結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35120(T2002−35120/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3370858号商標(以下「本件商標」という。)は、「Lolita」と「Valentino」の欧文字を二段に併記してなり、平成6年5月16日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンツリ,バンド,ベルト,靴類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同10年12月4日に設定登録されたものである。
請求人が引用する商標は、以下のとおりである。
(1)登録第852071号商標(以下「引用A商標」という。)は、「VALENTINO」の欧文字をやや図案化してを書してなり、昭和43年6月5日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く),布製身回品(他の類に属するものを除く。),寝具類(寝台を除く。)」を指定商品として、同45年4月8日に設定登録され、最終的に商標権存続期間の更新登録が平成12年4月4日にされているものである。
現に有効に存続しているものである。
(2)登録第1415314号商標(以下「引用B商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を横書きしてなり、同49年10月1日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く),布製身回品(他の類に属するものを除く。),寝具類(寝台を除く。)」を指定商品として、同55年4月30日に設定登録され、最終的に商標権存続期間の更新登録が平成12年4月4日にされているものである。
(3)登録第972813号商標(以下「引用C商標」という。)は、「VALENTINO」の欧文字を横書きしてなり、昭和45年4月16日に登録出願、第21類「宝玉,その他本類に属する商品」を指定商品として、同47年7月20日に設定登録され、その後、指定商品については、その指定商品中「かばん類、袋物」は一部放棄による抹消登録が平成12年6月25日にされ、商標権存続期間の更新登録が平成14年7月2日にされているものである。
(4)登録第1793465号商標(以下「引用D商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を書してなり、昭和49年10月1日に登録出願、第21類「装身具,ボタン類,かばん類,袋物,宝玉及びその模造品,増加,化粧用具」を指定商品として、昭和60年7月29日に設定登録され、商標権存続期間の更新登録が平成7年10月30日にされているものである。
(5)登録第1786820号商標(以下「引用E商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を書してなり、昭和49年10月1日に登録出願、第22類「はき物(運動用特殊ぐつを除く。),かさ,つえ,これらの部品及び附属品」を指定商品として、同60年6月25日に設定登録され、商標権存続期間の更新登録が平成7年8月30日にされているものである。
現に有効に存続しているものである。
(6)登録第1402916号商標(以下「引用F商標」という。)は、「VALENTINO GARAVANI」の欧文字を書してなり、昭和49年10月1日に登録出願、第27類「たばこ、喫煙用具、マッチ」を指定商品として、同54年12月27日に設定登録され、最終的に商標権存続期間の更新登録が平成12年1月25日にされているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第62号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号について
(ア)請求人は、イタリアの服飾デザイナーとして全世界に著名な「VALENTINO GARAVAN1(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」の同意を得て、同氏のデザインに係る各種の商品を製作、販売し、これらの商品に「VALENTINO GARAVA
NI」、あるいは「VALENTINO」の欧文字からなる商標を使用している者である。
(イ)上記「VALENTINO GARAVANI」の氏名は単に「VALENTINO(ヴァレンティノ)」と略称され、本件商標の登録出願の日前より著名なものとなっている。
この略称が著名であることについては、甲第7号証ないし甲第10号証(新聞・雑誌の記事切り抜き、登録異議の申立てについての決定謄本、審決謄本)をはじめとして、甲第13号証の2、甲第15号証の2、甲第15号証の3、甲第16号証の2,甲第22号証の2、甲第25号証の3、甲第30号証の2(以上、雑誌記事)、甲第48号証(報知新聞記事)によっても明らかである。
(ウ)本件商標の構成は前記したとおりであり、大きく二段に横書きされた「Lolita」「Valentino」の文字中の下段部分である「Valentino」の文字が「ヴァレンティノ」と称呼されることは明らかであるから、本件商標は、「VALENT
INO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)の著名な略称を含む商標であり、その他人の承諾を得ずに登録出願されたことは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項11号について
(ア)本件商標は、構成文字全体を称呼するときは「ロリタヴァレンティノ」の8音にも及ぶ冗長なものとなるばかりでなく、外観構成上「Lolita」の文字と「Valentino」の文字が上下二段に表示されていることもあって、「ロリタ」と「ヴァレンテ
ィノ」とがそれぞれ段落をもって称呼されるものであり、しかも、上記のデザイナー「VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)氏の氏名が「VALENTINO」(ヴァレンティノ)と略称されて著名なものとなっていることとも相挨って、これに接する取引者、需要者に親しまれている「VALENTINO」の文字に相応する「ヴァレンティノ」の称呼をもって、取引に資する場合が決して少なくない。
したがって、本件商標は、「ヴァレンティノ」の称呼をも生ずるものである。
(イ)引用A商標ないし引用E商標がいずれもその指定商品に使用された結果、全世界に著名なものとなっていることは、甲第9号証及び甲第10号証(審決謄本写し)をはじめとして、甲第62号証までの書証によっても明らかなところであって、引用A商標及び引用C商標は、いずれも「VALENTINO」の文字よりなるものであり、その構成上「ヴァレンティノ」の称呼を生ずることは明らかである。
また、引用B商標、引用D商標及び引用E商標は、「VALENTINO GARAVANI」の文字よりなるものであるから、その構成文字全体から生ずる「ヴァレンティノガラヴァーニ」の称呼のほか、構成文字前半の「VALENTINO」の文字に相応する「ヴァレンティノ」の称呼をも生ずるものである。
(ウ)したがって、本件商標と引用A商標ないし引用E商標は、「ヴァレンテイノ」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、本件商標の指定商品は各引用商標のそれと抵触するものであること明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、引用A商標ないし引用E商標以外の商品についても、多数の登録商標を使用している。
これらのうち、登録第1402926号商標(以下「引用F商標」という。)を引用する。
しかして、請求人提出の甲第9号証及び甲第10号証ないし甲第62号証によれば、引用B商標ないし引用E商標は、婦人服、紳士服、ネクタイなどの被服、バンド、バッグ類、靴、ライター等について使用されていること、各引用商標も本件商標の登録出願の日前より全世界に著名なものとなっていることは、明らかである。
そして、本件商標と引用B商標、引用D商標及び引用E商標が称呼上類似する商標であることは上述のとおりであるから、同様の理由により、本件商標と引用F商標とは、類似する商標である。
また、本件商標の指定商品と各引用商標が使用されている商品はいずれも服飾品の範疇に属する密接な関係にある商品、いわゆるファッション関連の商品である。
したがって、本件商標は、これを被請求人がその指定商品に使用した場合、その商品があたかも請求人の製造、販売等の業務に係る商品であるか又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係にある者、すなわち姉妹会社等の関係にある者の業務に係る商品である
かの如く、その出所について混同を生ぜしめるおそれがあるものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
被請求人は、何ら答弁していない。
(1)請求人商標の著名性について
本件審判請求の理由及び甲第7号証、甲第13号証ないし甲62号証(枝番を含む。)を総合すると、以下の事実が認められる。
(ア)「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)は1932(昭和7)年イタリア国ボグヘラで誕生、17才の時パリに行き、パリ洋裁学院でデザインの勉強を開始し、その後、フランスの有名なデザイナー「ジーン・デシス、ギ・ラ・ロシュ」の助手として働き、1959(昭和34)年ローマで自分のファッションハウスを開設した。
1967(昭和42)年にはデザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー(Fashion Oscar)」を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウィーク誌など著名な新聞、雑誌に同氏の作品が掲載された。
これ以来、同氏は、イタリア・ファッションの第一人者としての地位を確立し、フランスのサンローランなどと並んで、国際的なトップデザイナーとして知られるに至っている。
(イ)我が国において、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の名前は、前記「ファッションオスカー」受賞以来知られるようになり、その作品は「Vogue(ヴォーグ)」誌などにより継続的に日本国内にも紹介されていた。
昭和49年には三井物産株式会社の出資により同氏の日本及び極東地区総代理店として「株式会社ヴァレンティノヴティックジャパン」が設立され、同氏のデザインに係る商品を輸入、販売するに至り、同氏の作品は我が国のファッション雑誌にもより数多く掲載されるようになり、同氏は我が国においても著名なデザイナーとして一層注目されることとなった。
(ウ)「VALENTINO」「ヴァレンティノ」あるいは「ヴァレンティーノ」を「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の略称として、「世界の一流品大図鑑」1981年版(甲第13号証)、「世界の一流品大図鑑」1985年版(甲第15号証)、「男の一流品大図鑑」1985年版(甲第16号証)、「25ans,ヴァンサンカン」1987年10月号(甲第22号証)、「ミス家庭画報」1990年5月号(甲第30号証)、「ミス家庭画報」1994年6月号(甲第33号証)、平成3年7月29日付「報知新聞」の取材記事(甲第48号証)等、また、「服飾辞典」(田中千代著 同文書院1981年発行)、「英和商品辞典」(山田政美著 株式会社研究社1990年発行 )、及び、雑誌の「non-no」(株式会社集英社1989年12月5日発行 173頁)、「エル・ジャポン」1997年8月号、「ドンナジャポーネ」1998年4月号(甲第55号証、甲第56号証)の雑誌、新聞又は辞典等に記載されている。
(エ)請求人主張よりして、請求人会社は同氏のデザインに係る各種商品の製作・販売に携わる者である。
以上よりすると、ファッションに関して、「VALENTINO」「ヴァレンティノ」といえば、容易に前記デザイナー又は同氏のデザインに係る各種商品を想起し得る状況がうかがわれる。
そして、「VALENTINO GARAVANI」「valentino garavani」(ヴァレンティノガラヴァーニ)の文字よりなる標章及び「VALENTINO」「Valentino」(ヴァレンティノ又はヴァレンティーノ)の標章は、VALENTINOGARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)がデザインした婦人服、アクセサリー、バッグ、靴等のファッション関連商品におけるデザイナーブランドとして、少なくとも本件商標の登録出願時である1994年(平成6年)5月16日前において既に我が国の取引者、需要者間に広く認識され著名となっていたものであり、また、その状況は、本件商標の登録査定時である平成10年12月4日を含む現在に至るまで継続しているとみて差し支えないものである。
(2)本件商標の構成並びに指定商品について
本件商標は、その構成前記したとおり、「Lolita」と「Valentino」の欧文字を二段に併記してなるものであって、視覚上、おのずと上下に分離して看取し得るものである。
そして、本願商標は、全体をもって特定の意味合いの熟語的文字として把握し得るような事情はなく、また、証拠も見出せないので、これを常に一体不可分のものとして認識し把握されるものとすべき相当の理由はない。
また、本件商標に係る指定商品は、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンツリ,バンド,ベルト,靴類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」とするものであり、前記請求人の取扱いに係る商品「婦人服、アクセサリー、バッグ、靴」等と同様、素材や色柄、デザインが重視される商品であって、デザイナーの関与が十分予想されるものである。
(3)出所混同のおそれについて
以上の(1)(2)を総合すれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、前記実情よりして、本件商標の「Valentino」の文字部分に着目し、容易にデザイナーのVALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)又は、請求人商標を連想、想起するとともに、これを前記デザイナー又は請求人会社に係る一連のデザイナーブランド又はその兄弟ブランドないしはファミリーブランドであるかのように誤認し、あるいは、これらの者と事業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。
してみれば、本件商標は、他人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるものというべきであるから、その登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
(4)結語
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その余の点について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。