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Trademark Appeal Case

ソフトウェアの商品性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−31306(T2001−31306/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3356454号商標の指定商品中「配電用又は制御用機械器具,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,回転変流機,調相機」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3356454号商標(以下「本件商標」という。)は、「INALI」の欧文字を横書きしてなり、平成6年12月1日登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気式ワックス磨き機,電気掃除機,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、同9年10月31日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標の商標権者は、日本国内において本件商標を継続して3年以上「配電用又は制御用機械器具,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,回転変流機,調相機」について使用していない。また、商標登録原簿上は、本件商標に専用使用権あるいは通常使用権が設定・許諾されている事実も見あたらない(甲第1号証)。

よって、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品のいずれについても本件商標の使用をしていることを証明していない。以下、被請求人の提出した答弁書に対し弁駁する。

確かに、被請求人が乙第1号証として提出したWEBサイトの写しには「INALI」の欧文字が現れている。

被請求人の主張は、唯一かかるWEBサイトに現れた「INALI」の欧文字のみをもって、本件審判の請求に係る指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について本件商標を使用しているというものである。

しかしながら、当該WEBサイトに当該欧文字が表示されていることのみをもって、本件商標が使用されているということはできない。

(1)被請求人が乙第1号証として提出したWEBサイトの写しは、本件商標を「ソフトウェア」に使用していることを示すものとされている。

しかしながら、当該ソフトウエアは、そもそも商標法上の「商品」には該当し得ず、よって、WEBサイト上に現れた「INALI」の語句は、法上の商標には該当しないとするのが相当である。

確かに、被請求人が乙第1号証として提出したWEBサイトの記載全体よりすれば、被請求人は、ユーザの仕事の一部を代行する秘書的な業務を自動実行するプログラム(ソフトウエア)のことを「エージェント」と指称し、かかる「エージェント」の総称として「INALI」の語句を使用していると理解することができる。

しかし、そもそも商標法上の商標とは、標章であって、業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用するものである(商標法第2条第1項第1号)。すなわち、法上の商標とは、「商品」について使用される標章をいう。

被請求人が乙第1号証として提出するWEBサイトの写しに記載されている「プログラム(ソフトウエア)」は、被請求人も答弁書において自認しているように売買の実績の全くないものである。また、被請求人は当該ソフトウエアにつき、「インターネット上の社外発信用ホームページにおいて顧客への販売活動を継続している」旨主張しているが、かかる事実は答弁において何ら立証されていない。

(2)被請求人は、乙第2号証として新聞記事の写しを添付しているが、当該新聞記事の大見出しには「社員の日程調整自動的に」と、また、小見出しには「自ら判断するソフト活用」と記載されている。記事の内容からすれば、被請求人自身が、「個人(「社員」)やグループ全体の業務を効率化」するために、当該ソフトウエアを「活用」することを示した記事にすぎないことは明白である。すなわち、当該ソフトウエアは被請求人が自社内で使用するものであり、取引の対象とはしないものであるから、当該ソフトウエアは、法上の「商品」には当たらない。少なくとも、この記事は、被請求人が取引の対象となる「商品」としてソフトウエアを開発している旨を伝えるものではない。

なお、同じく乙第3号証として提出された新聞記事の写しには、「同社(NEC)は社内で試験的に導入して評価し、将来的には外販していきたい考えだ」との記載がある。すなわち、当該記事が掲載された時点ではソフトウエアは取引の対象とはされておらず、単に将来販売する予定があったにすぎない。「同社(NEC)は近く、企業向けのシステム構築サービス部門にこのソフトを試験導入し、使い勝手や効果を評価する」とあり、その試験導入の結果、当該ソフトウエアの商品化を実現したのか否かにつき、被請求人は何ら明らかにしていない。

このように、被請求人の答弁書における主張及び提出された証拠方法からは、当該ソフトウェアが取引の対象となる「商品」であるとは認識できず、そもそも当該ソフトウエアは、法上の「商品」には該当しないというべき性質のものであり、WEBサイトの写しに現れた「INALI」の欧文字をもって法上の「商標」とは解し得ないと解するのが相当である。

以上より、被請求人は本件商標の使用をしていることを何ら立証していないことは明白である。

(3)仮に、WEBサイト上の「INALI」の語句が法上の「商標」に該当するといい得たとしても、該サイトに「INALI」の語句を表示していることのみをもって商標法第50条第2項にいう登録商標の「使用」があったと認定することはできない。

そして、乙第1号証によれば、当該WEBサイトの最終更新日は1996年10月24日である。一方で被請求人は、答弁書提出時においてもなお、商品「ソフトウエア」に「INALI」標章を付して販売した実績を有していないのである。5年以上も更新されていないWEBサイト上に現れた表示をして、これを「広告」と認め、登録商標の「使用」の事実を認定することは、上記法第50条の規定の趣旨に沿うものではない。

なお、請求人は、被請求人の提出した答弁書に記載のURLアドレスを入力して、WEBサイトを確認しようと試みたが、乙第1号証に示されているようなWEBサイトにはアクセスすることができなかった(甲第2号証)。 してみると、乙第1号証に現れているWEBサイトは既に削除されているか、あるいは、一般の消費者等が到達することは著しく困難な状態にあり、少なくとも「広告」としての機能を喪失していると解するのが相当である。

3 以上のとおり、被請求人が本件商標を審判請求に係る指定商品について使用している事実は何ら証明されていない。よって、本件商標の指定商品中「配電用又は制御用機械器具,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,回転変流機,調相機」については、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証(甲号証の記載は誤記)を提出した。

被請求人は、本件商標をその指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」に使用している事実について、以下説明する。

(1)乙第1号証は、本件商標の指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」に使用していることを示すものである。

すなわち、乙第1号証は、被請求人がインターネット上の社外発信用ホームページに掲載されたWEBサイトの写しであり、そのサイトの中に、本件商標の語句が使われていることが確認でき、又、この本件商標を「ソフトウェア」の名称として使用していることは明らかである。

本件商標の語句が使われているWEBサイトは、1996年(平成8年)に作成し発信されたものであり、1996年(平成8年)10月24日から今日に至るまで使用を継続しているものである。

今日においても、乙第1号証にて使用されているURLアドレスを入力して該ホームページにアクセスすると乙第1号証にて示されたWEBサイトを確認することができる。

(2)乙第2号証は、1996年4月14日付け日経産業新聞の記事の写しであり、乙第1号証で示されたWEBサイトに格納されているものである。乙第1号証にて「ソフトウエア」の名称であることは明らかであるが、乙第2号証はより明確に「電子応用機械器具及びその部品」である「ソフトウェア」であることを示している。

(3)乙第3号証は、乙第1号証にて示されたWEBサイトに格納されている新聞記事の切り抜きの写しであり、より明確に「プロジェクト管理ソフト」と示されている。

上記乙第1号証から乙第3号証において示したとおり、本件商標は、その使用する製品の売買の実績はないが、インターネット上の社外発信用ホームページにおいて顧客への販売活動を継続している。

(4)よって、被請求人は、本件商標を継続して3年以上「電子応用機械器具及びその部品」に使用していることは明白である。

第4 当審の判断

乙第1号証ないし同第3号証についてみるに、乙第1号証は、被請求人のインターネットホームページに掲載されたウェブ・サイト(写し)と認められるところ、この画面上には本件商標と同一の商標と認め得る「INALI」の欧文字が表示されているが、当該ウェブ・サイト(写し)に表示されている日付けは、1996年(平成8年)10月24日及び1996年(平成8年)11月21日の表示であって、いずれも本件審判の請求の登録(平成13年12月12日)前3年以内に掲載されたものではない。この点について、被請求人はウェブ・サイトを今日に至るまで継続している旨述べるのみである。

また、乙第2号証は、被請求人が企業向けに開発したソフトウェアに関する記事が掲載された日刊新聞の切り抜き(写し)と認められるが、被請求人が印字した日付(1996/4/14)及び新聞名(日経産業新聞)のみで、その上、記事中のソフトウエアには、本件商標が何ら表示されていない。 さらに、乙第3号証は、乙第2号証と同様の新聞記事の切り抜き(写し)と認められるが、日付、新聞名が不明なもので、かつ、記事中に本件商標は何ら表示されていない。

してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人(商標権者)により本件審判の請求に係る商品「配電用又は制御用機械器具,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,回転変流機,調相機」について、使用されていたものとは認められず、かつ、使用をしていないことについて正当な理由があったものとは認められない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「配電用又は制御用機械器具,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,回転変流機,調相機」についての登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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