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Trademark Appeal Case

不使用取消の証拠不備

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−30577(T2000−30577/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1852336号商標(以下「本件商標」という。)は、「YELLOW SUBMARINE」の文字を横書きしてなり、昭和58年8月22日に登録出願、「おもちや、人形、運動具、その他本類に属する商品」を指定商品として昭和61年4月23日に設定登録され、その後、平成8年9月27日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中『娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く。)、レコード、これらの部品および附属品』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」旨申立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。

1 請求人が調査した結果では、本件商標は指定商品中「娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く。)、レコード、これらの部品および附属品」について継続して3年以上、日本国内において使用されていないものである。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く。)、レコード、これらの部品および附属品」について登録を取り消されて然るべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1) 被請求人は、本件商標を埼玉県大宮市日進町3丁目725番3号の株式会社ホビーベースイエローサブマリンを通常使用権者として使用許諾しているものであり、同社が本件商標を本件審判の予告登録日である平成12年7月12日以前より、日本国内において商品「さいころ」、「テーブルトークロールプレイイングゲームに使用するシナリオ集(ビニール製カバー付き)」、「テーブルトークロールプレイイングゲームに使用するルール集」について使用している、と述べているが、前記株式会社ホビーベースイエローサブマリンが被請求人の通常使用権者なることが本件商標登録簿上に記載されていない。わずかに、提出された登録商標の使用説明書中、商標の使用者の項目中「商標権者との関係」欄に「通常使用権者」との記載を見ることが出来るのであるが、これが証明されていない。

(2) 登録商標の使用説明書(1)をみるに、同書には商標の使用に係る商品名「さいころ」として、この使用時期を「現在使用中」と記載しており、平成12年9月27日に撮影されたと明記している写真4葉が添付されている。

この写真に示されているものは、表面に「髑髏と骨(海賊印)」の図形が表されており、その裏面には(上部の注意書きから、これが裏面と推測し得る左側の写真)、数字の「9」が表されている、赤色、白色、紫色、黒色の4個の小型の立方体がビニール袋に収納されているものである(右側の写真)。このビニール袋にはラベル状のものが上部に添付されており、これに「D-02-002 Yellow Submarine Dice of Macabre 『ダイス・オブ・マカブル』ダイスセット640」なる記載がある。

この写真に示されているものが、答弁理由及び使用説明書中に述べられている「さいころ」であると推測するとしても、被請求人が述べるように、これが被請求人の使用権者が米国の koplow games社から仕入れたものの包装に本件商標を付して販売しているというものであることをが十分に証明されているとは言いがたいものである。

わずかに、被請求人はこの事実を示す一例として koplow games社から使用権者に宛てた平成11年9月22日付け請求書と称するものを乙第1号証として提出している。この請求書なる書類を検分するに、デザイン化してなる koplow games社の社名居所を見ることが出来るが、このインボイスの販売先、即ち宛先は「YELLOW SUBMARINE CO USA」となっており、その居所は米国内であり、被請求人の使用権者とは相違するものであって、これについて被請求人は何ら説明していない、のみならず書面そのものは第1頁の一部分しかなく極めて不完全なものであって、原本と同一のものであるとの証明も欠如している。若し、被請求人が述べるように同商品が使用権者によって米国 koplow games 社から購入され、輸入されたものであることが事実であるならば、日本への輸入に際して必要であった筈の通関手続書類の証明付きの謄本が提出されて然るべきであって、かつ、日本国内における同商品の流通経路などが詳細に説明され、これが証明されて当然であるから、前記のような不完全なもののみをもってしては、被請求人主張は認めることが出来ないものである。換言するに、この商品は,いつ誰によって製造されたものなのか、どのような経路で輸入され、どのような流通経路で販売されたものなのか等について何ら説明がなく、証明されていないから、本件審判の予告登録日である平成12年7月12日以降に撮影された写真のみをもってして、これが商品「さいころ」について本審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されたということを推測することも出来ない。

被請求人は、乙第2号証として写真2葉を提出しているが、これについても何ら説明もなく、証明をしていないから、この証拠によっても請求人は上記理由により本件商標の被請求人による使用を肯定することは出来ない。

(3) 登録商標の使用説明書(2)及び(3)において、被請求人は、「テーブルトークロールプレイイングゲームに使用するシナリオ集(ビニール製カバー付き)及びテーブルトークロールプレイイングゲームに使用するルール集」について本件商標を現在使用中であると述べ、同シナリオ集及びルール集と思しきものの写真が添付されている。

被請求人は、答弁書において前記「テーブルトークロールプレイイングゲーム(別名、TRPG)」について詳細に説明し、前記ルール集及びシナリオ集は正に同ゲームに使用するための用具であり、類似群コード24B01に属し、本件商標の指定商品中の「娯楽用具」に含まれると述べ、同シナリオ集の実物を乙第3号証として提出している。

この乙第3号証は、「Live Eye/ライヴ・アイ 作:マイクル・ラボザー 訳:釣賀有紀」、「Dead Time/デッド・タイム 作:マイクル・ラボザー 訳:山本剛」、以下「In the News/イン・ザ・二ユーズ 作:マイクル・ラボザー 訳:釣賀有紀」と続き、「DRAGON SKIN PACK/ドラゴン・スキン・パック」からなるシナリオ集のコピーである。これを考察するに、これらは被請求人がいうように娯楽用具というような性質の物ではなく、「著作物」というべきものであって、第16類の出版物に属するものである。このことは最終頁に「発行日・作者・訳者・監修及び編集者・発行所・代表者・印刷・印刷所」など著作権に係る事項を記載した「奥付」があることに留意すべきで、この存在からしても前記請求人の考察に齟齬はないものと信じる。

これが本件指定商品中「娯楽用具」に属するものではないことは明らかであるが、百歩譲ったとしても、これが商品として本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用をしていることを証明していない。

(4) 以上述べたように、答弁書と共に提出された資料類は具体的説明を著しく欠き、かつ証明されていないもので、これをもって、本件商標の使用の実態を把握することすらできない。

そもそも、商標法第50条第2項において、「登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」と規定されており、その法意とするところは、登録商標が使用されている事実が仮にあったとしても使用の証明がされないときは登録の取消しを免れないという原則的な規定であると思料するところ、本件において、答弁書に述べられている被請求人陳述及び提出された証拠を以ってしては、本件商標が実際に商標権者等によって使用されたという事実を立証するには十分とは言えず、これを以って前記の被請求人の証明義務を果たしているとは思えない。

ましてや、商標は自己の商品と他人の商品とを識別し、かつ、他人の商品との出所の混同を防止する機能を有するものとして保護されるものであるから、商標法第50条の規定により登録商標がその指定商品について使用されているかどうかは、商標法における商品、すなわち、商取引の目的物としての流通性を有するものに登録商標が使用されているかどうかという点から検討されなければならない、とするならば、前述のように、被請求人答弁における本件商標を付した商品が誰によって、いつ、どこで、どのように製造され、どのように販売頒布されたものであるかについて、すなわち、本件商標を付した商品の流通性を具体的に詳細に述べ、かつ、これを立証すべきであって、これらが欠如している答弁理由をもってして、本件商標が実際に使用されたという事実を是認することはできないのである。

(5) 以上のとおり、答弁理由および添付資料を検討するに、これをもってして本件商標が被請求人の通常使用権者によって本件審判請求の登録日前3年間継続して使用されたという事実を認定することはできないものである。

第3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第29号証及び検乙第1号証を提出している。

1 被請求人は、本件商標を埼玉県大宮市日進町3丁目725番3号の株式会社ホビーベースイエローサブマリンを通常使用権者として使用許諾しているものであり、株式会社ホビーベースイエローサブマリン(以下、「使用権者」という。)は本件商標を本件審判の予告登録日である平成12年7月12日以前より、日本国内において商品「さいころ」、「テーブルトークロールプレイイングゲームに使用するシナリオ集(ビニール製カバー付き)」、「テーブルトークロールプレイイングゲームに使用するルール集」に使用しているものである。

被請求人は以上の事実を明らかにするために、登録商標の使用説明書(1)ないし(3)、乙第1ないし第3号証を提出する。

2 使用説明書(1)において使用の事実を証する商品「さいころ」は類似群コード24B01に属し、本件商標の指定商品中の「娯楽用具」に含まれることは明白である。

使用権者は各種のゲームを製造、販売しており、それに使用する各種のさいころも自社の商標を付して販売している(乙第2号証)。

使用説明書(1)に示す商品「さいころ」は使用権者が米国のkoplow games社から仕入れたさいころの包装に本件商標を付して販売しているものである。

乙第1号証はこの事実を示す一例として提出するものであり、koplow games社から使用権者に宛てた平成11年9月22日付けの請求書である。

3 使用説明書(2)、(3)における「テーブルトークロールプレイイングゲームに使用するシナリオ集(ビニール製カバー付き)」、「テーブルトークロールプレイイングゲームに使用するルール集」は耳慣れぬ商品名であり、特許庁における登録例においてもその名を発見することはできない。

そこで、先ず「テーブルトークロールプレイイングゲーム」について説明する。

「テーブルトークロールプレイイングゲーム」(別名、TRPG)は、1978年に米国で誕生したゲームであり、複数人の参加者がルール集やシナリオ集等によって定義された架空世界を共有し、架空世界に生きる自分の分身(「キャラクター」と呼ぶ)を操って行うゲームである。このゲームを行うのに必要な基本的な用具は、架空世界や、その中での約束ごとを定義したルール集やシナリオ集である。これらの約束ごとは膨大なので、ルール集やシナリオ集は複数の頁を装丁した形式で製造、販売されるのが通常である。

また、ゲームの進行に際しキャラクターがどのような行為を行えるかを乱数により決定するために、さいころやカード等の乱数発生用具が必要となる。このゲームにおける参加者は次の2者である。

まず、キヤラクター達が解決するべき状況を提示し、キャラクターの行動を判定する役割を持つ参加者であり、「マスター」と呼ぶ。

そしてマスター以外の参加者は、キャラクターを操る「プレーヤー」と呼ばれ、前記の約束ごとを基準として、自分のキヤラクターにどのような言動を取らせるかを決断する。

このゲームにおいては明確な勝利条件はなく、マスターが提示した困難な状況をプレイヤー達の知恵と協力で打破したとき、あるいはたとえ打破できなくてもプレイヤー達が真摯に解決の手段を求めていれば、その過程ではドラマテイックな物語が生成され、これを楽しむ過程にゲームの醍醐味があるといわれている。

このゲームのわが国における実遊戯人口は10万人前後といわれている。このゲームについては、インターネット上で「テーブルトークロールプレイイングゲーム」或いは「TRPG」をキーワードとして検索することにより愛好家の各種のサイトを発見することができる。

以上の「テーブルトークロールプレイイングゲーム」に必要な用具は使用権者の店舗のようなゲームショップで販売に供されている。

使用説明書(2)における商品「テーブルトークロールプレイイングゲームに使用するシナリオ集(ビニール製カバー付き)」、及び(3)における商品「テーブルトークロールプレイイングゲームに使用するルール集」は正に上記のゲームに使用するための用具であり、類似群コード24B01に属し、本件商標の指定商品中の「娯楽用具」に含まれる。

なお、参考のためにテーブルトークロールプレイイングゲームに使用するシナリオ集の実物を乙第3号証として添付する。

4 以上の証拠により、本件商標が本件審判の予告登録日以前より、日本国内において商品「娯楽用具」に属する商品「さいころ」、「テーブルトークロールプレイイングゲームに使用するシナリオ集(ビニール製カバー付き)」、「テーブルトークロールプレイイングゲームに使用するルール集」に使用された事実は明白である。

5 弁駁に対する答弁

(1) 請求人は、株式会社ホビーベースイエローサブマリンが本件商標権の通常使用権者であることの証明がないと主張する。

この点に関し、被請求人田中昇が埼玉県大宮市日進町3丁目725番3号の株式会社ホビーベースイエローサブマリンに本件商標権の使用許諾を行っていることを自認する本人の陳述書を乙第4号証として提出すると共に、被請求人は上記の株式会社ホビーベースイエローサブマリンの代表取締役であることを示す乙第5号証の登記簿謄本を提出する。

わが国における中小企業の現実において、代表者個人が会社に代わり工業所有権を保持してその使用許諾を会社に行っている事例が多い。本件の場合もその例外でなく、事実、乙第23号証の1及び2に示すように本件商標権の取得の費用は会社が負担している。

このような経験則に従えば、乙第4号証における田中昇の陳述内容は十分信憑性を有するものであり、心証を形成するに値する証明力のあるものと思料する。

(2) 請求人は、平成12年9月29日付け答弁書の使用説明書(1)に示す商品「さいころ」が使用権者が米国のkoplow games社から仕入れたさいころの包装に本件商標を付して販売しているものであることの証明がなされていないと主張する。

この点について、使用権者が米国のkoplow games社から「さいころ」を仕入れる一連の経過を乙第6ないし第13号証により立証する。

(a) 乙第6号証は、369 CONGRESS STREET BOSTON, MA 02210 U.S.Aのkoplow games社から550 SOUTH CORAL RIDGE PL UNIT A CITY OF INDUSTRY CA U.S.AのYELLOW SUBMARINE CO USA宛てに発行された1999年(平成11年)9月22日付けのNo.5492請求書の全文である。請求人指摘のように、この請求書の宛て先(SOLD TO:)は被請求人でなくYELLOW SUBMARINE CO USAである。しかし、納品先(SHIP TO:)は、YELLOW SUBMARINE C/O NNR AIR#1 C/O NNR AIR CARGO SERVICE 24 RAILROAD ST REVERE MA、即ちNNR AIRCARGO SERVICE気付YELLOW SUBMARINEとなっている。その理由は下記(b)のとおりである。

(b) 被請求人は、乙第13号証に示すように、以前はkoplow games社に「さいころ」を直接注文して納品を受けていたが、平成11年当時には米国における子会社であるYELLOW SUBMARINE CO USAを介して注文を行い、商品はkoplow games社から被請求人宛てに直接納品させる形式に変更している。乙第7号証は、前記のNo.5492請求書に関する商品の代金に関し、YELLOW SUBMARINE CO USAから被請求人宛に発行された請求書であり、koplow games社からYELLOW SUBMARINE CO USAに対する請求代金4906.52ドルに対し、245.33ドルのコミッションを上乗せして被請求人に請求している。

(c) 乙第8号証は、送り主koplow games社、荷受け人3-725-3 NISSINCHO OMIYA-CITY SAITAMA 331 JAPAN のYELLOW SUBMARINE のNNR AIR CARGO の前記のNo.5492請求書に関する航空物運送状である。荷受け人の名称「YELLOW SUBMARINE」は、使用権者の正式社名「株式会社ホビーベースイエローサブマリン」と異なるが、使用権者はその使用する商標「YELLOW SUBMARINE」の認知度が高く、社名も上記のように略称されることが多いものであり、両者が同一であることはその住所からも明らかである。

(d) 乙第9号証は、前記のNo.5492請求書に関する使用権者の商品の輸入申告控、乙第10号証は同じく輸入許可通知書である。

(e) 乙第11号証は前記のNo.5492請求書に関する使用権者への通関費用請求書、乙第12号証は同じく納品書である。

(3) koplow games社から仕入れた「さいころ」は、使用説明書(1)に示す本件商標を付した包装に詰められて、乙第2号証に示す他の「さいころ」と共に使用権者の各地の店舗の店頭において小売りされる。

乙第25号証は使用権者である株式会社ホビーベースイエローサブマリン作成の会社案内であり、ここに平成11年当時の使用権者の営業年数、沿革、店舗所在地が記載されている。

また、乙第26号証(東京都文京区湯島3-28-18アドホームズ805号の岡秀男が平成10年5月7日に東京都千代田区神田小川町3-14において撮影した写真)には、使用権者の店舗の一つであるイエローサブマリンお茶の水力ードショップの外観が「Yellow Submarine」の広告表示と共に表れている。

ちなみに、この種のさいころを販売する店として、使用権者はこの種のさいころを使用してゲームを行う「テーブルトークロールプレイイングゲーム」(別名、TRPG)の愛好家の間で絶大な支持を受けている。その一端は乙第16ないし第19号証のインターネット上の愛好家のホームページにおける記事からも窺い知ることができる。

(4) 使用説明書(1)及び乙第2号証に示す包装の印刷は、使用権者が自社の印刷設備を使用して行っているので、第三者の証明をとることはできない。なお、使用説明書(1)に示す包装の実際がどのようなものであるかを立証するために、検乙第1号証として現物を提出する。

(5) なお、「さいころ」は主に使用権者の店頭で小売りされ、量は多くないが卸売されることもあり、その事実を立証する納品書及び送り状を乙第14及び第15号証として提出する。

(6) 請求人は、答弁書の使用説明書(2)及び(3)に示す商品は「テーブルトークロールプレイイングゲーム(TRPG)に使用するシナリオ集(ビニール製カバー付き)」、「テーブルトークロールプレイイングゲーム(TRPG)に使用するルール集」は「著作物」というべきものであり、娯楽用具ではないと主張する。

請求人の論拠は、要するにこれらは著作権の対象となるから、娯楽用具ではないとのことだが、これは些か乱暴な議論である。

これらが著作権の対象となることに関しては被請求人も異存はない、しかし著作権の対象となるものは、娯楽用具ではなくなるという結論は社会一般の常識から乖離している。

ならば、著作権で保護されるコンピュータソフトは類似群11C01にいう商品ではないのか、極めて美術性に富んだ絵からなるジグソーパズルやすごろくは類似群24B01にいう商品ではないのかということになるが、勿論そんなことはない。

請求人のいうところの第16類の出版物はそれ自体他の目的を持たない専ら思想、感情の表白を目的とした自己完結的な商品であるのに対し、「テーブルトークロールプレイイングゲーム(TRPG)に使用するシナリオ集(ビニール製カバー付き)」、「テーブルトークロールプレイイングゲーム(TRPG)に使用するルール集」は専らゲームの用に供するという明確な目的があり、それ自体では自己完結するものでないといった点において明らかに峻別される。これらは、たまたま表現形式において著作権の対象となるに過ぎず、ここら辺の事情は前出のコンピュータソフトやジグソーパズル、すごろくと全く同じである。

一方、取引の現実においても、需要者において専らゲームに使用するためのものとして認識されていることは、前記した乙第17号証における記述からも明らかである。

以上のとおり、使用説明書(2)及び(3)に示す商品は類似群コード24B01に属し、本件商標の指定商品中の「娯楽用具」に含まれることに誤りはない。

(7) 請求人は、使用説明書(2)及び(3)に示す商品が本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用していることの証明がないと主張する。

なお、これらの商品は主に使用権者の店頭で小売りされ、量は多くないが卸売されることもあり、その事実を立証する物品受領書を乙第20号証として提出する。

この物品受領書は使用説明書(3)に示すテーブルトークロールプレイイングゲーム(TRPG)に使用するルール集「サイバーパンク2020」を平成10年2月4日に東京ミムラ(住所:東京都墨田区亀沢3-12-5)に納品した際の受領印付きの物品受領書であり、品名の「サイバーパンク2020」の摘要に上代価格の4825円が記されており、これは使用説明書(3)に示す商品の定価と一致する。

(8) 以上、立証、説明したように請求人の指摘は理由のないものであるが、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人は本件商標を商品「ゲーム」に関する広告にも使用しているので、この点の主張、立証も行うこととする。

(a) 乙第21号証は、メディアワークス平成11年(1999年)8月1日発行に係る雑誌「月刊電撃ホビーマガジン」である。この広告頁に示すように、使用権者は商品「人形」、「ゲーム」に関する雑誌広告に「Yellow Submarine」の商標を付しており、これは商標法第2条第3項第7号にいう広告的使用に該当する。

(b) 乙第21号証に示す広告には、「イエローサブマリン秋葉原ゲームショップ」「イエローサブマリン新宿ゲームショップ」「イエローサブマリン渋谷ゲームショップ」「イエローサブマリン池袋ゲームショップ」の記載があり、広告の上方には「Yellow Submarine」の商標が付されている。ここに、「ゲームショップ」とは「ゲーム」を扱う店の意味であることは論を待たず、「ゲーム」とはこれに接する需要者、取引者に「娯楽用具」に属する「ゲーム用具」を一義的に観念させることも論を待たない。ちなみに、乙第22号証の特許庁商標課編の商品・サービス国際分類表第7版においては英語表記「Games」の日本語訳を「ゲーム用具」としている。

(c) 「イエローサブマリン秋葉原ゲームショップ」「イエローサブマリン新宿ゲームショップ」「イエローサブマリン渋谷ゲームショップ」「イエローサブマリン池袋ゲームショップ」等の表示は被請求人の店名を表すものとしても用いられている。しかし、そのことは、その記載がそれらの店舗において「ゲーム用具」が扱われていることを需要者、取引者に示す役目を行っていることと何ら矛盾するものではない。乙第21号証に示す広告中に「ゲーム」の表示を本件商標と共に用いている以上、当該広告が、「ゲーム」についての宣伝広告機能を果たしていないとみることは、例え「イエローサブマリン秋葉原ゲームショップ」「イエローサブマリン新宿ゲームショップ」「イエローサブマリン渋谷ゲームショップ」「イエローサブマリン池袋ゲームショップ」等の表示が店名を示し、これを広告する機能を果たしているとしても、困難というべきである。ゲーム用具の広告は、ゲーム用具を販売するために行うのであり、ゲーム用具を販売するためには顧客を店に招かなければならないのであるから、店の広告も、つまるところは商品であるゲーム用具の一部にすぎない。仮に、乙第21号証に示す広告が「商品に関する広告」ではなく、商標の使用に当たらないとすると、一般に、商標権者以外の者が当該広告と同様の方法で本件商標を用いた広告をした場合でも、商標権侵害は成立せず、商標権者は、商標権侵害を理由に、上記広告の差止め等を求めることができないことになるが、このような結果となる解釈が商標法の解釈として合理的なものであるとは到底思われない。

(9) 被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を「ゲーム」に関する広告にも使用しているとの主張、立証を行ったが、更に広告の事実を示す証拠として乙第27ないし第29号証を提出してこの主張を補強する。

(a) 乙第27号証は、使用権者が平成9年10月1日に頒布した宣伝用のちらし広告である。このちらしの印刷の事実を、印刷者の甲第28号証の証明書により立証する。

このちらしに記載の「取扱品目」中には、「マジック・ザ・ギャザリング、シングルカード各種、ゲームアクセサリー、ロールプレイングゲーム」の記載があり、これがゲームに関する広告であることが明白である。

即ち、「ゲームアクセサリー」とは「ゲームの付属品」の意味であることは論を待たず、その中には「さいころ」が含まれる。また、「ロールプレイングゲーム」には「テーブルトークロールプレイングゲーム」も含まれる。

また、「マジック・ザ・ギャザリング」とはトレーディングカードゲームの一種であり、カードに記載された数値や設定を利用して対戦するゲームであり、カードはそのための用具となる。なお、このような「カードゲーム」は類似群コード24B01に含まれる商品であることは特許庁の過去の審査例からも明らかである。

この広告には本件商標である「Yellow Submarine」が表示されており、これは商標法第2条第3項第7号にいう広告的使用に該当する。

(b) この広告には同時に「イエローサブマリン」の商標も付されている。本件商標の構成がローマ文字にて「YELLOW SUBMARINE」と書されたものであるのに対し、上記の商標の構成は片仮名にて「イエローサブマリン」と書されたものである。

本件商標「YELLOW SUBMARINE」からは一義的な観念「黄色い潜水艦」と一義的な称呼「イエローサブマリン」のみ生じ、上記の商標「イエローサブマリン」からは一義的な観念「黄色い潜水艦」と一義的な綴り「YELLOW SUBMARINE」のみ生じる。

よって、乙第27号証に表示された商標「イエローサブマリン」は、本件商標「YELLOW SUBMARINE」に対し商標法第50条第1項にいう「・・・平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標...」に該当し、その使用は同項にいう登録商標の使用に該当し、これも商標法第2条第3項第7号にいう広告的使用に該当する。

(c) 乙第29号証は、株式会社ホビージャパン平成10年(1998年)10月2日発行に係る雑誌「RPG(ロールプレイングゲーム)マガジン10月号」である。

この広告頁に示すように、使用権者は前出の商品「マジック・ザ・ギャザリング(カードゲーム)」及び商品「テーブルゲーム」に関する雑誌広告に「Yellow Submarine」及び「イエローサブマリン」の商標を付しており、これは商標法第2条第3項第7号にいう広告的使用に該当する。

なお、「テーブルゲーム」は、その名のとおり、「テーブルで遊ぶゲーム」のことで、例えば一般に遊ばれている「麻雀」や「将棋」などが有名である。

第4 当審の判断

1 被請求人は、本件商標を株式会社ホビーベースイエローサブマリンに通常使用権者として使用許諾していると主張している。これに対し、請求人は、通常使用権者が商標登録簿上に記載されていないし、上記会社が通常使用権者であることの証明がされていない旨主張しているので、まず、この点について検討する。

通常使用権は、商標原簿に登録することなく、当事者間の使用許諾契約によって効力を生ずるといえるところ(商標法第30条及び第31条において準用する特許法第98条及び第99条参照)、被請求人の提出に係る乙第4及び第5号証によれば、被請求人は、株式会社ホビーベースイエローサブマリンに対し本件商標の商標権について通常使用権を許諾していたものというべきであるから、上記会社は本件商標に係る通常使用権者といわなければならない。

2 被請求人の提出に係る乙第2及び第3号証、第6ないし第21号証、第25ないし第29号証及び検乙第1号証によれば、以下の事実が認められる。

(1) 複数人の参加者がルール集やシナリオ集等によって定義された架空世界を共有し、架空世界に生きる自分の分身(「キャラクター」)を操って行うゲームを「テーブルトークロールプレイイングゲーム」と称しており、このゲームにはルール集やシナリオ集、カード、さいころ等が必要とされる(乙第3、第17及び第29号証)。

(2) 登録商標の使用説明書(1)に添付された写真に表された「さいころ」は、検乙第1号証の「さいころ」と同一のものであり、上記ゲームに用いられるものと認められるところ、その包装袋には、ラベル状のものが上部にホッチキス止めされており、それに「D-02-002」、「Dice of Macabre」、「ダイス・オブ・マカブル」、「ダイスセット」、「640」等の表示と共に「Yellow Submarine」の文字が表示されている。同様に、乙第2号証の写真に表された「さいころ」にも、それぞれの包装袋のラベル状のものに「Yellow Submarine」の文字が表示されている。

(3) 登録商標の使用説明書(2)に添付された写真に表された「シナリオ集」は、乙第3号証の「シナリオ集」と同一のものであり、その裏表紙には、「DRAGON SKIN PACK」、「ドラゴン・スキン・パック」の文字とゲームに関係するものと思しき図面が掲載されているほか、発行日・作者・訳者・発行所等、いわゆる奥付と共に、「Yellow Submarine」、「CHALLENGE」、「ドラゴン・スキン・パック」、「テーブルトークRPG」等の文字が表示されている。登録商標の使用説明書(3)に添付された写真に表された「ルール集」にも、その裏表紙と思しき部分の下部に「Yellow Submarine」、「テーブルトークRPG」等の文字が表示されている。

(4) 乙第6号証は、米国のkoplow games社から米国のYELLOW SUBMARINE CO USAに宛てられた1999年(平成11年)9月22日付の請求書であるところ、品名は多岐に亘り、「DICE」の文字もみられるが、これが被請求人の主張する「さいころ」であるかどうかは必ずしも明らかではない。乙第7号証は、上記YELLOW SUBMARINE CO USAから大宮市のHOBBY BASE YELLOW SUBMARINEに宛てられた請求書であり、乙第8号証は、上記koplow games社を送り主とし、上記HOBBY BASE YELLOW SUBMARINEを荷受け人とする航空物運送状であり、乙第9号証は、1999年(平成11年)9月29日付の上記HOBBY BASE YELLOW SUBMARINEの輸入申告控えであり、乙第10号証は、該輸入申告に係る輸入許可通知書であり、乙第11及び第12号証は、西日本鉄道株式会社からYELLOW SUBMARINEに宛てられた1999年(平成11年)9月29日付の請求書及び納品書控えであるところ、品名欄には、「NOVELTY ITEMS」、「OTHER TABLE GAME」等の記載がみられるが、具体的にどのようなものかは明らかでない。

(5) 通常使用権者は、平成12年2月にホビーポートに「輸入ゲーム」、「ダイス」等を販売した(乙第14及び第15号証)。

(6) 需要者のインターネットのホームページ情報として、「ダイス(中)7個セット」「98年の夏頃、横浜のイエローサブマリンで購入。」等の記述がされ、さいころの画像も添付されている(乙第16号証)。また、「2000年版・全国RPG取扱店 リスト」Vol.3「首都圏情報」には、「イエローサブマリン・秋葉原ゲームショップ」の見出しの下で、「もうご存知とは思いますが、イエローサブマリンが秋葉原に支店を構えました。この店舗はつい最近開店したようです。メインはTCGのようですが、店内の一角にはTRPGのコーナーがあります。」、「現在、イエローサブマリンはTRPGの通信販売をこちらの店舗で行っているようです。」等の記述がされている(乙第19号証)。

(7) 乙第20号証は、株式会社東京ミムラから株式会社ホビーベースイエローサブマリンに宛てられた10年2月4日付の物品受領書の写しであるところ、品名欄に「サイバーパンク2020」、「ナイトシティ」等の記載があり、この「サイバーパンク2020」の記載は、被請求人提出に係る登録商標の使用説明書(3)に示された「テーブルトークロールプレイイングゲームに使用するルール集」の表紙に記載された「サイバーパンク2.0.2.0.」の表示に一致するといえる。

(8) 通常使用権者である株式会社ホビーベースイエローサブマリンは、平成11年当時、新宿店、横浜店を始め、各地に店舗を有しており(乙第25号証)、その店舗の一つであるお茶の水カードショップでは「Yellow Submarine」の看板を使用している(乙第26号証)。また、1999年(平成11年)、1998年(平成12年)発行の雑誌において、「Yellow Submarine」の表示の下に、各店舗名を掲載した広告を行っている(乙第21及び第29号証)ほか、平成9年10月に作成された店舗のチラシには、「Yellow Submarine」の表示の下に、取扱品目として「マジック・ザ・ギャザリング」、「シングルカード各種」、「ゲームアクセサリー」等が掲載されている(乙第27及び第29号証)。

3 以上の事実によれば、通常使用権者は、平成11年当時、「イエローサブマリン」ないしは「HOBBY BASE Yellow Submarine」の店舗名を用いて各地にゲームショップ、カードショップ等の店舗を展開していたこと、米国のkoplow games社からゲーム関連商品を輸入していたこと、商品「さいころ」や「テーブルトークロールプレイイングゲーム」等のゲーム用品を上記店舗において実際に販売していたこと、上記店舗名の下に雑誌広告を行っていたことが認められる。

そして、テーブルトークロールプレイイングゲームにはシナリオ集、ルール集、さいころ等が必要とされるところ、通常使用権者が販売していたゲームのシナリオ集、ルール集及びさいころには、いずれも「Yellow Submarine」の表示が商標として付されていたことが認められる。この「Yellow Submarine」の表示は、本件商標と書体のみに変更を加えた同一の文字からなるものであって、本件商標と社会通念上同一の商標といい得るものである。

請求人は、登録商標の使用説明書(2)及び(3)に示されたゲームのシナリオ集及びルール集は著作物であって第16類の出版物に属するものであり、本件商標の指定商品中の娯楽用具に属するものでない旨主張している。

しかしながら、上記シナリオ集及びルール集は、著作物であるとしても、専らテーブルトークロールプレイイングゲームに使用されるものであり、ゲームショップ等で販売されるものであるから、上記ゲームと同様に娯楽用具の範疇に属する商品とみるのが相当である。

そうすると、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者によって、審判請求に係る指定商品中の娯楽用具について使用されていたものといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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