結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第31227号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1490101号商標(以下「本件商標」という。)は、「スティック」の欧文字を横書きしてなり、昭和43年7月28日に登録出願、第25類「紙類、文房具類」を指定商品として、昭和56年11月27日に設定登録、その後、平成4年1月29日及び同14年4月30日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「紙類」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、取消しの請求に係る商品「紙類」について継続して過去3年以上日本国内において使用をしているものとは認め得ない。
また、甲第1号証に示す本件商標の登録原簿(写)によれば、本件商標に係る商標権について専用使用権若しくは通常使用権の設定登録がなされていないところであるから、使用権者の存在並びにそれによる登録商標の使用を推認せしめる根拠もない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「紙類」について、商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
(イ)被請求人は、本件商標を指定商品「紙類」に属する商品「合成紙型紙(ステンシル用)」或いは「ステンシル用のシブ紙、ステンシル用の合成紙」について使用している旨主張するが、「合成紙」は本件商標を使用する商品の原材料であるから、本件商標を本件請求指定商品に使用しているとは認められない。
即ち、被請求人は、本件商標を使用する商品は、「合成紙」型紙(ステンシル用)或いは「ステンシル用のシブ紙、ステンシル用の合成紙」であると述べているが、被請求人提出に係る前記各証拠に徴すれば、被請求人が本件商標を使用する商品は「ステンシル用(イラスト)シート」或いは「型紙」として取引者・需要者に理解され、取引されているものと認められ、決して「シブ紙」或いは「合成紙」を商品として取引の対象としているとみることはできないものである。
(ロ)被請求人提出の乙第2号証ないし乙第9号証には、本件商標を使用する商品は「ステンシル用イラストシート」、「ステンシル(型置き染め)用イラストシート」或いは「ステンシル用無地合成紙型紙」として商品が取り引きされるものであることが明示されており、各乙号証からは「ステンシル用イラストシート」、「ステンシル(型置き染め)用イラストシート」或いは「ステンシル用無地合成紙型紙」の記載が認められるのみであって、本件商標を使用する商品が「シブ紙」或いは「合成紙」として取引の対象となっている事実は見受けられない。
(ハ)被請求人は、乙第2号証により、本件商標は「ステンシル用のブラシ」及び「平筆」について使用している旨主張するが、本件請求指定商品は「紙類」であり、本件商標を商品「紙類」に使用しているとの主張の根拠とはなり得ない。
(ニ)被請求人の主張における、本件商標を使用する各商品は乙第2号証ないし乙第9号証の説明からも明らかなように、「型紙の絵や文字の部分を切り抜き、上から刷毛等で色を付ける(染める)」ものであり、所謂「刷り込み型(stencil)」であって、商品のもつ本質的機能、用途、更には、需要者・取引者を始めとする商品の取引経路等、取引の実情を総合的に見ると、本件商標を使用する上記各商品は「型紙」或いは「ステンシルペーパー」と同種商品と解されるものである。
(ホ)しかして、「型紙」は、旧商標法施行令別表(平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表を指す。)にあっては、第19類の「裁縫用具」の概念に属し、現行の商品及び役務の区分においては第16類に属するものである(甲第4号証)。そして、「商品及び役務の区分」に基づく類似商品・役務審査基準」(特許庁商標課編集・社団法人発明協会発行)の改訂第8版において、「裁縫用具」のうち「型紙」は商品「紙類」とは非類似の商品として取り扱われているところである(甲第5号証)。
なお、商品「ステンシル方式による裁縫用型紙」を指定商品とする商標は、昭和34年法商品区分第19類で登録されているものである(甲第6号証)。
次に、「ステンシルペーパー」についてみると、該「ステンシルペーパー」は必ずしも「裁縫用」を目的とせず「布・紙・木製品」等の「ステンシル」を目的とする場合があるとしても、せいぜい「文房具類」或いは「事務用機械器具」の概念に属するにすぎないものである(甲第7号証)。
因みに、商品「ステンシルペーパー」は「文房具類」に属する商品として取り扱われている事実が存在する(甲第8号証)。
(ヘ)被請求人は、本件商標は「ステンシル用のシブ紙、ステンシル用の合成紙」に使用しているから本件請求指定商品に使用している旨主張するが、被請求人が本件商標を使用する商品の本質的機能、用途等からして、被請求人は「文房具類」或いは「裁縫用具」の概念に属する「シブ紙製のステンシルペーパー」、「合成紙製のステンシル用型紙」に本件商標を使用しているにすぎない。
(ト)仮に、被請求人の主張の如く、商品の原材料についての登録商標の使用が認められるとするならば、例えば、各種材料からなる商品や完成品である商品は、その商品の原材料毎或いは部品毎に登録商標の使用が認められることとなって登録商標を使用する指定商品の範囲が不明確且つ不当な広がりを有することになるから、被請求人の主張は妥当性を欠くものといわざるを得ない。
(チ)したがって、被請求人が本件商標を商品「紙類」にも使用しているとの主張は、被請求人提出の各証拠からも極めて不自然な主張であり、被請求人は本件審判の請求の対象外の商品について本件商標の使用を主張、立証するに止まるといわざるを得ない。
(リ)以上述べたとおり、本件商標が商品「ステンシルペーパー」或いは「型紙」に使用されていたとしても、そのことをもって、被請求人が本件請求指定商品について、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用していたことについてなんら主張、立証しているとはいえない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
(1)被請求人は、本件商標を指定商品第25類「紙類」について別紙証拠方法に示すとおり、少なくとも1999(平成11年)年2月頃から現在に至まで使用しているものである。(乙第2号証ないし乙第9号証参照。)
本件商標「スティック」を指定商品第25類「紙類」に属する商品「合成紙」型紙(ステンシル用)について使用していることは、別紙証拠方法「乙第2号証ないし乙第9号証」に示すとおりである。
乙第2号証「1999 MIYAKO−ZOME」は、被請求人の手芸教材カタログであり、乙第3号証及び乙第9号証は、被請求人の手芸教材カタログ第8頁に掲載され、本件商標「スティック」を指定商品第25類「紙類」に属する商品「合成紙」型紙(ステンシル用)について使用している代表的な商品の現物を示すものである。
そして、そのカタログ中において商標「スティック」の付した商品を掲載し、宣伝広告をおこなっているものである。このカタログ(乙第2号証)は1999年2月に3万部印刷されたものである。
乙第2号証である「1999 MIYAKO−ZOME」の手芸教材カタログの印刷時期の表示は、裏表紙の下段右隅に『1092−N−30』と表示されているものである。
裏表紙の下段右隅に『1092−N−30』と表示されているものは、1999(平成11)年2月に西山印刷において、3万部作成していたことを意味するものである。
更に、乙第2号証には、ステンシル用のブラシ(7頁)及び平筆(第9頁)についても使用されており、これらは第25類「文房具類」に属する商品である。
このように、本件商標に係る商品「スティック」は、第25類の指定商品「紙類、文房具類」について使用していること、乙第2号証ないし乙第9号証からみれば明らかである。
(2)被請求人は、乙第2号証及び乙第9号証において示すように、本件商標「スティック」を「紙類」に属する商品「ステンシル用のシブ紙、ステンシル用の合成紙」について、別紙証拠方法に示すとおり、少なくとも1999(平成11年)2月頃から現在に至るまで使用していること明らかであり、本件商標が商標法第50条第1項の規定により取り消されるべき、請求人の主張に係る取消事由は、ないこと明瞭である。
本件商標は、「スティック」の片仮名文字を横書きしてなり、第25類「紙類、文房具類」を指定商品とすること前記のとおりである。
被請求人は、本件商標を指定商品第25類「紙類、文房具類」に属する商品「ステンシル用のブラシ及び平筆、ステンシル用のシブ紙、ステンシル用の合成紙」に使用しているとして、乙第2号証ないし同第9号証提出しているので、以下、これを検討する。
(1)被請求人が、本件商標を本件審判の取消対象商品について所定の時期において使用していた事実を証明するものとして提出した本件使用商品中の「ステンシル用のブラシ及び平筆」(乙第2号証)は、被請求人も認めるように、「文房具類」の範疇に属する商品と認められるものであり、本件請求に係る商品は「紙類」であるから、本件商標を商品「紙類」に使用しているとの主張の根拠とはなり得ない。
(2)次に、その他の本件使用商品についてみるに、「ステンシル用シート(ローマ字)」(乙第2号証及び乙第3号証)、「ステンシル用イラストシート」(乙第2号証及び乙第4号証ないし乙第7号証)、「みやこ染めの無地型紙用図案−2入りのステンシル用の無地合成紙型紙」(乙第2号証及び乙第8号証)及び「ステンシル用の無地合成紙型紙 大判」(乙第2号証及び乙第9号証)は、布・紙・木製品等にステンシル塗り(型紙を使って文字や模様をつける塗り方)する際に用いる商品であって、このうち「ステンシル用シート(ローマ字)」及び「ステンシル用イラストシート」は、ローマ文字又は植物、動物の図柄が切り抜いてあるシート状の商品であり、「みやこ染めの無地型紙用図案−2入りのステンシル用の無地合成紙型紙」は、ローマ文字、植物、建物、人物等の図案が印刷されている用紙とステンシル用の無地合成紙型紙とされるシート状の商品が包装された商品であって、「ステンシル用の無地合成紙型紙 大判」は、ステンシル用の無地合成紙型紙とされるシート状の商品であることが認められる。
(3)ところで、商標法施行令の別表で定める商品の区分旧第25類の「紙類、文房具類」について、特許庁編「商品区分解説」(平成2年4月25日改訂版2刷 社団法人発明協会発行)では、「紙類と文房具類とは、同一店舗で販売される場合がかなりあるので、この類にまとめたのである。この意味で、販売店主義に基づく類といえよう。」と解説し、また、商品区分旧第25類に属する「紙類」について、「この概念には、特殊な形に切ったもの、又は組み立てたもの等は含まれない。つまり、通常“紙工品”と呼ばれるものは除かれるのである。これらは、それぞれの用途に従い、各類に属することとなる。例えば、「便せん」「封筒」等は文房具類に、「紙製手ふき」は第19類日用品に、「紙箱」は第18類包装容器に属する。紙類と文房具類中の《1.事務用紙》との関係は、大体において、前者が何も印刷されていないのに対し後者が主としてけい線等を印刷してある点が異なっている。なお、「合成紙」もこの概念に属する。」と解説している。
(4)そうとすれば、本件使用商品中の「ステンシル用シート(ローマ字)」、「ステンシル用イラストシート」は、それぞれ、ステンシル(型置き染め)に用いるローマ字あるいは果実、動物、植物のイラストをあらかじめ型抜きしてあるシート状の商品であり、これは特殊な加工を施した商品であるといえるから、前記解説に照らし、「紙類」に属する商品とは解されない。
(5)しかし、「みやこ染めの無地型紙用図案−2入りステンシル用の無地合成紙型紙」及び「ステンシル用の無地合成紙型紙 大判」については、前記商品と同様にステンシル(型置き染め)用の商品であって、同一の店舗で販売されることがあるとしても、該商品には、けい線等何も印刷されているものではなく、また、特殊な形に切ったもの、又は組み立てられているものでもないから、他の本件使用商品「ステンシル用シート(ローマ字)」及び「ステンシル用イラストシート」と同じく「紙類」に属するものではないと断ずることはできない。
(6)請求人は、被請求人が本件商標を使用する商品は「ステンシル用(イラスト)シート」或いは「型紙」として取引者・需要者に理解され、取引されているものと認められ、決して「シブ紙」或いは「合成紙」を商品として取引の対象としているとみることはできないものである旨、また、本件商標を使用する各商品は、「型紙の絵や文字の部分を切り抜き、上から刷毛等で色を付ける(染める)」ものであり、所謂「刷り込み(stencil)」であって、商品のもつ本質的機能、用途、更には、需要者・取引者を始めとする商品の取引経路等、取引の実情を総合的に見ると、本件商標を使用する上記各商品は「型紙」或いは「ステンシルペーパー」と同種商品と解されるものである。しかして、「型紙」は、「裁縫用具」の概念に属し、「紙類」とは非類似の商品として取り扱われており、「ステンシルペーパー」は、「裁縫用」を目的とせず「布・紙・木製品」等の「ステンシル」を目的とする場合があるとしても、せいぜい「文房具類」或いは「事務用機械器具」の概念に属するに過ぎないものであるから、被請求人は「文房具」或いは「裁縫用具」の概念に属する「シブ紙製のステンシルペーパー」、「合成紙製のステンシル用型紙」に本件商標を使用しているにすぎない旨主張している。
(7)そこで、本件各使用商品が、「型紙」或いは「ステンシルペーパー」(インターネットのホームページ情報によれば、「ステンシルペーパー」は、「レンガ・タイル・自然石の配列をした使い捨ての型紙」を称する語としても使用されていることが認められる(http://www.tomita-corp.co.jp/covertex_intro.html))と同種商品と解することができるか否かについて、更に進んで検討するに、「型紙」とは、「模様を彫り抜いた厚紙、布帛にあてて模様を捺染するのに用いる。型付紙。洋裁や手芸などで、作ろうとするものの形を製図して切った紙。これを布などにあてて裁断する。」(「広辞苑」)をいうものであるところ、本件使用商品中の「ステンシル用無地合成紙型紙」は、裁縫用具としての型紙又は前記したレンガ・タイル・自然石の配列をした使い捨ての型紙を用いて行う着色舗装工法用の型紙であるとは認められないものであって、最終的には布・紙・木製品にステンシルをするための型紙として使用する商品であるとしても、前記したとおり、該商品には、けい線等何も印刷されているものではなく、また、特殊な形に切ったものとも認めることはできないものであるから、これを「型紙」であると断定することは困難である。
(8)また、前記「ステンシルペーパー」は、文具、紙製品、事務用具及び写真用品との関係においては、「謄写版原紙」とも解される(総務庁統計局基準部編集・財団法人全国統計協会連合会発行(平成2年6月改訂 平成8年9月 第3版発行)の「日本標準商品分類」によれば、「謄写版原紙」について、英語の表現として「Stencil paper」と記載されていることが認められる。)ところ、特許庁編「商品区分解説」(平成2年4月25日改訂版2刷 社団法人発明協会発行)には、「《3.和紙》例示の「謄写原紙用紙」は、謄写原紙用の紙(上質の薄葉紙)のことであって、謄写原紙そのものではない。前者にけい線を印刷しこれにパラフィンを平均に浸透させたものが後者であり、これは、文房具類《1.事務用紙》に属する」(第82頁)と解説されており、さらに、「文房具類」(第82頁)の説明として、「「タイプライター」「手動計算機」等の複雑な機構を有する機械器具は、文房具とはいえないから、この概念には含まれず、第9類事務用機械器具に属する。」と解説されている。
(9)そうとすれば、「ステンシルペーパー」は、「文房具類」に属する商品といえるが、本件使用商品中の「ステンシル用の無地合成紙型紙」は、前記したとおり、けい線等何も印刷されているものではなく、また、特殊な形に切ったもの、又は組み立てられているものとも認めることができないものであって、これは、「型紙に用いるシート状の無地合成紙」であるといい得るものであるから、これを「文房具類」の範疇に属する商品であると解することはできず、かつ、複雑な機構を有する機械器具であるともいい難いから、「事務用機械器具」に属する商品であるともいえない。
(10)さらに、請求人は、被請求人の主張の如く、商品の原材料についての登録商標の使用が認められるとするならば、例えば、各種材料からなる商品や完成品である商品は、その商品の原材料毎或いは部品毎に登録商標の使用が認められることとなって登録商標を使用する指定商品の範囲が不明確且つ不当な広がりを有することになるから、被請求人の主張は妥当性を欠くものといわざるを得ない旨主張している。
(11)しかしながら、「ステンシル用の無地合成紙型紙」は、前記したとおり、「型紙に用いるシート状の無地合成紙」であるといい得るものであって、これは、前記「商品区分解説」の「紙類」の「解釈」からして、本件商標の指定商品中の「紙類」の範疇に属する商品とみても何ら差し支えないといわなければならない。
(12)したがって、被請求人は、本件商標を取消請求に係る指定商品「紙類」に属する商品について使用してきたものと認めるのが相当である。
(13)被請求人は、乙第2号証ないし乙第9号証を提出して、本件商標の使用を立証するとしているところ、そのうち、乙第2号証は、本件使用商品「ステンシル(型置き染め)用の無地合成紙型紙」が掲載されたカタログであり、乙第8号証及び乙第9号証は、本件使用商品「ステンシル用の無地合成紙型紙」の現物であると認められるが、これらには、「スティック」の文字が本件商標と社会通念上同一といい得る態様で表されている。
(14)また、乙第2号証のカタログをみるに、その裏表紙の下段右隅に、「1092−N−30」の記載がある。そして、被請求人の答弁の趣旨を総合的に勘案すると、乙第2号証の商品カタログは、商標権者が本審判請求の登録前3年以内の平成11年2月に作成され、その後、取引に使用されていたものということができる。
(15)以上のことからすると、本件商標は、被請求人によって、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、取消請求に係る指定商品について使用されていたものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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