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Trademark Appeal Case

商標の称呼・外観類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2002−35177(T2002−35177/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4531071号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4531071号商標(以下「本件商標」という。)は、「KANNON」の欧文字を横書きしてなり、平成10年6月19日登録出願、第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片,乗物用盗難警報器」を指定商品として、同13年12月21日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用する商標

請求人が本件商標の無効の理由に引用する商標は、以下のとおり(引用各商標の指定商品は、別紙に表示した。)。

(1)登録第2218109号商標は、「KANON」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年1月6日登録出願、第11類、別紙に表示したとおりの商品を指定商品として、平成2年3月27日に設定登録されたものである。

(2)登録第2252556号商標は、「KANON」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年1月6日登録出願、第9類、別紙に表示したとおりの商品を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録されたものである。

(3)登録第465690号商標は、「カノン」の片仮名文字と「KANON」の欧文字を二段に横書きしてなり、昭和29年8月13日登録出願、第17類、別紙に表示したとおりの商品を指定商品として、同30年5月14日に設定登録されたものである。

(4)登録第483596号商標は、「カノン」の片仮名文字と「KANON」の欧文字を二段に横書きしてなり、昭和29年8月13日登録出願、第7類、別紙に表示したとおりの商品を指定商品として、同31年6月29日に設定登録されたものである。

(5)登録第2140182号商標は、「カノン」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和60年4月15日登録出願、第11類、別紙に表示したとおりの商品を指定商品として、平成1年5月30日に設定登録されたものである。

(6)登録第4065339号商標は、「KANON」の欧文字と「カノン」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成7年5月15日登録出願、第9類、別紙に表示したとおりの商品を指定商品として、同9年10月3日に設定登録されたものである。

(7)登録第4117587号商標は、「カノン」の片仮名文字と「KANON」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成8年12月17日登録出願、「第12類、別紙に表示したとおりの商品を指定商品として、同10年2月20日に設定登録されたものである。

(8)登録第4122426号商標は、「カノン」の片仮名文字と「KANON」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成8年12月12日登録出願、第9類、別紙に表示したとおりの商品を指定商品として、同10年3月6日に設定登録されたものである。

(9)登録第4129714号商標は、「カノン」の片仮名文字と「KANON」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成8年12月5日登録出願、第6類、別紙に表示したとおりの商品を指定商品として、同10年3月27日に設定登録されたものである。

(10)登録第4129725号商標は、「カノン」の片仮名文字と「KANON」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成8年12月17日登録出願、第7類、別紙に表示したとおりの商品を指定商品として、同10年3月27日に設定登録されたものである。

(11)登録第4148748号商標は、「カノン」の片仮名文字と「KANON」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成8年12月17日登録出願、第11類、別紙に表示したとおりの商品を指定商品として、同10年5月22日に設定登録されたものである。

(12)登録第1553176号商標は、「CAMNON」の欧文字を横書きしてなり、昭和54年2月8日登録出願、第11類、別紙に表示したとおりの商品を指定商品として、同57年11月26日に設定登録されたものである。

(13)登録第1581081号商標は、「CAMNON」の欧文字を横書きしてなり、昭和54年2月8日登録出願、第9類、別紙に表示したとおりの商品を指定商品として、同58年4月27日に設定登録されたものである。

以下、上記(1)及び(2)の商標をまとめて「引用商標1」、(3)ないし(11)の商標をまとめて「引用商標2」並びに(12)及び(13)の商標をまとめて「引用商標3」という。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証(枝番を含む。)を提出した。

1 本件商標から「カノン」の称呼を生じることは、「dinner」(ディナー)、「manner」(マナー)、「announcer」(アナウンサー)、「anniversary」(アニバーサリー)、「cannon」(キャノン)、「funny」(ファニー)、「sunny」(サニー)、「connection」(コネクション)、「innovation」(イノベション)のような英単語の表音からも首肯できるところである。

これらの英単語は日本人にとって慣れ親しまれ、日常一般に使用される語である。

しかして、造語よりなる商標を称呼する場合には、これを英語式に発音することも一般的であることが経験則から明らかであるから、本件商標は上記の英単語の例にならい「カノン」の称呼を生じるとみるのが極めて自然である。特に、「cannon」は「KANNON」とその構成上第一文字目の「c」と「K」の差異を有するのみであるから、「cannon」が「キャノン」と発音、表音されるのと同様に、「KANNON」からは自然と「カノン」の称呼が生じるものである。

ちなみに、過去の審決例をみても、「CANNON」からは「力ンノン」の称呼の他に「キャノン」の称呼をも生じると認定されている(甲第15号証及び甲第16号証)。

よって、本件商標からは「力ンノン」または「カノン」の称呼が生じるものである。

一方、引用商標1は、欧文字で「KANON」と横書きしてなるものあるから、その欧文字に照応して「カノン」の称呼が生じるものである。

引用商標2は、「カノン」の文字、「カノン」と「KANON」を二段併記の文字及び「KANON」と「カノン」を二段併記の文字よりなるものでなるものであるから、その構成中の片仮名文字及び欧文字に照応して「カノン」の称呼が生じるものである。

したがって、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、「カノン」の称呼を共通にする類似の商標である。

引用商標3は、「CAMNON」の文字よりなるものであるから、「カムノン」又は「キャムノン」の称呼が生じるものである。

そこで、引用商標3から生じる「カムノン」の称呼と、本件商標から生じる「力ンノン」の称呼とを考察するに、「カムノン」と「力ンノン」とは第2音において「ム」と「ン」の差異を有するものであるが、「ム」と「ン」は、共に音質を同じくする鼻音の弱音であって、極めて近似の音であるばかりでなく、破裂音で称呼上アクセントを有し強く発音される語頭音の「カ」に続く弱い音のため、全体称呼上、両相違音は明確に聴別し難い音である。

加えて、本件商標と引用商標3は、いずれも無意味な造語であるから、両商標から生じる強い観念が称呼上にも影響して区別可能にするといった特別の事情も全く存在しない。

したがって、両称呼の「ム」と「ン」の差異が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいとはいえず、時と場所を異にして両称呼に接する需要者、取引者は彼此混同するおそれが多分に存するものである。

よって、「カムノン」と「力ンノン」とは互いに聴別し難い類似の称呼であるから、本件商標は、引用商標3にも称呼上明らかに類似する商標である。

また、本件商標の指定商品は、引用商標1ないし引用商標3の指定商品と同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、「請求人の挙げた『dinner』(ディナー)、『manner』(マナー)、『announcer』(アナウンサー)等の事例は成語であり、世人に通用されている語であって、それぞれ上記のように発音されるのが自然であるが、本件商標『KANNON』は世人に馴染みのない一種の造語であることからして、その称呼は構成文字に相応して、ローマ字風に『力ンノン』と称呼されるのが自然である。」旨主張する。

しかしながら、例えば、無効2000−35259号審決(甲第18号証)が説示するとおり、「造語よりなる商標を称呼する場合にはこれをローマ字風に発音する称呼の他に、我が国に一般に親しまれた英語等の発音の用例を類推して称呼されることが決して少なくないというのが取引の実情に照らし相当と認められる。」ものである。

このことは過去の判決例からも首肯できるところであり、例えば、東京高裁平成11年(行ケ)第161号(甲第19号証)においては「我が国における英語の普及度からみて、特定の意味合いを有しない欧文字の造語に接した取引者、需要者は、これを英語読みあるいは英語風読みで読むこともあると考えられる。」と、造語商標からは英語風の称呼も生じることにつき、既に明確な判断を示している。

加えて、審決において、成語として世人に通用されている語ではない造語商標であって、その構成中に「NN」の文字部分を含む商標が英語風の称呼(換言すれば、「NN」の部分を区切ることなく、「N」1文字の如くに発音した称呼)が認定されている(甲第20号証及び甲第21号証)。

請求人は、本件商標から「力ンノン」の称呼が生じることにつき、特段これを否定するものではないが、必ずしも「カンノン」に限定されるものではなく、審決の例からしても本件商標からは「カノン」の称呼をも生じるとみるのが極めて妥当である。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。

請求人は、「本件商標は、その欧文字に照応して『カンノン』の称呼の他に『カノン』の称呼をも自然と生じるものである。」旨主張し、「dinner」(ディナー)、「manner」(マナー)、「announcer」(アナウンサー)等の事例を挙げている

しかしながら、これらは、それらの語自体が現在では成語として、世人に通用されている語であって、それぞれ、上記のように発音されるのが自然であるが、本件商標「KANNON」は、世人に馴染みのない一種の造語からなるものであることからして、その称呼は、構成文字に相応して、ローマ文字読み風に「カンノン」と読まれ「カンノン」と称呼されるというのが自然な称呼である。

次に、請求人は、「『cannon』の事例をひいて、『KANNON』からは、『カンノン』の称呼のほか『カノン』の称呼が生ずる。」旨主張するが、両者は、称呼を特定すべき構成文字の語頭おける綴字を異にするものであって、本件商標からは「カンノン」の称呼が生ずるものであるとする認定、判断を左右するものではない。

このように、「KANNON」の文字からなる本件商標の自然的称呼は「カンノン」であるというべきである。

第5 当審の判断

本件商標は、「KANNON」の欧文字よりなるところ、該文字は、特定の意味を有しない造語よりなるものと認められるものである。

そして、我が国における英語の普及度からみれば、特定の意味を有しない欧文字の造語に接した取引者、需要者は、我が国に一般に親しまれた英語等の発音の用例を類推して、これを英語読みあるいは英語風読みの称呼をもって、商取引に資することが決して少なくないというのが取引の実情に照らし相当である。

さらに、請求人が、本件商標は「KANNON」の欧文字に相応し、「カノン」の称呼を生ずる、とする根拠として挙げる、「dinner」(ディナー)、「manner」(マナー)、「announcer」(アナウンサー)、「anniversary」(アニバーサリー)、「cannon」(キャノン)、「sunny」(サニー)、「connection」(コネクション)、「innovation」(イノベション)の発音例は、一般に使用されている事実として認め得るところである。

してみれば、特定の意味を有しない欧文字の造語商標に接した取引者、需要者は、前記した実情、中間に位置する「nn」の発音例よりすれば、本件商標は、「KANNON」の欧文字に相応し、「力ンノン」の称呼のほか「カノン」の称呼をも生じるものというのが相当である。

一方、引用商標1は、「KANON」の欧文字を横書きしてなるものあるから、その欧文字に照応して「カノン」の称呼が生じるものである。

引用商標2は、「カノン」の片仮名文字、「カノン」の片仮名文字と「KANON」の欧文字とを二段併記及び「KANON」の欧文字と「カノン」の片仮名文字とを二段併記してなるものであるから、その片仮名文字及び欧文字に照応して「カノン」の称呼が生じるものである。

したがって、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、「カノン」の称呼を共通にする類似の商標である。

さらに、外観についてみるに、本件商標は「KANNON」欧文字よりなるのに対し、引用商標1は「KANON」の欧文字よりなるところ、その綴りの差異は中間に位置する「NN」と「N」であり、連続して「N」の文字を有するか否かの相違であるから、「KANNON」と「KANON」の文字を時と所を異にして離隔観察するときは、彼此見誤る場合も多いものというのが相当である。

そうとすれば、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、「カノン」の称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、本件商標と引用商標1とは、外観上も類似の商標といわざるを得ない。

また、本件商標の指定商品は、引用商標1及び引用商標2の指定商品と同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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