Trademark Appeal Case
ドライワックスの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第16956号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第3類「せっけん類、植物性天然香料、動物性天然香料、合成香料、調合香料、精油からなる食品香料、薫料、化粧品、かつら装着用接着剤、つけづめ、つけまつ毛、つけまつ毛用接着剤」を指定商品として、平成10年6月30日に登録出願されたものである。その後、指定商品について、平成11年7月28日付手続補正書で「頭髪用化粧品」に補正されている。
2 原査定の理由
本願商標は、「乾いた」等を意味する「dry」及び「ドライ」の文字と、「蜜蝋、ワックス」等を意味し、とりわけ指定商品「化粧品」との関係においては「スタイリング剤の種類としてのワックス系」等を想起させる「wax」及び「ワックス」の文字とにより、「Dry wax」「ナチュラルワックス」(「ドライワックス」の誤記と認められる。)の文字を二段に書してなるところ、これを本願指定商品中、例えば「ワックス系スタイリング剤」等の商品に使用しても、これに接する需要者は、該商品が「ドライな感じに仕上げるワックス系スタイリング剤」であることを理解するにとどまり、単にその商品の品質を表示しているにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
3 当審の判断
本願商標は、別掲に示すとおり「Dry wax」(1字分の間隔を含む。)の欧文字と「ドライワックス」の片仮名文字を2段に表わされてなるところ、「ドライワックス」の片仮名文字は、上段の「Dry wax」の欧文字の読みを一連に表しているものと認められる。
しかして、その構成中の「Dry/ドライ」の文字は「乾いた、乾燥した、水気のない」等を意味し、「wax/ワックス」の文字は物質の一種である「ロウ」(蝋)を意味するものとして親しまれている語である。
ところで、「新化粧品学」(1993年1月12日1版南山堂発行128、130、140頁)によると、化粧品を構成している原料の主なものは、油脂、ロウ類、エステル油等の油性原料のほか、界面活性剤、保湿剤、高分子化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、色材類、ビタミン類、植物抽出物などの薬剤や香料があり、そのロウ類(Wax esters)は、物質により口紅、チック等のステック状の製品、クリーム、乳液等に使用されていることが説明されており、また、「廣川 香粧品事典」(廣川書店平成4年10月1日発行)の「ワックス(wax)」の項によると、「一般に天然ワックス、特に動植物系ワックス、すなわちロウ類を指すことが多い。しかし最近は天然ワックスである石油ワックス(パラフィン類)、更には各種合成ワックス、配合ワックスなども含めてワックスという。」と記載し、その用途については、「口紅、メーキャップ化粧品、チック、ポマードなどの頭髪用化粧品、クリーム類、脱毛ワックスなどに使用される」と記載されている。
そして、化粧品の販売や宣伝広告を掲載するインターネット情報によると、髪を整える頭髪用化粧品について、例えば、「ベタつかず、サラサラ。無造作ヘアがしっかりきまるワックス」と説明し「ドライワックス」と表示(Kanebo)、「ツヤをおさえたマットな質感で、しっかりくせづけるのにさらっと軽くドライな仕上がりのマットタイプのワックス」と説明し「マットドライワックス」と表示(マンダム LUCIDO−L)されている等「ドライ」及び「ワックス」の語を商品の品質を表すものとして用いられている実情が窺える。
そうしてみると、本願商標は、上記意味を理解させる「Dry/ドライ」、「wax/ワックス」の文字を組み合わせたものであり、それらの文字全体で各語のもつ上記意味を超えて別異の意味合いを理解させる事情もみいだせないので、需要者をして、上記意味を理解し全体として、その商品は「サラサラした乾燥した感じ(ドライ)に仕上がるワックス系のもの」であることを表しているものと認識するに止まり、この商標を指定商品中「ワックス系の物質(ロウ類)を原材料とする頭髪用化粧品」について使用するときは、商品の効能、原材料、品質を表すものであって、自他商品の識別標識として機能し得ないものといわなければならない。かつ、本願商標を上記商品以外の商品について使用するときは、その商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものと認められる。
しかしながら、請求人(出願人)は、美容・理容業界において、せっけん類及び化粧品等の製造卸売業を営んでおり、平成10年8月より本願商標を商品に付して販売し、幅広く宣伝広告を行っており、その結果、本願商標が、請求人の商標であることを取引者、需要者間に充分認識されるに至っているものであると述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第21号証及び甲第24号証ないし同第40号証を提出しているので、その点について検討する。
そこで、請求人(出願人)提出の証拠をみると、以下のことが認められる。
「Dry wax」又は「ドライワックス」の文字が表示されている商品パンフレット、広告又は雑誌記事である甲第2号証ないし同第7号証、同第9号証ないし同第12号証、同第14号証ないし同第19号証、同第21号証、同第25号証ないし同第31号証によれば、商品の包装容器である瓶の側面に本願商標の欧文字部分と同様の構成による「Dry wax」の文字とその下に「PUALA」の欧文字が表されており、その説明書き部分に「リアルピュアラ ドライワックス」又は「ピュアラ ドライワックス」と記載されている。商品パンフレット甲第3号証によると、その2葉目(裏面)に「【ドライワックス】【ナチュラルワックス】」のタイトルが記載され、その左側に「REAL」と「PUALA」の文字が二段に記載されており、また同頁の下段に円形内に「REAL」「自由気ままに、ドライなピュアラ」「Dry wax」(本願商標と同様の構成)と3段に記載されている。雑誌の広告である甲第6号証によると、商品の実物写真の下に「ピュアラ ドライワックス1400円/リアル化学 固めドライな質感が人気の新製品ワックス。」と記載して説明されている。そして、雑誌の整髪方法を説明している記事である甲第18号証の3葉目「STYLING B」の4番目の項には、「パサつき感を出さないようにドライタイプのワックス(リアル ピュアラドライワックス)を少量とり、ボリュームの出ている毛先2〜5センチメートルにだけ、・・・つけていきます。」等と記載されている。
また、甲第1号証及び同第24号証では、「リアルピュアラ・シリーズ」の商品出荷実績及び「Dry wax/ドライワックス」の商品別、得意別売上の売上数量、売上金額が記載されている。
上記事実からすると、髪型を整えるための化粧品に本願商標と同一の構成態様となっている「Dry wax」の表示及びその商品を示す「ドライワックス」の片仮名文字の表示がされていることは認められるとしても、いずれも、「リアルピュアラ ドライワックス」又は「ピュアラ ドライワックス」と記載され、また「Dry wax」の表示と共に「PULA」や「REAL PUALA」の欧文字も併せて表示されていることが認められる。
そうしてみると、その商品は、「Dry wax」の表示又は「ドライワックス」の片仮名文字の表示をもって、自他商品を識別しているというよりも、「リアルピュアラ」、「REAL PUALA」又は「ピュアラ」、「PUALA」の表示により識別されているものであり、結局、「Dry wax」又は「ドライワックス」の表示は、商品の効能、原材料、品質を表しているものと認識されるにすぎないものと認められる。
してみると、「Dry wax」及び「ドライワックス」の表示(本願商標と同じ表示)が自他商品を識別する態様で使用されていたものとみることはできないので、本願商標が請求人の業務に係るものであると認識するに至っているものとは認められないものである。この点についての請求人の主張は採用できない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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