sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35143(T2001−35143/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3269009号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3269009号商標(以下「本件商標」という。)は、「マルテックス」の片仮名文字を横書きしてなり、平成6年3月8日に登録出願、第6類「リベット,くぎ,ねじくぎ,ボルト,ナット,くさび,その他の金属製金具,金属製締付け金具」を指定商品として、同9年3月12日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第673458号商標(以下「引用A商標」という。)は、「TEKS」の欧文字を横書きしてなり、昭和39年1月14日に登録出願、第13類「自動穿孔ネジ切りネジ、その他本類に属する商品」を指定商品として、同40年4月14日に設定登録、その後、同51年6月17日、同60年4月26日及び平成8年6月27日の3回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされているものである。同じく、登録第1987736号商標(以下「引用B商標」といい、また、「引用A商標」と「引用B商標」とを一括して「引用商標」という。)は、「テクス」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和59年11月29日に登録出願、第13類「自動穿孔ネジ切りネジ、その他の金具、その他本類に属する商品(但し、手動利器を除く)」を指定商品として、同62年9月21日に設定登録、その後、平成9年8月26日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第16号証(枝番号含む。)及び参考資料1ないし7(枝番号含む)を提出した。

本件商標は、請求人(及びサブライセンシー)を表示する商標として広く知られていた請求人等使用商標に類似するため商標法第4条第1項第10号に該当すると共に、引用商標に類似するため同第11号に該当し、更に、請求人等の業務に係るドリルねじと出所の混同を生じる虞があるため同第15号及び同第16号に該当する。

4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出した。

引用A商標「TEKS」及び引用B商標「テクス」からは「テックス」の称呼は生じない。

本件商標は一連一体の造語商標であり、被請求人がこれを指定商品中「金属製金具」について使用したとしても、請求人の商品との間で誤認を生ずるおそれはなく、商品の品質について誤認を生じるおそれもない。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第16号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきではない。

5 当審の判断

請求人が提出した甲第1号証ないし甲第16号証(枝番を含む)及び平成14年(行ケ)第265号審決取消請求事件の判決における認定事実によれば、次の事実が認められる。

(1)引用商標の商標権者であるITW社は、昭和38年(1963年)に、ねじの軸の先端部を切削加工しドリル部として形成することにより、鋼板などの硬い材料からなるワーク(相手材)であっても、ワークに下穴を空けてからタップ(工作品に雌ねじを切る工具。ねじタップ)によって下穴に雌ねじを切るという手間をかけることなく、上記ドリル部で直接下穴を穿孔することによって直接にねじをねじ込むことができるドリルねじを開発し、我が国を始めとする世界各国で特許権を取得し、引用商標の一つである「TEKS」の商標(我が国では、昭和39年に出願し、昭和40年に設定登録を受けた。)を使用して世界で販売を開始した。

(2)原告は、昭和39年(1964年)に、ITW社、日本発条株式会社及び新和工業株式会社の三社の出資に係る合弁会社として設立された、ねじ類を始めとする工業用ファスナーの製造、販売を主要事業とする、株式会社である。原告の名称は、設立当初は日本シェークプルーフ株式会社であり、昭和54年にニスコ株式会社に、平成4年10月に現在の日本パワーファスニング株式会社に、順次変更された。

原告は、昭和41年(1966年)に、ITW社から、同社の開発した上記ドリルねじ「TEKS」の製造技術を導入し、引用商標についても使用権の設定を受け、我が国において、「TEKS」の製造販売を開始した。

ドリルねじは、もともと我が国になかった製品であり、上記特許権の存在などにより、我が国においては、原告がほとんど独占的にドリルねじの製造・販売をする状態が昭和50年代半ばころまで、継続した。

ITW社は、昭和62年に、我が国において、引用商標の一つである「テクス」の商標(昭和59年出願)の設定登録を受けた。

(3)原告は、本件商標の出願日である平成8年5月23日よりも前の、遅くとも昭和54年ころから、本件商標の登録査定日(登録日である平成9年10月17日より少し前の日)を経て、現在に至るまで、継続して、引用商標(「TEKS」、「テクス」)を表示した原告製品であるドリルねじについてのカタログ類を、全国の支店・営業所・販売店を通じて、あるいは、建築金物展示会や工具類展示会などの各種の展示会において、取引者・需要者に配布し、各種業界紙類や便覧等に引用商標を表示して、原告製品であるドリルねじの広告を行ってきている。

上に認定した事実によれば、引用商標は、本件商標の出願時においても、登録査定時においても、我が国において、ドリルねじについて特定の出所を表示するものとして取引者・需要者の間で広く知られていたということができる。

(4)「テクス」の語と「テックス」の語とは、文字に着目するときは、3文字と4文字という短い語同士の関係にあることなどから、「ッ」の有無により相当に異なっているようにもみえる。しかし、音の面からみれば、両者は、促音の「ッ」の音において相違するのみで、全体の語感や語調が極めてよく似ており、実際に発音した場合にほとんど区別できないことも多いと考えられる。このことを本件商標に即して言い換えれば、本件商標からは、「マルテックス」の称呼のみならず、「マルテクス」との称呼も生じるということになる。

このような「テクス」と「テックス」との実質的同一性を前提に、上記で認定したように、引用商標である「TEKS」、「テクス」が特定の出所の表示として周知性を有していることを考慮すると、本件商標の指定商品に含まれるドリルねじに使用された「マルテックス」の表示に接した取引者・需要者の中には、同表示に含まれる「テックス」の部分に注目し、これが引用商標と同一であるものとして把握する者も少なくないものというべきである。

そして、引用商標「TEKS」、「テクス」が特定の出所として周知であることは前述のとおりであるから、「マルテックス」に接する者の中には、「TEKS」、「テクス」を既存の概念として、これを前提に接する者も少なくないはずである。また、本件商標中の「テックス」は、引用商標と実質的に同一である、あるいは極めて類似したものであるというべきものであることは、前述のとおりであるから、このような者にとって、「マルテックス」に接したとき、まず「テックス」に注意が向くことはごく自然なことであり、このような者が、「テックス」とその前の「マル」とを区切って把握することは、十分にあり得ることというべきである。このことは、本件商標中の「マル」が原告の主張するように「マルテンサイト系ステンレス」又は「良くできた」又は「丸い」という意味を持つものとして把握されるか否か、ということとは関係なくいえることである。

以上で述べたところによれば、本件商標と引用商標との間には、少なくとも称呼において類似しているとみるべき余地があるというべきである。

(5)本件商標と引用商標との間に類似性が認められないとしても、その場合にも、前記のとおり引用商標がドリルねじについて特定の出所を表示するものとして周知であること、本件商標中の「テックス」と引用商標とは、実質的に同一であるか極めて類似していると認められること等を考慮すると、本件商標は、これに接した取引者・需要者に対し引用商標を連想させて、引用商標を使用してきた特定の者又はその者と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

したがって、以上の認定事実によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。