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Trademark Appeal Case

図形商標の要部抽出と類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2001−10781(T2001−10781/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲(1)のとおりの構成からなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ショール,スカーフ,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,帽子,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、平成12年6月21日に登録出願されたものである。

第2 原審の拒絶理由

原査定は、「本願商標は、ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップがラルフ・ローレンのデザインに係る商品『紳士服、ポロシャツ、ネクタイ、眼鏡』等に使用し、本願出願前より広く知られている馬に乗ったポロ競技プレーヤーの図形と類似する馬とポロ競技プレーヤーの図形を有してなるので、出願人がこれをその指定商品に使用するときは、該商品が前記会社又は前記会社と何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。

第3 請求人の主張の要点

請求人は、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものでないとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第6号証を提出している。

本願商標は、馬やプレーヤー、四角い競技場の黒枠や文字等が渾然一体として融合した外観構成を持つものである。すなわち、本願商標は、図形部分と文字部分が不可分一体のものとして存在するので、そこから馬とプレーヤーの部分のみを切り離して抽出することは不可能であり、本願商標の図形部分とラルフ・ローレンの代表的商標(登録第2468427号、別掲(2)参照。以下「引用商標1」という。)の図形部分とは全く類似せず、また、相紛らわしいものではないから、本願商標をその指定商品に使用しても商品の出所の混同を生ずることはない。

第4 当審の判断

1 当審において職権により調査したところによれば、以下の事実が認められる。

(1)株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきたこと、1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞したこと、1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標(別掲(3)参照。以下、「引用商標2」といい、引用商標1と合わせて「引用商標」という。)が結合して又は単独で用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれていること、が認められる。

(2)株式会社洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。

(3)ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、昭和53年2月16日付け日本経済新聞(夕刊)の広告、前出「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月20日発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月20日発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年5月25日発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月20日発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年5月25日発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、前出「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。

(4) 平成3年研究社第3刷発行「英和商品名辞典」には、「POLO ポロ」の見出し語の下に「⇒Polo by Ralph Lauren」との記載があり、「Polo by Ralph Lauren ポロバイラルフローレン」の見出し語の下に「米国のデザイナーRalph Lauren(1937?)がデザインした紳士物衣料品。通例Poloと略して呼ばれる。・・・1976年に紳士服でCoty賞を受賞、翌年には婦人服で受賞。・・・1974年の映画The Great Gatsby(「華麗なるギャッツビー」)の衣装を担当して、人気が急上昇した」と記載されている。平成11年1月10日小学館発行の「ランダムハウス英和大辞典」には、「polo」の見出し語の下に「3《商標》ポロ:米国のRalph Lauren デザインによるバッグなどの革製品。4ポロ⇒POLO BY Ralph Lauren」」の記載があり、「Polo by Ralph Lauren」の見出し語の下に「《商標》ポロバイラルフローレン:米国の Ralph Laurenデザインのメンズウエア」と記載されている。

(5)引用商標を模倣したブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付朝日新聞夕刊、同4年9月23日付読売新聞(東京版)朝刊、同5年10月13日付読売新聞(大阪版)朝刊、同11年6月8日付朝日新聞夕刊に報道されている。

(6)引用商標の周知性について認定した判決として、東京高裁平成2年(行ケ)183号(平成3.7.11言渡)、東京地裁平成8年(わ)1519号(平成9.3.24言渡)があるほか、東京高裁平成11年(行ケ)250号、同251号、同252号、同267号、同290号(以上平成11.12.16言渡)、同268号、同289号(以上平成11.12.21言渡)、同288号(平成12.1.25言渡)、同298号、同299号(以上平成12.2.1言渡)、同333号、同334号(以上平成12.3.29言渡)、平成12年(行ケ)140号(平成12.10.25言渡)、同112号(平成12.11.14言渡)、同162号(平成13.2.8言渡)、平成13年(行ケ)90号(平成13.7.10言渡)、同119号(平成13.11.29言渡)等がある。

2 上記1の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する標章として遅くとも本願商標の登録出願時には既に我が国において取引者・需要者間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。

3 かかる事情の下において本願商標をみると、本願商標は、別掲(1)のとおり、図形と文字の組み合わせからなるところ、その構成中の左上部に描かれた図形は、馬に乗った人物がT字状の棒を振り上げた状態をシルエット風に描いたものあって、ポロ競技のプレーヤー(競技者)の特徴を端的に表したものと認識されるものである。そして、該図形は、角をわずかに丸くし、一部を切り欠いた長方形状の枠線とその中に書された「Final Chuckker」、「ten goaler」の文字部分とは、常に一体不可分のものとして看取されるものではなく、むしろ、黒く塗りつぶされて上記枠線の外に鮮明に表されていることからして、それ自体、他の部分から分離独立して看者の注意を強く引きつけるものといえる。

しかも、この馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形と引用商標の図形とは、駆ける一頭の馬に乗ったプレーヤーがポロ競技のマレットを振りかざした状態をシルエット風に表した点において、構成の軌を一にし、酷似した印象を看者に与えるものである。

また、本願商標の指定商品は、引用商標が使用されている商品を含むものである。

そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、本願商標の構成中の「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」部分に着目して、引用商標を連想、想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。

4 請求人は、本願商標は図形部分と文字部分が不可分一体のものであって、これから馬とプレーヤーの部分のみを分離抽出して観察すべきではない旨主張している。

しかしながら、上記3のとおり、本願商標中の「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」自体が顕著に表されており、看者の注意を強く引くものであるから、請求人のこの主張は採用することができない。

5 以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべきかぎりでない。

よって、結論のとおり審決する。

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