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Trademark Appeal Case

結合商標の称呼・観念と要部

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2001−90193(T2001−90193/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4439565号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4439565号商標(以下「本件商標」という。)は、標準文字により「温泉ぴよちゃん」の文字を横書きしてなり、平成11年10月4日に登録出願され、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成12年12月15日に設定登録されたものである。

2 当審における取消理由の要旨

平成13年6月27日付けで、本件商標は、「ぴよちゃん」「PIYOCHAN」の文字よりなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成10年9月24日に登録出願された平成10年商標登録願第81826号商標(以下「引用商標」という。)と称呼において類似する商標であり、かつ、両商標の指定商品は同一又は類似するものであるから、商標法第8条第1項に該当する旨の取消理由を通知した。

3 商標権者の意見の要旨

上記2の取消理由に対して、商標権者は、つぎのように意見を述べ、証拠方法として資料1ないし資料5(枝番を含む。)を提出している。

(1)本件商標「温泉ぴよちゃん」は、前置部分をなす「温泉ぴよ」の後ろに後置語としての「ちゃん」が付された構成となっている。後置語としての「ちゃん」は、人名に限らず動物や擬人の後ろに添え、全体を愛称的に呼ぶ場合に用いられる接尾語である。

したがって、本件商標は「温泉ぴよ」と称されるキャラクターを愛称的に呼びかける「ちゃん」を付することにより親しみを込めて「温泉ぴよちゃん」と表現したものである。

ちなみに、「温泉ぴよ」の如く、特定の名称と事象とが一体となった所謂符丁をもって指称される例、例えば土佐勤皇党の志士で剣豪の岡田以蔵は「人切り以蔵」、清水港の大親分山本長五郎(次郎長)は「清水次郎長」のように符丁で指称される例は数多く存在する。つまり、本件商標の前置部分をなす「温泉ぴよ」は符丁で表現された特定のキャラクターを指称するものであり、例えば、常時、温泉に浸かっている愛くるしいキャラクターが想像されるものである。そして、後置語としての「ちゃん」との結合から本件商標は前記愛くるしいキャラクターを「温泉ぴよちゃん」と呼びかける形の語として形成したものである。

さらにまた、本件商標に含まれる「温泉」は、例えば「湯沢」、「伊香保」といったような地理的名称に続くように配置されることにより、「湯沢温泉」「伊香保温泉」といったような商品の販売等に関する表示として機能する可能性を含むものであるが、それ自体としては、「地熱のために平均気温以上に熱せられて湧き出る泉(広辞苑)」という漠然としたイメージを観者に与える機能を有するに過ぎない。

本件商標のようにいきなり「温泉」から始まる態様である場合、ここにある「温泉」は商品の販売地や産地とはまったく関係がないということができ、且つ、本件商標は、そのような「温泉」と「ぴよ(ちゃん)」という愛くるしいキャラクターとが不離不可分に結合することにより、その全体から観者にある種のイメージを想起させるものであると確信するものである。

(2)上記の如き本件商標に対して、「ぴよちゃん/PlYOCHAN」よりなる引用商標は、前置部分をなす「ぴよ(PlYO)」の後ろに後置語として「ちゃん(CHAN)」が付され、単に「ぴよ」と称されるものを愛称的に「ぴよちゃん」と呼びかける構成となっている。

(3)本件商標と引用商標とを、観念の点から比較検討すると、両者とも後置語として、接尾語「ちゃん」が付され前置部分を愛称的に表現する商標形態となっているが、本件商標の前置部分は「温泉ぴよ」であり、引用商標の前置部分は単なる「ぴよ」である。

前記したように、「温泉ぴよ」の部分からは「温泉ぴよ」と符丁で呼ばれる常時温泉に浸かっている愛くるしいキャラクターが想像される一方、引例の「ぴよ」からは「ぴよ」と称される固有名詞をもったものが想起されるに過ぎない。

よって、両商標とも接尾語「ちゃん」が付され前置部分を愛称的に表現する商標形態となってはいるが、本件商標は前置部分として「温泉ぴよ」と称される固有名詞をもったキャラクターを呼びかける「温泉ぴよちゃん」で構成されるのに対して、引用商標は単なる「ぴよ」と称される固有名詞をもったものを呼びかける「ぴよちゃん」で構成されており、両者は観念において明確に相違するものである。

(4)次に、この両者を称呼について対比検討すると、本件商標は「オンセンピヨチャン」と8音で発音されるのに対して、引用商標は「ピヨチャン」と4音で発音され、その余の称呼は生じない構成となっている。

本件商標は、全体が淀みなく発音されるばかりでなく、リズミカルに発音されることから需要者、当業者をして親しみやすくかつ覚えやすい語となっており、これよりは唯一の称呼「オンセンピヨチャン」が生ずるものである。

なお、審判官は『本件商標の構成中の「ぴよちゃん」の文字部分より生ずる「ピヨチャン」の称呼をもって、取引に資される場合も決して少なくないものというべきである。』と指摘しているが、前記した如く「温泉ぴよ」と符丁で称される固有名詞を、殊更「温泉」と「ぴよ」に分離する必然性は全く存在しないと確信するものである。

(5)ところで、「温泉」の語が含まれることによって一つの固有名詞が形成される例は数多く存在し、審査登録例を見ても、資料1ないし資料5(枝番を含む。)のように登録されている。

以上の審査登録例からも明らかな如く、本件商標に係る「温泉ぴよ」は一体の固有名詞として把握され、その結果、本件商標はあくまでも一体の「温泉ぴよちゃん」として観者に認識され、前記したような固有の意味合いを生じさせ、且つ、唯一の称呼「オンセンピヨチャン」を生じさせると判断されてしかるべきである。

(6)以上、説明したように、本件商標と引用商標とは外観は元より、称呼及び観念において全く相違する混同誤認の恐れ無き非類似の商標であり、指定商品の同一、類似にかかわらず別個独立して登録せられて然るべき商標であると確信する。

特に、引用商標は本件商標の審査段階においても、拒絶理由通知で引用され、この拒絶理由は、意見書に基づき撤回されたものである。

4 当審の判断

本件商標は、「温泉ぴよちゃん」の文字よりなるところ、構成中の「温泉」の文字部分は、それ自体としては、商標権者が主張するように、「地熱のために平均的気温以上に熱せられて湧き出る泉」の意味を有する語であるとしても、昨今の温泉ブームに見られるように、各地の温泉地においては、種々の産品、とりわけ、菓子等が販売されていることは周知の事実であることよりすれば、その指定商品との関係においては、商品の産地・販売地表示とみられるものである。

そうすると、本件商標は、構成中の「ぴよちゃん」の文字部分より生ずる「ピヨチャン」の称呼をもって、取引に資される場合も決して少なくないものというべきである。

他方、引用商標は、「ぴよちゃん」と「PIYOCHAN」の文字を二段に併記した構成よりなるものであるから、これよりは「ピヨチャン」の称呼を生ずるものと認められる。

してみれば、両商標は「ピヨチャン」の称呼において類似する商標であり、かつ、両商標の指定商品は同一又は類似するものである。

したがって、本件商標が商標法第8条第1項に該当するとの理由により、その登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものであって、これについて述べる商標権者の意見は、以下の理由により、採用することができない。また、引用商標は、平成13年6月15日に登録第4482562号商標として設定登録された。

(1)商標権者は、本件商標は、全体が淀みなく発音されるばかりでなく、リズミカルに発音されることから需要者、当業者をして親しみやすくかつ覚えやすい語となっており、これよりは唯一の称呼「オンセンピヨチャン」が生ずるものである旨述べているが、本件商標については上記認定のとおり、「ピヨチャン」の称呼を生ずるものとみるのが相当であるから、この点に関する商標権者の主張は認めることができない。

(2)商標権者は、登録例(資料1ないし資料5)を示しているが、その登録例に徴するも本件の判断を左右するものではないから、商標権者の主張は採用できない。

したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものといわざるを得ないから、その登録は商標法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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