Trademark Appeal Case
著名商標と「愛米」の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2001−90511(T2001−90511/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4464320号商標(以下「本件商標」という。)は、「愛米」の文字と「うまい」の文字とを二段に横書きしてなり、平成12年4月3日に登録出願、第30類「米,強化米,べんとう」を指定商品として、平成13年4月6日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)本件商標は、登録異議の申立て1の登録異議申立人「東洋精米機製作所」(以下「申立人A」という。)の引用に係る、「海・川に愛を米」の文字を横書きし、該「米」の文字の上部に「こめ」の文字を併記してなり、平成6年8月23日に登録出願、第30類「米,米の加工品」を指定商品として、平成9年4月25日に設定登録された登録第3295244号商標、「愛を米」の文字を横書きし、該「米」の文字の上部に「こめ」の文字を併記してなり、平成6年8月23日に登録出願、第30類「米,米の加工品」を指定商品として、平成9年4月25日に設定登録された登録第3295245号商標、別掲の1に示したとおりの構成よりなり、平成6年8月23日に登録出願、第30類「米,米の加工品」を指定商品として、平成9年4月25日に設定登録された登録第3295246号商標、別掲の2に示したとおりの構成よりなり、平成9年4月18日に登録出願、第30類「米,米の加工品」を指定商品として、平成10年12月11日に設定登録された登録第4220214号商標、及び別掲の3に示したとおりの構成よりなり、平成12年10月10日に登録出願、第30類「米,米の加工品」を指定商品とする2000年商標登録願第110215号商標と類似する商標であり、その指定商品中「米,強化米」は引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。また、上記登録商標に基づき使用する商標は、申立人Aの「無洗米」の商標として取引者、需要者の間に広く知られているから、本件商標は、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
(2)本件商標は、登録異議の申立て2の登録異議申立人「中川隆男」の引用に係る、「愛」の文字を横書きしてなり、昭和60年6月10日に登録出願、第33類「穀物、豆、粉類、飼料、種子類、その他の植物および動物で他の類に属しないもの」を指定商品として、昭和63年4月26日に設定登録、平成10年4月28日に商標権存続期間の更新登録がされた登録第2042507号商標(以下「引用A商標」という。)及び「宇米」の文字と「うまい」の文字とを二列に縦書きしてなり、昭和63年3月2日に登録出願、第33類「米」を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録された登録第2249422号商標(以下「引用B商標」という。同商標に係る商標権は平成12年7月30日に商標権存続期間満了により消滅した。)と類似する商標であり、指定商品も同一又は類似のものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第13号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 取消理由の通知
平成14年1月11日付けで商標権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
申立人Aの提出に係る甲第5号証ないし同第66号証によれば、申立人Aは、「愛を米」の文字からなる商標(以下「本件引用商標」という。)を平成6年から現在に至るまで「研がずに炊ける米(無洗米)」に使用し各種新聞に継続して宣伝・広告された結果、申立人Aの業務に係る商品「無洗米」を表示するものとして、本件商標の登録出願時においては既に、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
しかして、本件商標は、前記の文字よりなるところ、その構成中の「愛米」の漢字はその下に書された「うまい」の平仮名文字より大きく表されているものであって、これに接する需要者、取引者は「愛」と「米」の漢字が強く印象に残り、記憶されるといえるものであるから、申立人Aの著名な本件商標が「愛」と「米」の漢字を主要な構成文字とし、かつ、本件商標の指定商品は申立人Aの業務に係る商品と同じ「米」及び「米の加工品」とするものであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、申立人Aの本件引用商標を容易に想起させるものというのが相当である。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、申立人A又は申立人Aと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
上記取消理由に対する平成14年3月6日付意見書において商標権者が述べる意見の要旨は、以下のとおりである。
(1)申立人Aが使用した商標は「愛を米」であり、その称呼は「アイヲコメ」である。これは、申立人Aの「愛を米」の本件引用商標には「米」に「こめ」のルビを付していることからも分かる。
(2)申立人Aの「愛を米」の称呼は「アイヲコメ」であり、これは「愛を込め」を連想させるものであり、「愛を米」の「を」は強く意識して、認識させるものである。この点は、別掲3(2000−110215号)に示すとおりハートの図形を併せていることから意識的に選択された文字であることが分かる。
そして、何に対する「愛」かは、甲号証からして、「海・川の水を汚さないよう無洗米としたこと」を「愛を込め」たことであると広告している。
(3)したがって、申立人Aの称呼は「アイヲコメ」であって「ヲ」を強調され、その観念は「河・川に愛を込めて」の意味である。また、甲号証は、これらの点を強調しての広告・記事であることが分かる。
(4)一方、本件商標は、「愛米」の称呼は「アイマイ」であって、「アイヲコメ」とは称呼しない。次にその観念は、「米」に対して愛情が持てるような米であるという意味であり、「愛しい米」の意味である。したがって、両商標は称呼・観念上非類似である。
本件商標の外観は、「愛米/うまい」であって、申立人Aの「愛を米」の「を」はなく、「うまい」の二段併記がある。したがって、外観上も非類似である。
よって、本件商標「愛米」は、申立人Aの「愛を米」とは非類似である。
(5)また、申立人Aの「愛を米」の最初の登録商標の出願時には「愛」の登録商標が有効に存続していた。
(6)してみると、申立人Aの「愛を米」の引用商標は、「愛」の登録商標とは非類似であるから登録されたものと判断される。
したがって、同じように本件商標「愛米」と「愛を米」も非類似のものと判断されるべきものである。
.よって、本件商標は、申立人Aの「愛を米」とは非類似であるから、登録は維持できるものである。
5 当審の判断
(1)前記4に示した商標権者の意見を検討したが、本件商標の商標権者が本件商標をその指定商品に使用した場合、その商品が申立人A又は申立人Aと何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認められる。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである旨認定した前記3の「取消理由」は妥当なものであって、前記4の商標権者の意見は、以下の理由により採用することができない。
(ア)商標権者は、申立人Aの「愛を米」の称呼は「アイヲコメ」であり、これは「愛を込め」を連想させるものであり、「愛を米」の「を」を強く意識して、認識させるものである。この点は、別掲3(2000−110215号)に示すとおりハートの図形を併せていることから意識的に選択された文字であることが分かる。そして、何に対する「愛」かは、甲号証からして、「海・川の水を汚さないよう無洗米としたこと」を「愛を込め」たことであると広告している。したがって、申立人Aの称呼は「アイヲコメ」であって「ヲ」が強調され、その観念は「河・川に愛を込めて」の意味である。また、甲号証は、これらの点を強調しての広告・記事であることが分かる、旨主張する。
確かに、申立人Aの提出に係る証拠によれば、「米」の文字に「こめ」のルビを付した「愛を米」の文字のほか、この文字に「海・川に」又は「びわ湖に」などの文字を付し、あるいは、この文字を図形と共に表示しているものも多数見受けられる。しかしながら、これらの表示における「愛を米」の文字は圧倒的な大きさで表されており、新聞の報道などでも「愛を米」の文字のみをもって記載されていることも少なくない。また、「エコライフびわ湖賞」について記載された小冊子(甲第23号証、申立人Aが提出したもの。以下同じ)、及びこの賞を報じる新聞(甲第22号証)においても「びわ湖に愛を米」「海・川に愛を米」からは「愛を米」の文字が独立して認識し得る態様で記載されている。
そうすると、例えば「愛を米」の文字に「海・川に」の文字が表されている場合、商標権者が述べる「河・川に愛を込めて」の意味合いを看取し得る可能性を否定し得ないとしても、表された文字の大きさからして「愛を米」の文字が強く印象付けられ、「愛を米」の文字部分が独立しても商品の識別標識としての機能を果たすと認識される態様で使用されていて、しかも、「愛を米」の文字の全体からはいかなる意味を表したものか理解し難いものといわなければならない。
そして、「愛を米」の文字よりなる商標中の「愛」と「米」の文字がそれぞれ親しまれた観念を有していることは周知の事実であるから、「愛を米」の文字からなる商標は、「愛」と「米」の文字を主要な構成要素とし、これらの文字を仮名文字の1字を介して構成したものと認識されることも多分にあるというべきである。したがって、上記商標権者の意見は採用することができない。
(イ)商標権者は、本件商標は「愛米」の称呼は「アイマイ」であって、「アイヲコメ」とは称呼しない。次にその観念は、「米」に対して愛情が持てるような米であるという意味であり、「愛しい米」の意味である、したがって、両商標は称呼・観念上非類似である。本件商標の外観は、「愛米/うまい」であって、申立人Aの「愛を米」の「を」はなく、「うまい」の二段併記がある。したがって、外観上も非類似である。よって、本件商標「愛米」は、申立人Aの「愛を米」とは非類似である。旨述べる。
しかしながら、本件商標中の「愛米」の文字は、特定の称呼、観念のもとに親しまれているものということはできないから、「アイマイ」あるいは「アイコメ」と称呼されるかはともかく、本件商標は、「愛」と「米」の文字を羅列したもの、即ち、「愛」と「米」の文字よりなると認識されるものというべきである。
また、本件商標は本件引用商標と非類似である旨述べるが、本件商標の取消の理由は前記の3に示したように、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当することを理由とするもので、本件引用商標が取引者、需要者間に広く認識されている実情を考慮し、商品の出所の混同を生じるおそれがあるか否かの問題であって、本件商標が本件引用商標と類似することを理由とするものでない。
したがって、商標権者の意見はいずれも採用することができない。
(2)つぎに、登録異議の申立て2の申立ての理由について判断する。
前記のとおり、本件商標は、「愛米」の文字と「うまい」の文字とを二段に横書きしてなるところ、「うまい」の文字は「おいしい」を意味する商品の品質を表示する部分といえるから、「愛米」の文字部分のみでも自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認められる。
そして、「愛米」の文字は、わずか2文字より構成されているものであり、しかも、これらの文字は同じ書体、同じ大きさで一体的に表されていて、これより生ずる称呼も冗長に亘ものではなく、一気に称呼し得るものである。そして、構成中の「米」の文字がそれ自体では「米」すなわち「稲の実」を認識させる語であるとしても、かかる構成においては、全体をもって一体不可分の構成よりなるものと認識し把握されるとみるのが自然である。
そうとすれば、本件商標は、全体の構成文字に相応して「アイマイ」又は「アイコメ」の称呼を生ずるものであって、特定の意味合いを看取し得ない一種の造語よりなるものといわなければならない。
してみれば、本件商標から「アイ」及び「ウマイ」の称呼が生じるとし、そのうえで本件商標と引用A商標及び引用B商標とが称呼上類似するとして本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同第13号に違反して登録されたものとする登録異議の申立て2の申立ては、理由がない。
(3)したがって、本件商標は、登録異議の申立て1の理由のうち、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認められることから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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