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Trademark Appeal Case

記号と普通名称の結合の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2001−90420(T2001−90420/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4456998号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4456998号商標(以下「本件商標」という。)は、アットマーク「@」と「コールセンター」の片仮名文字とを連綴した「@コールセンター」の文字を横書きしてなり、平成12年3月16日に登録出願、第9類「測定機械器具、配電用又は制御用の機械器具、電池、電気磁気測定器、電線及びケーブル、救命用具、電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品、オゾン発生器、電解槽、回転変流機、調相機、電気アイロン、電気式ヘアカーラー、電気ブザー、火災報知機、盗難警報器、磁心、抵抗線、電極、自動販売機、金銭登録機、電気計算機、アーク溶接機、金属溶断機,電気溶接装置、電動式扉自動開閉装置」及び第42類「機械・装置若しくは器具又はこれらの機械(装置)等により構成される設備の設計(建築・土木に係る設計を除く。)、電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明、電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶された電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同13年3月2日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由

本件商標は、「@」記号と「コールセンター」の片仮名文字とを結合したものであるところ、前者は、電子情報通信の分野において、例えばメールアドレス中の記号として使用されているばかりでなく、他の語や文字とともにインターネットを利用した事項、企業名等を表示するためにしばしば使用されている事実がある(甲第2号証)。また、後者は、本来「電話による顧客対応窓口業務」の意味を表すものとして広く知られているものである(甲第3号証)。

ところで、最近のコンピュータネットワークシステムの発展にはめざましいものがあるところ、これを基礎として、電話とパーソナルコンピュータのコミュニケーション基盤の統合(CTI)や既存の電話系コミュニケーションをインターネットを用いて行う(IPテレフオニシステム、インターネット電話)等(甲第4号証及び甲第5号証)コンピュータネットワークシステムと電話システムとの統合の動きが急速に進展している。そして、このような事実は、例えば携帯電話機が移動端末としての機能等を併せ持つことを通しても一般によく知られているといい得るものである。

以上のような通信事情の中にあって、「コールセンター」は、「従来、通信販売の受付や消費者の苦情の窓口であったが、・・コンピュータの特徴を生かして、顧客のことをよりよく理解し、より高次元の顧客との関係性を構築し管理するための対話の手段として位置付けられるようになり」(甲第6号証及び甲第7号証)、情報量、通信環境の変化、マーケティング手法の変化等とも相まって高度化、効率化が求められてきた。そもそも、電話をコンピュータに融合させるシステムである「CTI」は、「コールセンターなどの特定業務で発展してきた」(甲第4号証)ものであり、「コールセンターの役割がIT(情報技術)の革新の中で大きくかわりつつある。」(甲第6号証)ことからみれば、コールセンターと情報技術とは深い関わりがあるものといえる。そして、IBMホームページによれば、「企業戦略の幅を広げる、先進コールセンター・ミドルウェア」、「最適なコールセンター環境を実現します。」、「複雑なコールセンター・オペレーションや業務の拡張などフル32ビット・コンパイラ一のサポートにより、最大限にシステム性能を引き出します。」、「コールセンター・ソフトウェア」等の記載(甲第8号証)が、また、OKIホームページには「中規模コールセンター向けサポートシステム」、「中規模コールセンター向けに廉価版・・CRMシステム」の記載(甲第9号証)が、さらに(株)ワウワウ・コミュニケーションズホームページには「コールセンターシステム」(甲第10号証)の記載が認められる。

これらの記載事実からすれば、コールセンター対応の専用システムといえるものがあり、その中には最低限電子通信機器システムとそのソフトウェアが存在するものといえる。

そうすると、本件商標は、電子通信の分野で普通に使用されている記号「@」と電子計算機システムや電子通信システムに密接に関係する「コールセンター」の文字とを結合したにすぎないものであるから、これを指定商品、指定役務中、例えば第9類「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の貸与」について使用するときには、商品・役務の品質・質・用途を表示したものと認識し、また仮に具体的な用途等を認識しない場合でも、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものであり、かつ、それ以外の商品・役務について使用するときには商品の品質、役務の質について誤認を生ずるものというべきである。

よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同第6号及び第4条第1項第16号に該当し、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

3 取消理由通知

本件商標は、「コールセンター」の文字にアットマーク記号の「@」を冠した構成よりなるものであるところ、アットマーク記号は、メールアドレスなど情報通信分野を含め広範な分野において記号、符号として使用されていることは広く知られているところである。また、「コールセンター」の語は、企業における「電話による顧客対応窓口業務」を行うセクションを指称する語として日常一般に使用されているところであり、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る証拠によれば、「コールセンター」においては、従来の通信販売の受付や消費者の苦情の窓口業務の外に、より高次元の顧客との関係性を構築し管理するために、電話やファックス機器とコンピュータネットワークシステムを統合し、自動音声応答機能、自動録音機能、着信自動分配機能、構内電話交換機能など種々の機能を持たせたシステムの構築化が図られており、このようなシステムは多くの企業のコールセンターで利用されている実情にあると認めることができる。

上記事実からすると、本件商標中の「コールセンター」の文字は、上記

企業における「電話による顧客対応窓口業務」を行うセクションの「コールセンター」を認識させるにとどまるものと認められ、また、構成中のアットマーク記号は、「コールセンター」の文字に関連する記号、符号程度に認識されるにとどまり、これよりは格別の意味を看取し得ないものといわなければならない。

そうすると、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、全体としてこれがコールセンター対応の商品であることを表したもの、あるいは、コールセンター向けに提供される役務であることを表したものと理解し、商品及び役務の識別標識とは認識しないものと判断するのが相当である。

してみれば、本件商標は、その指定商品中、上記意味合いに照応する商品及び役務について使用するときは、商品又は役務の品質、質、用途を表示するものであり、上記以外の商品及び役務について使用するときは、商品又は役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見(要旨)

(1)本件商標の各構成部分について

本件商標中、甲各号証ではアットマークを商品単価の表記記号又は電子メールのメールアドレスの区切り以外に記号として使用され、またアットマークが符号として使用されている例も発見されないことからすると、アットマークが情報通信分野一般及び情報通信以外の広範な分野においても記号・符号として使用されているものとは言い得ないものである。

なお、甲第2号証の例は、いずれもアットマークが社名、団体名、商標、ウェブサイト名称又はその一部として用いられているものである。かかる例により、会社・商品等がインターネット分野と関連を有することをイメージさせる目的でアットマークを使用していることは否定しないが、この場合でも社名・商標等が本来的には自他識別標識として採用されるものであることを考慮すれば、これらの使用例はむしろアットマークと他の語を組み合わせることによって自他識別機能を発揮することを期待しているものと見るのが相当であり、かかる例を以ってアットマークが情報通信分野で単なる記号・符号として普通に使用されている証拠とは言い得ない。

(2)コールセンターと電子メール及びインターネットとの関連性について アットマークは、情報通信分野においては電子メールのみに使用されているに過ぎないものであり、それ以外の情報通信分野との関係では、インターネットとの関連性を間接的に表示するために使用されることは否定しない。そして、甲各号証を見ても、コールセンター用システムが電子メールやインターネットと格別の関連を有するものであるということを示す記述は全くない。

さらに、甲第4号証の「CTIとグループウェア」の項目の記載内容もCTIをオフィスに適用する場合において電子メールが利用される可能性を説明しているに過ぎず、CTIがコールセンターに適用された場合における電子メールの利用の有無については全く言及していない。同様に、コールセンター用システムとインターネットとの関係について甲各号証を見ると、甲第4号証において「IPテレフオニシステム」、「インターネット電話」といった項目が採り上げられているが、これらの項目は、インターネット網を利用した電話通信の技術内容とその将来的な発展性を述べているのみであり、かかる通信手段とコールセンター用システムとの具体的な関連性(例えばIPテレフオニシステム(インターネット電話)がコールセンター用システムに採用されている等)を示す記述は見当たらない。

してみると、コールセンターにおいて電話・ファックス機器とコンピュータネットワークシステムが統合され、種々の機能を有するシステムが利用されている実情は認められるものの、コールセンター用システムと電子メールもしくはインターネット(又はこれらを利用したユニファイドメッセージシステム、IPテレフオニシステム等)については、ただ情報通信分野という広範な分野に属しているという程度の関連性を有すのみに過ぎないものであって、両者間に直接.具体的な関連は何ら認めらない。従って、「コールセンター」及び「CALLCENTER」の語は「電話による顧客対応窓口業務を行うセクションであって、電話・ファックス機器とコンピュータネットワークシステムが統合された種々の機能を有するシステムが利用されている」といった意味内容が認識されるにとどまり、電子メールやインターネットとの直接・具体的な関連を想起させる語として認識されることはないと見るのが相当である。

(3)識別性について

本件商標の如く「@」と「コールセンター」が組み合わされ「@コールセンター」と書されたとしても、「@」は「コールセンター」に関連する記号として認識されるおそれのないものである。

従って、「コールセンター」の文字が、本件商標の指定商品又は指定役務との関係において、コールセンター対応の商品又はコールセンター向けの役務であることの表示として認識されたとしても、これと特段の関連を有しない「@」が組み合わされて「@コールセンター」と書された場合には、全体として独特の印象を受けるものであるから、本件商標に接する取引者・需要者は十分に商品・役務の識別標識として認識するものと見るのが相当である。

なお、本件商標と同様、自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たすものとして商標登録された「@Web\アットウェブ」、「@Loan\アットローン」、「@結婚」等、の例があるのでこれを乙第9号証乃至乙第13号証として挙げる。

(4)商品又は役務の質の誤認又は混同について

本件商標は、「@コールセンター」と横書きしてなるものであって、商標全体として格別の意味合いを生じないものであるから、本件商標をいかなる商品又は役務に使用しても、商品又は役務の質について誤認又は混同を生じさせるおそれはない。

なお、コールセンター対応の商品又はコールセンター向けに提供される役務以外の商品又は役務について本件商標が使用される場合に、当該商品又は役務の質について誤認又は混同を生じさせる可能性があるとしても、少なくともコールセンター対応の商品又はコールセンター向けに提供される役務(例えば「顧客対応窓ロ業務システム用の電気通信機機械器具、顧客対応窓口業務システム用の電子応用機械器具及びその部品、顧客対応窓口業務システムの設計、顧客対応窓口業務システムの性能・操作方法等に関する紹介及び説明、顧客対応窓口業務システム用の電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、顧客対応窓口業務システム用の電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記録された電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」といった商品及び役務)について使用される場合には、商品又は役務の質についての誤認又は混同を生じさせるおそれはない。

(5)まとめ

本件商標は、コールセンター対応の商品又はコールセンター向けに提供される役務に使用しても、その商品又は役務の品質、質、用途を普通に表示したとは言い得ないものであって、十分に商品・役務の識別標識としての機能を有するものである。

また、本件商標は、少なくともコールセンター対応の商品又はコールセンー向けに提供される役務については商品又は役務の質について誤認又は混同を生じるおそれはない。

よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではない。

5 当審の判断

本件商標は、アットマーク「@」と「コールセンター」の片仮名文字を連綴した「@コールセンター」の文字を横書きしてなるところ、これを構成するアットマーク「@」は、今日、多数の企業が電子メールのアドレス記号の一部に採用しているばかりでなく、携帯電話会社では利用者のメール使用時の便を図り文字プレートの一つにも採り入れているのが実状であるから、本件商標の構成中アットマーク「@」は、コンピューター、電気通信機械等に関しては自他商品の識別標識としての機能がないか極めて弱いものとみるのが相当である。

そして、申立人が提出した「2000年版 情報・通信新語辞典(日経BP社、1999年9月27日発行)」(甲第3号証)、「電子情報通信ハンドブック(社団法人 電子情報通信学会、平成10年11月30日発行)」(甲第4号証)、「知恵蔵2001(朝日新聞社)」(甲第6号証)等によれば、近年、企業では「電話による顧客対応窓口業務」(コールセンター)に対する重要性を見直し、顧客情報を有効的に管理、運営するためのコンピューターシステムの導入を図るところが多くなった事実が認められ、また、各コンピュータ会社及び電気通信機器会社では、企業の「電話による顧客対応窓口業務」(コールセンター)システムの要望に応えるべく、従来、別個独立して使用されていたコンピューターネットワークシステムと電話システムの統合(Computer Telephony Intergration)「CTI」と称されている。)を図り、併せて証券会社、保険会社、通信販売会社等に対しコールセンター構築、管理等のサービスを提供してきたことが認められる。

さらに、上記コールセンターに使用される「CTI」には、CTIアダプタ、CTIソフト、自動音声応答装置等、専用の機器及びソフト等が使用されてきた事実が認められる。

してみれば、「@コールセンター」と表してなる本件商標を、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に使用した場合には、その商品がコールセンターの機能を有するか若しくはコールセンターシステムに使用される商品であることを表わしているにすぎず、また、これを上記以外の商品について使用するときは、その商品の品質について、誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

同様に、本件商標を第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の貸与」の役務について使用した場合には、該役務がコールセンターシステムに関する電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守あるいはコールセンター用の電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の貸与に関する役務であることを表しているにすぎず、また、これを上記以外の役務について使用するときは、その役務の質について、誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

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