結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成8年審判第14452号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
1.本件登録第2455490号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙に表示したとおりの構成よりなり、平成1年7月28日登録出願、第23類「時計及びその附属品、その他本類に属する商品」を指定商品として、同4年9月30日に設定登録がなされたものである。
2.請求人は、本件商標の登録を取り消す、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べている。
(1)請求人は、日本国内において宝石、貴金属、時計類の輸入、販売業者であり、平成4年よりスイス国ジュネーブ市のエグゼコ社から同社製造の時計「Soft watch」(平成7年9月27日商標登録第3077892号)を輸入、販売して来たところ、その後同社が平成1年1月23日に死亡したサルバドール・ダリ氏の著作権等の権利一切を収得したスペイン政府より権利を承継したダリ財団からダリの署名を含む著作権等の使用を許可され、上記時計に「ダリ」の署名を表示して製造、輸出するようになり、請求人も平成5年7月以降同時計を輸入し、先使用して来たものである。然るに平成8年3月5日付で本件商標権者より「商標権侵害等差止損害賠償請求」を提訴されたものである(平成8年ワ第691号損害賠償請求事件原告 デマート・プロ・アルテ・ベ一・ファウ 被告 株式会社ヨシダ興業他1名)。
本件商標権は、請求人の当該使用態様には抵触もせず、その効力も及ばないものと確信思料するものであるが、また一方で請求人が利害関係人として本件商標の使用状況について請求人の調査したところによれば、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないことが判明したので、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
(2)被請求人は、株式会社ソニー・クリエイティブ・プロダクツとライセンス契約を締結し、本件商標の通常使用権を許諾し、本件商標を指定商品である時計に使用したと主張するが、当該契約に係る標章は、専ら被請求人が出願した構成要素を異にする別の商標(平成9年1月28日出願公告平9−8010号)である「SALVADOR DALI」や「サルバドールダリ」に係るものであり、請求人が取消審判を求めている本件商標に使用されているとは認められず、被請求人の理由は根拠がない。
▲1▼乙第1号証の写真1のタグに付された「SALVADOR DALI」のタグ(乙第2号証)は、商品本体でも包装でもなく商標法第2条第3項第1号に該当しないし、又「SALVADOR DALI」の標章は、本件商標の構成要素ではない。
▲2▼乙第1号証の写真2及び3の時計に付された「DALI」や「SALVADOR DALI」の標章は、本件商標の構成要素ではない。
▲3▼乙第1号証の写真4の包装箱に付された「Galla」と思われる筆記体の署名、同5の包装箱に付された「SALVADOR DALI」の標章は、本件商標の構成要素ではないし、同6の包装箱に付された「DEMART」と「Dの文字とデフォルメされた時計の図形が結合したもの」とは、本件商標の一部で全体として本件商標を使用しているとは認められないものである。
▲4▼乙第6号証1枚目のリーフレットに付された「DEMART」と「Dの文字とデフォルメされた時計の図形の結合したもの」も本件商標の一部で全体として本件商標の使用ではないし、「SALVADOR DALI」の標章は、本件商標の構成要素ではない。
さらに、被請求人は、本件審判請求前の平成8年9月9日から上記標章を使用したと主張するが、本件審判請求は、平成8年8月22日であり、仮に上記標章の一部が本件商標の使用と認められるとしても、被請求人が本件審判請求日前3年以内に本件商標を使用したとは認められないものである。
実際に被請求人が、乙第1号証の写真の時計を長谷川時計店等に納品したのは、平成8年10月以降のことで、一般に販売され出したのはそれ以降の同年11月以降のことであり、仮に上記時計の標章の一部に本件商標の使用が認められるとしても、被請求人は、本件商標が登録されたときから、請求人が本件商標の不使用による取消審判請求を申し立てたまでの間は全く本件商標を使用していなかったものである。
しかも、上記の如き標章の使用状況では、現在においても被請求人が本件商標を使用しているとは認められないものである。
3.被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至乙第7号証を提出している。
(1)被請求人は、東京都渋谷区恵比寿4丁目20番3号恵比寿ガーデンプレイスタワー 株式会社ソニー・クリエイティブ・プロダクツとライセンス契約を締結し、本件商標等を時計等の商品に使用する通常使用権を許諾した。則ち、株式会社ソニー・クリエイティブ・プロダクツは、本件商標の通常使用権者である(以下、「通常使用権者」という。乙第2号証及び乙第6号証1枚目)。
(2)通常使用権者は、本件審判請求の予告登録の日である平成8年9月24日の前3年以内に、本件商標をその指定商品である時計に使用した。
則ち、
▲1▼通常使用権者は、本件商標の構成要素である「SALVADOR DALI」を付した時計のタグ(乙第1号証の写真1及び乙第2号証)の製造を平成8年9月9日開始した(乙第3号証)。これは、本件商標の使用(商標法第2条第3項第1号)に該る。
▲2▼通常使用権者は、平成8年9月18日、本件商標の構成要素である「SALVADOR DALI」を時計の本体の裏面に、同じく本件商標の構成要素である「DALI」を文字盤に付した時計(乙第1号証の写真2及び3)の製造を開始した(乙第4号証)。
▲3▼通常使用権者は、本件商標の構成要素である「SALVADOL DALI」、「Demart」、「D+軟らかい時計の図形」及び「DALI」を付した時計の包装箱(乙第1号証の写真4乃至6)の製造を平成8年9月18日開始した(乙第5号証)。これは、本件商標の使用(商標法第2条第3項第1号)に該当する。
▲4▼通常使用権者は、本件商標の構成要素である「D+軟らかい時計の図形」、「Demart」及び「SALVADOL DALI」を付したリーフレット(乙第6号証1枚目)の製造を平成8年9月22日開始した(乙第7号証)。これは、本件商標の使用(商標法第2条第3項第7号)に該当する。
(3)よって、本件商標は、本件審判請求の予告登録の前3年以内に、我国において、通常使用権者により、指定商品である時計について使用されているから、本件審判請求は理由がない。
4.よって、被請求人の提出に係る乙各号証をみるに、
▲1▼乙第1号証は、腕時計の全体写真、該時計の表裏両面の時計本体部分の拡大写真各1枚並びに該時計の外装箱と思しき写真3枚とからなるところ、その写真中に「SALVADOL DALI」、「Demart Pro Arte B.V.1996」及び「Dの文字とデフォルメされた時計の図形が結合したもの」の各欧文字或いは図形よりなる商標を表示したものと認められるものが見出し得るが、これらの写真は、撮影年月日、撮影場所、撮影者等全く不明である。
▲2▼乙第2号証は、タグの表裏両面の写しと認められるところ、この中に「SALVADOL DALI」の欧文字が見出し得るが、これはいかなる商品のタグであるのか不明である。
▲3▼乙第3号証は、注文書の写しと認められるところ、これは通常使用権者が、件外ナカムラレーベル(株)に対し、96年(平成8年)9月9日に腕時計用のタグの製作を発注し、その納期が同年同月18日であることが見出し得るが、実際に何時納品されたのかは不明である。
▲4▼乙第4号証は、注文書の写しと認められるところ、これは通常使用権者が件外セイコータイムテック(株)に対し、96年(平成8年)9月18日に腕時計の製造を発注し、その納期が同年同月26日であることを見出し得るが、実際に何時納品されたのかは不明である。
▲5▼乙第5号証は、注文書の写しと認められるところ、これは通常使用権者が件外東洋紙業(株)東京支社に対し、96年(平成8年)9月18日に腕時計用包装箱の製造を発注し、その納期が同年同月20日であることが見出し得るが、実際に何時納品されたかは不明である。
▲6▼乙第6号証は、腕時計の宣伝広告用印刷物と認められるところ、該記事中に「SALVADOL DALI」、「Demart Pro Arte B.V.1996」、「Dの文字とデフォルメされた時計の図形が結合したもの」及び筆記体で書された「Dali」の各欧文字或いは図形が記載されていることは見出し得る。
▲7▼乙第7号証は、注文書の写しと認められるところ、これは通常使用権者が件外2版印刷(株)に対し、96年(平成8年)9月22日に時計の宣伝広告用印刷物の製作を発注し、その納期が同年10月28日であることは見出し得るが、実際に何時納品されたかは不明である。
ところで、商標法第50条第1項による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により被請求人が、その審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品のいずれかについての当該登録商標を使用していることを証明し、又は使用しないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
そして、被請求人の提出に係る乙各号証からは前記したとおり、商品「時計」に付すタグ及び該商品の外装箱は、本件審判請求の登録(平成8年9月24日)前3年以内に出来上がっていたとしても、時計そのものは少なくとも本件審判請求の登録後の平成8年9月26日(乙第4号証に書された納品日)以降に商品として存在したものと言い得るところであり、さらに、該商品の宣伝広告用印刷物(乙第6号証)は、本件審判請求の登録後の平成8年10月28日(乙第7号証に書された納品日)以降に納品されたものであるから、当該証拠によっては、本件審判請求の登録前3年以内に該商品の宣伝広告をしていたものとも認め得ないものである。
そうとすれば、乙各号証中に表示された「SALVADOL DALI」、「Demart Pro Arte B.V.1996」、「Dali」及び「Dの欧文字とデフォルメされた時計の図形の結合したもの」等が、例え本件商標と社会通念上同一であるといえるとしても、本件商標は、その指定商品中「時計」について、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において通常使用権者が使用していたものとはいえず、他に、使用していたことを認めるに足る証拠の提出はなく、さらに、本件商標を使用しないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
なお、被請求人は、時計のタグを平成8年9月9日に、時計及び時計の外装箱を同年9月18日に、時計の宣伝広告物を同年9月22日にそれぞれ製造開始したものであるから、これは商標法第2条第3項第1号及び同第7号にいうところの商標の使用に該当すると主張しているが、商品の製造開始時が商標の使用開始時とはいえないものであり、しかも、当該日時は全て時計及び時計に用いるタグ等を注文した日時であって、該日時をもって時計等が製造開始されたものとはいえないので、被請求人のこの主張は採用できない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。