Trademark Appeal Case
著名商標の類否と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2002−90502(T2002−90502/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4560388号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成12年12月18日登録出願、第38類「ファクシミリによる通信」を指定役務として、同14年4月19日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)商標法第4条第1項第15号について
以下(a)ないし(i)に引用する登録商標ないし防護標章は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の業務に係る商品又は役務を表示するものとして著名な商標であるところ、本件商標は、これら引用登録商標・防護標章と類似する商標であるから、本件商標がその指定役務に使用された場合には、申立人の業務に係る商品及び役務と出所の混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。
(a)「INTEL」の欧文字を横書きしてなり、昭和46年1月6日登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同54年2月27日に設定登録された登録第1373591号商標
(b)「INTEL」の欧文字を横書きしてなり、昭和51年3月22日登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同55年4月30日に設定登録された登録第1415771号商標
(c)別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和63年8月19日登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年8月30日に設定登録された登録第2332545号商標
なお、上記指定商品については、書換登録の申請により、第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第12類、第17類、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品に書き換えられ、その登録は平成15年1月8日になされたものである。
(d)「INTEL」の欧文字を横書きしてなり、平成11年1月7日登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同13年3月2日に設定登録された登録第4456379号商標
(e)「インテル」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和51年3月22日登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同55年4月30日に設定登録された登録第1415772号商標
(f)別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成4年9月29日登録出願、第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同9年8月8日に設定登録された登録第3337686号商標
(g)「INTEL」の欧文字を標準文字として、平成10年7月27日登録出願、第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同12年11月10日に設定登録された登録第4431563号商標
(h)別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成4年9月29日登録出願、第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同8年4月30日に設定登録された登録第3143210号商標
(i)上記(d)の登録第4456379号の防護標章登録第1号
(以下、上記引用登録商標については、その項番に従い、「(a)商標」のように表記する。また、上記引用登録商標をまとめていうときは、「引用商標」という。)
(2)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、申立人の名称の著名な略称を含むものであるにもかかわらず、商標権者は本件商標の登録出願について申立人の承諾を得ていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反してなされたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人の著名な引用商標と類似するものであり、不正な目的をもって使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反してなされたものである。
(4)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、(f)商標及び(g)商標と類似の商標であり、また、本件商標の指定役務と上記(f)商標及び(g)商標の指定役務は同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。
(5)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、申立人の著名な引用商標の名声に便乗しようとするものであり、社会一般道徳及び国際信義に反するものであるから、公の秩序を害するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反してなされたものである。
(6)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第8号、同第19号、同第11号及び同第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、別掲(1)のとおり、文字と図形とを結合した構成よりなるものであるところ、その構成中の「INTELPOST」の文字部分は、「国際電子郵便;郵便のネットワークと国際電話回線(ファックス)を組み合わせた方式。」を意味する語(自由国民社発行「現代用語の基礎知識2001」、株式会社三省堂発行「官公庁のカタカナ語辞典第2版」、1991年9月21日付朝日新聞(東京夕刊)等参照)であり、1984年から郵政省(当時)で開始した郵便制度であって、本件商標の登録出願時には、「INTELPOST/インテルポスト」の語は、「国際電子郵便」を意味するものとして、わが国の需要者の間で広く認識されていたものというのが相当である。
してみると、本件商標中の「INTELPOST」の文字部分と「国際電子郵便」の文字部分とは、同義語であり、観念上密接な関係を有するものといえるのみならず、これらの文字の間に描かれた黒塗り円図形内に白抜きにした郵便マーク及びこれを包むようなリボン状楕円状の図形並びに「INTELPOST」の文字部分に続けるように、黒塗り長方形の幅を順次広くするように切り込みが入った肉太の線図形は、上記各文字との一体感が強く、したがって、本件商標を構成する各部は、全体としてまとまりよく表されているものということができる。
そうすると、本件商標は、全体として「国際電子郵便」のマークを表したと理解されるというのが相当であって、その構成中の「INTEL」の文字部分のみが独立して、通信の分野の取引者、需要者に看取されるものではない。
したがって、引用商標が、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、本件商標の登録出願前より取引者、需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、本件商標は、上記認定のとおり、その構成中の「INTEL」の文字部分が独立して把握、認識されるものではないから、引用商標とは商標自体全く別個のものというべきであって、商標権者が本件商標をその指定役務について使用しても、その役務が申立人の業務に係る商品又は役務であるかのように、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものとは認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、前記(1)の認定のとおり、その構成中の「INTEL」の文字部分が独立して把握、認識されるものではなく、「INTELPOST」の文字全体として「国際電子郵便」の意を表すものであるから、他人の名称の著名な略称を含む商標に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人がその業務に係る商品又は役務について使用する引用商標の出所表示機能を希釈化させたり又はその名声を毀損させるなど不正の利益を得る目的をもって出願されたものとは認められない。
(4)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記(1)で認定したとおり、その構成中の「INTELPOST」が「国際電子郵便」を意味する語であり、構成全体としても「国際電子郵便」のマークを表したと理解されるものであるから、その構成文字に相応して「インテルポスト」、「コクサイデンシユウビン」の称呼を生ずるものであり、かつ、「国際電子郵便」の観念を生ずるものである。
これに対して、引用の(f)商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなるものであり、同じく(g)商標は、「INTEL」の文字を書してなるものであるから、(f)商標及び(g)商標は、その構成文字に相応して「インテル」の称呼を生ずるものであり、申立人の使用に係る商標を想起させるか、あるいは特定の観念を想起させない造語と理解されるものである。
してみると、本件商標より生ずる「インテルポスト」、「コクサイデンシユウビン」の各称呼と(f)商標及び(g)商標より生ずる「インテル」の称呼とは、構成する音数の差、各音の音質の差等により、それぞれを一連に称呼した場合においても、聴別し得るものである。
また、本件商標と(f)商標及び(g)商標より生ずる観念は、前記のとおりであるから、両者は観念上相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と(f)商標及び(g)商標は、前記したそれぞれの構成よりみて外観上明らかに区別し得るものである。
したがって、本件商標と(f)商標及び(g)商標は、称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標といわなければならない。
(5)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な文字又は図形からなるものでなく、また、本件商標を指定役務について使用することが、社会公共の利益・一般道徳観念に反するものとは認められないし、かつ、国際信義に反するものとは認められない。
(6)むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第8号、同第19号、同第11号及び同第7号に違反して登録されたものでない。
したがって、本件商標は、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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