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Trademark Appeal Case

称呼の相違と記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2001−90534(T2001−90534/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4466578号商標の指定商品中「化粧品」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4466578号商標(以下「本件商標」という。)は、「カイネチン」の文字を標準文字とし、平成12年4月17日登録出願され、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,洗濯用柔軟剤,つや出し剤,研磨紙,靴クリーム,塗料用剥離剤」を指定商品として、平成13年4月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。

本件商標「カイネチン」は、植物ホルモンとして知られているとともに、シワの改善に効果があるとされているものであるから、これを本件指定商品中、カイネチンを原材料としてなる商品に使用するときは、単に商品の原材料、品質を表示するにすぎないものであり、また、カイネチンを原材料としない指定商品に使用するときは、その商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由(要旨)

本件登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対して、本件商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するもとして商標権者に対して通知した取消理由はつぎのとおりである。

〈取消理由通知〉

申立人提出の甲各号証によれば、「カイネチン(kinetin)」は、植物ホルモンであり、シワ改善効果を有するところから、「シワ・シミ等を改善する効果を有するスキンケア化粧品」や「育毛剤」等に使用されている事実を認め得るものである。

してみれば、本件商標をその指定商品中の「カイネチンを使用(含有)してなる商品」について使用した場合は、単に該商品の品質・効能等を表示するにすぎないものとみるのが相当である。

また、本件商標を、上記文字に照応する商品以外の商品について使用した場合は、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見(要旨)

上記3の取消理由通知に対して、商標権者は、本件商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、つぎのように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第13号証を提出した。

英文字「KINETIN」(Trade Name:Vivakin)は、化学分類アミン、ヘテロ環化合物に属する化学物質であり、化粧品等の一原材料として利用されている(乙第1号証)。

しかるに、この「KINETIN」の読み方は、「キネチン」であって、本件商標「カイネチン」とは明らかに相違するものである(乙第2号証ないし乙第6号証)。

また、本件商標出願人が、原料名称「Vivakin」(KINETIN)について、日本化粧品工業連合会(異議申立人)に表示名称の申請を行ったところ、同会から決定通知を受けた名称は、「カイネチン」ではなく、「キネチン」であった(乙第7号証)。

さらに、原材料「KINETIN」は、それを取り扱う業界において、その総称を「キネチン」として取引されているのが実状である(乙第8号証ないし乙第13号証)。

してみれば、化粧品等の一原料とされる「KINETIN」(Trade Name:Vivakin)は、「キネチン」と総称され、取引されているものであるから、本件商標「カイネチン」が、単に当該商品の原材料、品質を表したにすぎないものとはいうことができない。

また、本件商標「カイネチン」は、商品の原材料、品質を表すものではないから、これを該指定商品に使用しても、商品の品質の誤認を生ずるおそれはないとするのが相当である。

以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないものであるので、登録維持の決定を求めるものである。

5 当審の判断

本件商標は、前記したとおり「カイネチン」の片仮名文字を書してなるものであるところ、申立人より提出された甲第1号証、同第2号証及び同第5号証によれば、以下のことを認めることができる。

(1)「化学大辞典」(株式会社 東京化学同人 1989年10月20日発行)抜粋(甲第1号証)には、「カイネチン[kinetin]」の項で、「...細胞の分裂および成長促進,...老化阻止...などの作用が著しい。」とその化学式と共に記載されている。

(2)「日本汎用化粧品原料集」(株式会社 薬事日報社 1985年10月25日第1版発行)抜粋(甲第2号証)には、「カイネチン」の項があり、その化学名及び構造式が記載されている。

(3)雑誌「日経ヘルス」(1999年12月号)」抜粋(甲第5号証)には、「最新シワ薬カイネレース 自家製クリームで日本に登場」との見出し記事において「...主成分は植物ホルモンとして知られるカイネチンという物質で...」との記述と共に、その製品(ローション及びクリーム)の写真が掲載されている。

また、上記の証拠のほか、本件商標の登録査定日(2001年3月8日)後ではあるが、その査定日に近い2001年6月19日付けのインターネットのホームページ(甲第4号証)によれば、その中で例えば「スキンケア基礎知識」のホームページにおいて、他の化粧品の成分と一緒に「カイネチン」が掲載されており、「シワの改善に効果があるとされている成分。...もともと植物ホルモンとして知られており、...現在では、カイネチンを塗ると肌の細胞が活性化することが分かってきています。」と記載されている。同じく「ヒノキ肌粧品に含まれる成分の説明」とのホームページにおいて、その成分の一覧表中に「カイネチン」の項があり、それには「細胞の賦活作用、増殖作用があり老化防止に有効」と記載されている。

以上の(1)ないし(3)及び上記(甲第4号証)の各記述によれば、「カイネチン」は、植物ホルモンとして知られている化学物質であり、その成分には「細胞が活性化することによるシワの改善の効果、老化防止の効果」があるとされ、これらの効果を期待したローションをはじめとしたスキンケア化粧品、育毛剤等が販売されている事実があることが認められる。

してみれば、「カイネチン」の文字を普通に用いられる方法で書してなる本件商標をその指定商品中の「化粧品」について使用した場合、本件商標に接する取引者、需要者は、近年の健康・美容志向及び前記の実情からして、これを単なる造語からなる商標として認識することはなく、「カイネチンを原材料(主成分)としてなる化粧品」であること、即ち、その商品の品質、原材料等を表示したものと認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。

なお、商標権者は、意見書において、英文字「KINETIN」が乙号各証(「医薬品の一般的名称の音訳通則」、「化合物名の字訳規準」、関連各社の「試薬の総合カタログ」等)によれば、その名称は「カイネチン」ではなく「キネチン」である旨を述べているが、提出に係る証拠は「キ」段の掲載頁(「カ」段の掲載頁はない)に限られており、本件商標は「KINETIN」ではなく「カイネチン」であって、前記の使用の事実が認められる以上、上記認定を妥当とするところであり、これを覆すことはできない。

したがって、本件商標は、その指定商品中の「化粧品」に使用するときは、その商品の品質を表示するものというべきであり、また、前記に照応する以外の「化粧品」について使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。

以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「化粧品」については、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

しかしながら、本件登録異議の申し立てに係るその余の指定商品については、取り消すべき理由がないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持する。

よって、結論のとおり決定する。

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