Trademark Appeal Case
著名商標の結合商標における混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成3年審判第22089号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「開運富貴」の漢字を左横書きしてなり、第28類「酒類(薬用酒を除く。)」を指定商品として、平成1年7月20日に登録出願されたものである。
2 当審における拒絶理由
当審において、新たに、「本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定した拒絶理由通知を通知した。
3 当審の判断
よって判断するに、本願商標は、「開運富貴」の文字を書してなるところ、構成中の後半部分の「富貴」の文字については、例えば、「日本名酒事典」(株式会社講談社 昭和六十年七月六日 発行)によれば、「『富貴』は牡丹の雅名で、貴顕豊麗な花の王を意味する。明治4年創業の紅野平左ヱ門店の酒であったが戦時中の企業整備で休造。その後、万歳酒造が醸造していたのを昭和38年に吸収合併し、今日に至っている。」と記載され、同じく、「日本酒の本(第1集)」(株式会社彩光社 昭和五十四年十一月二十五日 発行)によれば、「兵庫県」の項に、「・・・西宮へ行くと『大関』『扇正宗』『白雪』・・・『多聞』『灘自慢』の間に、小蔵の『宝娘』がはさまれている。つづいて、『白鷹』『白鹿』『灘一』『富貴』などと大手がひしめいているが、・・・」と記載され、同じく、「’87ー’88酒類商品ガイド」(サンケイ新聞データシステム・マーケティング事業本部 昭和62年5月 発行)によれば、「清酒」の「近畿・兵庫県」の項に、「本醸造富貴粋酔一級」、「合同酒精」、「富貴粋酔二級」及び「二級ぼたん富貴」、「合同酒精」の記載がそれぞれされ、同じく、「日本酒の本(第二集)」(株式会社彩光社 昭和五十五年八月十日 発行)によれば、「昭和54年1〜12月清酒大手メーカー出荷数量」の「銘柄」の項に「富貴」が記載され、「順位」及び「前年順位」がそれぞれ「18位」であることの記載がそれぞれされていることが認められる。
また、「日本酒大百科事典 全国清酒地酒大名鑑」(技興社 1982年10月1日 発行)によれば、「富貴」の【会社名】の項に「合同酒精株式会社西宮工場」(以下(合同酒精株式会社」を「当該会社」という)が記載され、当該会社が「富貴」の文字からなる商標を商品「清酒」に使用していることが認められる。
上記事情からすれば、「富貴」の文字からなる商標は、当該会社が「清酒」について使用し、当該会社の業務に係る商品を表示するものとして、本願商標の出願前に、取引者、需要者の間に広く認識されているものということができるものである。
しかして、本願商標の構成は、前記のとおり、「開運富貴」の文字を書してなるところ、前半部分の「開運」の文字が「運が開けること」等の意味を有する語として知られ、また、後半部分の「富貴」の文字が「富んで貴いこと」等の意味を有する語として知られているとしても、「開運富貴」の文字は、全体として親しまれた熟語的意味合いを表すものとは認められないものであり、また、「富貴」が上記したとおり広く知られている「富貴」の文字と同じ文字構成からなるものであるから、本願商標は、これをその指定商品について使用した場合、上記事情よりして、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「富貴」の部分に強く印象付けられ、恰も当該会社もしくはその当該会社と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認められる。
なお、請求人(出願人)は、著名商標と著名商標とを結合してなる商標については、いずれか一方の著名商標のみを抜き出して認識しないものであり、一体不可分に認識し、出所の混同を避けようとするのが取引の実情である旨主張しているが、「開運」の文字がある程度取引者、需要者の間に広く認識されているとしても、「富貴」の著名性については、上記のとおりであって、「富貴」の文字との関連で商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、請求人(出願人)の主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
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