求人提出に係る書証のみをもってしては、ホリデイツアーズが本件商標をその指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について使用していることは証明されていないといわなければならない。

してみれば、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、請求に係る指定役務について使用されていなかったものというのが相当である。

その他、前記認定を覆すに足りる証拠はない。

したがって、本件商標の登録は、その指定役務中の結論掲記の役務について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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